OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

2か月超雇用見込の健康保険等適用へ

2022-06-26 21:53:46 | 社会保険

10月から健康保険等の雇用期間2か月以内の場合における取り扱いが変更になります。
現在、500人超の「特定適用事業所」における健康保険・厚生年金保険の短時間労働者の被保険者としての適用要件は以下の通りです。
 ・1週の所定労働時間が20時間以上であること
 ・雇用期間が「1年以上」見込まれること
 ・賃金の月額が88,000円以上であること
 ・学生でないこと

10月からは、特定適用事業所が500人超から100人超に変更になるため、かなりの企業でパート・アルバイト社員が社会保険の適用条件に該当することになると推察されます。さらに、上記雇用期間「1年以上見込み」が廃止となり、「2か月超の雇用見込み」になることも注意が必要です。

この2か月超の雇用見込は、適用拡大だけでなく雇用期間が2か月以内の場合における取り扱いの変更につながります。現在は、契約更新する場合がある旨の条項がある場合でも当初の雇用期間が2か月以内の有期契約の場合の2か月間は社会保険の適用除外とされており、2か月後更新時から資格を取得すればよいこととされています。

令和4年10月以降は、契約更新する場合がある旨の条項がある場合で、以下に該当すれば当初から社会保険の資格取得をすることになります。
①就業規則・雇用契約書等で「更新される」「更新される場合がある」が記載されている場合
②同一事業所において、同様の雇用契約に基づき雇用されている者が、更新等により最初の雇用契約の期間を超えて雇用された実績がある場合

※ただし、①②のいずれかに該当するときであっても、労使双方により、2か月を超えて雇用しないことについて合意しているときは、定めた期間を超えて使用されることが見込まれないこととして取り扱います。 

令和元年10月30日に行われた、第13回社会保障審議会年金部会の中でも、厚生労働省から上記提案がされており、雇用保険法においても雇用の実態からみて一定の期間を超えると見込まれる場合には最初から適用するという扱いにしており、法律を変えたらどうかという提案がされています。さらにその際の資料には具体的な事務の取扱いイメージとして以下の記載があります。
●事業所調査において、労働者名簿等に基づき適用されていない従業員等の雇用契約書等を確認し、上記要件①②のいずれかに該当することが事後的に判明した場合は、契約当初(保険料徴収の時効を踏まえて2年以内とする。)に遡及して適用するよう指導する取扱いにする。

また、適用拡大のQ&A問37には、雇用時に2か月を超える見込みであったため資格取得したところが、結果2か月未満(2か月以内のことか?)であった場合でも被保険者資格取得を取り消すことはできないとされています。

・適用拡大Q&A
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.files/QA0410.pdf

・厚生年金保険・健康保険の被保険者資格の勤務期間要件の取扱いが変更になります
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2022/0613.files/kinmukikan_ri-huretto.pdf

調べたところ雇用保険法の被保険者資格取得要件は現在「31日以上の雇用見込みがあること」ですが、平成22年4月1日改正施行前は「6か月以上」の雇用見込み、さらに平成21年3月30日以前は「1年以上」雇用見込みです。考え方としては更新状況や事業所の同様の雇用契約の過去の実績により「雇用見込」を判断することとされており、今回の社会保険の改正と同様の考え方をしています。

急に暑くなりましたね。昨日所要で外出した際あまりに暑かったので、今日は家で冷房の中kindleで本を読んだりお昼寝をしたりして久しぶりにのんびり過ごしました。お水をたくさん飲んで熱中症にならないように注意したいと思います。


士業への健康保険法適用拡大

2022-06-19 21:30:15 | 社会保険

10月1日から士業が健康保険及び厚生年金保険の適用業種になります。そもそも健康保険等がどのような適用関係にあるかというと以下の通り整理されます。
【強制適用】
 ・法人事業
 ・個人事業「16の適用業種」のうち常時5人以上を使用する事業所
【任意包括適用】
 ・個人事業「16の適用業種」のうち常時5人未満を使用する事業所
 ・個人事業「非適用業種」・・・・・人数にかかわりなく非適用業種とされる全ての事業所が任意(包括)適用となります。

