OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

自動車運転者の36協定

2018-02-25 22:59:57 | 労働法

運転者については、36協定の労働時間の限度基準が適用されないことになっています。しかし全く限度時間がないかというとそういうわけではなく、トラック運転者・バス運転者・タクシー運転者について、それぞれ「トラック運転者の労働時間等の改善基準」、「バス運転者の労働時間等の改善基準」、「タクシー運転者の労働時間等の改善基準」が定められています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/

36集中セミナーを渋谷労働基準協会さんで行う関係上、これらの業種についての36協定の作り方のご相談を受けることがあるのですが、これが何度読んでも非常に難しく、ここ10日ばかり四苦八苦している最中です。

とはいえ社労士の仕事としてはシフトを完全に組めるようになることではなく、労基法や厚労省告示で示している改善基準にきちんと収まっているかを検証できれば良いのだと割り切り、だいぶ色々と独学ではありますがわかってきた感じです。やはり今はネットがあるので沢山の情報を一瞬にして入手できるということが有難いです。開業して10年くらいまではとにかく「○○詳解」という本を購入して熟読し、というところまででだいぶ時間を使ってしまっていましたが、今はまず情報を頭に入れてから熟成させる時間に充てることが有難いと思います。

36協定は一般的な協定届だけではなく、運転者の時間も改善基準の枠内で収まっていることを記入できるつくりになっている別添を使うことになります。この書式は必ずというわけではないということですが、こちらを使わないと上手く改善基準に合わせた数字を36協定に作ることができないような気がします。

36協定では、時間外労働の上限基準が適用されない自動車運転者と適用される運行管理者や一般事務担当者は上限の決め方が異なります。自動車運転者は改善基準に定められた「拘束時間」の限度枠内に収まるようその中からどのように延長時間を導き出すか算出方法が示されたものもあります。

http://www.tochigi-tekiseika.com/%EF%BC%93%EF%BC%96%E8%A8%98%E5%85%A5%E4%BE%8B.pdf#search=%27%E8%B2%A8%E7%89%A9%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E8%80%85%E3%81%AE%E9%81%8B%E9%80%81%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E3%81%AE%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB36%E5%8D%94%E5%AE%9A%27

これは栃木県トラック協会内にある栃木県貨物自動車運送適正化事業実施機関のHPから持って来ています。これを参考に自動車運転者の36協定も作れそうです。

今年の2月は25周年記念パーティーに引き続き台湾記念旅行も今週末行ってきましたのであっという間に終わった感じです。事務所のみんなには私の気持ちの整理につき合わせた感じがなくもないですが、周年事業も旅行も普段仕事をしていく中ではなかなか接しない仲間とも話す機会ができたり、いつもとは違う面を見つけたりとそれなりに色々と良かったと思えることがあったと思います。周年事業も旅行もスタッフみんなが疲れながらも嬉しそうだったので良かったと思っています。

事務所が一つの区切りを迎えたという気持ちは私の中には強くあります。しかしTACの講師を辞めて事務所の仕事と支部の役目に専念することになったときのように、これが終わりではなくまた次の始まりでありたいと。これまでの積み重ねを土台に貢献できる場面は何か、どのようなことが自分にできるのか楽しみに感じています。さて、3月から前を向いて気持ちも新たに進んでいきましょう。


裁量労働制の労働時間について

2018-02-18 22:19:58 | 労務管理

首相の国会での裁量労働制の労働時間についての答弁が問題になっています。首相が答弁の根拠にしたのは厚生労働省が2013年度に公表した調査。全国の1万1575事業所の「平均的な人」の労働時間を調べた。裁量労働制で働く人は一般の労働者の労働時間より約20分短かったということです。

この2013年度に公表された調査について調べてみたのですが、「平成25年度労働時間等総合実態調査」ではないかと思います。独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILP)の調査結果です。

http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/shozai/pdf/r17.pdf#search=%27%E3%80%81%E3%80%8C%E5%B9%B3%E6%88%9025%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E5%8A%B4%E5%83%8D%E6%99%82%E9%96%93%E7%AD%89%E7%B7%8F%E5%90%88%E5%AE%9F%E6%85%8B%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%80%8D%27

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/shiryo2.2.pdf

概要と主な集計事項として、時間外労働及び休日労働の実態、割増賃金率の状況、裁量労働制の実施等を把握することを目的として実施された調査である。この調査は、「平成25年4月から6月の間に、全国の労働基準監督署の労働基準監督官が事業場を訪問する方法により実施された。原則として、平成25年4月1日時点について調査された。」とあります。

