OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

医師の労働時間について

2021-01-31 17:22:47 | 労働基準法

医師の労働時間については、「医師の働き方改革に関する検討会」でかなり細かなところまで検討され、平成31年3月29日に報告書が出ています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04273.html

その中には、働き方改革の議論を契機とした、今後目指していく医療提供の姿として、労働時間管理の適正化が必要。その際、宿日直許可基準における夜間に従事する業務の例示等の現代化、医師の研鑽の労働時間の取扱いについての考え方等を示す必要、があるとされています。

調べましたところによると、平成元年に医師の宿直・日直については通達が出ているようです。

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000526011.pdf

今のところ、上記平成元年の通達が生きており、宿直・日直の許可基準として、一般的な宿直・日直よりは[夜間に十分睡眠がとり得ること等が回数に代わるもの」として配慮されていますが、「通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること。」や「宿日直中に従事する業務は、一般の宿日直業務以外には、特殊の措置を必要としない軽度の又は短時間の業務に限ること。例えば、認められるのは次に掲げる業務等をいい、通常の勤務時間と同態様の業務は含まれないこととされています。

・ 医師が、少数の要注意患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等(軽度の処置を含む。以下同じ。)や看護師等に対する指示、確認を行うこと

・医師が、外来患者の来院が通常想定されない休日・夜間(例えば非輪番日であるなど)において、少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等や、看護師等に対する指示、確認を行うこと  ・・・など

さらに、稀にある場合は仕方がないが、通常の勤務時間と同態様の業務に従事することが常態であると判断されるものについては、宿日直の許可を与えることはできない、とされています。

「医師の働き方改革に関する検討会」の報告書の中で、とりわけ医師については、医療法で宿直が義務付けられている等の事情があるが、医師等の当直のうち、労基法、の監視断続労働の許可については、現状を踏まえて実効あるものとする必要がある。具体的には、当該許可基準における夜間に従事する業務の例示等について、現代の医療現場の実態と宿日直許可の趣旨を踏まえて現代化する必要がある、とされており、2024 年4月からの改正労働基準法に基づく新たな時間外労働に対する規制の適用までに、通達がどのように示されるのか待たれるところです。

ベランダの花たちは、コロナ下でも結構元気で、シクラメンが今頃になり沢山つぼみを付けてもうすぐかなり綺麗に咲いてくれそうですし、クリスマスローズも元気な芽が出てきて春が待たれます。今はビオラを買ってきて楽しんでいます。こんな時ですから、とにかく家で楽しまないとね。

1年前くらいにスマホのアプリ(PictureThis)をダウンロードし、そのカメラで草花を写すと何の花や木かすぐ答えがわかるという便利なものがあり、愛用しています。この頃この鉢は元気がない、葉の色も変だということで写すと、かかっている病気などもわかります。長年ベランダに直接置いてあった植物を高めのスタンドに乗せるようにしたところなぜか最近葉の色が悪くなり、どうしたのかと写してみたところ、水やり不足とのこと。置いてあるときは下にたまっているくらいの水が、スタンドに乗せたため水が排水してしまい不足したと思われます。このアプリは本当に助かっています。


2025年問題を見据えた医療保険制度改正について

2021-01-24 22:10:37 | 社会保障

2025年問題とは、団塊の世代が2025年ごろまでに75歳以上の後期高齢者となり、医療費など社会保障費の急増が懸念される問題のことをいいます。後期高齢者の窓口負担の在り方などの給付と負担の見直しが議論の中心となった社会保障審議会医療保険部会ですが、令和2年12月23日付で「議論の整理」が取りまとめられています。

後期高齢者の窓口負担割合の見直しの他、傷病手当金の見直し、不妊治療の保険適用に向けた検討、任意継続被保険者制度の見直し、育児休業中の社会保険料免除の見直しなど実務に直結する内容が含まれています。

育児休業中の社会保険料については、被保険者の経済的負担に配慮して、免除される仕組みが設けられており、免除期間については、育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間とされています。部会では以下のような議論がなされました。

当部会においては、育児休業の取得促進や公平性の是正、事務負担の軽減といった観点から、現行制度を含め以下の課題について議論した。
① 新たな仕組みについて保険料免除の対象とすることの是非
② 月末時点で育児休業を取得している場合に当月の保険料が免除される一方、月途中に短期間の育児休業を取得した場合には、保険料が免除されないこと
③ 賞与保険料については、実際の賞与の支払に応じて保険料が賦課されているにも関わらず、免除されており、賞与月に育休の取得が多いといった偏りが生じている可能性があること

