OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

労使協定方式(派遣法30条の4)の書き方

2021-03-28 21:17:02 | 労働法

昨年の今頃何をしていたかと思いだすと、同一労働同一賃金に係る大企業の検討の打合せと、労使協定方式を選択した派遣業の会社の労使協定を作成するお手伝いをしていました。今年は中小企業が4月1日の施行に向けて正規と非正規の労働条件の相違を検討すべきなのですが、やはり大企業より出足は遅いようです。心配になりましたので顧問先向けに自社で作成できるような検討表を作ってお送りしました。今後どのようなご相談があるか、大企業とどのような違いがあるか少し期待があります。

ところでもう一方の労働者派遣に係る労使協定方式ですが、こちらは昨年まさに手探りで労使協定を作成しました。今年になって同一労働同一賃金の労働局の調査が入った会社もあり、そのご相談に乗る中でなるほどと思うことがありました。また労使協定方式で使う賃金水準などは令和3年度適用分が厚生労働省のホームページに載っています。

派遣労働者の同一労働同一賃金について (mhlw.go.jp)

この労使協定の内容としては、労使協定等のイメージがPDF版とWord版がスクロールしていくと掲載されています。こちらに沿って、基本給+賞与+手当、通勤手当、退職手当について、局長通知とそれぞれ比較していくのですが、それぞれ比較する局長通知の「一般基本給・賞与等(地域指数を乗じた額)」、「一般通勤手当」又は「一般退職金」と自社のそれぞれの額を両方記載(比較)した労使協定を作ることが必要になります。

この中で退職金については、局長通知の一般退職金と比較する3つの方法があります。簡単に言うと以下の通りです。いずれかが一般退職金の水準以上の額支払われる必要があります。

①自社の退職金制度に基づく退職金額を比較する方法

②退職金前払いとして月々の月例賃金に上乗せする方法

③中退共や確定拠出年金等に加入する方法

もし派遣労働者には退職金制度がないという場合であっても、「基本給・賞与・通勤手当と一般退職金の額(基本給・賞与等の6%)」を合計して「一般退職金・賞与等+一般通勤手当(令和3年度74円)+一般退職金」の額を上回っていれば問題なく、上記3つの方法をとらなくてもよいということです(要するに一般退職金の額が基本給等に含まれていればよいということで、前払いと同じ効果があるということか)。

先週は3日連続の大仕事が終わり、週末に昨年はコロナ禍でいけなかった実家と小磯家のお墓参りに行ってきました。両方とも湘南方面にあるので早めに出て途中で海を眺めながらパンケーキを食べてなどと楽しみに出発したのですが、とにかく湘南の人出はかなりのものでとても車から降りるどころでなく、パンケーキは断念。きれいに2つのお墓を清めた後ゆっくり昼食でもと思ったのですが、やはり緊急事態宣言が明けたばかりだからか今度はなかなか良いお店が見つからず、結局コメダ珈琲でシロノワールを食べ、生シラスとかまぼこのお土産を買って帰った次第となりました。ここにきてまた感染者数が増えているようなので気を付けたいですね。


フィンランドのワークライフバランスについて

2021-03-20 21:38:06 | 雑感

「フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか」(ポプラ新書)」を読んでみて、なかなか興味深いことに気が付きました。フィンランドは本当に昔から食器や家具など大好きであこがれていたのですが、一昨年旅行をしてますます好きになりました。そのフィンランド人が4時に仕事を終わっているらしいということで、何か特別のことがあるのか知りたくなりました。

フィンランドでは、朝8時から働き始めて16時半を過ぎると会社に人がいなくなる、16時過ぎのミーティングは嫌がられる、これは企業レベルの努力というよりは、国や社会全体の常識といった方が良いということです。皆が一斉に会社に来て一斉に帰るというより、一人ひとりが自分のライフスタイルに合った働き方を見つけて多様な働き方をすることで最も生産性が高くなる場所と時間に行うというように変わってきたようです。フィンランドも驚かされるスピードで働き方がより柔軟に変わっていると著者も感じているということです。これは日本と同じだと感じます。

休憩時間は、インストラクターの声に合わせて自由参加でストレッチを行い、雇用者が労働者に保証しなければならない法律上の決まりで10分から15分のコーヒー休憩がありここでリラックスしてコミュニケーションやリフレッシュをする、歓迎会もコーヒーとケーキで行い飲みにケーションは少ないがレクリエーションデイで自然の中の散策などを社員旅行のようなことは行うそれからフィンランドの名物であるサウナで会議や接待を行う、会社をはじめとした組織はオープンで上司もファーストネームで呼ぶので相談も気軽にできるなど、やはり自由度の高さが特徴です。サウナ以外は日本のこれからの働き方としてはとても参考になると思います。

