三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

不安な時代

2006年08月01日 | 日記

大雨がやんだと思ったら、突然の猛暑。
異常気象が通常気象になってしまった昨今である。

「最近はおかしなことが多い。雨がよく降るし、地震があちこちである。変な犯罪も増えている。これからどうなるのだろうか」と、よく耳にする。

しかし考えてみると、「異常気象」「地震」「犯罪」、それぞれ原因は別である。
それなのに、ひとつながりの現象として考える。
つまりは、未来に対する漠然とした不安感があって、あらゆるところに不吉な予兆を見てとるわけだ。

高度成長期には、地球はどうなるんだろうか、なんて不安を感じる人はあまりいなかったのではないか。

冷戦や公害などの諸問題はあっても、必ずや人類の英知によって解決すると信じていた。
21世紀は輝く未来だったのですよ。

地震は自然現象だが、被害が人為的に拡大することがある。

地球の温暖化は人為的な影響が大きく、温暖化による異常気象は事実。
治安に関しては、日本は治安がいいし、犯罪が特に増えているわけではない。
高度成長期のほうが犯罪は多かったし、昔だって親が子供を殺し、子供が親を殺すことはあった。
それなのに、体感治安は悪化している。

アンケートで、「農業では農薬を使っていることに不安を感じますか」という質問に、「はい」と答える人が多い。

「はい」か「いいえ」で答えるとしたら、「農薬は不安だ」と普通は答える。
だからといって、無農薬野菜を買うわけではない。

ガン検診を受ける人は30%ぐらい。
ガンが怖くない人はいないと思うが、とりあえず大丈夫だと多くの人は思っているのだろう。
治安が悪化しているという思い込みも、これと似ているかもしれない。

今は不安感が時代の雰囲気なのだろうか。
不安感の中では、「どうしてこんな目に」という被害者意識が生まれ、排他的になりやすい。
地球環境問題については私自身が加害者である。

地球が温暖化していることは実感していても、自家用車に乗らないとか、冷房の設定を高めにする人は少数派である。
先日、北極圏に生きる動物たちのキュメンタリー「ホワイト・プラネット」を見た。
冷房が効きすぎて寒いぐらいの映画館で、「今、この目でみる光景は数十年後、なくなっているかもしれない」というメッセージを読み、地球温暖化を心配するというのもいい加減な話ではある。

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2 コメント

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失礼いたします。 (tenjin95)
2006-08-02 20:19:13
> 管理人様



鈴木大拙が、平安時代末期の末法思想の流行も、思想的な仏教の衰退よりも、人民の不安な気持ちがなんとなく出たのではないか?と言っていました。



関連記事ですが、TBいたします。お時間のあるときにでもご来訪いただければ幸いです。
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確たる不安 ()
2006-08-03 13:47:55
いつもコメントありがとうございます。



>平安時代末期の末法思想の流行も、思想的な仏教の衰退よりも、人民の不安な気持ちがなんとなく出たのではないか



黒田俊雄の研究などから、旧仏教が思想的にも衰退していなかったということははっきりしていると思います。

また平安末期は天変地異、戦争、疫病などの現実があったわけですから、「なんとなく不安」じゃないですよね。

現代でも、オウムなどカルトに入信する人の多くは、地球環境問題や食品、健康といったことに不安を抱いている人です。

カルトはそこにつけこんで、不安感を作り上げ、あおり立てて信者を増やしているわけです。

末法思想も似た点があるかもしれませんね。

不安の原因は本当に考慮すべき問題なのかどうか、そこをきちんと吟味していかないと。
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