育児休業給付金については表題にある通り賃金が支払われた場合には減額の仕組みを持っています。支払われた賃金が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%超80%の未満の場合は賃金額と給付金の合計が80%を超える額が給付金から減額され、支払われた賃金が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の80%以上の場合は給付金が支給されません。
そもそも育児休業期間中の就業は臨時的であれば認められてはいたものの原則としては認められていなかったので、育児休業期間中の賃金が支払われるというのは例外的な位置づけでした。しかし10月施行の改正で「出生時育児休業」では労使協定の締結など一定の条件のもと就業が認められることとなったため、これまでの減額の仕組みが必要であるかどうか疑問に感じるようになりました。
元々育児休業の給付率はどのような経緯で67%(180日経過後は50%)になったかのか調べてみたところ以下の通りでした。なお、平成7年創設当時から平成19年10月改正までは職場復帰給付金として育児休業終了後6か月在籍して追加支給される仕組みがありましたが、その支給率も合計した給付率を示します。
平成7年4月創設時 25% ➡平成13年1月改正施行 40% ➡平成19年10月改正施行 50% ➡平成26年4月 67%
制度創設時は25%の給付率(育児休業基本給付金20%と職場復帰給付金5%)ということで給付率が上がったことは少子化に苦しむ我が国にとっては必要なことだったと思いますが、私の記憶では冒頭の賃金日額の80%までというルールは一度も見直されていません。67%の給付率の場合減額されないためには賃金は13%の範囲内に収めておく必要がありますが、13%に相当する日数はわずかです。出生時育児休業の就業は所定労働日数・時間数の約1/2は認められているわけですから28日の1/2の休日分を控除したとしても10日程度は就業できることになります。いくらそのような仕組みを作ったとしても育児休業給付金が減額されてしまうのでは会社も社員も使い勝手が悪い感じがしてしまうと思います。
男性の育児休業は特に取得を控える要因になるのは「収入を減らしたくなかったから41.4%※」という数字が出ており、せめて賃金日額の100%までは減額がない仕組みに変える必要がある(あるいは少子化対策としては100%を超えてしまうのを許容する)仕組みでもよいのではないかと考えます。令和2年4月に育児休業給付は失業等給付とは異なる給付体系と位置付けられ、また独自の保険料率を持ち資金設定をされたこともあり、他の雇用継続給付との整合を考えることなく仕組みの見直しも可能になっているのではないのかなと思います。
経団連のHPに週間経団連タイムス2022年5月19日NO.3544「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか」が載っているのですが、少子化は日本社会の構造にかかわる問題とあり、とても興味深い内容でした。本当に少子化に対して多方面で真剣に手を打たなければならない状況にあると思っており、社労士としてできるだけ発信したいと思っています。
※出典:第146回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会参考資料より
今日は「はまっている」ケーキを買いに日本橋に行くことにしていたのですが、お店に行ってみたところ凄い列にめげてしまいました。以前夜になり帰りがけに寄ったときも購入できたので他の用事を済ませて、再度立ち寄ったところなんと2つだけぽつんと残っており「運が良いなあ~」と嬉しくなりました。小さな幸せを拾っていきたいですね。