OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

時間管理のこと

2016-11-27 23:37:53 | 雑感

最近「メールの時間が遅いですね」と言われることが多々あり、若干問題意識を持っています。本屋さんに行って本を眺めるのが至福の時間ではありますが、つい手に取ってしまうのが「仕事をスピーディーに片づけるには」というような本です。

ブログにも書いたことがあるかと思いますが、「佐藤オオキのスピード仕事術(幻冬舎)」とか「ハイパフォーマー思考(KKベストセラーズ)」とかを読むと自分の仕事もどんどん片付いたりするイメージになるのは良いのですが、実際はそんなわけでもなくかなり夜遅くまで、また休日も仕事をしている状況もたびたびです。

今回購入したのは「仕事に追われない仕事術(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」です。今日は東京会の旅行で鬼怒川に行きましたのでその行きかえりに読んでみたのですが、印象に残ったのは以下の部分でした。

●オーナーの「本当の仕事」とは「オーナーにしかできない仕事」です。会社の方針の決定や戦略立案がそれに当たります。日常業務に入り込み過ぎて、「本当の仕事」を忘れているオーナーが実際には多いのではないでしょうか。…忘れているわけではないのですが確かにその傾向は大です。

●手に負えないほど仕事を抱えれば、仕事の質が落ちるのは当然ですが、それを気にかける人はあまりいないのはなぜか?私のクライアントの中にも、手いっぱいの仕事を抱えているのに「もっと仕事がしたい」という人がたくさんいます。…私もこれですね。

この問題は単純で、仕事の能力と実際の仕事量との兼ね合いに気を配れば解決できます。効率の向上にも限度がありますから、その先は仕事を減らすしかないのです。

ここでは仕事を抱えた原因、つまり、あなたのコミットメントに注目しましょう。上に頼まれたにしろ、自分で引き受けたにしろ、結局はあなたのコミットメントが問題の源泉です。「仕事を減らすこと=コミットメントを減らすこと」です。…色々と面白そうに思うのでついコミットメントしたくなるんですね。

この本に「マニャーナの法則」というものが載っているのですが、「1日に発生する仕事を集めて、必ず次の日にやる」という考え方です。常に仕事に1日分の「バッファー・ゾーン」を設ける考え方ということです。

①今日、新たに発生した仕事を集めておく ②仕事を類別する ③類別した方針に従って、翌日まとめて処理する という方法でメールや書類を翌日集中して処理すると同時にすぐに処理できない手間のかかるタスクは細分化して管理する、ということなのです。

整理してから処理する、というのは確かに良い方法かもしれません。またタスクを細分化するというのは確かに仕事が進む方法だと認識しています。重要な論文がなかなか取り掛かれないという医師には、毎日仕事の開始5分でもよいので書くことを進めるそうです。それはかなり効果的な感じがします。

先週弁護士の渡辺岳先生に東京会の会報に登場いただくためのインタビューに同行してお話を伺う機会がありました。いつも的確な内容で素晴らしいなあと思うのですが、インタビュー後の雑談の中での労働時間のお話は楽しかったです。

労働時間が長いのがすべて悪いかというと、何かを成し遂げるためにはそれに没頭して時間を忘れるということもあるはずで、やらされている仕事と自分で率先して取り組んでいる仕事では心身の負担も異なるのではないかというのは同感でした。

その線引きをどのように設けるのが良いかということをしきりと考えておられる様子で、確かにそこまで考える必要があるのだと目からうろこでした。私ももっともっと深い思考ができるようにならなければいけないなと感じました。


労使協定まとめ

2016-11-19 22:39:04 | 労働法

例年、労働基準監督署の調査はだいたい夏までであったように思うのですが、今年はまだ少し続いているようです。今年の調査は「長時間労働の抑制」がポイントだったので。時間外及び休日労働に係る労使協定(36協定)違反の部分が是正勧告になってしまったケースが多いと思いますが、賃金の一部控除に係る労使協定(24協定)についても締結していない場合是正勧告とされていました。

