OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

番号制度(マイナンバー制度)の勉強

2013-07-28 21:48:41 | 法改正

昨日のBBクラブは東京会の会長になられた大野実先生の「社会保険労務士を取り巻く環境と今後の展望」で~番号制度(マイナンバー)の導入、TPP問題などと社労士業務について~を午前中勉強し、午後は労働法の動向で2013年度前期の法改正を勉強しました。

大野先生のお話は、番号制度(マイナンバー)がどのようなスケジュールで導入されるのか、導入するに当たり添付書類の省略などが可能になるということではあるが懸念される点がいくつもありそれらを平成26年度の政省令の作り込までに指摘して行かないとならないこと、さらに社労士業務は番号制度の導入で大きな影響を受ける可能性があり、今後さらにセキュリティーを厳重にしていく必要がある、という非常に刺激を受けるお話が盛りだくさんでした。

大野先生から頂いた7月25日付の最新資料をあとで見ていたところ、主要諸国の番号制度という参考資料がありました。

付番対象だけとってもさまざまだと興味を持ってみました。

ドイツ       全ての居住者(外国人からの移住者も)

アメリカ      国民・労働許可を持つ在留外国人

スウェーデン   国民・1年を超える長期滞在者

オーストリア   オーストリアで出生した国民・国内に居住地を得た外国人

フランス     フランスで出生したすべての人 ・フランスの社会保障制度利用者

デンマーク   デンマークで国民登録する者・労働市場補助年金基金に含まれる者など

韓国       韓国に居住する国民(90日以上居住する外国人には外国人登録番号を付与)

シンガポール 国民・永住権所有者・就労許可を受けた在留外国人

新たな制度を作るときにはその対象から検討していくことになり、その過程で各国の同じような制度の分析が役立ちそうです。

昨日の勉強会も135人の会員が参加いただいて盛況でした。しばらくぶりに来られた方も、必ず参加頂く方も私は懐かしく、勉強会で会えるのが楽しみで仕方ないという感じです。大野先生の講義と島中先生の法改正で頭がパンパンになり、充実した一日でした。大野先生は開業した21年前からいつもここぞという大事な時にはご相談をさせて頂き、またいつも先の絵を描いてくれた私の社労士人生において一番大きな影響を頂いた先輩です。昨日の講義はまさにそんな感じで、これからの事務所の方向性をはっきり見せて頂きました。セキュリティーを厳重に保てる事務所を探そうと思います。


公共工事設計労務単価について

2013-07-21 23:15:40 | 雑感

昨年11月から渋谷区の公契約条例で定められた労働報酬審議会の委員を務めています。渋谷区は23区の中で初めて公契約条例を成立させており、条例の目指すところは、渋谷区が締結する契約に係わる業務に従事する労働者などの適正な労働条件を確保すること。具体的には、予定価格1億円以上の公共工事について、工事に携わるすべての労働者に対して支払われる賃金の下限額を定めるというものです。 労働報酬審議会の意見を聴いて区長が下限額を定めることになっており、先日労働報酬審議会が開催されました。

平成25年の労働報酬下限額はすでに決まっているのですが、その根拠となる「公共工事設計労務単価(以下「労務単価」)」の大幅な上昇があり、見直しについての区長からの諮問について審議しました。

この労務単価というのは社会保険労務士の業務の中ではあまり出てこないものなのですが、、公共工事の積算に用いる単価であり、公共事業労務費調査の集計結果をもとに決定しています。労務単価は、基本給相当額・基準内手当・臨時の給与(賞与等) ・実物給与(食事の支給等)で構成されています。

今回労務単価の引き上げは、以下の理由によります。

① 技能労働者の減少等に伴う労働需給のひっ迫状況を適切に反映
② 社会保険への加入徹底の観点から、必要な法定福利費相当額を反映
③ 被災地等の入札不調の増加状況に応じて機動的に単価を引き上げる新たな仕組みを導入

小さな企業には社会保険料の負担は重くのしかかりますが、人を雇うならば賃金+社会保険料を費用として準備しなければならないということをもっと認識してもらいたいといつも思っていますので、この社会保険加入徹底の観点からの労務単価の引き上げはとても納得できるものです。

