三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

『月光の囁き』

2005年11月14日 | 映画

塩田明彦『月光の囁き』という映画、最初は主人公の高校生が好きな女の子といい雰囲気で、ドキドキしながら見てたら、ところが主人公がマゾなもんで、SMは好きではない私としては「こいつ、アホか」とイライラしたのだが、あら不思議、だんだんと「そうそう、わかる」と、つい主人公に共感してしまった。

原作は喜国雅彦氏のマンガである。
喜国雅彦氏のあとがきには、シリアス漫画を描かなくてはいけなくなって、谷崎潤一郎でやってみたとある。
そうか、谷崎かと納得。
女が他の男とセックスするのをのぞくのは『鍵』(日記を通してではあるが)だし、女の気持ちから何からすべて理解しているのは『春琴抄』、足に執着するのは『瘋癲老人日記』と、『月光の囁き』は谷崎から変態性欲のアイデアをいただいているんですな。
『痴人の愛』も、妻が浮気していることに嫉妬しながら歓びを感じる主人公に、読んでいてイライラしたが、読後感はときめくものがあった。
そちらの傾向のない者にもその気にさせるのは谷崎潤一郎の文章の技だが、『月光の囁き』はマンガも映画も谷崎には負けないうまさである。

『月光の囁き』はマンガ図書館で読んだ。

未成年は借りることはできない。
『月光の囁き』には性描写があるからだが、『痴人の愛』『鍵』は未成年でもOK。
かなりいやらしい小説なのに。

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