そもそも労使協定といっても、労働基準監督署に届け出る必要があるものと必要がないものがあり、24協定は届出が必要がないだけに締結したと思うがどこに保存されているかが分からないという場合もあります。そういう場合はちょっともったいない気がしてしまいます。

以下労使協定をまとめてみました。例えば24協定に係る労使協定は、税金や保険料を控除するだけの場合は必要がありませんが、家賃とか労働組合費など法律に定められていないものを控除する際は締結の必要があります。

●主な労使協定(届出は管轄の労働基準監督署への届出をいう)

労使協定種類

届出

有効期限

有効期間

①時間外の休日労働(36協定)

原則1年間

②賃金の一部控除(24協定)

×

×

 

③1箇月単位の変形労働時間制※

3年以内が望ましい

④フレックスタイム制

×

×

 

⑤1年単位の変形労働時間制

1年程度望ましい

⑥1週間単位の変形労働時間制

×

 

⑦休憩の一斉付与の例外

×

×

 

⑧事業場外労働のみなし労働時間制※

特に示されず

⑨専門業務型裁量労働制

3年以内が望ましい

⑩年次有給休暇の計画的付与

×

×

 

⑪年次有給休暇中の賃金

×

×

 

⑫時間単位年次有給休暇

×

×

 

※労使協定の締結による場合は締結する。

事務所では皆が顧問先の育児介護休業規程の改定を集中的に取り組んでいます。中には平成22年より前の改正も反映していないらしいと言って来られる会社さんもあります。そうなると今あるものの改定より刷新の方が良い場合もあります。

そのほか合併により退職金が算定基礎額に支給率を乗じる方式だったものを統一のためポイント制へ変更する取組、無期転換に備えて評価制度の導入を考えている企業、規程と運用に誤差がないかの精査など様々な仕事があり、その上いろいろな問題も会社では起こっておりアドバイスを求められることに対応するには頭を次々切り替えていく必要があります。都度調べることも楽しいです。社労士の仕事の幅が広がってきたためと言えると思いますが、社労士の仕事というのはつくづく面白いと感じます。


雇用保険の適用拡大について

2016-11-13 22:01:41 | 労働保険

平成29年1月1日より雇用保険の適用拡大が行われます。これまで同一の事業主に65歳到達日の前日(誕生日の前々日)から引き続いて65歳に達した日以後の日において雇用されている場合のみ、「高年齢継続被保険者」として65歳以上であっても雇用保険が適用されていました。それが1月以降は65歳以上で新たに雇用された場合にも「高年齢被保険者」として雇用保険が適用されることになったものです。詳しくは文末のリーフレットに書かれていますが、手続きとしては以下の通りとなっています。※いずれも雇用保険の被保険者の要件を満たしている場合。

①平成29年1月1日以降に新たに雇用した場合→雇用した時点から被保険者になるため、雇用した日の属する月の翌日10日までに資格取得届を提出する。(労働条件の変更があり適用要件に該当した場合も労働条件の変更日の属する月の翌月10日まで)

②平成28年12月末までに雇用されていたが65歳以上で雇用されたため高年齢継続被保険者には該当していなかったが平成29年1月1日以降も継続して雇用している場合→平成29年1月1日より「高年齢被保険者」となるため平成29年3月31日までに取得届を提出する。

③平成29年1月1日時点で「高年齢継続被保険者」である場合で平成29年1月1日以降も継続して雇用している場合→自動的に高年齢被保険者となるため届出は不要。

ところで雇用保険の被保険者要件というのはこれまで以下の変遷をたどってきました。やはり歴史はなかなか面白いです。

 

週所定労働時間

年収

雇用期間

昭和50年~

通常の労働者のおおむね4分の3以上かつ22時間以上

52万円以上

反復継続して就労する者

平成元年~

22時間以上

90万円以上

1年以上(見込み)

平成6年~

20時間以上

90万円以上

1年以上(見込み)