今回の改正により、弁護士、司法書士、社会保険労務士等の法律・会計事務を取り扱う士業(以下⑤の士業)が適用業種に追加されることになります。これは2018年4月以降の社会保障審議会年金部会において社会保険の適用拡大の検討の中で議論されており、「非適用業種は、昭和28年に設定されたものであり、これを引き続き⾮適⽤と考えるのかどうか、徹底的に議論し直す必要がある。」とあり関係団体へのヒアリングなども実施されています。団体の見解として全国社会保険労務士会連合会は、「(社労士事務所は)基本的には個人事務所・・・・現状、5人以上の職員を雇っている社労士事務所は任意包括適用されていると思われる。」「社会保険労務士会としては、個人事業所で5人以上であれば強制加入になったほうが、そこで働く人にとってもよろしいのではないかと思っている。」「社労士事務所として5人以上の職員が働いているところは、社会保険の負担について収入的にも安定しているので、問題はないと思う。」という回答をしています。
2019年9月20日厚生労働省保険局・年金局の参考資料P122非適用業種における個人事業所の規模を見ると、専門料理店や酒場・ビアホール、バー・キャバレー・ナイトクラブと同程度ではあるのですが、専門サービス業の中で5人以上の規模の割合は「士業」が高く、その社会的役割からみても適用業種とするのは妥当であると考えます。
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000549771.pdf

現行の非適用業種は昭和25年9月22日保文発2414号に以下の通り定められています。
①農林業、水産業、畜産業等の第一次産業の事業
②理髪店、美容店、エステティックサロン等の理容・美容の事業
③映画の製作又は映写、演劇、その他興行の事業 
④旅館、料理店、飲食店等の接客娯楽の事業
⑤弁護士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、公証人、海事代理士
⑥神社、寺院、教会等の宗教の事業

適用事業所については健康保険法第3条3項に物の製造の他16の業種が定められています。

なお、適用業種となった場合であっても、個人事業主は健康保険等被保険者にはなることはできないので注意が必要です。

連合会がヒアリングで答えている通り、小磯事務所も個人事務所時代は早い段階から任意包括適用をしていました。労働保険の場合、暫定任意適用事業の事業主であっても、労働者の2分の1以上が加入を希望するときは、任意加入の申請を行わなければならないのですが、社会保険の場合は希望があっても任意適用する必要はありません。ただスタッフも社労士業務に精通していますから加入のメリットはよくわかっているので任意適用はせざるを得ないわけです。その場合も個人事業主である私は加入できないのは不満でした。そういう意味では今回適用業種に加わることで、個人事業の社労士事務所は法人化を考えるところは増えるかもしれません(その場合法人ですから事業主含め強制適用となります)。

今日は3年ぶりに大学の体育会テニス部の友人たちとランチしました。コロナ感染が始まったころ集まる予定だったのですがそれが流れてからこの間、それぞれに色々と変化はありましたが特に大きな病気もせず皆元気に過ごしてこられたことに感謝したいと思います。

グルメの友人の希望で代々木上原の知る人ぞ知るお店に行ったのですが、代々木上原と言えば以前隣駅に住んでいたこともあり、ある程度土地勘はあると思っていたところが、結構改札を出たところからだいぶ変わっており、以前あったコーヒー屋さんは閉まっており、お店のある道もところどころの記憶しかなく、あれからずいぶん時間が経ったのだなと実感ました。とにかく店をはしごして4時間、3年分しゃべり倒して満足しました。


社労士開業当初はすべてが先生

2022-06-12 23:32:09 | 開業記

開業や勤務社労士として登録して日の浅い方が参加する山の手メンター塾や、BBクラブOBで開業することになったというご報告で、開業当初を振り返ることは比較的多くあります。今年で開業30年目に入ったということで、最近は参加者の中で私が開業暦としては一番古いという場面も多くあり、昔の話をしても仕方がないことと、参考になるのではないかということと、考えて話をしないといけないと心していますが、開業当初どのようなことが勉強になったかお話ししたいと思います。