これらの課題について以下の通り意見が取りまとめられました。

現行制度及び新たな仕組みに関し、以下の措置を講じるべきである。
・ ②月途中に短期間の育児休業を取得した場合に保険料が免除されないことへの対応として、育休開始日の属する月については、その月の末日が育休期間中である場合に加えて、その月中に2週間以上の育休を取得した場合にも保険料を免除すること。なお、その際には、同月内に取得した育児休業及び新たな仕組みによる休業等は通算して育休期間の算定に含めること
・ ③賞与保険料が免除されることを要因として、賞与月に育休の取得が多いといった偏りが生じている可能性があることへの対応として、育休が短期間であるほど、賞与保険料の免除を目的として育休取得月を選択する誘因が働きやすいため、連続して1ヶ月超の育休取得者に限り、賞与保険料の免除対象とすること

これまでも現場では育児休業を月末1日だけ取得することや賞与月にやはり1日だけ取得することで、その月の保険料免除を受けることについては納得がいっていなかったのですが、賞与月については連続1か月超の育休取得者に限られることで本来の趣旨である形で育休対象者への免除が行われることになりそうです。これに対して、月末1日のみの育休については「その月の末日が育休期間中である場合に加えて」とあるように残ることになりそうで、まだ審議会のとりまとめ段階ではありますが、若干心残りです。

社会保障審議会医療保険部会資料等 (mhlw.go.jp)

年に2回行っているOURSセミナ―ですが、今年の冬も2月26日(金)に予定しています。今回のOURSセミナーから少しリニューアルをして、まず私が1時間法改正全体をお話しして、その後1時間は事務所メンバーが旬のテーマをいくつか深堀りしてお話しするという企画になります。今週末は、その土台となる2月13日(土)にウェビナーで行うBBクラブの勉強会(これは私一人で2時間法改正のお話しします)のレジュメづくりにいそしんだのですが、コロナに気を取られている中でも、次の法改正や政府の施策は着々予定されていると感じました。今週末は緊急事態宣言中である上に、雪が降るかもしれないということで外に出たくなるような雰囲気ではなく集中して色々と処理することができたのはよかったです。


改訂版 副業・兼業の促進に関するガイドライン(管理モデルについて)

2021-01-17 14:24:49 | 労働基準法

先週に引き続き「改定版 副業・兼業の促進に関するガイドライン」の中で「管理モデル」について触れてみたいと思います。

管理モデルの考え方として、簡単に言ってしまえばあらかじめそれぞれの会社で働く時間(所定労働時間と時間外労働時間数)とを定めておくことで、その時間数の範囲内で働く分には他社における実際の労働時間を把握する必要がなくなる、ということです。

またその場合に各々の使用者の事業場における法定外労働時間の労働について、割増賃金を支払うことになります。

この管理モデルのポイントとしては、副業・兼業の『開始前』に労働契約を締結した使用者と『後から』労働契約を締結した使用者と明確にしているところだと考えます。

というのも、管理モデルの実施の導入手順には、副業・兼業を行おうとする労働者に対して「開始前」に契約していた『使用者A』が、管理モデルにより副業・兼業を行うことを求め、労働者及び労働者を通じて「後から」契約した『使用者B』がこれに応じることにより導入されることが想定されるとあるからです。

この場合の労働時間の上限設定は、当然時間外労働の上限である単月100時間未満、2から6か月平均月80時間以内の範囲内である必要があります。例えば、『使用者A』の所定労働時間が1日7時間で月140時間、所定外時間外労働が20時間、法定外労働時間が10時間で月に170時間を上限として設定するとして、『使用者B』は1日1時間で月20時間、所定外労働時間10時間の範囲内で働くとします。その場合『使用者A』の法定外時間外労働の10時間と『使用者B』の所定1時間×20日=20時間と所定外10時間を合計し40時間となり時間外労働の限度の月80時間の範囲内で働いてもらう、ということになります。

上記の場合、割増賃金の支払いは、『使用者A』は法定外労働時間の10時間分の支払い義務を負い、『使用者B』はすべて時間外労働になるため30時間分の支払い義務を負うことになります。

副業を開始する前から契約している使用者は、副業・兼業を会社で認めることとする場合に、この管理モデルを使うかどうかは検討されると良いと思います。管理モデルを使えば他社における労働時間の把握は不要となり時間管理は簡単になりますが、後から契約をする副業先においてはコスト増になることは考えられます。管理モデルによる方法に限り副業・兼業を認めるとすることも考えられるということです。

とにかく自粛していると一番の悩みは足腰が弱るということです。時間があればPCの前で何か読んだり仕事をしたり、買いたいものを検索したりと座っている時間が長くなるので、できるだけ特に週末は散歩に行くようにしています。昨日も高級なスーパーまで通常は歩かない距離を歩き、帰りは荷物がかなり重くなったのでバスに乗ることにしたのですが、バス停の前の建物内に簡単なカフェが併設されたかなり大きな本屋さんが2階にあるということを見つけました。やはり歩いてみると思いがけない発見がありますね。

本当は平日も、できるだけ事務所まで歩く距離を長くとりたいところなのですが、なかなか時間と体力の関係でそれができないでいます。仕事の量を見直して今年は生活改善をしたいですね。


