三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

クエンティン・タランティーノ『イングロリアス・バスターズ』

2009年11月27日 | 映画
『イングロリアス・バスターズ』を途中退場した人は入場料を返すそうだが、そんな人がいるんだろうかというおもしろさ。
話がどう展開していくのか、さっぱり先が読めない。
いつもの長いおしゃべりも緊張感が高まる効果があるために退屈することはない。
また、巨大パイプを取り出すところ、クリームのアップといった、何気ない、しかし意味ありげなショットを入れるところがうまい。

だけど、うげげとなるシーンがちょこちょことあって、ちょっとなあと思う。
ここまでするか、ということを平気でするところがタランティーノらしいと言えばそうなのだが。
タランティーノは、アメリカ軍だってナチスみたいな残虐行為をしたんだ、戦争は人間をけだものに変えるとか、建物に閉じ込めた人を上から銃撃するのと同じことをイスラエル軍はガザ地区でやったんだというような、そんな社会的メッセージを訴える人ではない。
単にグロ好きなだけだと思う。
それだけに、こんなことをおもしろがるなんて、とイヤになってしまうわけです。

『イングロリアス・バスターズ』はタランティーノ作品としては最高の興収ということだが、アメリカの観客はどういう反応を示したのか知りたい。
ドイツ狙撃兵がアメリカ兵を次々と射殺する映画を見てナチの客たちが喝采したシーンのように、アメリカの観客も盛り上がったのだろうか。

それにしても、ユダヤ人がイタリア人のふりをしても見た目でばれるのではないか、そこらがいい加減だと思ったのだが、しかし若いころのカトリーヌ・ドヌーブを思わせる美人のメラニー・ロランにドイツ兵が一目惚れする。
彼女がユダヤ人だとは思いもしないのはナチの高官たちも同じ。
メラニー・ロランは実際にユダヤ系だそうで、ということは見た目でユダヤ人とかドイツ人とか、そう簡単にわかるわけではない、ということなのか。
人種差別といっても適当なところでやっているというわけです。
 
 日本に来るのは初めての新進女優メラニー・ロラン
 
 
 映画ではもっときれい。
コメント (2)
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