OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

開業記21 BBクラブ10周年に頂いた評価

2011-06-26 23:35:01 | 開業記

21 BBクラブ10周年に頂いた評価

昨日は合格者OBの勉強会である「BBクラブ10周年記念事業の日」でした。3年前ほどから10周年は記念のパーティーをしようという意見が幹事さんの間から出て、最初のうちは恒例の法改正の勉強会の後ホテルでのパーティーだと着飾って講義を受けるのが何かおかしい感じだとか、ホテルのパーティーは贅沢なのでは?など比較的のんびりと話し合いながら準備をしていたのですが、ここ半年はやはりなかなか実行委員や幹事さんの準備が大変そうではありました。そんな中、四谷の弘済会館で佐々淳行先生(初代内閣安全保障室長)のご講演と、15年間の講師生活の中で一番数多くの受講生を合格祝賀会で送り出した思い出のホテルであるホテル・ニューオータニでの立食パーティーが行われたわけです。

ニューオータニで行われたパーティーは、幹事長の鞍橋さんの開会宣言に始まり、三嶽さんのパワーあふれる乾杯、石田さん作成のBBクラブのこれまでのスライドでこの10年を振り返り、会員の吉川さんを師匠とし、やはり会員の吉田さん、港支部の女性社労士の先生2名が応援に来ていただいて披露された余興に大いに拍手し、プレゼントコーナーでは当選会員にプレゼントがあたり特に紺野さんがこれでこれから運がつきました!と盛り上がり、10周年の実行委員が幹事さんに10年の感謝の意を表し、松井会長と島中先生の続投宣言があり、一本締めで終わるというとても楽しく、充実した会となりました。食事もとても美味しく、ちょっと背伸びかなと思いましたがホテルで行い10周年の区切りを一つ実感できてよかったなと思いました。

しかし、それ以上に私がうれしく感じたのは、講演に来ていただいた佐々淳行先生のBB会員に向けて頂いたお言葉でした。

当初、先生は勉強会の規模をそれほどの人数だと思っておられなかったのかもしれません。事前に実行委員長の山下さんが佐々先生の秘書さんに講演会参加者は135名程度とお伝えした時に、秘書さんは「そんなに大きな規模なのですか?」と驚かれたそうですが。会場はかなり細長い部屋で、多少3人掛けで座り、開始時刻にはびっしり人が入った状態となりました。佐々先生は講師のお席に座られ、私がはじめの挨拶をしているときに、BB会員の様子を見ておられたのだと思います。お話の冒頭に「本来お休みであるはずの土曜日の午後の時間にこれだけの人が勉強に集まるということは、日本人はまだ捨てたものではないなと思いました」とおっしゃいました。私はそれを聞いていきなり目頭が熱くなってしまったのです。

会員のほとんどは日曜クラスから合格された方ですから、平日仕事をしながら土日に勉強ということについては比較的抵抗はないと思います。私も15年間の講師生活のうち13年間程度は日曜クラスを持っていましたので、土曜日の午後など平日の延長といえなくもないという感じです。ただ、合格してから長い人で10年たった今でも、休日を返上してBBの勉強会に出てきてくれるということは世間一般からするとそういうことなんだと。佐々先生は優しい目をされていますがお世辞を言うような方ではないと思いますので、それは10年間続いたBBクラブの会員の姿勢をを高く評価して頂いたのだなと、これまでずっとついてきてくれたBBクラブの会員をとても誇らしく感じた次第です。

佐々先生の講演は、その知識とご経験からくるお話の厚みが素晴らしく、歴史から現在の政治を紐解き、大きな視点からものを見ることの必要性を教えていただいたと思いました。何もメモを見られず2時間よどみなく、例えば中国の歴代の首相の名前がポンポンと出てくるお話を聞いていると、もっといろいろなお話を聞いてみたいと思うものでした。まだまだこれからいろいろなことをたくさん我々の世代やそれより若い世代に伝えていただきたいと強く思いました。

