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三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

南京事件 4

2009年11月02日 | 戦争

8月6日に広島で行われた田母神俊雄氏の講演の日程変更を広島市長が要請したが、その要請は憲法の「集会の自由」を脅すものだとか、言論弾圧だのといった批判があった。
ところが、日本軍による南京虐殺を認める集会や展示などに保守派から圧力がかかることがある。
圧力があった例を笠原十九司『南京事件論争史』では以下のようにあげている。

1996年6月、長崎原爆資料館の「日中戦争と太平洋戦争」のコーナーの年表に「1937年12月南京占領、大虐殺事件おこる」と書かれ、その下に写真が掲示された。
これに対して「日本を守る県民会議」「長崎日の丸の会」さらに自民党長崎市議団などが、原爆資料館に南京大虐殺や七三一部隊など侵略、加害の展示をなぜしたのかと抗議し、写真削除を迫り、この問題を産経新聞が取りあげて報道した。

1998年、映画『南京1937』を上映中のスクリーンを右翼が切り裂く事件が発生、街宣車が妨害活動をしたので、中途で上映を打ち切らざるをえなくなった。
一般の映画館では上映が困難になり、全国の市民団体が公共施設で上映会を実施したが、各地で右翼が妨害活動を繰り広げ、柏市では市当局に会場を使わせないよう圧力をかけて妨害に成功している。

2002年、鹿児島県県議会は中国へ訪れる県立高校の修学旅行の訪問先から南京大虐殺記念館を除くよう求めた陳情書を採択した。

2004年、南京事件の場面を描いた『週刊少年ヤングジャンプ』に連載中の本宮ひろ志「国が燃える」に対し、右翼活動家が抗議をくり返し、集英社はマンガの削除・修正を約束した。
さらに地方議員グループの抗議、街宣車の威圧行動、メール、ファックス、電話などでさまざまな圧力が加えられ、「国が燃える」は一時休載し、編集部・本宮ひろ志連名で「お詫び」の文章を発表した。
産経新聞などメディアはこうした言論思想の弾圧をも抗議すべきではないかと思う。

李纓『靖国』に対し、反日映画だという批判が起こり、上映を中止した映画館があった。
しかし、水島総『南京の真実』の上映反対運動はあったのだろうか。

笠原十九司『南京事件』Ⅲ章の扉にある、「日本兵に拉致される江南地方の中国人女性たち」というキャプションをつけた写真は、実は「日本兵に守られて女性が野良仕事からへ帰る」写真だとの批判を受けた。
これに対し、笠原十九司氏はミスを認め、岩波書店は写真を差し替えるとともに、初版本の取り替えに応じた。
同じように写真誤用をした森村誠一『続・悪魔の飽食』は右翼からの批判、圧力で出版停止となっている。
しかし、
「拙著(笠原十九司『南京事件』)の場合は、さいわいなことに、岩波書店側が圧力、攻撃に屈せずにしっかりと対応し、出品一時停止と取り替えの処置をとって、出版停止にはいたらなかった」
プリンスホテルが日教組集会の会場使用を拒否したり、慰安婦問題を取りあげたNHKの番組が改竄されたりといったことがあるが、政治家の圧力や右翼の抗議に対してメディアや行政は過剰反応を示してしまいがちである。
ここらも産経新聞や「正論」などは問題にしてほしいと思う。

コメント (6)
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