3 罪、罪報、滅罪の方法(つづき)
③十悪
積善、すなわち善業を積むことで、マイナス(罪)をなくし、プラス(得益)を得る。
十善戒を守るだけでなく、供養や布施をする、読経や写経をするなども善業。
とはいえ、西村玲「不殺生と放生会」に引用されている『金光明経』によると、殺生の滅罪は困難です。
屠殺は畜生が来世に人として生まれることを阻む罪であるから、殺された畜生は冥府で屠殺者を怨む者となる。
あらゆる罪は懺悔すれば滅するが、殺生の罪だけは懺悔してもなくならない、
なぜならば、怨む者がひたすら訴えるからである。
『梵網経』にある戒、肉食を禁止し放生を勧める次の文言を根拠とする。
眼前の動物は、六道を輪廻する衆生であり、かつて代々の父母であり我が身である。
動物や虫魚を殺して食べるのは父母を殺して食べることと同じ。
file:///C:/Users/enkoj/Downloads/eco-philosophy6_047-053.pdf
波逸提法では、虫や植物の殺生も罪になります。
・掘地戒 大地に生命があると世間では信じられているので、自分の手で大地を掘ったり、他の人に指示して大地を掘らせてはならない。
・伐草木戒 植物に生命がやどるので、自分で草木、樹木を伐ったり、他の人に伐らせてはならない。
・用虫水戒 虫が死ぬから、水の中に虫があるのを知りながらその水を用いたり、泥や草の上にその水をそそいではならない。
・奪畜生命戒 殺そうという意志をもって動物を殺してはならない。
・飲虫水戒 水の中に虫があるのを知りながらその水を飲んではならない。
http://www.suijoji.sakura.ne.jp/asia/kairitu.html
④仏法を誹る
アップル荒井しのぶ「日本古代の法華経滅罪信仰の形成と民間への浸透について(1)」によると、『法華経』は、「滅罪の呪力を持つ経典であるが、誹るならば厳罰がある」と、『霊異記』では理解されていました。
『法華経』誦経者等を誹謗する者への護法神による刑罰としての悪報。
・乞食の僧を迫害したために呪縛された男が、その僧の観音品読誦で助かる。
・法華経持経者を誹ったために、口が歪む。
・法華経誦持の人を嘲ったために、口が歪み悪死する。
・法華経書写の経師が淫行の為に、女とともに悪死する。
・猿聖と呼ばれる法華経読誦の尼をあざけり笑った人が、空から降りた神人によって悪死する。
・法華経書写の人を悪口したために、口が歪む。
・子供の作った塔を壊したために、悪死する。
https://www.totetu.org/assets/media/paper/k022_222.pdf
日蓮『佐渡御書』に「法華経の行者を過去に軽易せし故に」とあります。
岡田榮照「日蓮に於ける滅罪」はこのように説明しています
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ibk1952/13/1/13_1_170/_pdf/-char/ja
日蓮は過去世で『法華経』の行者を侮り軽んじた業報によって佐渡に流罪になるなどしたと受け取ったわけです。
⑤生死の罪
生死とは輪廻のことですから、何度も輪廻しないといけない罪が生死の罪です。
『観無量寿経』は称名による滅罪を説きます。
十念を具足して南無阿弥陀仏と称せしむ。仏名を称するがゆえに、念念の中において八十億劫の生死の罪を除く。命終の時、金蓮華を見る。猶し日輪のごとくしてその人の前に住す。一念の頃のごとくに、すなわち極楽世界に往生することを得ん。
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