OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

2013年この1年

2013-12-31 21:26:11 | 雑感

今年のブログも今日が最後になりました。1年間有難うございました。

今年1年はあっという間に過ぎてしまいましたが、その前の2年間の悩み又試行錯誤してきたことが実りすべてに安定感のある1年間であったと思います。事務所のメンバーもとても増えて、その分人材も増え、私の仕事もマネジメントの部分がとても多くなったと思います。最初は戸惑っていたのですが、いったん覚悟を決めてみると、支部長の役割とリンクして次々といろいろなものが見えてきた感じです。この年齢でもこんなに新しい発見があるとは自分でも驚くほどです。今後は事務所のスタッフのそれぞれの能力をいかに発揮してもらうのか、場を作ることができるかというところにOURS発展のカギが握られていると思っています。

一番の自分の変化は、客観的にいろいろなものが見えるようになったというところのように思います。これはマネジメントに徹しようと覚悟したことに通じると思いますが、すべてをうまく配置する、手を打つ、全体の中での位置づけを考えるという習慣がついてくると、客観的にものが見えるようになるということなのでしょうか。

支部長になったときに大先輩の相馬先生から受けたアドバイスが、「支部長になったら自分が動くのではなく人にいかに動いてもらうかというところを考えること」と言われました。まさにその通り、支部は副支部長を筆頭に役員や会員にいかに活躍してもらうかを思い、事務所もスタッフがいかに成長しながら自分らしく力を発揮してくれるかを思う、という意味では受講生が本試験で実力を発揮して合格して欲しいと願っていた講師時代と同じ役割というところに思い当りました。それなら大丈夫、15年もやってきた経験がありますからと自分で納得しています。

東京会の広報戦略会議の役目もとても勉強になりました。渋谷支部のことはある程度全体を把握していると思い支部長になりましたが、支部長になってみると他支部の支部長との情報交換で気づかされることも多く、さらに今年東京会の仕事で支部長目線ではないさらなる全体感というものを感じることができました。

事務所の代表社員、支部長、東京会での立場から多忙を極めたことは事実で、現場からはその分離れてしまい多少残念なのですが、それを超えて余りある蓄積になっていると実感しています。現場の情報を常に吸い上げ理解する努力を惜しまず、来年も同様に頑張ってみようと思っています。

例年同様3日間徹底的に自宅の大掃除をして今日今年最後の買い物に出かけたところ、目黒駅の近くから夕焼けを背にした富士山が見えました。こんなところから富士山が見えるなんて、思いもしなかったこと。来年もよい年になりそうな、そんな感じがしました。

2014年もよろしくお願いします。ブログは5日からスタートします。


月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率その後

2013-12-22 21:00:00 | 労働時間

先日ふと平成22年6月の改正である月60時間超の時間外労働に対する割増率50%のことが頭によぎりました。平成22年の改正の際に中小企業には適用を猶予したものですが、3年後に検討することになっていたもので、中小企業に適用になることになれば結構な大事になると思います。

調べたところ労働政策審議会の労働条件分科会で議題に上げることになっていました。

その主な議論は、以下議事録を確認してみると載っていますが、今のところ論点1になっているもののそれほど多くの時間が割かれているとは言えないようです。

<中小企業に適用猶予されている月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率について>
○ 中小企業の労働者の労働条件は、大企業に比べると総じて劣悪な状況にあり、また、最低基準を保障する労働基準法が、今はダブルスタンダードになっていることは問題である。月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶予措置について早急に検討すべきである。
○ 大企業では改正労働基準法が施行された平成22年以降も、週35時間以上雇用者に占める週60時間以上雇用者の割合は横ばい。割増賃金率の引き上げが長時間労働の抑制効果があるのか、今後議論が必要。

議論の中では労働時間関係資料が扱われています。
これは毎月勤労統計調査」や「労働力調査」等の基礎的な労働時間のデータの資料につき、ごく簡単に取りまとめているものとされています。

以下議論の中からの資料3についてのあくまで意見の抜粋(一部文言を省略)ですが、まだまだ中小企業への適用についてまで行きついていないようです。

平成21年には、前年秋の金融危機の影響で、製造業を中心に所定内・所定外労働時間がともに大幅に減少し、その後はやや上昇してきているという状況。
まず、1ページ「年間総実労働時間の推移」です。労働者1人当たりの平均値は減少傾向で趨勢的に推移しているが、近年では、一般労働者の総実労働時間はおおむね横ばい、パートタイム労働者の総実労働時間はやや下がっているが、その減少幅はそれほど大きなものではないという中で、一方では、その構成比でみた、パートタイム労働者比率が持続的に上昇していることにより、総実労働時間の平均値が右肩下がりになっている傾向にある。

