OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

引退後の生活設計

2015-09-27 21:36:19 | 年金

土曜日は日帰りながら中高のテニス部のOB会に出るために神戸に行ってきました。先輩から後輩まで10年間くらいの幅のOBが集まって毎年顧問の先生を囲みとても楽しい時間を過ごすのですが、今回は年金の質問でかなり盛り上がりました。サラリーマンの夫が退職後もらう年金額、自分がもらう年金額などみんな真剣でした。特に振替加算のことなど説明が難しく、また遺族年金についても興味津々でした。

 

そこでサラリーマンが引退後どのくらいの年金額を受給し生活設計して行くのか頭に入れておく必要があると思いましたので調べてみました。

 

モデル世帯の年金額は月額約22万8,000円だそうです。中身は夫が受給する2階部分の老齢厚生年金が約9万8,000円で1階部分の老齢基礎年金が約6万5,000円(平成27年4月分からの満額の年金額780,100円)、妻の受給する1階部分の老齢基礎年金は約6万5,000円になります。※モデル世帯とは、夫が厚生年金に40年加入、妻が第3号被保険者を含め、国民年金を40年加入等した場合です。これが基本の額になります。

 

●例えば妻は57歳、夫は64歳(65歳前)で2階部分の特別支給の老齢厚生年金を受給しているような場合の特別支給の老齢厚生年金は2階部分のみの約9万8,000円が支給されると考えればよいと思います。

 

…夫婦ともに継続雇用やパートで収入を得ていないと生活はできない年金額です。

 

●夫が65歳に達すると2階部分の約9万8,000円に加えて老齢基礎年金の約6万5,000円の支給が開始され、さらに加給年金月額約32,500円が加算されるようになり、合計19万5,500円が支給されることになります。

 

・・・夫が完全に引退しても妻はパートで収入を得ているとよい額でしょうか。

 

この加給年金とは、言ってみれば生計を維持している妻に対する加算を夫の年金に行うものであり、妻が65歳に達して老齢基礎年金を受給するまで加算されるものです。224,500円に特別加算額165,600円が加算されることになるため、月額約32,500円になります。

 

●さらに妻が65歳になり老齢基礎年金が支給されることになると、この加給年金額は夫の年金には加算されなくなりその代わりに振替加算(※)として妻の老齢基礎年金に加算されることになります。従って世帯の年金額として、前出の22万8,000円(夫の老齢厚生年金約9万8,000円+老齢基礎年金約6万5,000円+妻の老齢基礎年金約6万5,000円)になります。

 

…この額で2人が生活するには少し少ないでしょうか。どの程度生活費がかかるか試算して貯金をしっかりしておくか、民間の年金を加算できるようにする必要があるかもしれません。

 

(※)この振替加算というのはそれまで男性中心の年金制度が、男女の区別なく一人一年金という考え方になった昭和61年4月時点で、「老齢基礎年金」がいきなり満額受給できる人は少なくそれを補てんするための仕組みと考えればよいと思います。従って振替加算額は妻の生年月日が遅くなるほど次第に金額が少なくなっていきます。昭和61年4月の時に20歳の人は、国民年金に60歳まで40年間加入できるためすべて保険料納付済みの場合満額の老齢基礎年金を受けられます。そのために、昭和41年4月2日以降に生まれた人から「振替加算額」は加算されなくなります。「振替加算」の要件は、妻が国民年金だけ加入し「老齢基礎年金」を受給しているか、厚生年金保険に「20年未満加入した老齢厚生・基礎年金」を受給している妻ということになります。振替加算の額は、今後受給を開始する場合は既に非常に少なくS32.4.2~S33.4.1生れの場合年額38,800円です。加給年金の月額とほぼ同じ額であるためこれはあまりあてにはできないのです。

 

なお、妻が例えばOLで5年間厚生年金に加入したとした場合の年金額は約13万円となり月額1万円強の加算となります(女性の場合男性より一般的には標準報酬額が低めであるため厚生年金に40年加入した場合の老齢厚生年金の月額は約8万円として、8万円×5/40=1万円ということになります)。上記妻の試算に加算してみるとよいと思います。

 

遺族年金のこともとても関心が高かったです。現在65歳以上で遺族厚生年金を受け取っている女性の場合自分の老齢基礎年金が月額約4万円~5万円、夫の遺族年金を7万円の計11万円~12万円程度受給している人が多いということです。そう考えると自宅が持ち家であってもかなり厳しいですね(妻の老齢基礎年金は未納期間があったりでなかなか満額(月額6万5,000円)とはいかないため4万~5万円ということになります)。


年金の繰下げ受給について

2015-09-20 22:46:49 | 年金

この連休は5日間連続お休みとかなりリッチな感じですが、今回私は遠出はせずここの所かなりへたばっていた身体を休めることにしました。連休の初日からお天気に恵まれて、季節も過ごしやすくなったので気分がよく、今日は駅の向こうで開催される「SUNまつり=目黒区民まつり」に行ってみました。目黒支部がブースを出すことも聞いていたので訪問したところ、あらかた相談対応も終わったところで、年金の繰下げについて話に花が咲きました。

