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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

健康診断の費用負担について

2016-02-29 00:21:27 | 労務管理

健康診断を実施するための費用については、会社が負担すべきかどうかということについては通達が出ています。

「労働安全衛生法(安衛法)の定めによりる健康診断を実施する場合、その健康診断の実施に要する費用は、労働者が事業者の指定する医師(歯科医師)以外の医師(歯科医師)による健康診断を受ける場合を除いて、事業者が負担しなければならない」(昭47.9.18基発第602号)とされています。

これは安衛法第66条の1項に、事業者の健康診断実施義務が定められていることが根拠になります。

それでは健康診断を受診後の再検査についての費用は事業者が負担すべきかどうかという点ですが、これは事業者に再検査の費用負担の義務はないということになります。

健康診断の事後措置として労働安全衛生法66条の5に定められているのは、「労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備等」です。この中には再検査の受診は含まれておらず、再検査の実施は安衛法に定められた事業者の義務ではないということになるため費用の負担義務がないということになります。

なお、健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針(平成8年健康診断結果措置指針公示第1号)において以下の通り示されています。

(5)その他の留意事項
ハ 再検査又は精密検査の取扱い
事業者は、就業上の措置を決定するに当たっては、できる限り詳しい情報に基づいて行うことが適当であることから、再検査又は精密検査を行う必要のある労働者に対して、当該再検査又は精密検査受診を勧奨するとともに、意見を聴く医師等に当該検査の結果を提出するように働きかけることが適当である。
なお、再検査又は精密検査は、診断の確定や症状を明らかにするものであり、一律には事業者にその実施が義務付けられているものではないが、有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則、高気圧作業安全衛生規則に基づく特殊健康診断として規定されているものについては、事業者にその実施が義務付けられているので留意する必要がある。

ストレスチェックについての費用負担については同様に、実施が事業者に義務付けられているため費用負担は事業主に義務があるということが以下Q&Aに示されています。

ストレスチェック制度関係 Q&A
Q0-5 ストレスチェックや面接指導の費用は、事業者が負担すべきものでしょうか、それとも労働者にも負担させて良いのでしょうか。
A ストレスチェック及び面接指導の費用については、法で事業者にストレスチェック及び面接指導の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものです。

先週は東京都社会保険労務士会の倫理研修の講師としての役目が何とか無事終わることができて、ほっとしました。今回倫理研修を行うことになり、当初どのようなこを話せばよいのか全くイメージがなく非常に不安だったのですが、テキストを読み込んであれこれ他士業の倫理についての考え方などを調べていくうちに非常にこれも奥が深い話なのだということに気が付きました。

究極「倫理」は社会保険労務士としてどこに立脚して仕事をしていくのかというところに行きつくように思うのですが、国家資格者としての社会保険労務士という立ち位置を常に心にとどめておく必要があるということを感じました。

自分自身もそうですが、資格取得をする前の「社労士資格」というのは国家資格の一つで非常に高い目標を目指して受験勉強に励んだのだと思います。それは自分のクラスで学んだ受講生を思い起こしてもみんな合格した時は国家資格を手にしたということで喜び誇らしく感じていたと思います。

仕事を始めるとまわりは社労士ばっかりであり、長年社労士として仕事をしていればそれほど国家資格者であることは意識しないようになるのかと思うのですが、やはり一般の人たちから見れば100人に10人も合格しない(昨年は100人に2.6人)難関資格を突破した国家資格者であるということはとても輝かしいことなのではないかと思います。その合格した時の気持ちを忘れないことが倫理にとっては非常に大切なことなのではないかと思います。


健康について

2016-02-21 23:10:47 | 雑感

先週の木曜日の新聞に「朝方の人 増える」という記事が載っていました。昨年、就寝時間が早まったということがNHK放送文化研究所の「国民生活時間調査」で分かったそうです。早起きや朝働く人も増え続けており、人々の生活が朝型にシフトしているようです。

調査によると日本人の平均睡眠時間は7時間15分、夜は各曜日とも半数以上の人が午後11時には寝ており、2010年の調査と比べて早まっているとのことです。また朝寝ている人が半数を切る時間は平日が6時15分、土曜日は6時半、日曜日は7時ということで、平日5時~7時15分に就寝中の人が減り、早起きの傾向も進んでいるそうです。

働く時間も朝に移行しており、平日の朝8時より前に仕事をしている人は2000年の13%から20%に増え、午後1時~5時、午後1時~9時半は減少傾向、同僚らとの飲食など「仕事の付き合い」も減っているということです。

