12月20日にとうとう「同一労働同一賃金ガイドライン案」が出ました。ネットでは、首相官邸のhpにある「第5回働き方改革実現会議」の資料3でみることができます。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/gijisidai.html
まだざっとしか目を通すことができていませんが、具体的な事例が載っておりキーワードを押さえつつ整理してみると見えてくるものがあるような気がしています。項目としては、基本給、手当、福利厚生とその他に分かれています。
基本給は、「労働者の職業経験・能力に応じて支給」「労働者の業績・成果に応じて支給」「労働者の勤続年数に応じて支給」等に対する事例が載っており、また手当については11項目とかなり力を入れて事例を載せている感じがします。
ちょっと気になるのが、前文に書かれている「もとより賃金等の処遇は労使によって決定されることが基本である。」とあり、また「今後、各企業が職務や能力等の内容の明確化と、それに基づく公正な評価を推進し、それに則った賃金制度を、労使の話し合いにより、可能な限り速やかに構築していくこと」と書かれており、賃金等の処遇などを労使の話し合いによって決めるように書かれているところです。労働組合のように個々の利益ではなく社員全体の利益を使用者と交渉する、また社員の意見を取り込むというのであればこれまでもありましたが、賃金等の処遇を労使によって決定するというのはやや難しいような気がしています。
福利厚生の部分について書かれている「病気休職」については、以前セミナーで講師を務めたときにご質問を受けた際に「契約期間満了で休職期間を終了することになります。」とお答えしたことが以下の通り間違っていなかったとちょっと嬉しく感じました(その時行政では異なる回答であったというご質問でしたので)。
(3)福利厚生④病気休職
無期雇用パートタイム労働者には、無期雇用フルタイム労働者と同一の付与をしなければならない。また、有期雇用労働者にも、労働契約の残存期間を踏まえて、付与をしなければならない。
<問題とならない例>
・A社においては、契約期間が1年である有期雇用労働者であるXに対し、病気休職の期間は契約期間の終了日までとしている。
ともあれ年末年始と年明けのBBクラブの勉強会で研究等をして、OURSセミナーでは少し私なりの発信をしてみたいと思っています。
先日社労士会でここのところ毎週行っている法学研修を受講する前の短い時間に水町先生にご挨拶をする機会がありました。その際に同一労働同一賃金ガイドラインについてのお話を少し伺うことができたのですが、このガイドラインを元に実際の運用をする場合に出てくる質問についてコールセンターを作り対応することが必要で、その部分で社労士に期待しているということでした。
東商が行っている健康経営アドバイザーもそうですが、社労士の役割・人的資源が非常に評価されていると感じる機会が多いです。これらの期待に応えられるように社労士全体のレベルアップや個人の専門性の研鑽をしっかり行っていくことが大事だと思っています。