平日4時に家に帰った後何をするかと言ったら、家事、趣味、スポーツ、友達に会う、生涯学習に通い勉強するなど自分の時間も仕事と同じくらい大切にしており、読書、散歩、自然の中での運動、クロスワードパズル、コテージ、自習、庭仕事などが自由時間の過ごし方のランキングで上位だそうです。外食や夜出かけることは少なく、そもそも家の近くにスーパーがあることも少なくコンビニやレストランもない、という環境が多いようで、読んでいると家の近くに自然があふれており、散策をしたりベリー摘みを競ったりとやはりアウトドア派だと強く感じます。

ここまでくると東京に住んでいる場合、だいぶ事情が違う感じがしてきます。フィンランドの人たちがとる1か月くらいの夏の長期休暇では、コテージで過ごすことも多いようなのですが、コテージによっては明かりは自然な光のみ、水は近所から組んできて、薪や炭で簡単な料理をする。テレビもなく携帯もみないでデジタルデトックスをすることで身も心もリセットするということなのです。やはり我々は資本主義の商業主義にどっぷりつかって生活していることを感じ、「ワークライフバランス」の捉え方もかなり違うかもしれないと思いました。ちなみに、1か月の休暇中の仕事は誰かがやってくれるということで、仕事が属人化していないということも長期休暇がとれる大事なポイントです。

先日「斉藤孝の速読術」を読んで、なるほどと思ったのが「実は本は買った日そのものが、本を読む最大のチャンス」ということです。確かに読みたいなあ~と思いつつ、まだ読んでいない本が家の机には山積みになっているのでと諦めることもあるのですが、やはりどうしても読みたいと思って買ったらできるだけ直後に、最近は仕事帰りに1時間でもお茶をしながら、どんどん読んでしまうことにしました。また今読んでいる文庫本は無料のkindle版があったのでそちらも購入して、電車ではkindle版をスマホで、夜寝る前は文庫本で読むということもしています。やはり本を読むと色々な世界を知ることができまたいろいろなことに興味がわいてきます。


就職内定率・内定取消し状況

2021-03-14 22:40:50 | 労務管理

セミナーレジュメを作っていて内定取消しのページでふとこのコロナ下で就職内定率や内定取消し状況はどのようになっているのか気になったので調べてみました。

令和2年度の就職内定率の推移(大卒)を見ると10月1日時点での令和3月卒の内定率は69.8%

アベノミクス効果で雇用状況のとても良かった令和2年76.8%、平成31年77.0%、平成30年75.2%とここ3年間と比較するととても低くなっています。

ただ平成28年66.5%、平成27年68.4%、リーマンショックからまだ立ち直っていない平成23年の57.6%と比べると何とか頑張ってくれているのかと思います。

000694853.pdf (mhlw.go.jp)

ただ、12月1日現在の内定率82.2%。令和2年の87.1%と比較して▲4.9%ではあるものの10月時点に比べて大幅に改善されており、何とか令和2年4月1日現在の98.0%の水準に到達することができるかもしれません。

また、採用内定取消し状況は、2020年09月15日NHKの発表によれば、次の通りです。

2020年3月に卒業し就職を予定していたものの企業から内定を取り消された大学生や短大生、それに専門学校生は132人(前年度比+116人)、高校生は42人(前年度比+23人)の合わせて174人に上りました。

これは、前の年度の35人と比べておよそ5倍に増えていて、過去10年間でみると、東日本大震災の影響を受けた平成22年度の598人に次いで多く、このうち、新型コロナウイルスの影響で内定を取り消されたのは、大学生などが83人、高校生が21人の合わせて104人となって、かなり厳しい状況と言えます。

いよいよOURSもこれまで手作業で行っていたものを統一したシステムで管理できるように動きだすつもりです。コロナ下本当に劇的に変化していく社会に遅れない、さらにリードしていくためには真剣に事務所運営も考えていかなければならないと思っています。このシステムを軌道に乗せて、新たな事務所で取り組めるビジネスを形にして、夏の決算後に組織の構造改革をしたいと考えています。春が来て新たな気持ちでいい仕事ができるよう頑張ります


