三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

『職業欄はエスパー』と『トンデモ超能力入門』4

2012年10月18日 | 問題のある考え

『トンデモ超能力入門』は超心理学についての鼎談である。
超心理学は超能力の実在を明らかにしたのか?
まえがきで皆神龍太郎氏は「超心理学の研究成果からは、人の超能力はもし存在するとしても、普段の生活で気付くこともできないほど小さな効果しかないことが判明しているのです」と書いている。

皆神「石川先生はテレパシー系の超能力現象をはじめとするESPの実在ははっきりしたけれど、PK(念力、物体移動、金属曲げ、念写、空中浮遊など)系統の実在はまだよく分からないという、そういうご認識ですよね?」

ESP系(透視、テレパシー、予知など)の実験では、確率的に有意な結果が出ているそうだ。
たとえば、数字が書かれたカードが5枚あって、裏返しにして数字を当てるとして、適当な数字を言っても、当たる確率は20%。
それよりも何%か多いと、何かあるのでは、ということになる(今はカードを使った実験はしていない)
ガンツフェルト実験といって、4枚の写真や絵のうち送り手が選んだものは何かを、感覚遮断されている受け手が当てる実験があり、偶然に当たる確率は25%だが、成功率は約32%である。

もっとも皆神龍太郎氏によると「確かな結果をつかんだんだと思うと、その効果がやがて煙のように消えてしまうというのが超心理学のお約束のパターンなのね」ということらしい。
石川幹人氏もあとがきに「かなり厳密な状況下で行った実験でわずかながらも奇妙な現象が確認されています。しかし、それは安定した現象ではなく、「超能力」と呼べるようなものかどうかはっきりしていません」と書いている。

超心理学ではどういう研究がなされているのか。
ディーン・ラディンという超心理学者のやっている実験。
石川「クモの絵とかヘビの絵とか見るとギョッとしますよね。そのギョッとする3秒くらい前から生理的な変化が出ていると。ウサギの絵だとギョッとしないんで、ヘビが出るかウサギが出るか分からない状態にして、画面を見ている。その間の皮膚電位とか生理状態とかを測定するんですよ。そうすると、ずっと調べるとヘビが出る3秒くらい前から信号の変化が出るんです」
つまり予知である。

小久保秀之氏のキュウリを使ったヒーリング効果の実験。
「キュウリに手をかざしてしばらく放置し、かざしていないものと比較するとしなびる速度が遅くなるというもの」
超能力といっても、せいぜいそういうささやかなものらしい。

皆神「テレパシーで世の中のことが何でも分かっちゃったり、サイキック能力で物を宙に自在に飛ばせちゃったりとか、そういうことが可能だと思いこんだ人がたくさんいたんでしょう。本当にそんな派手な超能力現象が存在してくれていれば、今さら「超心理のあるない論争」なんてやっているわけがないと思うんですよね」

超心理学の知見だと、高橋つくしちゃんが密閉した瓶の中に木の葉を実体化したような「派手な超能力」という現象はないらしい。

皆神「そもそも、何で「超心理現象を調べよう」って最初に思いついたのかというと、「超能力は実在する」という強い思い込みが先にあったからだと思うんです。でも今、超心理学の結果によれば、万が一、超能力が実在するとしても、それは人が気づけないほど小さい効果にすぎない、ということなわけですから」
石川「実験してでるのはそうですね」

それにしても、森達也『職業欄はエスパー』に登場する人たちが嘘をついているとは思えない。
真実は何なんでしょう。

コメント (2)
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