2ページ「週労働時間別雇用者等の推移」です。週の労働時間が60時間以上の雇用者の割合について見ているもの。上の表にあるように、週60時間以上の労働者の比率というのは、かつて平成15、16年ごろの水準と比べますとかなり低下しているが、一方では1割弱という水準にあることも事実で。特に30歳代の男性で週60時間以上の労働時間の方について見ると、これも同様に、以前よりは比率としても人数としても減っているということではあるが、やはり全体の平均よりはかなり高い構成比になっているということは見られると思う。

資料3「労働時間等関係資料」に週ごとの労働時間の雇用者数の分布が出ており、ここに週60時間以上の労働者の数字が10%近くと出ているが、これを30代の男性で見たときに、18%と、2割近くの方が週60時間労働されているという実態が出ている。

 週の労働時間が60時間というのはどのような意味があるのかということを考えてみると、1年365日で、7で割ると52週、それをさらに12で割って1月の数値を出しますと、法定の40時間を超える残業時間は、月の平均値で86時間になると思う。この数値については、一方では、労働省基準局から出されている労災認定の80時間という基準に照らすと、労災認定が強く推定される時間をさらに超えて労働している方が2割もいるという現状が見えてくる。これほどの長時間労働は、今、社会問題となっている過労死の問題であるとか、メンタルヘルス不調といったような健康上の問題を引き起こす原因にもなっているし、一方で、我が国の構造的な問題となっている少子化問題の一因にもなっていることも指摘されているので、ワーク・ライフ・バランスの観点や、過重労働、長時間労働に対する手当てといった労災防止の観点からもぜひ必要だと思われる。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000024580.html

今後来春までにどのような結論が出るのか時々見ておく必要があると思われます。

9月に渋谷支部の女子会で講師としてお迎えしたイメージコンサルタントの神津先生のところに先週お伺いしました。最近年齢を重ね(先生が歳をとってと言わず年齢を重ねと言ってくださいと言っておられましたので)自分のスタイルに迷いが出ていましたのでちょうど良いチャンスと思っていました。自分に合うお化粧や髪形、カラーなど色々なアドバイスを受けましたが、おおむねこれまで購入してきたイメージやカラーのものが一番合っているということで、それほどお金を今後かけずに済みそうです。洋服もアクセサリーも見せて頂くものが今手持ちのものとほぼ同じという結果でした。カラーは、サマーカラーだそうです。意外に自分のことを分かっていたということでしょうか。支部の後輩に「アドバイスを受けるとその後買い物の時にそれをかなり意識してしまいちょっとつらいかもしれません」とか、「支部長がすごいイメージチェンジして出てくるのでは」などと言われていたのですが、がっかりさせそうです。

今年は長年結んでいた髪をバッサリ切り夏はふんわりウェーブなどと言っていましたが「電気ショック」「爆発したか」など賛否両論でした。今はウェーブが取れて落ち着いたので周りもホッとしているのかもしれません。ショートカットよりは今くらいの長さでふわっとさせた髪型が良いそうです。でもあの爆発がなければここに至らなかったと思いますので必要な迷い道だったのでしょうね。


標準報酬月額の推移

2013-12-16 01:02:50 | 年金

来年度から年金事務所で支部会員である年金特別アドバイザーが窓口担当をすることになったのを受けて、担当する支部会員には研修や現場の見学をしてもらっています。土曜日は私も一緒に研修を受けてみようと参加したのですが、これがとても勉強になりました。

年金については実務はそれほど多く経験しているわけではないのですが、何しろTACの講師時代に10年ほど本試験の際に厚生年金保険法の担当をしてかなり年金好きなのです。たとえばこの数字は何を表すとか、このアルファベットを見ればどんなことが分かるなど、記録照会票の詳しい内容の説明はとても興味深く、これは真剣にやるようになったらはまりそうだなという感じがしました。

