三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

『職業欄はエスパー』と『トンデモ超能力入門』2

2012年10月11日 | 問題のある考え

森達也『職業欄はエスパー』は三人の超能力者に取材している。
ダウジングの堤裕司氏は「自分は超能力者ではない」と言う。
堤裕治氏によると、ダウジングとは地下の水脈や鉱脈を樹の枝で見つけるというだけのものではなく、ダウジングは技術なんだそうだ。
「すべての物質が持つ波動や固有のエネルギーなどの情報を潜在意識が感知して、それが腕の筋肉に伝わり、振り子の動きに増幅されるという理論だ。
つまり、地面の下の水脈や鉱脈が発散する波動を、自身の精神と肉体を媒介にして表出するわけだ」

「〝万物には固有の波動があり、人間の潜在意識はその波動を感知している〟という法則を前提とするダウジングの基本理念は、確かに感覚的にはある程度の説得性はある。しかしダウジングで的中できることは水脈や鉱脈の所在だけではない。人の感情や未来のことまで、基本的には答えられない質問はないと堤は断言する」

森達也氏がタバコの箱を隠したら、堤裕司氏は振り子でタバコがどこにあるかを当てた。

「巷に言い伝えられる霊現象というのも、僕は場に残された一種の意識エネルギーの現象であると考えます」
森達也氏はこう書く。
「ある程度の説得性はある。そして視点を少しずらせばこれ以上ないほどにオカルトだ」
そして、幽霊の出るというスポットをテレビ取材している途中に、森達也氏は体調を突然崩す。

びっくりしたのが、TBSのプロデューサー本間修二氏の話。
本間修二氏は1990年代前半、普通の子供たちが練習によってスプーン曲げや透視などの超能力を獲得する経緯を記録した番組をプロデュースした人。
中国の超能力者を取材した時、超能力の授業がある長春の小学校に行く。
「小さな紙に字を書いて、それを丸めて子供たちに握らせるのだけど、ほとんどの子供たちが握り拳を開かずにその字を当ててしまうんです」
それで、日本から6人の子供を中国に連れていって、その授業に参加させた。
「で、結果は?」
本間「驚きました。中国に行く前にも日本で実験したのだけど、まあ当然というかまったく的中しなかった。それが長春の小学校で、中国の子供たちがどんどん当てている状況に放りこんだら、まるでスイッチが入ってしまったみたいな感じで、みんなどんどん当たりだしたんだよね」

小学校4年生の高橋つくしちゃんの能力は群を抜いていた。
本間「途中から秋山さんも子供たちの合宿に参加してもらって、いろいろ実験をやったんです。密閉した瓶の中に何かを実在化してみようみたいな実験をやっていたら、秋山さんが手にしていた瓶の中に木の葉が現れましてね。間近で見ていたからあれは衝撃でしたね。
そのときはね、それを見ていたつくしちゃんがやっぱり同じように瓶の中に葉っぱを実在化してね。それもしっかり撮れたしね」

ところが、番組では放送しなかった。
本間「……どう言えばいいのかなあ、怖くなったんですよね」
以前、視聴者からのクレームがものすごくあった。
本間「その瓶の中の葉っぱが現れるというものすごい映像をオンエアしたとき、いったい何が起きるのだろうと考えた……怖くなったという感覚かなあ。うまく表現できないのだけど」
超能力のあるなし論争はこれで決着するはずなのに、と思うのは甘いのだろうか。

コメント (8)
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