渋谷区の公契約条例は、この労務単価を基に労働報酬下限額を決め、この労働報酬下限額以上の賃金を労働者に支払うことに同意しなければ、渋谷区としては工事を発注することができないというもので、工事に携わる、一次、二次、三次といったすべての協力業者において、適用されます。また、 労働報酬下限額が守られていないことが発覚した場合は事業者に速やかに是正措置を講じさせ、是正がなされない場合には契約解除をすることができるとしています。

平成25年度労務単価について国土交通省から以下の資料が出ています。なかなか興味深いものです。

http://www.mlit.go.jp/common/000993051.pdf#search='%E5%8A%B4%E5%8B%99%E5%8D%98%E4%BE%A1'

特に10ページの発注者に対しての以下の記載は、社会保険加入についてかなり強調されており、今後拡大が見込まれる区の委託事業者等に対する労働条件審査での社会保険加入状況の確認の必要性にも結びつくように感じます。

●下請企業への指導(社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン)では、「下請企業の選定時に、加入状況の確認・指導。遅くとも平成29年度以降は、適用除外ではない未加入企業を下請企業に選定しない取扱いとすべき」、「2次以下の下請企業についても確認指導」など

●法定福利費の確保では、「必要以上の低価格による発注を避け、必要な経費を見込んだ発注を行う」、「法定福利費が着実に確保されるよう、見積・契約等の際に配慮」など

今週土曜日(27日)はBBクラブの勉強会です。今回はテーマ別講義は、先日東京会の会長に就任された大野実先生にマイナンバー法の社労士業務とのかかわりをお話しいただきます。新たなテーマなので楽しみです。今回も140人程の申し込みがあり、合格してずいぶん時間が経っても勉強に来てくれる受講生に感謝です。受講生OBの元気な様子を見るのもとても楽しみです。


東京労働局長

2013-07-15 00:56:00 | 雑感

東京労働局長は、平成24年から伊岐典子さんが就任されています。東京都社会保険労務士会の定期会議の際にご挨拶を頂くのですが、これまで私の記憶の中では東京労働局長が女性であった記憶はありませんでした。

局長が女性であるということについて、当初少し驚きましたがそれほど違和感はありませんでした。それほど最初から堂々としているように見えました。気が付くと伊岐局長は非常にマメにいろいろな会合に出席されているのです。だいたい新年の賀詞交歓会と春の総会の時期は、どの団体も同じことを行うため毎日のように会合と懇親会があります。その時期はしょっちゅう地元の監督署の署長やハローワークの所長と職員の方にお目にかかることになるのですが、伊岐局長もよくお見かけしました。局長は極力代理を立てずご本人が出席されているのではという感じがします。またお酒も強く、結構豪快に笑ったりされるのでオーラがものすごくある感じがします。渋谷労働基準協会の平成25年度の定期会議後の懇親会も最後まで残られて中央でとても目立っておりました。

長妻昭氏が厚生労働大臣であった時に、雇用均等・児童家庭局長であったようですが、子ども手当の導入などをめぐり、大臣と対立があったということで、独立行政法人労働政策研究・研修機構への出向となり、その後、東京労働局長に平成24年に就任されています。東大法学部を卒業後に旧労働省に入省した才媛。省内の女性キャリアとしては出世頭がいっとき研究職に就くということで異例であったようですが、それを乗り越えての東京労働局長に就任されたようです。ここまで必ずしも順風満帆というわけでもなかったようですが、それを乗り越えての局長はやはりそれなりの力があったのだと思います。

今日最新の労働新聞を読んでいたら、虎ノ門地区の建築現場視察の記事があり、ヘルメットをかぶった局長の写真が載っていました。頼もしい感じがしました。会合でのご挨拶もとても分かりやすくて勉強になります。今後どのように進まれるのか蔭ながら応援し、また楽しみにしています。ちなみに伊岐局長は均等法も育休法もない時代に社会に出た私と同じ年だそうです。