かたや平成26年5月に同じくJILPから「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果 労働者調査結果」が発表されています。
そこには「本調査は裁量労働制をはじめ労働時間に関する実情を把握するため、労働者に対するアンケート調査を実施したものである。本調査結果が、各方面における政策議論に貢献することができれば幸いである。」プレスリリースには以下のように書かれています。

「裁量労働制適用への期待実現度は期待する内容により異なるが、適用の満足度は高い」
http://www.jil.go.jp/press/documents/20140630_125.pdf
1 日の所定労働時間は、厚労省抽出分も事業所DB 抽出分も「7 時間以上8 時間未満」の
割合が最も高いが、厚労省抽出分が60.8%で事業所DB 抽出分が50.1%と厚労省抽出分の割
合のほうが高い。次いで、いずれも「8 時間」の割合が高く、厚労省抽出分34.0%、事業所DB 抽出分43.4%と事業所DB 抽出分のほうが割合が高い。
1 ヶ月の労働時間(業務に関係する実際に働いた残業や休日出勤などをすべて含めた時間)
は、厚労省抽出分も事業所DB 抽出分も「150 時間以上200 時間未満」の割合が最も高く、
厚労省抽出分51.7%、事業所DB 抽出分61.7%と事業所DB 抽出分の割合のほうが高い。次いで割合の高い「200 時間以上250 時間未満」は、厚労省抽出分34.6%、事業所DB 抽出分25.5%と厚労省抽出分の割合のほうが高い。

後者の方が実態はよく表しているとは思いますが、そもそも裁量労働は労働時間の把握が難しい面もあり、実態調査が極めて難しいように思います。裁量労働であるからといって時間外労働100時間超えに対する面接指導実施の努力義務もあり、時間把握は必須なのですが、「時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる」ことができるという本来の裁量労働制の趣旨に対しての厳密な時間把握との関係はどうあるべきなのかなという疑問もわいてきます。 

25周年記念を終えて気が緩んだのか風邪をひいてしまい、ここ数日いつになく長い睡眠をとっています。いつもの倍とは言いませんがショートスリーパーとしては、ゆっくり寝るとここまで朝が気持ちがいいものかと感じる次第です。脳のためには睡眠を十分とっていきたいと思いました。


開業から25年間のご支援に感謝

2018-02-11 13:48:14 | 雑感

2月8日にOURS小磯社会保険労務士法人の開業25周年記念パーティーをアイビーホールさんで開催させて頂きました。

顧問先様中心にお世話になった方々にご案内して事務所スタッフ等関係者も含めると150人の盛大な会にして頂きました。今回25周年記念パーティーをしたいと思ったきっかけは15年くらい前に参加させて頂いた今回乾杯のご挨拶を頂いた開業初期のころからの顧問先様の10周年の記念パーティーがアットホームでとても楽しい会だったことと、4半世紀である25周年を機に事務所のこれまでの沿革も記録として残しておきたいということからずっと自分の中で温めていた企画でした。

昨年の11月くらいから準備をはじめ、思ったより準備には時間がかかりましたが、TAC講師時代にDVDの収録をしてもらって今も親しくしているディレクターと、様々な場面でお世話になっているイベントのプロの顧問先の(恐れ多くも)役員の方に最初からアドバイスを受けながら色々と決めていきました。これまで撮っていた写真もすべてデータ化しディレクターに25周年のスライドを作成頂き、当日の司会はこれも顧問先企業の本職のアナウンサーの方がご担当頂くなど、これまでお世話になった方達にさらにバックアップして頂きました。

ここ1か月はかなりの人数の方に来て頂けそうだということで、感謝の気持ちをどのように伝えればよいか、果たして楽しんでいただけるのかなどよく考えながら準備しました。25周年記念の会の目的は、法人内々でお祝いするのではないわけで、顧問先に支えられてきた今のOURSを皆様によく知っていただくことと、皆様の暖かな支援による事務所の成長を見て頂くことと、最大の目的であるこれまでの感謝の気持ちを来ていただいた皆様にお伝えすること、と考えました。

20年、15年、10年のスタッフ永年勤続表彰をさせて頂いた後、OURS全員を舞台上でご紹介した上で25年間のスライドを映したあとの企画が難題でした。当初考えたのは、スタッフみんなでOURSの日常を寸劇で演じるという企画でしたが、スタッフに強烈なNGを食らい諦めました。そこで考えたのがOURSクイズというもので、OURSのこれまでの出来事やスタッフの色々な面の紹介など、クイズを通じてお客様に思い描いて頂きご回答頂くことによりOURSを知ってもらうという企画で、これは何とかOKが出ました。賞品にはオンラインショップを持っておられる顧問先の商品をひそかに購入し、スライドでクイズの問題と併せてご紹介することにして、こちらは会場内で映写できるようパワーポイントで手作りしました。何とかこの企画は楽しんで頂けたような気がします。全員で記念撮影をさせて頂き、その上でお土産として、顧問先様2社の商品であるチョコレートと、講師退任の際に作りBBクラブのメンバーに配布したOURSの刺しゅう入りタオルハンカチ(今回は「OURS25」)とお持ち帰りいただきました。

