定年再雇用の場合の賃金の決め方について、よくご質問があるのはどの程度下がることが一般的なのかというものです。だいたい6割から8割程度の減額が一般的と感じますが、もともとの賃金水準が高い企業の場合はもっと減額するケースも多々あります。もともとの賃金の額が大きく影響するため減額割合をうんぬんするのはあまり意味がないと思いますが、定年後年金を受給しながら働くということになると、賃金と年金と高年齢雇用継続給付のバランスを考えることが一般的なので、おのずと賃金額は同じような額になることが多いです。
しかし定年再雇用後の賃金が下がるのは定年後なのだから当然ということはないはずで、下がることになるのであれば従来とはどこか違う職務にしてくださいとこれまでもお願いしてきました。60歳になったら急に能力が下がるわけでもないので、責任度合い、出勤日数、仕事の内容などどこかを軽くするということでなければ賃金を下げるのはおかしなことです。
大きな会社は下の年齢層がつかえていることもあり、役職や職務が変更になることが当たり前で、また小さな会社はその社員が余人に替え難しということであれば職務の変更も賃金の変更もないということがあるなか、中堅の企業がなかなかその点が難しいケースがあるようです。「そうはいってもね~現実はそう言うわけにもいかんのですよ」とおっしゃられて、その時の打ち合わせでは雰囲気が悪くなったという経験もあります。
定年後再雇用されたトラック運転手が、定年前と同じ職務であるにもかかわらず3割程度の賃金の減額は違法であり定年前と同じ賃金を払うことを求めた裁判の判決が5月13日東京地裁で下りました。判決では、賃金の引き下げは労働契約法第20条の「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止」に違反するということで無効とされたもので、今後上級裁判所の判決がどのようになるかはわかりませんが、賃金の差は期間の定めがあるか否かでではなく、あくまで職務の違いによることという同一労働同一賃金法の考え方が促進していく可能性は大だと思います。
同一労働同一賃金法の方向性としては、日本の場合職務給を市場の価値の中で決めるのはなかなか難しいところなので企業横断的ではなく、企業内での職務給の設定を目指すということになると聞いています。同じ企業内では正社員・契約社員・嘱託社員・パート・アルバイトにかかわらず同じ仕事をしていれば同じ賃金を払うという賃金制度の設計をしていくことになると思いますので、これまでの思考方法を少し洗い替えする必要があります。
判決の内容は以下の日経新聞の内容をご確認ください。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG13H9O_T10C16A5CC1000/
社労士の場合、たくさんの顧問先を担当として抱えることになりますので、常にいろいろな案件が頭に入ってい状態になると思います。私も自分が担当する顧問先企業があり、またスタッフが担当している顧問先企業でも相談案件は一緒に担当することもあり、またOURS全体の運営あり、セミナーや執筆をすることもあり、さらに統括支部長と副会長という社労士会のお役目もあり、まあ多少の家事もしているわけで、それらをつつがなく進めていくことについてはかなり頭の中であれこれ飛び交っている状態です。
先日「スピード仕事術」を読んでいて同感したのですが、著者の佐藤さんは「1つの案件だけに集中する」「そして一つの案件を処理したら、それもスパッと忘れて次の仕事に移っていく」というのがたくさんあるプロジェクトを混乱なく進められ理由としています。私の場合手帳にこまごまと仕事の予定を記入しておきできるだけ予定していたことは済ませるようにしています。その上で終わったら次に思い出さなければいけないタイミングを手帳に書いておいてスパッとその件は忘れることにしています。手が空いているときにしょっちゅう手帳を見直して、すべての案件がもれなく対応できるようにしているわけです。
顧問先にご質問を投げかける等をしてなかなかボールが戻らないときでも、ボールを戻してもらうようこちらからご連絡は必ずするようにしています。戻らないからといってそのままにしておくと思いがけない時にボールが戻ってきて予定が狂うと計画が破たんしてしまうので、それは避けたいからです。もし計画が遅れるというご返事があればそれに従って計画を変更していきます。従って手帳には付箋とホワイトを多用しています。