改訂版 副業・兼業の促進に関するガイドライン(労働時間の通算について)

2021-01-11 14:05:59 | 労働基準法

今年初めてのブログです。今年もよろしくお願いします。

コロナ感染が驚くほど拡大してきて、とうとう2度目の緊急事態宣言に入ったこともあり、この3連休は自宅で自粛をして比較的ゆっくりとした時間を過ごすことができましたが、明日からも在宅勤務をとりあえず5、6割にしようということになっているので、ここで目を通すことがなかなかできなかった資料等をじっくり読みこんでみるつもりです。その中で気になっていた「改訂版 副業・兼業の促進に関するガイドライン」について取り上げてみたいと思います。

改訂版のガイドラインでは、従来からの考え方である「事業場を異にする場合には労働時間を通算する」ということに加えて、フリーランスの場合など通算されない場合が示されています。また休憩、休日、年次有給休暇については、通算されないということも示されています。特に休日についてはこれまで見解が分かれていたということですので、その点明確になったということで留意しておく必要があります。

労働時間の通算の考え方はなかなか難しいですが、Q&Aを合わせて見てみると理解できます。考え方として副業・兼業の開始前と開始後に整理されています。

①副業・兼業の開始前(確認しておくこと)

自社の所定労働時間と副業等の所定労働時間を通算して、自社の法定労働時間を超える部分の有無を確認します。➡自社の所定労働時間と副業先の所定労働時間を通算して自社の法定労働時間を超える部分がある場合には、時間的に後から契約した使用者における時間外労働となる。

これについてはQ&AのPの2に事例が載っています。簡単に言うと、甲の所定労働時間が8時間(法定労働時間を超える時間は無し)、後から契約した乙の所定労働時間が5時間という場合、甲が所定労働時間のみ労働させたという場合は、乙(時間的に後から契約した使用者)の所定労働時間5時間はすべて法定時間外労働になるということです。

②副業・兼業の開始後

所定労働時間の通算に加えて自社の所定外労働時間と副業先の所定外労働時間を行われる順に通算して自社における法定労働時間を超える部分の有無を確認します(自社の所定外労働がない場合は所定外労働の通算は不要)。➡自社において法定労働時間を超える部分がある場合、超える部分が時間外労働となる。

1.Q&AのP4には次のような事例になっています。甲の所定労働時間が4時間で実際の労働時間が5時間、乙の所定労働時間が4時間で実際の労働時間も4時間という場合、甲及び乙の所定労働時間の通算は8時間と法定労働時間内ですが、甲及び乙の通算の労働時間は5時間と4時間で9時間で法定労働時間を超えます。その場合、所定労働時間を超えて労働させた甲が1時間分の割増賃金の支払い義務を負うことになります。

2.またP5には次のような事例ものっています。甲の所定労働時間が3時間で実際の労働時間が5時間、乙の所定労働時間が3時間で実際の労働時間が4時間という場合、甲及び乙の所定労働時間の通算は6時間と法定労働時間内であり、甲の労働時間も法定労働時間内ですが、甲及び乙の通算の労働時間は5時間と4時間で9時間です。その場合、所定労働時間を超えて労働させた乙が1時間が時間外労働になり乙が割増賃金の支払い義務を負うことになります。

要するにもともと新たに契約した際に既に時間外になる場合は新たに契約した使用者の時間外となり、通算して法定労働時間内に収まっている契約である場合に、通算して法定労働時間を超えた場合については、所定労働時間を超えた時間労働させた使用者の時間外となる、ということなのだと思います。

なかなか難しいですね。これに加えて36協定の時間外労働の制限により1か月100時間、6か月平均80時間の範囲内の定められた時間数に納めなければなりません。コロナウイルス感染拡大であまり注目されず、労働時間についてもちついていますが、実際の運用になった場合かなり混乱しそうで心配です。

●副業・兼業の促進に関するガイドライン

0000192844.pdf (mhlw.go.jp)

●「副業・兼業の促進に関するガイドライン」 Q&A

0000193040.pdf (mhlw.go.jp)

ガイドラインには「管理モデル」という簡便な労働時間管理の方法が載っているのですが、これはまたよく消化したうえで来週のブログで取り上げたいと思います。

私の場合、在宅勤務の良いところは、食事の時間が比較的早めになる事かなと感じています。通常事務所にいると粘りに粘って20時ころにやっと(あきらめて)片付けて帰宅の途につくということになりますが、在宅ですと遅くとも19時台には夕食を食べる感じになります。それほど凝ったものは作れませんが、帰宅時につい寄ってしまうスーパーについても、買い物に行く回数は抑えられている感じです。ただ1回の買い物で要領よく必要なものを購入できるか、一人勝負をしています。

早くコロナが収まって、桜のころには花見が楽しめると良いですね。今年も頑張っていきましょう。