大雨がやんだと思ったら、突然の猛暑。
異常気象が通常気象になってしまった昨今である。
「最近はおかしなことが多い。雨がよく降るし、地震があちこちである。変な犯罪も増えている。これからどうなるのだろうか」と、よく耳にする。
しかし考えてみると、「異常気象」「地震」「犯罪」、それぞれ原因は別である。
それなのに、ひとつながりの現象として考える。
つまりは、未来に対する漠然とした不安感があって、あらゆるところに不吉な予兆を見てとるわけだ。
高度成長期には、地球はどうなるんだろうか、なんて不安を感じる人はあまりいなかったのではないか。
冷戦や公害などの諸問題はあっても、必ずや人類の英知によって解決すると信じていた。
21世紀は輝く未来だったのですよ。
地震は自然現象だが、被害が人為的に拡大することがある。
地球の温暖化は人為的な影響が大きく、温暖化による異常気象は事実。
治安に関しては、日本は治安がいいし、犯罪が特に増えているわけではない。
高度成長期のほうが犯罪は多かったし、昔だって親が子供を殺し、子供が親を殺すことはあった。
それなのに、体感治安は悪化している。
アンケートで、「農業では農薬を使っていることに不安を感じますか」という質問に、「はい」と答える人が多い。
「はい」か「いいえ」で答えるとしたら、「農薬は不安だ」と普通は答える。
だからといって、無農薬野菜を買うわけではない。
ガン検診を受ける人は30%ぐらい。
ガンが怖くない人はいないと思うが、とりあえず大丈夫だと多くの人は思っているのだろう。
治安が悪化しているという思い込みも、これと似ているかもしれない。
今は不安感が時代の雰囲気なのだろうか。
不安感の中では、「どうしてこんな目に」という被害者意識が生まれ、排他的になりやすい。
地球環境問題については私自身が加害者である。
地球が温暖化していることは実感していても、自家用車に乗らないとか、冷房の設定を高めにする人は少数派である。
先日、北極圏に生きる動物たちのキュメンタリー「ホワイト・プラネット」を見た。
冷房が効きすぎて寒いぐらいの映画館で、「今、この目でみる光景は数十年後、なくなっているかもしれない」というメッセージを読み、地球温暖化を心配するというのもいい加減な話ではある。