三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

石川幹人『超心理学』

2012年10月21日 | 問題のある考え

石川幹人『超心理学 封印された超常現象の科学』に、皆神龍太郎氏との対談本『トンデモ超能力入門』が紹介され、「対談の最初のほうで、皆神がより否定論者のようにふるまい、私がより肯定論者のようにふるまっただけで、後半のほうはほとんど本心に近い」と石川幹人氏は書いている。

私の読んだ感じだと、石川幹人氏は『トンデモ超能力入門』では、超能力が実在することを自信なさそうに話していたが、『超心理学』では間違いない事実だと自信たっぷりで、否定論者のネガティブ・キャンペーンで超心理学の研究が妨げられると訴えている。

米国科学振興協会メンバーへの調査では、工学者の40%、生物学者の34%、医学者の28%、物理学者の18%、心理学者の5%がESPを信じている。

アメリカの一般の人は、49%がESPを信じ、25%が幽霊を信じている。
奇術師がインチキ能力者をあばいているので、奇術師は超能力の実在を信じていないのかと思ったら、カリフォルニアの奇術師の82%が、ドイツの奇術師の72%がESPを信じているそうだ。

石川幹人氏は中学生の時から奇術の魅力のとりことなった。

高校のころ、「(ユリ・)ゲラーに触発されて超能力が芽生えたという、ゲラーチルドレンと呼ばれる日本の子どもたちには会うことができた。幸運なことに、そうした子どもたちに対する実験に立ち会い、研究者の補助をさせてもらう多くの機会を得た。(略)
ほとんどが中学生だった素朴な彼らが、私の知らない奇術のトリックを弄しているとはとても思えなかった」

石川幹人氏はNHKドラマ「七瀬ふたたび」の科学監修を担当している。
能力者へのインタビューをTBSの本間修二プロデューサーに依頼し、佐藤くんと田中さん(仮名)を紹介してもらっている。
本間修二氏と親しいということは、密閉した瓶の中に木の葉が実在化した云々の話を疑っていないということなのだろうか。
佐藤くんと田中さんは、本間修二氏がプロデュースした「ギミアぶれいく」に出ていたのかもしれない。

佐藤くんは介護の仕事をしていて、「お年寄りの体の痛みや要望が手にとるようにわかる」と言う。
佐藤くんは「ふだんは心の声が聞こえないようにスイッチをオフにしておき、能力を発揮するときだけオンに切り替える」
オフにしないまま新幹線に乗ってしまったら、「座席に座っていた人々の想念が騒音のように心に反響してきたと言う。耳をふさいでも効果がなく、しばらく辛抱するしかなかったそうだ」
田中さんは心理カウンセラーである。
「ふつうの人の心は複雑でわかりにくいけど、来談する人々の心はわかりやすいのです」
佐藤くんと田中さんに協力してもらってテレパシー(透視?)の実験をしたら、さぞかし高い正答率をえられたと思うのですが。

むむむと思ったのが、「第10章 霊魂仮説について考える」である。
イアン・スティーヴンソンは世界中の生まれ変わり事例を調査し、信憑性の高い225例の調査報告書が出版されている。

スティーヴンソンが退けた超常的解釈
1,超心理発揮説
「子どもたちが超心理的能力を発揮し、「前世」に当たる死者の状況を透視したという解釈」
2,人格憑依説
「「肉体をもたない人格」という実体を認めて、それが肉体にとり憑いて支配する」

石川幹人氏は超心理発揮説の可能性を検討したいと言う。
ポルターガイスト現象は霊魂などの仕業ではなく、八歳ぐらいの心理的に不安な少女によるPKだという考えがある。
「超心理学では、該当の少女が「自分はこのような人間だ」という観念の成立に失敗し、PK発揮によって繰り返し不適当な自己主張をしていることが、現象の源だとみている」

生まれ変わりもポルターガイストと似ていると石川幹人氏は言う。

「子どもたちが「前世」を語りはじめるのは、二歳から五歳であり、ほとんど喋れるようになるのと同時に開始される。そして、五歳から八歳まで続くと、通常、ぱたりと語るのをやめてしまう」
八歳は自我を確立する時期であり、「自我確立の過程に超心理的能力の発揮が伴う」と仮説する。
「子どもはみな、さまざまな手がかりをもとに「自分らしい自我」を創造しようとする。しかし、より簡便な方法は、模範となる他者の人格を模倣することだ。
ここで私が提示する超心理発揮仮説は、この他者模倣を、ESPを駆使して過去の生者に対して行なっていると考える。つまり、自分にはこのような母斑がある、同位置に傷を負って死亡した過去の人がいる、その人の生活や人格を自分のものと考える、といった過程が無意識に、それも超心理的能力を伴って起こる。その結果、人格が生まれ変わったかのようにふるまうという解釈だ」

しかし、2~5歳の子どもが、自分には母斑があり、過去に死んだある人も同じ母斑があったのではと、無意識にせよ推測するものだろうか。
それと、臨死状態になった人が臨死体験することはさほど珍しくない。
臨死体験が死後の世界をかいま見た現象であり、生まれ変わりの証拠だとするなら、前世の記憶を持って生まれてくる人がそこそこいてもおかしくはないと思う。

菊池誠大阪大学教授と石川幹人氏が対談した際、石川氏は予感実験について解説をした。
菊池誠氏は「未来から情報がきているようですから、やはり相対性理論に抵触しますね」と発言したそうだ。
超能力が実在したら、物理学は根底から変わらざるを得なくなると思う。

(追記)
『トンデモ超能力入門』についてもお読み下さい。
http://blog.goo.ne.jp/a1214/s/%B3%A7%BF%C0%CE%B6%C2%C0%CF%BA%BB%E1%A4%CF

コメント (25)
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