なかでもちょっと目からウロコだったのが、月変が後から入っているケースです(年金問題で古い台帳を洗い出して誤りを修正したケースだと思われます)。

以前に通勤手当などの固定的賃金の変更があったにもかかわらず月変を行っていなかったということで、企業からの依頼で対象者の方々の年金額を試算してみたことがあったのですが、保険料の納付不足分と平均寿命まで受給したと仮定した場合の年金額の不足分を比較するとそれほど大きな差がでなかったことがありました。平成になってからの誤りの修正でしたし、月変モレはそのあと必ず年に1度の見直しである算定が来るので、誤った月数が12カ月以上になることはないということもあり、それほど大きな影響はないのだなと認識していました。またなんといっても年金の額は、被保険者期間の長さが大きく影響し、標準報酬月額の差についてはそれほど大きな影響は出にくいという認識も持っていました(例えば60歳以上で継続雇用のため賃金が下がり標準報酬月額も下がるため、年金額の計算基礎となる平均標準報酬月額が下がってしまい年金額が減るのではという心配はほとんどないのです。それより年金額には被保険者期間の長さの効果の方が大きいとされているからです)。

しかし昭和の高度経済成長期の月変モレはお金の価値の高騰に合わせて標準報酬月額も大きく跳ね上がっているため、特に上限に張り付いていた被保険者が上限の改定でまた上限に該当という場合などは、とても標準報酬月額の跳ね上がりが大きいことになり、それなりの反映が年金額にもされるということがわかりました。標準報酬月額の推移は、日本年金機構のHPに乗っていました。

https://www.nenkin.go.jp/n/www/share/pdf/existing/pension/kousei/pdf/standard_insurance_2.pdf

標準報酬月額の推移の表は、第三者委員会の委員を務めているときはいつも手元で見れるように小さな手帳に貼り付けていました。第三者委員会の案件は戦中や戦後間もないものもたくさんありましたので、高度経済成長期の標準報酬月額の大幅な上昇も知っていたのですが、今回のようなところに違いが出るのだとは気が付きませんでした。

年末までカウントダウンになりました。今年はできるだけ20日までに大きな仕事は片づけて、最後の週は来年に向けての整理や準備をしようと思います…という理想はあるのですが現実は年末の最後事務所大ソージの直前までいつもバタバタしています。


教えることとは学ばせてもらうこと

2013-12-08 22:08:02 | 雑感

TACの講師を卒業してから4年半が過ぎました。以前のように事務所に受講生が10数人で集まってくれたり、ポッと顔を出してくれるということはほとんどなくなってしまいましたが、年に2回のOBの勉強会は相変わらず盛況で、130人くらいの会員が集まり、ゆっくり話をする時間は取れなくてもそれぞれ元気な顔を見るだけで「大丈夫そうだな」とホッとします。

社労士を開業してやがて春が来れば22年目になり、だいぶ長い間この仕事をしてきたと感じることがありますが、日々新たに取り組むべき課題や考えることがあり、開業社労士としてつまらなく感じることはこれまで全くありませんでした。日々、顧問先を中心に会社の労務管理のご相談案件を考え、社労士法人としていかに良い仕事をしていくか考えることが、さらに蓄積になっていくということはありがたいことだと感謝しています。しかし、開業当初顧問先が全くない状態で、たまたまTACで講師の仕事をさせてもらうことになり、実務との両輪の15年間、これが今の私のしっかりした土台になっていることは間違いないところだと思います。貴重な15年間だったと私の中でいつも意識しています。

今日、長年小学校の教師をしてきた友人と話をしていて本当にそうだねと共感したのは、「教えることは、自分が一番学ぶことになる」ということでした。彼女はとても優秀でたぶんあまり勉強で突っかかるということはなかったのだと思いますが、小学校の教師を長年やってやっと「どうしてそうなるのか」教えながら分かったことがたくさんあるということなのです。私もどちらかというと暗記してしまうタイプで、社労士試験は集中してクリアしてしまったため、講師になってから受講生から質問を受けて学び、講義の準備の中で学び、講義中オヤッと引っかかり学び、実務と合致した時に学び、という合格後にわかったことが90%くらいなのではないかと思うほどなのです。15年の中で教えながら学んだことは、今も自分の中で仕事の基礎になっていることをいつも実感しています。それがなければ今の自分はいなかったと思います。

講師を卒業後、きれいに教えるという点で結局自分自身に合格点をつけられなかったのでもう講師の仕事はおしまい、と考えていました。しかし、ある企業のグループ企業向けのセミナーをコンスタントに依頼頂いている中で、ずっと年下の人事担当者の方から「講義の型ができてるから教えないのはもったいない」と言われ、やはり講義は忘れない程度に続けた方が良いのだと思いました。今もそれほどたくさん講師としてセミナーなどの仕事をしているわけではないですが、だいたい月に1回程度は講義の場を頂いているという状況です。

