三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

恨みと復讐の連鎖

2008年03月04日 | 戦争

シスター・プレジャンさんの講演録「宗教者と死刑廃止」に、こんなことが書いてあった。
ブッシュ大統領はテキサス州知事時代、152人の死刑執行に署名した。
そして、ブッシュ氏が大統領になり、9.11のあと、「彼らは我々を殺した。だから、彼らを探し出して、我々は彼らを殺す」と言ったそうだ。
つまり、復讐することを大統領が公言し、誓ったわけだ。

ピーター・バーグ『キングダム』という映画はテロと復讐がテーマである。
サウジアラビアで外国人居住区を狙った自爆テロが発生、FBI捜査官である主人公の友人も殺された。
主人公は首謀者をアルカイダの幹部と推定、現地捜査の許可を得て、最後には黒幕を殺す。

これだけなら、まあ、何ということもないハリウッド映画である。
ラストがひねってあることで、後味がまったく違ってくる。

映画の最初、友人が殺されて悲しむ同僚に主人公はあることをささやくのだが、それは「かならず復讐する」と誓ったことだと最後にわかる。
そしてそのシーンにかぶせるようにして、テロの黒幕は死ぬ間際に孫(12歳ぐらいか)に「かたきを討て」と言い残す。
FBI捜査官の怒り、つまりアメリカの正義がこのことによって相対化されているのである。
憎しみが暴力を生み出し、暴力が連鎖していくことを見事に表したラストだった。

コメント (21)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする