東本願寺の女性室広報誌「あいあう」22号が送られてきた。
「あいあう」は金の無駄遣いだとかねがね思っていて、これは私の本心がマチズモ信奉者ということもあるが、ちょっとなあと感じる文章が散見するということがある。
田中美津「女と男は、助け合うから美しい」というエッセイもそう。
森まゆみ氏が山田風太郎氏にインタビューした本の中で、こういうやりとりがあると田中美津氏は紹介している。
「あの歳で瀬戸内寂聴さんの仕事ぶりが凄いということが話題になっていて、「男で僕より現役の作家なんてまずいなんだから」と山田サンは言う。そして「どうして男の方が弱いんでしょう」と聞かれて、「男は傷つくけど女は忘れるからね。男は奥さんに死なれて三年経つと死んじゃうけど、旦那が死んだ奥さんというのはげんきでますます(笑)」、「うん、女はエラい。鹿鳴館時代からずっと女の方がエラい」と」
こういうことはよく耳にする。
男は妻が死んだら急に弱るけど、女は夫が死ぬと元気になる、女は強いと。
だけど、夫を亡くした女性にちょっとでも話を聞けば、こんなことは全くの誤解だということがわかるはずだ。
死別の悲嘆の深さをまるっきりわかっていない人が多いと思う。
たとえば、差別問題に敏感な男性でも「女はたくましい。夫が死んでもけろっとしている」と言っていたし、あるところで死別の悲しみについて話したら、「男は妻に依存しているから妻の死がショックだが、女は夫から自立しているので夫が死んでもそんなに落ち込まない」という感想をもらした女性がいた。
田中美津氏のエッセイは死別についてのものではないけど、それでも死別の悲しみにあまりにも無頓着というか、無神経である。
「あいあう」編集部はそうは思わなかったのだろうけど。
昨日の毎日新聞に、母親が自死した人がグリーフケアの起業をしているという記事があった。
本山もグリーフケア(カタカナは嫌いだ)にお金を使ってほしいと思う。
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