私の大変尊敬する先生が、この春、お浄土に帰られました。厳しくもあり、やさしくもあった先生でした。私はその先生から多くの教えをいただき、また私生活でも親しくさせていただきました。
忙しいという言葉を口実に、ご機嫌伺いもせず、半年が経ちました。年始に年賀状が来ないので心配していたところ、先輩の校長先生から「入院しているからお見舞いに行ってあげて」と言われました。これは大変だと思っていましたが、またもや忙しいという言葉を口実に、行かなければと思いつつ、だらだらと日を送ってしまい、ついに訃報を聞くことになってしまいました。
一期一会という言葉があります。茶道の言葉で、一生に一度しか会えないという気持ちでお客様をおもてなししなさいという意味だと聞いたことがあります。大切な人とのお別れも一生に一回だということを改めて感じました。
一期一別、後悔先に立たず、でした。葬儀には出席できても、もう一度お言葉を聞くことできません。
以前、友を癌で亡くした時は、言葉こそ交わせませんでしたが、生前に会うことができ、心静かにお見送りすることができました。
父を送った時は、心筋梗塞だったので、言葉を交わす間もなく、やはり、普段からもっと話をしておくべきだったと後悔しました。
忙しいと自分の都合を優先させて、大切な人との別れの時を失してしまうことは、無念なことだと思い知りました。父の葬儀の時、叔父が言った言葉を思い出しました。「死んでからいくら立派な葬式を出しても何にもならない。その人が生きているときに、何をしてあげたか、それが大切だ」と。
人の死は、残された私たちに多くの示唆を与えてくれます。故人を偲ぶということは、別れを惜しむという意味もありますが、その方の死から何を学ぶかということであると知らされます。
愛別離苦、愛しい人といつか別れなければいけない日が来ます。自分が先かもしれないし、相手が先かもしれません。一期一会、一期一別なのです。葬儀での恩師の遺影から、言葉にならない最後の教えをいただきました。
先生、ありがとうございました。
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