開業当初どのように知識・経験を得ていくかということは、今のようにネットで情報がすべて入手できるわけではなく、また顧問先の当てもなくひとりひっそりと自宅で開業したので、知識と経験を得る方法は本当に限られていたと思います。どのようなことをして知識・経験を重ねたかというと、周りのすべてが先生だったなと思います。

まずこれは今も新しいテーマで講演の依頼やご相談を受けたときは、とにかく2、3冊書籍を購入して勉強します。開業当初も同様で、細々と入る収入は大方書籍購入に充てていたといっても良いと思います。ネットで入手できる情報もありますが、全体からの俯瞰や正確性、信頼性、本当に細かい部分を確認するにはやはり書籍ということになります。ですから事務所の本箱は今や隅っこにありますがかなりの量の書籍があります。

年度更新や算定は行政協力で経験を積みました。特に年度更新はたった1件だけ申告書を書いただけで、監督署の受付をさせてもらいました。そこで実務上の基本的な考え方や変則的な場合の扱いを教えて頂いてその後毎年20年間続けて表彰も受けました(今のように臨時指導員向け研修はなく、おそらく私のような新米が来るので支部開催の研修の必要性があり要請があったのかもしれませんが、その後その研修で講師もしました)。建設業の年度更新なども行政協力で持ち込まれた書類から記載方法などを勉強したといってよいと思います。初年度隣に座って頂いた監督署の女性の課長さんは今もお名前も覚えていますが本当に感謝しています。

開業当初から5年ほどTACの採点チームでアルバイトをしていたのですが、その時の5,6人のメンバーが皆同じように開業したての仲間でその仲間との情報交換が貴重な時間でした。その後講師になっても3年ほどは続けていたと思います。あとから考えると合格したとはいえあの頃は知らないことが本当に多かったと同じく講師になった仲間と話したりしましたが、週1回の採点のアルバイトは本当に助かりました。採点する問題について質問しあったことも勉強になりました。社労士事務所での勤務経験者がいて「そんなことも知らないでよく社労士と言えるな~」と言われてズキンと来たりもしましたが、皆でわからないなりに相談しあえるのは本当に心強く勉強になりました。何らかのきっかけを見つけてそういう勉強会を作ってみるのは良いことと思います。

顧問先から確認してもらいたいというご依頼も、勉強になります。これも今でもそうですが、顧問先からの依頼があれば初めての書類でも調べながら確認していくのですが、これは本当に勉強になります。報酬を頂きながら勉強できるのは本当に有り難いです。36協定も厚生労働省から出ているモデルしか見たことがなかったのですが、顧問先から確認依頼を受けて初めて実際提出する現物を確認する機会を得ました。厚生労働省のモデルと違うところを監督署に確認して目から鱗だったこともあります。当時はそこまでできていませんでしたが、今はやはり法律上条文や通達などの根拠もできるだけ当たって自分自身が納得するようにしています。

あとは、先輩社労士の存在です。開業したばかりのころは先輩に気軽に質問はできないのですが、どうしてもというときは先輩社労士に電話をしたり支部の事業で集まったときに勇気を出して相談していました。支部の役員になったのも楽しかったからということもありますが、情報を得ることができるのも魅力でした。社労士の先輩は皆さん優しくて、困ったときの行政への質問の仕方、手続きの方法など実務的なこと、事務所運営のこと(法人化の時も決算をどの時期にすべきか)などある程度経験してからも沢山相談に乗ってもらいました。その経験があったので支部長になったときに「山手メンター塾」を創設することにしました。

開業当初や勤務社労士で実務をしていなくても、自分なりのテーマを決めて勉強するのが良いと思います。できればそのテーマで本を書いたりセミナーをできるとより良いと思います。色々なところに売り込んでも良いのです。自分の勉強にもなりますし、〇〇に強いということで認知されることは士業にとっては大事なことですので。

最近本当に人出も増え、食事会や懇親会もぼちぼち行われるようになり、いよいよwithコロナの時代になったことを実感します。オミクロン株の感染が急増した頃に比べると今は落ち着いているのでそれほど心配はないのかもしれませんが、マスクを取る気にはならないですね。それでも夏のように暑い日はマスクがつらいなとちょっと感じる日はあるのですが。

