OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

勤務延長制度について

2022-08-21 22:09:40 | 労務管理

60歳定年制の場合の65歳までの雇用確保措置として継続雇用制度がありますが、継続雇用制度には「再雇用制度」と「勤務延長制度」の2種類があります。一般的にはいったん退職とし、再雇用する再雇用制度を取る企業がほとんどであると思います。再雇用制度の場合は、再雇用の契約は定年前の労働条件とは関係なく新たな契約となるため、仕事も給与も大きく変わることが多いと思います。

「令和3年賃金事情等総合調査」によると、再雇用制度がある会社162社に対して勤務延長制度がある会社は4社です。ちなみに再雇用時の雇用・就業形態としては、162社中嘱託社員が85社、契約社員が45社、正社員が10社、パートアルバイトが8社となっています。再雇用制度適用者の労働条件は、定期昇給がなしが135社、賞与は正社員と比較して低い水準が109社、定年時(再雇用前)の退職金の支払いがありは136社、なし(再雇用契約終了時の支払含む)が26社であり、定年後再雇用分の退職金の支給はないが107社となっています。

60歳定年で退職せず残って欲しいというご要望のある会社さんのご相談があったのですが、そうであれば再雇用制度ではなく「勤務延長制度」が適しているのではないかということで勤務延長制度を調べてみました。勤務延長制度は定年に達したときに退職をせず勤務を継続(延長)する制度であり、労働条件については定年前と同一というのが一般的のようです。ただし、この定義は法的なものではないため、昇給停止や給与その他の労働条件の引き下げを含む変更もある程度は可能ということになります。新たな契約である再雇用制度ほど大幅な労働条件の低下はできないと考えますが、仕事の量、責任などを若干軽くすることで給与の減額は問題ないと考えますし、退職金についても勤務延長の終了時に支払うこととして少しずつでも増える仕組みにすることで、定年後の働き方としては悪くないのではないかと考えます。

ちなみに国公法では勤務延長を、「定年退職予定者の職務の特殊性又は職務遂行上の特別の事情からみて、当該職員の退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときに、定年による退職の特例として、当該職員を定年退職日以降も当該日に従事している当該職務に従事させるため引き続いて勤務させる制度」とあり3年上限となっています。

勤務延長制度は、特殊性や特別な事情や医師等専門性が高い職務になじむようですが、今後の労働力不足により定年後も定年前と同様に働いてもらいたいということであれば、再雇用制度と選択できるようにする等の働き方の自由度を持たせることもあり得ますし、勤務延長制度を検討する場面が出てくるように思います。

コロナによる自粛と年齢のせいもあるのか、休みの日に外出せず自宅で過ごすのが一番のんびりして好きになりました。気に入ったお店で購入したドイツの紅茶が気に入って、オンラインで取り寄せて休みの日はゆっくり飲むのも楽しいです。でもやっぱり仕事が好きで、月曜日に事務所に行くのが億劫だと感じることはまったくなく、週末家でのんびりしながらも来週やる事の段取りを考えたりしています。

事務所は8月末が決算で9月から新年度です。9月以降秋にはいろいろセミナーや執筆、労務監査やPMI、就業規則のチェックなどかなりたくさんの仕事のご依頼を受けており、新たな気持ちで迎えられるように8月の残りの日々を有効に過ごしたいと思います。


令和3年版厚生労働白書

2022-08-07 22:16:57 | 社会保障

今年もはや明日で8月第2週ということでOURSも11日(木)の祝日から16日(火)までお盆休みに入りますが、それがあけると本試験まであと残すところ約10日といよいよ追い込みの時期に入ります。今年は事務所の受験生数名と毎月「本試験対策ルーム」を開き勉強してきたこともあり、いつも以上にどのような問題が出るのか気になっています。おおよそこの時期に授業も終わり、後は本試験まではこれまでやってきた問題を徹底的に繰り返してできるだけ確実に得点できるものを増やしていくことが大事だと思います。かたや白書などに目を通してみるのも良いと思うのですが、事務所で購入しようかと提案したところとても見る余裕はないとのこと。しかし考えてみると今は全部厚生労働省のHPで見ることができることを思い出し、直近令和3年版厚生労働白書にどのようなことが書かれているかを確認してみました。

第1部 新型コロナウイルス感染症と社会保障
 第1章 新型コロナウイルス感染症が国民生活に与えた影響と対応
  第1節 新型コロナウイルス感染症を契機に国民生活はどう変わったか
  第2節 特に大きな影響を受けた人々・活動への対応
 第2章 社会的危機と社会保障
  第1節 リーマンショック時との比較
  第2節 海外の取組み
  第3節 新型コロナウイルス感染症の感染拡大と社会保障

第2部 現下の政策課題への対応
     (以下略)
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/20/

上記について項目を眺めつつスクロールしながら内容をざっと見ておくと良いと思うのですが、まずは「はじめに」は1頁なので読んでおくと良いと思います。
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/20/dl/hajime.pdf

また、コロナ感染症抜きには語れないことから、以下雇用調整助成金のリーマンショック時とコロナ感染拡大時の違いは興味深いと思いました。コロナ感染が始まり雇用調整助成金の活用が決まったときの「特例」はリーマンショック時にならったものだったのですが、途中からリーマンショック時の特例をはるかに上回る特例を設定していったことが印象的でした。その話です。

(1)雇用調整助成金(P.116 カギ括弧は加筆)
(支給額は、リーマンショック時を大きく上回る)
 雇用調整助成金については、リーマンショック時、新型コロナ感染拡大時、いずれも支給要件に関する「特例措置」が設けられている。さらに今回の新型コロナ感染拡大時においては、第1章第2節で述べたとおり、「雇用保険の被保険者ではない労働者」を雇用する事業主に対する雇用調整助成金に準じた助成金「(緊急雇用安定助成金)」が設けられている。
 これらの特例措置の支給額(新型コロナ感染拡大時は緊急雇用安定助成金を含む。)を見ると、助成額の上限(1人1日当たり)や助成率の引上げ等の特例措置により、リーマンショック時を大きく上回っており、累積の支給額で見た場合、リーマンショック時は、特例措置の施行日である2008(平成20)年12月からの1年4か月で「6,600億円程度」であったのに対し、新型コロナ感染拡大時には、2020(令和2)年2月からの1年2か月で「3兆円を超える規模」となっている

特に雇用保険の被保険者ではない労働者に対する助成金の導入は、今後「雇用されている労働者」だけでなく「フリーランス」など広く就労者への補償をしていく方向性が今回見えたと思います。

お盆があけるとセミナーがいくつか控えており、また書籍の執筆の締め切りも迫るので今からある程度作っておく必要があるものが結構あり、夏休みには流石にゆっくりするために頑張っているところです。ここでコロナに罹ると色々なことが滞ることが心配なので自重するだけでなく、万が一の自宅療養の際、自宅に籠ることに備えて、オキシメータ、ロキソニンと抗体・抗原検査キットを購入しました。使わないで済むことを願っています。

来週は夏休みということでブログはお休みさせて頂きます。暑い日が続きますので熱中症にも気を付けて密はできるだけ避けつつ、久しぶりに行動制限のないお盆をお過ごしください。