我が身を省みると睡眠時間はだいたい5時間から6時間(7時間以上寝ると必ず2時間くらいで目が覚めます)、朝6時15分は目が覚めてもまだ眠れると布団をかぶっている時間帯に既に半数以上の人が起きているということについては驚きです。

最近年齢もあり健康について自己管理をすることにしてから、食事も気をつけて昼食を食べ損ねそうなときはお弁当を持参し、タクシーには絶対載らない決意で早足で歩きかなり脚の筋肉も戻ってきて、体重もコンスタントに減少傾向と良い感じです。睡眠はまだまだ改善の余地がありそうですが、今の仕事量ではなかなかそこまで寝てられる感じでもありません。ただ気が付いたのは、今の業務量で歩きを基本とすると、事務所に行き、その後顧問先などへの2か所以上の移動をした場合はゆうに1万歩は歩いており、かなり生活の中で運動量は確保されているようです。

ここ2年くらいこの生活で家に帰り食事を作ると食べた後起きていられず思わずそこで寝てしまったりしていたのですが、食事作りなどもかなりの運動量になるようなのです。例えば皿洗いだけでも27Kカロリーとされているのでそこに買い物と食事作りが加わるとウォーキングくらいのエネルギー消費にはなるような気がします。やはり女性は年齢が上がっても家事を担うことによりかなり運動している可能性があり、それが長寿の秘訣にもなっているのかなという気がします。

なかなか夜のお付き合いが副会長になってから増えてしまい夕食が作れないことが多いため1箇月に10日分食事を届けてもらう契約をしているのですが、お弁当の準備のため台所に立つ機会が増えているような気がします。忙しいですが、やはり健康は食事と運動のようなので、こまごまと作り置きはしておこうと思っています。


マイナンバー雇用保険関係の扱いについて

2016-02-14 19:06:12 | 法改正

12月18日に示された継続給付についてはハローワークが本人確認や代理権の確認を行うという方法を1月中に見直すということで厚生労働省のHPに示されていましたが、2月9日にやっと新たな雇用保険関係の取り扱いについて示されました。リーフは以下の通りです。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000107394.pdf

内容としては、以下の届け出については、本人が提出することも可能ですが、原則として、労使協定を締結の上事業主からの提出することになっており、「事業主から提出する場合には、事業主において、本人の個人番号確認や身元(実在)確認を行ってください。」ということになりました。

① 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
② 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
③ 介護休業給付金支給申請書

詳細は以下にあります。http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000087941.html

個人番号を会社に提出したくないという社員がいるがどうすれば良いかと以後質問が最近数件ありましたが、じっくり待つしかないような気がします。随分昔、給与が振込に変わるという時代に、直接払ではない振込については労働者の同意が必要であると労基法及び通達で定められているところを、なかなかその同意がもらえていないという会社がありました。結局その社員が定年を迎えるまで現金払いしていたとのこと。やっと定年になってくれましたと人事担当者が言っていたのが印象的であったのですが、それを思い出して仕方がありません。

会社に提出しなくても、又もし通知カードを受け取らなかったとしても個人番号が付番されている以上、国は今後その番号で管理して行くことができます。番号を会社に出さないというのはほんのささやかな抵抗に過ぎないということになると思います。

この間の水曜日事務所のメンバーと打合せ後食事をしてかなりリラックスして帰りました。油断していたのか、電車に乗りドア際に立ってスマートフォンを見ていたら恵比寿の駅でドアがひらいた際に取り落とし見事にスマホは真下に落下して行きました。駅員さんに拾い上げてもらい動作は問題なかったのですがガラス面がバリバリに。幸い補償サービスには入っていたので代替品を送ってもらいました。

今日その代替品旧のスマホの中身を新たなスマホに取り込み、旧のスマホを初期化という手順で送り返す作業をしたのですが、この作業がなかなか難航し4時間半くらい費やしてしまいました。自分の不注意とはいえ無駄な時間を過ごしてしまいせっかくの休みにもったいないことをしてしまいました。電車の入り口でスマホは要注意ですね。