開業してからこれまで、顧問契約を頂いた会社の社長や担当者の方には本当に温かくご支援頂いてきたと思います。細々と始めた事務所をここまで育てて頂いた顧問先様には一つ一つ契約時やお仕事を通じての思い出があります。顧問先企業の社長に組織としてしっかりしてきた姿を見て頂きたいという思いや、担当者が変わった顧問先様の以前のOURSの担当者にも久しぶりに会って頂きたいという思いなども今回実現することができ本当に嬉しく、ささやかながら感謝の気持ちを皆様にお伝えすることができたかなと思っています。また、25周年記念パーティーは、スタッフ全員が協力しなければとてもできる規模ではなかったのでそれぞれの活躍の場面があったことでOURSの組織としての結束も強まったような気がします。

私のご挨拶の中でお話ししましたが「OURS」と名付けた由来は、OURSをとりまく周りの皆様からのご相談やご質問等に対して惜しみなく提供できる開かれた事務所でありたい「みんなのもの」ということです。これからもその由来は大事にしていきたいと思っています。

社労士の仕事は、勉強した法律や通達、判例の知識を駆使し、実際の現場である企業内での運用をアドバイスする又は事務処理等をすることで、常に企業のために、またそこに働く社員のためになるからこそ非常にやりがいがある仕事だと思っています。25年間のご指導ご支援に感謝するとともにOURS一同でこれからも知識の研鑽に励み、顧問先から信頼を得ることができる仕事をしていきたいと思います。

会場内風景

スタッフ紹介

  記念品


裁量労働制の自主点検について

2018-02-04 18:54:10 | 労務管理

2月2日の日経新聞に「裁量労働制 点検を要請」とありました。これまで長時間労働についての自主点検表の提出を求められることはありましたが、「裁量労働制」についての自主点検を求められることは初めてではないかと思います。以下記事より抜粋です。

厚生労働省は1日までに「裁量労働制」を適用する事業所に自主点検を求めることを決め、都道府県労働局に通知した。裁量労働制を不適切に運用する事業所が後を絶たないことから、約1万3千事業所に2月中に報告書の提出を求める。

 裁量労働制を巡っては、野村不動産が企画立案などの業務が対象の「企画業務型」を適用する社員に営業活動をさせ、残業代の未払いなどがあったとして、東京労働局から2017年12月に是正勧告を受けた。

記事では、不適切な運用を防ぐため、①業務内容が適切であるかどうか②社員の健康管理を行っているかなど点検するように求めるとあります。事業場が提出した報告書を精査し、各労働局や労働基準監督署が指導するということです。

専門業務型裁量労働制や企画業務型裁量労働制については労使協定等締結を要件とし、労働基準監督署に届け出ることが導入要件ですので、現在労使協定を届け出ている会社は、自主点検票が送られてくることと思います。いまから「採用要件を満たしているか」、「みなし労働時間制は適切か」なども確認しておくと良いと思います。

労働基準監督署の調査の際には、全体的に長時間労働だと監督官が感じたときは、裁量労働制の対象者の勤務時間がわかるものも見せて欲しいと言われることがあります。あまりに長時間労働が続いていると、みなし労働時間制をとっていること自体がおかしい(労働者の裁量があるとは考えられない)とされることもあるということなので、長時間の日があっても短時間の日もあるなどメリハリのある運用を求められることに注意が必要です。

インフルエンザがとても流行っており、事務所でも順番に誰かがインフルエンザにかかっているという状態が昨年から続いている感じです。どうも見ているとやはり予防接種を受けていない人がかかっているような気がしますが油断は大敵と思い、一生懸命手を洗い、外出から戻ればファブリーズをコートにスプレーしています。

来週はOURS小磯社労士法人25周年のお祝いの会を顧問先企業にご案内して行うことにしていますので、ここは絶対にインフルエンザにはかかれない状況です。TAC時代にお世話になったディレクターにDVDを作成してもらって25年間撮った写真の編集したものを上映するほか、OURSの日常を知っていただくため(「寸劇」をやろうとしたところこちらについてはあっさりスタッフに却下され)「OURSクイズ」というものを行うことにしました。これまでいろいろな時間をかけて準備をしてきましたので是非来られた皆様が楽しんでいただけるようにと思っています。