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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

育児休業復帰後の勤務

2015-11-29 23:28:23 | 産前産後・育児・介護休業

今年10月に最高裁が差戻ししたいわゆるマタハラ裁判ですが、広島高裁において11月17日判決が下り降格を適法とした一審・広島地裁判決を変更し、精神的苦痛による慰謝料も含めてほぼ請求通り約175万円の賠償を病院側に命じ女性が逆転勝訴したことは良く知られていると思います。

最高裁の判決がおりたことに伴い厚労省から通達も出ており、企業としては育休明けの社員への対応についてかなり気を遣う状況になっていることは否めません。育児休業復帰後の勤務については、非常に大変であるとは思うのですが、会社として腫れ物に触るような対応しかできないということになるとまわりの社員の思いもあり問題です。まず対応としては均等法や育介法で禁止されている不利益取り扱いがどのようなものかを正確に理解しておく必要があります。

◎不利益取扱いの例
・解雇
・雇止め
・契約更新回数の引き下げ
・退職や正社員を非正規社員とするような契約内容変更の強要
・降格
・減給
・賞与等における不利益な算定
・不利益な配置変更
・不利益な自宅待機命令
・昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行う
・仕事をさせない、もっぱら雑務をさせるなど就業環境を害する行為をする

◎不利益取扱いの例外等されている場合  ※実際にはより詳細な状況等を確認した上で違法性の判断を行います

①業務上の必要性が不利益取扱いの影響を上回る特段の事情がある
・経営状況の悪化が理由である場合:不利益取扱いをしなければ業務運営に支障が生じる状況にあった上で、不利益取扱いを回避する合理的な努力がなされ、人員選定が妥当である等
・本人の能力不足等が理由である場合:妊娠等の事由の発生前から能力不足等が問題とされており、不利益取扱いの内容・程度が能力不足等の状況と比較して妥当で、改善の機会を相当程度与えたが改善の見込みがない等

②本人が同意し、一般的労働者が同意する合理的理由が客観的に存在
・契機となった事由や取扱いによる有利な影響(労働者の求めに応じて業務量が軽減されるなど)があって、それが不利な影響を上回り、不利益取扱いによる影響について事業主から適切な説明があり、労働者が十分理解した上で応じるかどうかを決められた等

上記を念頭に置きながら社員の「妊娠・出産・育児」に対応していく必要があります。

以下分かりやすくリーフが作られています。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/270330-4.pdf

お世話になった人事責任者の方の定年退職パーティーにお招きいただきました。顧問契約を頂いてから時が経ち、最近はいずれはその日が来ることを視野に入れておられることはいつもご相談業務の中で感じていましたが、時の流れは本当に早かったです。仕事のお付き合いのあった各方面の方が集まり明るく次のステージへ送り出すための会で、人望のある方だったんだなあとしみじみ感じました。パーティーからの帰り道「幸せな仕事人生」という言葉が浮かびました。

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