とりあえず今日の予定を取り戻すためこれから倫理研修の勉強をします。


育児・介護休業法改正による介護離職防止

2016-02-07 22:18:44 | 法改正

介護休業給付金の給付率引き上げや、雇用保険を65歳以上にも適用することなどを盛り込んだ雇用保険法等改正案が1月29日にを閣議決定されました。この改正案は、雇用保険法、介護休業の分割取得を可能にする育児・介護休業法改正の他、男女雇用機会均等法、労働保険徴収法、高年齢者雇用安定法など、六つの法律の改正案を1本にまとめ通常国会に提出されます。沢山の内容が含まれておりこれはなかなか内容をこなしていくのに時間がかかりそうです。

新聞社より取材の申込みのお電話を頂いたので、いずれにしても勉強しなければならないのでちょうど良い機会かと思いお受けすることにして週末資料に目を通しました。 特に介護離職の防止に関する改正についてが取材のポイントになるようですのでその点について取り上げてみようと思います。

この改正案については、厚生労働省の労働政策審議会が、平成27年12月21日厚生労働大臣に対し「仕事と家庭の両立支援対策の充実について」として建議したもので、「育児・介護休業法」の一部改正法(平成21年法律第65号)の附則第7条*の検討規定に基づき、半年ほど前からから、育児・介護休業法などの施行状況等を勘案し、仕事と家庭の両立支援対策の充実について、雇用均等分科会で検討を行った結果に基づくものです。

*育児・介護休業法の一部改正法(平成21年法律第65号)附則第7条において、「政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況において検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」とされており、平成22年の改正から5年を経過して検討を実施したものとなります。

●介護離職を防止するための改正案は以下の通りです。

1.介護休業(93日:介護の体制構築のための休業)の分割取得
対象家族1人につき、3回を上限として、通算93日まで、介護休業を分割取得することができることとする。


2.介護休暇(年5日)の取得単位の柔軟化
半日(所定労働時間の二分の一)単位の取得を可能とする。(日常的な介護ニーズに対応)


3.介護のための所定労働時間の短縮措置等(選択的措置義務)      

介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用を可能とする。(日常的な介護ニーズに対応)


4.介護のための所定外労働の免除(新設)
介護終了までの期間について請求することのできる権利として新設する。(日常的な介護ニーズに対応)


5.介護休業等の対象家族の範囲の拡大
同居・扶養していない祖父母、兄弟姉妹及び孫も追加。(現行:配偶者、父母、子、配偶者の父母、『同居かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫』)

6.仕事と介護の両立に向けた情報提供
労働者に対する介護サービスや介護休業に関する相談・支援の充実を図るとともに、企業における両立支援制度の利用等に関する周知や相談窓口の設置等の取組を支援する。

これまで介護休業は要介護状態にある同一の対象家族については介護休業開始日から93日の休業が取得できました。しかし分割して2回目以降の介護休業が取れるのは異なる要介護状態にある場合であり、例えば30日で介護休業を終了させてしまうとその後同一の対象家族の同じ要介護状態では通算取得はできない定めになっていました。企業によっては分割取得を認めてもよいと考える場合もありましたが、さすがにあまりにも細かく取得されるとそれは困るということで、なかなか分割取得の規定を入れられないでいたというところが実情であったと思います。介護休業を取得するケースは要介護認定を受ける、介護施設を探す等の準備段階に取得することが多いと良く人事担当者から聞いていました。

上記1及び2の改正案により、今回介護休暇の半日取得と合わせて介護休業も3回上限で通算取得が可能となりかなり使い勝手が良くなったと思います。

また、上記3の所定労働時間の短縮等の選択措置義務の選択措置については現行と同様の、短時間勤務制度、フレックスタイム制、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、介護サービス費用の助成4つからの選択になりますが、異なるのは現行「介護休業と通算して93日の範囲内で取得可能」であったものが、利用開始から3年間の間に2回以上の利用が可能となるという点です。3年の期間の幅があれば短時間勤務を選択して勤務を継続しながらある程度十分と感じられる介護は可能と思われ、介護離職に対する防止効果は大きいと考えます。

概要は以下の通りです(わかりやすくまとめられています)

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11903000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Shokugyoukateiryouritsuka/0000107676.pdf

12月、1月と毎日夜宴会続きで健康診断の結果があまり芳しくない状況であったので、少し節制することにして、昼食が取れなさそうなスケジュールの日は小さなお弁当を作ることにしました(これまで午後一の会議等で外出するときは食事をしない又は事務所に常備してあるカップヌードルで済ましていました)。

外出の際はできるだけ早足で歩き運動不足も補うことにして、まだまだ仕事はしていたいと思いますので、少しこれからは自分の身体をきちんとメンテナンスすることにしようと思います。