講演を終えられ出口まで行かれた時に、ああそういえばという感じで「BBというのはケネディーのbest and brightest(ベスト&ブライテスト)という意味があるからね。覚えておいて」と会場のみんなに頂きました。実は、佐々先生をお出迎えして控室にお通しした時、まず「BBクラブ」というのはどういう意味なのかと私に問われて、私が(恥ずかしながら)社労士試験のため勉強したことを忘却するのを防止しようという趣旨で付けましたとご説明したところ、「ああそうなんだ、私はまたケネディーのベスト&ブライテストかなと思ったんだが」とおっしゃっていたのです。パーティーが始まる前に調べましたら、「best and brightest(ベスト&ブライテスト)=最良の、もっとも聡明な人々を意味し、1960年代のアメリカ合衆国のケネディーとそれを引き継いだジョンソン政権において安全保障政策を担当した閣僚及び大統領補佐官たちを指す」ということでした。きっとBBクラブの会員の講演を聞く真摯な姿勢がなければ、帰り際のあの声掛けはなかっただろうと思います。私はこのBBクラブの10年に対しての会員みんなの学ぼうとする姿勢に対して大きな評価をいただいたと思っています。


開業記⑳仕事をしていく上で大事にしていること

2011-06-19 22:29:20 | 開業記

開業記20 仕事をしていくうえで大事にしていること

20代半ばで家庭に入り10年後の社会復帰が開業社労士としての第一歩だった私にとって、仕事をしていくうえで大事にしていることはいくつかあります。

①本質を見極め表面的なことにとらわれないこと

・・・「本質を見極めよう」ということは開業当時からよく考えていました。本質を見極めておけば仕事上の判断に大きな誤りはないであろうという考えています。例えば今回の算定における保険者算定の追加には被保険者の同意が必要ですが、それは法趣旨からいって適正な標準報酬月額が確保されるための手続きであり、決して被保険者が恣意的に運用してよいということではないということです。これは本質=法趣旨を考えればわかることで、本質を見極めることである程度のあたりがつき、それを持ってから調べ物をしていくのが楽しいです。

②仕事の段取り手順を常にイメージすること

・・・私は段取りを考えるのが大好きです。例えば原発推進か否かということは別として、今の政府の原発対応は段取り間違いと思っています。もし原発を再開したいと思うのであれば、福島の事故が起きた時にそれまでの方針を熟慮することなく方針転換という表明をしてはいけなかったと思います。福島第一の事故は「通常起こりえない異常で巨大な天災が原因であるがためのもので、他の原発に影響を与えるものではない」という論理でなければ、他の原発が今の状態で「安全対策が完了のため再開」といわれても納得できないのは当然だと思います。段取りがなければすべてがスムーズに動かなくなります。段取りをせず混沌とした状態で場当たり的に何かを進めていくと気分が悪くなってくるタイプです。

③自分の考えに固執せずおおらかな心を持つこと

…これは多分に仕事をしてく中で成長したのと自分の能力に対しての見極めがあると思います。自分の能力について凡庸と考えるが故、精一杯のアドバイスをして相手に投げたらあとは相手なりの結論を出してくれればよいと。自分の考えより勝るものはたくさんあると思うので、相手の結論がどのような形でも受け入れてさらにその後はそれに合った対応を考えています。当時未熟であった私が「絶対そうだもン」とよくいうのに対して、「世の中絶対いというのはないんだぞ」と開業当初TACで採点のアルバイトをしているチームのメンバーにたびたび言われたのを覚えています。それを比較的素直に受け入れて、多分仕事をしていく中で身につけて行った感覚だと思います。

④惜しみなく与えること

…自分が持っているものを出し惜しまないことにより、逆にあとでそれが大きなお返しになってくる。これが19年社労士として仕事をしてきた感想です。今自分がお返しをいただきながら仕事をさせてもらっているとよく思います。これからも惜しみなく与え、与えられる人生でありたいと思います。

⑤組織という考え方をよく念頭に置くこと

・・・組織の中で、今自分に何が要求されているのか、どのような立場で動くべきなのかということを考えるのが好きです。この春から渋谷支部の支部長のお役目をいただきましたが、やはり支部長と副支部長では、意識や目線が異なるなあと感じながら支部事業を考えています。非常に新鮮です。まだまだこの年齢になってもいろいろな世界が開けていくようなそんな感じがしてうれしいです。