教えることの根本は講義だけではなく、説明会やプレゼン、もう少し範囲を広げてご相談業務も同じこと、という気がします。要はいかに相手に分かりやすく説明できるか、すとんと納得してもらえるか、自分で考えるヒントをつかんでもらえるか、ということなのだと思います。それはきれいに教えるということとは異なることなのかもしれません。多少言い間違えやつまづきがあっても良いのかもしれない、と思います。

表面的にきれいに話をしてまとめることではなく、相手にいかにわかってもらうか、そこに苦心の跡がみられることの方が大切なのだと思います。そこに苦心の跡が感じられれば、聞いている人は分かろうとしてくれる、そんな気がします。それに何より、教えている本人がその中で学ばせてもらっているわけですから、そこにも大きな価値があるのでしょうね。

先輩がいて下っ端であること、まだまだ未熟であること、未完成であること、発展途上であることの幸せというものをとても感じることが多いこの頃です。

 


嫡出子でない子の相続と年金

2013-12-01 23:02:24 | 年金

政府は11月12日の閣議で、結婚していない男女間に生まれた婚外子(非嫡出子)の遺産相続に関する格差規定を削除する民法改正案を決定しました(今国会中に成立する見通し)。

最高裁が9月に相続分を法律婚の子(嫡出子)の半分とする民法の規定を違憲と判断したのを受けた措置になります。最高裁は、婚外子の相続格差について(1)日本社会に法律婚制度は定着しているが、家族の形態は多様化している(2)父母が婚姻関係にないという子にとって選択の余地がない理由で不利益を及ぼすことは許されないとの判断を示しました。

改正案は民法900条の「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とする」との規定を削除する内容で、改正案が成立すれば、婚外子と嫡出子の相続分は原則として同じになります。

法務省は当初、民法改正案と併せ、出生届に嫡出子か婚外子かを記載するよう義務付けた規定を削除する戸籍法改正案も提出する方針だったとのことです。しかし自民党法務部会で一部の保守系議員が「家族制度が崩壊する」などと反発。民法改正案は了承されたが、戸籍法改正案の提出は見送られました。

非嫡出子は正式な婚姻関係にない両親から生まれた子供のうち、父親に認知された子供です。母子関係は認知などしなくても、分娩によって当然に発生するものとされています。父親がない場合、子は母の戸籍に入り、母と同じ姓を名乗り、母の親権で保護され、母の遺産を相続することになります。父親に認知されている非嫡出子は法律上の「子」になるため父の財産を相続する権利があります(現在は嫡出子の2分の1ですが)。しかし、父親に認知されていない場合は、父の「子」とはならないため、父の遺産を相続することができません。認知されなければ法定相続人にもなれず、生命保険の受取人にもなれないのです。 

年金では「嫡出でない子」はどのように定められているかというと、非嫡出子であっても「認知」を受けていることで「子」であることには変わりなく、「遺族」となります。例えば以下の厚生年金保険法の遺族厚生年金を受給できる遺族の中の「子」については嫡出子であるかどうかの制限はありません(あくまでも法律上の「子」である必要はありますので少なくとも認知は必要になります)。

(遺族)
第五十九条  遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であつた者の配偶者、、父母、孫又は祖父母(以下単に「配偶者」、「子」、「父母」、「孫」又は「祖父母」という。)であつて、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時(失踪の宣告を受けた被保険者であつた者にあつては、行方不明となつた当時。以下この条において同じ。)その者によつて生計を維持したものとする。ただし、妻以外の者にあつては、次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。
一  夫、父母又は祖父母については、五十五歳以上であること。
二  子又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか、又は二十歳未満で障害等級の一級若しくは二級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。

この週末は珍しく2日間とも家で過ごしました。この秋は本当に忙しく、平日は朝から夜まで予定詰まっていることが多いだけではなく週末も何かと出かける用事が多く、やっと2日間休めました。そんな中で先週の社労士会の研修旅行の翌日に行った日光の丸山は楽しかったです。すごい強風で雨も降るかも知れない中でしたが幸い天気は持ってくれました。山の斜面によってはとても荒れていた風もピタリとやんで風で雲が飛んでいる分下を見ると広々と気持ち良い風景が広がっていました。帰りに温泉につかりさっばりとした気分になれました。

 2013.11.25丸山からの眺め