男女別トイレの設置義務について

2021-03-07 22:47:04 | 労働法

先日後輩社労士の事務所を訪問した際に男女別のトイレの設置義務の話になり、講師時代そのような話をしたことがうろ覚えになっており「努力義務であったか義務であったか」根拠を確かめてみたくなりました。

労働安全衛生法(以下「安衛法」)の目的は第1条に定められている、「職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進すること(一部抜粋)」です。

安衛法の第7章の2には、「快適な職場環境の形成のための措置」が定められており、「事業者の講ずる措置」として以下の通り努力義務として定められています。
第71条の2 事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、次の措置を継続的かつ計画的に講ずることにより、快適な職場環境を形成するように努めなければならない。
一 作業環境を快適な状態に維持管理するための措置
二 労働者の従事する作業について、その方法を改善するための措置
三 作業に従事することによる労働者の疲労を回復するための施設又は設備の設置又は整備
四 前三号に掲げるもののほか、快適な職場環境を形成するため必要な措置
さらに第71条の3に、「適切かつ有効な実施を図るため必要な指針」を公表するとされています。
指針に定められた事業者が講ずべき措置として、①空気環境、②温熱条件、③視環境、④音環境、⑤作業空間(空間・通路の適切な確保)が作業環境を快適な状態に維持管理するための措置に定められています。
快適職場環境形成措置については努力規定であり、指針で定められた内容に具体的に留意しておくと良いということになります。
 
それではトイレのことについてはどこに定められているのかと探してみたところ、安衛則の「衛生基準」に定められていました。定められている内容を独断と偏見でピックアップしてみると以下の通りです。
第6章『休養』として
(休憩設備)
第613条 事業者は、労働者が有効に利用することができる休憩の設備を設けるように努めなければならない
(睡眠及び仮眠の設備)
第616条 事業者は、夜間に労働者に睡眠を与える必要のあるとき、又は労働者が就業の途中に仮眠することのできる機会があるときは、適当な睡眠又は仮眠の場所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない。(以下略)
(休養室等)
第618条 事業者は、常時50人以上又は常時女性30人以上の労働者を使用するときは、労働者がが床することのできる休養室又は休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない。
第7章 清潔
(清掃等の実施)
第619条 事業者は、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 日常行う清掃のほか、大掃除を、6月以内ごとに1回、定期に、統一的に行うこと。
(労働者の清潔保持義務)
第621条 労働者は、作業場の清潔に注意し、廃棄物を定められた場所以外の場所にすてないようにしなければならない。
(便所)
第628条 事業者は、次に定めるところにより便所を設けなければならない。ただし、坑内等特殊な作業場でこれによることができないやむを得ない事由がある場合で、適当な数の便所又は便器を備えたときは、この限りでない。
一 男性用と女性用に区別すること。(以下略)
第9章 救急用具
(救急用具)
第633条 事業者は、負傷者の手当に必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所及び使用方法を労働者に周知させなければならない。(以下略)
(救急用具の内容)
第634条 事業者は、前条第一項の救急用具及び材料として、少なくとも、次の品目を備えなければならない。
一 ほう帯材料、ピンセツト及び消毒薬(以下略)
 
後輩の言っていた通りトイレは人数に関係なく男女別に区別することになっていました。今の事務所があるビルはトイレが気に入って入居を決めたところがありました。これまで事務所ではトイレは男女別に分かれてはいましたが、なかなか悩ましいことが多かったです。確かに、快適職場のポイントの一つではあると思います。
大掃除は6か月以内ごと1回が義務ですね。また労働者の作業場の清潔に注意しなければならないという点については、先日事務ミーティングで私が「みんなで快適な職場を作りましょう」と意気込みを話したのにぴったりでした。
しかし、うちの事務所の薬箱に包帯やピンセットはなかったような・・・。
 
土曜日は本当に暖かくて春が来たという感じでした。このところ緊急事態制限が続き週末も自宅でネットスーパーを利用したりして週末あまり外に出ていないのですが、土日のどちらかは歩かないといけないと思い、今日はメガネを購入するのを兼ねて8000歩歩きました。近くの公園の河津桜は半分葉桜で、寒桜が満開でした。
今のメガネは比較的最近作ったのですが若干重くて、マスクをすることも相まって耳の上の方が夕方になると痛くなるので、フチなしで軽い眼鏡を購入してみました。2週間後に出来上がるということなので楽しみにしています。うまく使い分けようと思っています。