最近スターバックスの季節のフラペチーノに凝っていて夜の予定がない時は必ず仕事帰りに一人で寄っています。私はお酒を飲まないので、仕事が終わったときの一杯ということにしています。5月はバナナナバナナフラペチーノ、6月はメロンフラペチーノですが、仕事が終わってからだとやはり時間が遅いのでsold-outのシールが・・・。しかし、我が家の駅にテイクアウト専門のスタバがありそちらだと何とか購入できることがあるのです。それでもない時は抹茶フラペチーノにしています。


人口減少問題について

2022-06-06 00:00:26 | 雑感

4月の中旬に総務省が、昨年10月1日現在の総人口(外国人を含む)が前年比64万4000人減ということで1億2550万2000人となったと発表しました。東京都の人口も26年ぶりにマイナスとなったそうです。東京都の人口が減ったのはテレワークが当たり前になり、地方への転出が増えたのも一因と言われていますし、コロナのため外国人の入国がなかったということも要因のようです。

また大きな要因は死亡数が出生数を上回っており、60万9000人が自然減とのことです。最近「日本はいずれ消滅する」とイーロン・マスク氏がTwitterで予言したという話もありましたが、当の日本人の中ではあまりその話が出ることもなく危機感もないような気がしています。しかし、この期に及んでは日本人は真剣に人口減少について考える必要があると思っています。いつぞや若い世代が「別に人口が増える必要はなく、減少してよい。先進国である必要もないし」ということを話しているのを聴きましたが、それは今のような豊かな生活ができるうえでの人口減少のイメージではないかと思います。

人口減少によってどのような国の形になるかというと、まず労働力の減少や国内消費が小さくなり国の経済が縮み、海外からの投資先としての魅力もなくなり、全てにおいて今の豊かな日本のイメージから変化していき貧しい国になってしまうと思うのです。年金制度は今後どのように仕組みを変えていくかにもよりますが、今の世代間扶養の仕組みであれば支え手が減少し、当然保険料負担は増え、しかし年金受給額は減少、ということになる可能性が高いと思います。高度経済成長期の活気を知っている私としてはそのようなイメージの日本を思うと暗澹とした、残念な気持ちになります。

年金にかかる第3号被保険者の制度は、これまで女性の就労を制限するため廃止が良いのではないか、と考えてきましたが、男女限らず第3号被保険者の制度を活用し、子育て期はもっと思い切って男性も女性も「数年単位の育児休業」を選択できるようにすることも良いのではないかと最近は考えてみたりしています。自分自身は子育て期10年専業主婦だったことを考えると、今となってはひどく昔の話であり変化のスピードがあまりに早い今と比較することはできないとも考えますが、社会復帰後はしばらくの間は要領がとにかく悪く作業も遅く焦る等はありましたが、すぐに仕事に慣れていったと思います。むしろ仕事ができる嬉しさが大きく、また考え方も安定して仕事に大きく良い影響が表れたように思います。小さな子がいる日々はなかなか仕事のことだけを考えることができないですし、育児だけでなく家事のことも気にしながら良い仕事をするにはそれなりの覚悟も必要です。しかし、家庭全般をしっかりマネジメントしてくれる役割の配偶者がいるのであれば、仕事への集中度はだいぶ違うような気がします。1年、1年半と刻むのではなく、赤ちゃんから小学校に入学するまでの期間、思い切って父母で少なくとも数年交代で役割分担をできるという選択肢があっても良いように思います。

ちょうどSDGsの話をセミナーの中でして欲しいというご依頼を受けたので、少し念頭に置いて人口減少問題と関連させて考えてみたいと思っています。SDGsの17の目標の中で、特に社労士にも関連のある「8 働きがいも経済成長も」の中で考えてみたいと思います。

【持続可能な開発目標】8 働きがいも経済成長も
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセントワーク)を促進する。

週末は、1月に息子のところに生まれた赤ちゃんを、高齢の母に見せに行くことができました。父が50代半ばで亡くなったため、私は自分の子供を父に見せることがギリギリできなかったのですが、母はその後長生きをしてくれたのでひ孫をみせることができました。これで少しは親孝行ができたかなと思っています。