いよいよ25日(土)はクラスの合格者のOB会であるBBクラブの10周年記念です。佐々淳行先生の講演をはじめとして幹事さんたちと色々なことを準備してきてとても楽しみな会になりそうな予感です。佐々先生のご本は「目黒警察署物語・佐々警部補パトロール日記」「連合赤軍あさま山荘事件」「後藤田正晴と12人の総理たち」「彼らが日本を滅ぼす」を拝読したので、ますます当日の講演が楽しみです。この10周年を区切りとして、BBクラブは20周年に向けて歩き出すことになります。色々なことがあると思いますが、「さらり」と乗り越えていつも笑顔でみんなを迎え入れられるように、そんなイメージでいます。当日は心に残る1日になるとよいと思います。

 

 


社会保障改革案 厚生年金の適用拡大について

2011-06-12 22:40:44 | 年金

6月2日に社会保障改革に関する集中検討会議の改革案が示されました。

年金については、お正月明けからもめていた第3号被保険者の制度見直しなどいろいろな改革案が示されていますが、その中には短時間労働者への厚生年金の適用拡大もあります。平成16年の改革の際も、おおむね5年程度をかけての今後の検討課題として付されていましたので当然と言えば当然なのですが、来年には国会で法案が審議されることになるであろう有期労働契約と併せて、これからの契約社員やパートタイマーの雇用については企業もいろいろな面からの更なる検討が必要になりそうです。

厚生年金の適用拡大については、現在通常の労働者の所定労働時間等のおおむね4分の3以上(大体1週間30時間以上と考えればよい)の所定労働時間である労働者が適用になっているところ、雇用保険と同じ所定労働時間が1週間に20時間以上に拡大する案になっています。その場合約400万人増ということで、収入は1600億円増を試算しているようです。

サラリーマンの被扶養配偶者としてパートで働いている場合、年金保険料は特に納付せず将来基礎年金が支給される第3号被保険者となります。したがってその場合厚生年金保険の被保険者になり保険料を納めることは何か損をするような気がするかもしれません。しかし第3号被保険者のもらう老齢基礎年金はいわゆる1階部分のみであり、厚生年金の被保険者であれば1階部分の上にさらに老齢厚生年金が2階部分として乗ることになり、損というのは目先にとらわれた話ということになります。保険料は、現在のところ標準報酬月額が98,000円(報酬は10万1千円未満)の最低の場合労働者負担が約7,868円ですから、その金額で2階建ての年金を受給できるのはかなりうまい話といえなくもないのです。

何かで読んだのですが、標準報酬月額の最低が98,000円というのはそれなりの制度設計がされているようです。つまり、この最低の保険料額は、事業主負担分を同額納付しますので合計で約15,736円ということで国民年金の第1号被保険者が納付する額を若干上回る程度の額です。国民年金保険料は、法律に規定されている平成23年度の保険料額15,260円(平成16年度価格)に、平成16年以降の物価や賃金の変動を反映した率(0.984)を乗じることにより、平成23年度は15,020円となっています。 簡単に言うと自営業の第1号被保険者は15,020円を納付して約79万円/年の年金を受給するのに対して、厚生年金保険の98,000円の被保険者は自己負担約7,868円を納付して約79万円/年+厚生年金部分が上乗せされるのですから、これは損するというような話ではありません(だいたい私はいつも損得を基準に考えてもろくなことがないと思っているのでほとんど損か得かということに興味はないですが)。

しかも、今回の改革案にある短時間労働者への適用拡大となれば、さらにそれより下の等級を作る可能性が高く、その場合は保険料はさらに低くなることが考えられます。そうなると第1号被保険者より、(事業主負担を合計したとしても)かなり低い保険料を納めるにもかかわらず、年金は2階建てということになるのは整合性に欠けるのではないのかという気がします。しかも適用を拡大するということは安い保険料であったとしても給付は将来発生するわけですから、当面保険料収入が1600億円増だとしても、将来の年金支払いにおいて大丈夫だという試算があるのか心配です。ただでさえかなりガタがきている年金制度ですから、これ以上場当たり的なことはかえって事態を悪化させかねないように思います。ところで、そういえば長妻さんはどうしちゃったんでしょうか。今これを書いていて思い出したのですが、この頃まったくテレビなどにも出てこられないですね。

