4 苦行による滅罪
釈尊は苦行を否定していますが、多くの宗派では苦行を行なっています。
滅罪のための苦行には、
・過去世から現在までの悪業を清算する。
・肉体と精神を浄化する。
・自分の悪業によって来世で受ける苦しみを軽くする・なくす。
・浄土往生する。
・他者の罪を消す(回向)。
・他者の業苦を自分が代わって受ける(代受苦)。
といった意味があるようです。
アップル荒井しのぶ「法華経と苦行と滅罪─東アジア仏教のパースペクティブ1」に、こうあります。
熊野では断食行・断穀・断塩、火断、捨身行、焼身行、山林修行、水行・滝行といった苦行による滅罪が行われていました。
平安時代から吉野の金峰山や熊野へ多くの人が参っていますが、一般の人にとって巡礼は苦行であり、滅罪行という意味もありました。
多くの苦行僧が仏や菩薩、天、神などを見ています。
清浄化の証しとして見仏という神秘体験をしうると考えられていた。
https://www.totetu.org/assets/media/paper/k024_266.pdf
アップル荒井しのぶさんは『観普賢菩薩行法経』の色を見る神秘体験を紹介します。
広瀬健一『悔悟』にも、オウム真理教の極厳修行で色を見たとあります。
このように、教えの正しさと苦行の得益を神秘体験によって実感するわけです。
統一協会でも苦行による滅罪が説かれます。
櫻井義秀、中西尋子『統一教会』に罪と罪の清算についてこう書かれています。
罪の清算は統一教会の言葉でいえば「蕩減」です。
蕩減の本来の意味は、借金を全部帳消しにすることです。
祝福(合同結婚式)では、アダムとエバが性の罪を犯したので、自らも罪を償う意味で新郎新婦が蕩減棒でお互いに尻を3回叩きます。
「オヤヂの呟き」という統一協会脱会者のブログに「蕩減棒の思い出」があります。
https://plaza.rakuten.co.jp/norihiro5/diary/200806120000/
統一協会では日本人が作った罪を清算しないといけないと説かれます。
合同結婚式で韓国人と結婚した日本人妻は、離婚や脱会は蕩減が重くなって地獄で永遠に苦しむと教えられている。
夫が仕事をせず酒を飲んでは妻を殴ることは日本人が韓国に対して作った罪の報いだから、それに甘んじることが罪の清算になると、肉体的苦痛によって実感する。
これも苦行による滅罪だと思います。
『ミリンダ王の問い』に、如来が暴力や殺人によって利益を与えると説かれています。
苦しみを与えて導くことを、オウム真理教ではカルマ落としと言います。
https://blog.goo.ne.jp/a1214/e/cd331bfbd4debe96de283f7a614bbd39
日本人妻は、自分が作った罪ではないのに罪の報いを受けると信じ込まされているわけです。
業報思想の問題の一つは、自分が現世で作った罪だけでなく、過去世で作った罪、あるいは先祖が作った罪の報いまでもが説かれていることです。
ですから、過去世や他人の罪も消さなければいけないことになります。
そんなことはほぼ不可能です。
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