三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、インチキ宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり、そしてそのことを日記にまとめてみたり。

ケヴィン・ネルソン『死と神秘と夢のボーダーランド』

2014年07月05日 | 

臨死体験とは何か、大きく分けると脳内現象説と現実体験説(死後の世界をかいま見たということ)がある。
ケヴィン・ネルソン『死と神秘と夢のボーダーランド』は脳科学から臨死体験を説明している。
臨死体験の特徴というと、トンネル・光・体外離脱が代表的だが、いずれも実験によって再現できるそうだ。

脳の側頭頭頂接合部が遮断されると、体外離脱体験をしたり、〝何者かの存在を感知〟したりする。目や脳の血流が途絶すると、管状視野という障害が起きて、トンネルが見える。

・トンネル
低血圧が網膜の周辺視野を失わせてトンネルを見せる。

・トンネルの向こうに見える光
1 半眼になっているまぶたの隙間から入る周囲の光。
2 レム催眠期の意識が見せる光。

・体外離脱
体外離脱は珍しいものではなく、覚醒と睡眠のボーダーランドで起こることが多い。
ヨーロッパでは体外離脱を5.8%の人が体験している。
池谷裕二『脳には妙なクセがある』には、幽体離脱は30%が経験するとある。
持続時間は通常、数秒、長くても数分で、数時間、数日と続くことは滅多にない。
生涯に1、2回がほとんどだが、毎週のように体外離脱を体験する人もいる。
手術中の体外離脱は、麻酔が不十分なせいで意識があり、周囲の会話を聞いていたなどで説明がつく。(手術中に覚醒する患者は0.18%)

池谷裕二氏によると、頭頂葉を強く刺激すると、実際には動いていないのにもかかわらず、あたかも体が動いたかのように感じる。
頭頂葉の角回を刺激すると、被験者の意識は2メートルほど舞い上がり、天井付近からベッドに寝ている自分が見える。
神を感じる脳回路は側頭葉らしく、側頭葉を磁気刺激すると、40%の人が存在しないはずのもの(キリスト、マリア、祖父の亡霊、エイリアンに誘拐された体験)をありありと感じる。

ケヴィン・ネルソンが新たに提唱したのが〝レム催眠侵入説〟である。
レム催眠とは急速眼球運動を伴う睡眠のことで、身体は深く眠っているのに、眠りが浅くて脳は覚醒に近くて活発に動いている状態にある。

臨死体験というのは、意識不明であるはずなのに、何らかの形で周りのことが分かっている状態ではないかと思うわけだ。

レム催眠と覚醒がくっきりと分けられずに、覚醒・夢(レム催眠)・無意識の混在した〝ボーダーランド〟に脳が入り込んだのが臨死体験だとケヴィン・ネルソンは言う。

超常的な神秘体験をしながら、なおかつそれを意識しているという臨死状態の脳は、まさにこうした覚醒・夢(レム催眠)の中間(ボーダーランド)にあるのではないか。

臨死体験者は高い割合で、日常の覚醒している時間帯にレム催眠が何らかの形で侵入した経験があり、臨死体験者の脳はレム催眠から覚醒へとスムーズに移行せず、混在させてしまう傾向にあるそうだ。

彼らは覚醒していながらレム催眠状態に置かれている。それで、光と体外離脱感覚を体験する。意識はあるのに動けない。めくるめく想像の物語の主人公になる。ここに挙げた臨死体験の三つの主要特徴はすべて、レム催眠に元をたどることができるのだ。


夢を見ていながらこれは夢だと気づくことがある夢を明晰夢というが、臨死体験と近い混成意識状態だそうだ。
明晰夢を見ている人はレム催眠の意識状態にあり、体験する感覚はすべて夢の世界で生じたものである。

臨死体験が夜見る夢と違うのは、普通の意味の夢ではないからだ。強いて言うなら、レム催眠と覚醒のボーダーランドで見る明晰夢に近い。既に覚醒している脳内で、夢見るのの一部が突然起動する。

エイリアンに誘拐された記憶を持つ人も、明晰無を見せるレム催眠侵入とレム催眠麻痺に原因があると考えられるとケヴィン・ネルソンは言う。
明晰夢を見る人は体外離脱を体験しやすいそうで、明晰夢は修行の手段として用いる宗教があり、明晰夢の見方も訓練次第で上達する。

たしかに臨死体験者には宗教的な体験だと感じた人も少なくない。
面倒な修行をしたり、臨死状態にならなくても、脳の側頭葉を上手に刺激すれば悟り体験を得ることも可能なんじゃないかと思う。

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