昨日は、カネボウディオール時代の諸先輩の集まる同窓会に、OURSのHPを作っていつも事務所を支えてくれている1年先輩の長谷川恵津子さんと行ってきました。当時の上司や役員も来ておられる会で40代だった方たちも70代になられ鎌倉在住、東京に出るのは今日が今年初めてなどと言っておられる当時の部長さんもいるのです。人数的にもほどほどであるためか、またカネボウディオールの全盛時代を共有しているためか毎年和気藹々と楽しい時間になるのです。ちなみに私はその中ではかなり若い方です(ここまで来ると自分が若い立場で参加できる会は貴重なのだと思うようになりました)。最近、人生というのはいろいろな人とある時期の時間を共有しその時期が終われば離れていく、長い時間を共有できる人もいれば短い時間しか共有できない人もいる。そういうそれぞれの人と共有した時間の積み重ねが人生かなと、そのそれぞれの時間をいかによき時間にすることで、たくさんの良き時間の積み重ねを持つことができるかが大切なのでは、と思うことが多くあります。昨日の会は、そう意味で自分が持っている良き時間をもう一度思い出すための貴重な機会なのではないかと思うのです。

 


日本の国の価値

2011-06-05 23:46:29 | 雑感

日本という国が諸外国からどのように見られているのかこれまで真剣に考えたことがあまりありませんでした。しかし今回の大震災とりわけ原発事故で日本の技術力の信用度について、非常に高い評価なのだと改めて思うようになりました。自分が子供のころは「目指せ世界の主要国への仲間入り!」という感じでしたので、いまだ若干その感覚を持っており、様々な分野での技術の優秀さへの評価や経済発展があっても、どこかで日本の国の全体としての評価はどうなのかな?と思っていました。

今回IAEA調査団が6月1日に調査結果の暫定的要旨(仮約)を発表しました。そこに書かれている内容は3月11日の地震発生後、最大の津波が宮越姉吉で38.9メートルに及び、死者を14,000名以上出した戦争といってもよい非常事態となった当日のことから入り、東京電力福島第一の津波による1号機から4号機のすべての危機とコントロール・システムの喪失という想像を絶する状態が簡単ではあるが書かれています。そのあとに続く調査結果及び教訓をみると「津波への過小評価への修正」の前に、「調査員への開かれた対応」、「サイトの運転員による非常に献身的で強い決意を持つ専門的対応」、「作業員の安全確保するためのJビレッジにおける対応が大きな助けとなった後方支援」などに触れています。事故への対応を高く評価しているといってもよいという内容になっています。http://www.nisa.meti.go.jp/oshirase/2011/files/230601-1-2.pdf

また今日の日経新聞1面「新しい日本へ」という記事には、ベトナムの首相が「フクシマの失敗から学び、技術力を高めるのは我々も含めた共通の責任」とし、改めて「原発建設協力を要請」とあり、またトルコのエネルギー天然資源相は「日本を待つ」明言したそうです。それぞれの国の事情があるのだろうとは思いますが、大震災の直後からの「日本はこんなことでは負けない」といった声は海外から多く聞こえてきたと思います。日本が最悪の状態からも復興する強さや高い技術力を持つということを世界は信じてくれていると感じます。

一方この報告があった頃国内はどうだったかというと、タヌキと狐のばかし合いかと思うような首相と元首相の行き違い政局。それまでも責任逃ればかりでなく、自分たちで日本の国際的価値をここまでなぜ落としたいのか?というような耳を疑うような官房長官の発言。国内ばかりにというより自分たちの保身にばかり目が行き、国の国力を、国際的な価値を、信用をいかに保つかさらにこれを機に高めるかなどは全く関係なしと思われます。国力を高めていくことこそが被災された人たちにできる限り賠償していく一番の力になると思うのですが。今回のことで、リーダーというのは組織の価値をいかに高められるかというところが非常に大切なのだなと思うようになりました。

年金問題が数年前に起こったとき、随分いろいろなマスコミから事務所に電話がありましたが、おおむねストーリーが出来上がっており、それに沿って年金記録がなくなったと話してくれる人がどこかにいないか等のことでした。社会保険事務所を辞めた人で社会保険事務所に恨みを持った人が誰かいないかというしつこい電話があったときは流石に「私はそんな人は知らないし、社労士としてそんな人を紹介できるわけがないでしょう」と頭にきて答えたこともありました。今回の震災関連の一連の報道についてもにマスコミがストーリーを作っていると感じることがあります。国民は正しい情報は何かを自分で見極め、本当に国のことを考えている政治家を真剣に選んでいくこと、これが非常に大切だと、今身に染みて思っています。