平成13年~

20時間以上

年収要件廃止

1年以上(見込み)

平成21年~

20時間以上

6カ月以上(見込み)

平成22年~

20時間以上

31日以上(見込み)

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000136394.pdf

今年の社労士試験の合格率は4.4%ということで昨年ほどではないものの非常に厳しい結果であったと思います。しかし択一の基準点は思いのほか低く42点で救済も3科目あり。これは問題が難しかったのか、少なくともこれ以上低くすることもできなかったであろう基準点だったので、合格率が低くても仕方がないような気がしました。受験生もさることながら、各資格取得校の試験対策、頑張ってほしいですね。

残すところ今年もあと2か月を切り、はや年末年始の準備も始めています。インフルエンザの予防接種も受け、おせちや大掃除の予約もすでに完了しました。その前に来週末は事務所の皆と名古屋1泊の社員旅行に行ってまいります。昨年から1泊の社員旅行で顧問先の関係資料館などの見学をしています。事務所のスタッフも楽しいと言ってくれるのがうれしいです。味噌カツやひつまぶし食べてきます。 


第三者行為災害について

2016-11-06 23:29:15 | 労働保険

労災保険の保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じた場合には、第三者行為災害届を提出することになります。

労災保険の保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じた場合、被災労働者は労災保険の保険給付を受ける権利を有するとともに、第三者に対して損害賠償を請求する権利を有することになります。しかし、保険給付と損害賠償が2重に填補されるのは適当ではないため、以下の調整を行うこととされており、そのために第三者を把握する必要があり、第三者行為災害届を提出するということになるわけです。

①保険給付が行われる前に同一の事由で損害賠償が行われた場合は、その価額の限度で労災保険の保険給付が行われないことになっています。

②先に労災保険の保険給付が行われた場合は、政府はその価額の限度で、被災労働者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得することになります。その請求権を政府が第三者に行使することを「求償」と言います。要するに労災給付にかかった費用を第三者に負担してもらうという考え方です。

交通事故などの場合に、「自賠責」が先行すれば①に該当するため、労災の保険給付は同一の事由については給付が行われないということになります。このケースの場合は比較的わかりやすいのですが、例えば会社から帰宅する際に酔っ払いに絡まれて殴られた場合などは、第三者行為災害なのですがその酔っ払いが逃げてしまっていると第三者が誰だかわからないということになります。その場合でも第三者行為災害届は提出することになりますが、政府は労災保険給付を行っても第三者が不明であるため、「求償」は行えないということになります。

また職場の同僚による事故など以下の場合には、それが故意によるものなど特殊な場合を除き、求償権の行使は(調整は)行わないことになっています。

①事業主を同じくする同一事業場内の労働者間の加害行為

②事業主を同じくするが、事業場を異にする労働者間の加害行為

③同一作業場内における使用者を異にする労働者間の加害行為

上記の場合は事業主が労働者に係る労災保険の保険料を支払っているにもかかわらず、第三者である別の労働者等に求償を行って費用を負担させるのは、事業主が労災保険料を支払っている意味が薄れるため、求償は行わないということになっているのです。

従って、会社内でパワハラが行われて労災認定された場合であっても、パワハラを行った従業員に求償権が行使されることはありません。第三者行為災害届を提出しなくてもよいという監督署の指示がある場合もあるようです。

最近車の運転を頻繁にしてだいぶ勘が戻ってきました。20歳で免許を取ってから、20代・30代のころは子供を連れて実家に帰るために東名高速をよく行き来していました。その後TACの講師時代もよくハローワークに行くためなどにも運転していたのですが、仕事で使うと駐車違反で切符を切られたりレッカーで持ってかれてしまったことも1回あり、かえって駐車場を探すことで時間をとられるのも面倒になり、ここ10年近くはほとんど週末ちょっと運転するだけという状態でした。運転しだすとやはり便利で、特に親の入院もあったので助かりました。とはいえ年のせいか以前より敏捷でなくなっているので、安全運転で行きたいと思います。