数年前からコンビニの店頭に見なれないコーナーができていることに気づいた。口臭を予防するガムやのど飴を売っている棚の近くに、半透明のプラスチックの瓶が並んでいる。見るからに“薬”のイメージである。棚にはサプリメントの文字がある。
一体これは何だろうと思っていたところ、職場の同僚がその瓶をもっていた。一体何なのかと質問したところ、「ああこれかい。これはビタミンCだよ」という答えだった。これを飲むと風邪をひきにくくなるという。
ビタミンCといえば栄養素の一つで、たしかに身体に良いことはよく知っている。彼は1日何回か、疲れた時に3錠ほど飲むと調子が良いと言う。
サプリメントとは、英語でDietary Supplement、栄養を補助する食品という意味だそうだ。サプリメントにはさまざまな種類がある。ビタミンC、B、Eをはじめ、カルシウム、鉄分、亜鉛、アミノ酸、DHA、コラーゲン、グルコサミン、プロテイン、プロポリスなど、人間の生活に必要な栄養に関わる成分のほとんどといっていいほど、いろいろなものが開発されてきている。
人間の細胞はお母さんのお腹の中で60兆個にもなっ て生まれてくる。その60兆個の細胞が毎日タンパク質を作り、そして、私たちの身体を構成していく。
しかし私たちの身体は新陳代謝を繰り返し、3年もたてばほとんど新しい身体に生まれ変わるという。つまり私たちの身体は、その間に口から食べた物によって作られているというわけだ。そこで、偏りが起きないようにと、サプリメントが必要になるという発想が生まれてきた。健康ブームとも重なって、こうした栄養補助食品は飛ぶように売れている。
かくいう私も、サプリメントまではいかないが、身体に良いからと野菜ジュースとヨーグルト、緑茶とウコン茶を毎朝とっている。しかし、これが義務のようになるといささかつらい。
仕事でストレスをため、やけ酒をのみ、愚痴を言っている反面、身体に良いものをといって飲んでいるサプリメント。
我が身を振り返って考えた時に思い出した親鸞聖人のお言葉がある。
「くすりあればとて、毒をこのむべからず」
これは、悪人が救われるというのなら悪いことをしたほうがいいではないか、という考えをいましめたお言葉であるが、現代に生きる私のあからさまな姿をぴったり言い当てられた言葉に聞こえた。あなたはいかが。
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