ここのところOURSも事業拡大のために採用を1年半近くコンスタントに続けてきました。かなりの方を面接して思うのは、優秀な女性が多いなということです。特に30代の女性はある程度職務経験があり、お話を聞いていてまだまだ伸びしろを感じて楽しみだなあと思いました。あとは継続していく力と、必要であれば機会を逃さず新しい世界に飛び出す度胸でしょうか。そのあたりの年代がターニングポイントになると思います。そういう意味では仕事をしていく上では、女性も強い意志や胆力が必要だと思います。伊岐局長はどちらも十分お持ちとお見受けしました。

10日の年度更新最終日は、渋谷労働基準監督署に臨時指導員としてお手伝いに行きました。ここ数年自分で年度更新の書類を書いたことがなく、事務所のスタッフに任せきりだったので、果たして提出者の前で間違いなくチェックして受領できるかな、という不安を持ちながらのスタートでしたが、つつがなく終わりました。充当の種類を記入する欄など様式変更により書き方もわかりやすくなっていました。

開業して初めて臨時指導員のお手伝いをして今年でたぶん20回目となると思います。初めてお手伝いに行ったとき、監督署の方に教えてもらいながら受け付けたのがついこの間のような気がします。 毎年この行事が終わるとOURSも一段落で夏休みに入り、8月決算を迎えます。


顧問の労災保険と雇用保険について

2013-07-07 23:49:52 | 労働保険

社長や役員が退任後会社に残るケースというのは少なくありません。その場合は顧問という名称で、給与が支払われているということになることが多いと思いますが、その場合の顧問について労働保険や社会保険の加入についてはどのように扱うべきかという点が問題になってきます。

これまで顧問先企業でも様々なケースに出くわしてきましたが、今回少し整理しておく方が良いかなと思い調べてみました。

社会保険についてはほぼ問題はなく、というのも厚生年金・健康保険ともに、社長や役員であろうが顧問であろうが労働者と同様、通常の労働者の概ね4分の3以上の所定労働時間であれば被保険者になる(逆に4分の3未満であれば被保険者にはならない)ということになります。

それに対して労働保険については、所定労働時間がたとえ週1時間であっても適用になる労災保険と週20時間以上で被保険者になる雇用保険はともに労働者が適用対象になります。そこで問題になってくるのは労働時間と労働者であるかどうかと2点です。労働時間で考えると、週所定労働時間が20時間以上である場合労災・雇用に加入し、20時間未満であれば労災だけに加入するということになりますが、果たしてその前提となる「労働者」であるのかどうかという点が問題になります。

特に通達でもそのあたりにふれているものはないようでしたので、監督署に問い合わせてみたのですが、顧問が労働者ではないということになるのは「自分で自由に出社時刻を決めている場合」というところが判断基準になるという回答でした(通達等が出ていないのでそういうルールで運用しているということになるのだと思いますが)。やはり社長や役員経験者が自由に出社時刻を決められるという状態で出社しても労働者には該当しないであろうということで、労災・雇用両保険ともに適用せずということになるそうです。

逆に言うと顧問といっても毎日きちんと始業終業時刻が決められている場合は労働者に該当し、社長や役員になったことにより適用されないものとされていた労災・雇用について再取得等することになるわけです。社長や役員経験者がそのような形で労働者に戻るということは実際はあまりないと思いますが。

「自由に出社時刻を決めている」ということになると「フルフレックスタイム」も同じことなのですが、そこは顧問ということで労働保険未加入を認められるのはそれまでの経歴なども見ていかにもと説明できる必要があるということになるでしょうか。

いずれにしても現段階でははっきりした判断基準等はないと言えそうですが、調査等できちんと説明ができるように常識の範囲内で運用していくということになると考えます。

暑くなりましたね。夏は洗濯物はすぐ乾くし、寝具なども簡便で何かと効率的なので大好きです。結構こんがり焼けてしまう方なのですが、日焼けすると風邪をひかないということを聞いたことがあり日焼けについてはあまり気にしていません。夏の到来にちょっとワクワクしているこの頃です。