老齢年金の繰下げとは、昭和16年4月2日以後に生まれた人について、支給の繰下げを申し出た場合繰り下げた月単位で年金額の増額が行われることになります。また、その増額率は一生変わりません。
増額率=(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までに月数)×0.007で計算しますが、請求時の年齢から見た場合66歳0ヵ月~66歳11ヵ月→ 8.4%~16.1% 、67歳0ヵ月~67歳11ヵ月→ 16.8%~24.5% ・68歳0ヵ月~68歳11ヵ月→ 25.2%~32.9% ・69歳0ヵ月~69歳11ヵ月 →33.6%~41.3%・70歳0ヵ月~→ 42.0%ということになります。要するに受給開始を5年待って繰り下げた場合、本来もらえる額の142%の額を受給することができるということになります。

社労士の場合定年はありませんので、65歳を過ぎても働いているということは十分考えられるわけで、そうだとすればその時期は給与を受けているので年金をもらう楽しみは後にまわすというのは選択としては悪くないわけです。

しかしまだ講師時代に改正があったのですが、それまでは5年繰り下げた場合88%の加算だったので私はどうも42%の加算というのが納得できない感があります。平成13年4月から改正法が適用され、昭和16年4月2日生まれ以降は42%の加算となりましたからすでに15年近くたったことになります。

今日の目黒支部のブースで受けたアドバイスは、以下の通りです。

①65歳前に特別支給の老齢厚生年金を受けていた人が、5年間年金なしというのはきついと思うので1年だけ繰り下げて増額させるという方法をアドバイスすることが多いこと。

②振替加算額は、繰下げしても増額されませんし、繰下げ待機期間中は振替加算部分のみを受けることはできず、結局もらい損ねになるので振替加算がある場合は繰下げはしない方が良いということ。

さすが実務的です。

OURSは8月に法人化後7回目の決算でした。今年は昨年を上回る利益を出すことができましたが、これは人手不足の折退職者が出てもその穴が埋められず、スタッフ全員で分担して何とかしのいだということも一つの要因で、かなり忙しい状況で頑張ったお蔭ともいえます。今年に入ってからたくさんの面接をして10月に3名女性が入社してくれることになりました。やはり新たなことに取り組むとか、新たな発想が生まれるためには時間的の余力がないと厳しいため、そういう点では少し安心な状況になりました。

個人事務所から通算24年目に入り、事務所がこれほどまでになるとは想像もしていませんでしたが、これはまわりに支えられてこそと思います。これまではただひたすら未知な状況に困難であっても取り組み事務所が拡大してきたわけですが、今後のOURSの方向性を中長期で見定めていかなければならないと考えています。25周年記念を顧問先をご招待してお祝いさせて頂こうと思っていますが、それまでに良く考えて社労士法人として1つ山を超えたイメージを持ちたいと思っています。


今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書

2015-09-13 21:29:14 | 労働法

厚生労働省の「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」は、介護休業を分割して取得できるようにすることなどを盛り込んだ報告書の素案がまとめ、平成27年8月7日に最終報告されています。今後、労働政策審議会での議論を経て、早ければ来年度通常国会に育児・介護休業法改正案を提出することになっています。(概要は以下 ↓ )

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000096134.pdf

報告書の中に現行制度の考え方や今後の方向性が書かれています。今後どのような審議がなされていくのか経過を見ていきたいと思います。

(現行制度の現状等)
○ 現行の育児・介護休業法では、同一の対象家族について同一要介護状態ごとに一回、通算で93 日間の介護休業が認められている。
○ これについては、平成7年の介護休業制度制定当時に脳血管系疾患のモデルをもとに、家族が介護に関する長期的方針を決定するまでの期間として3か月程度が必要とされたことや、当時、既に法を上回る独自の取組として介護休業制度が導入されていた民間の事業所において、実際に休業を取得した労働者の大部分が3か月以内に復帰していることなどから、同一の対象家族について3か月間の休業を1回に限り認めていた。


○ 平成16 年の法改正では、介護休業を複数回取得するニーズがある中で、短期間の休業で復帰する者も少なくないといった状況も踏まえ、事業主負担も考慮し、より使いやすい制度にする観点から、要介護状態ごとに一回、通算で93 日間(3か11月間)の介護休業が認められたところである(通算規定は異なる要介護状態である場合に適用できる)。

(今後の対応の方向性)
○ 介護休業については、介護開始時には在宅介護を行ったのち、施設介護へ移行する世帯が少なくなく、急性期対応のほか、介護施設間の移動、病院への入退院、在宅介護中の要介護者の状態が大きく変化した場合、末期の看取りなど、現行の育児・介護休業法における要介護状態が継続した場合であっても複数回、介護体制を構築する場合が考えられる。さらには、介護休業の取得希望者のうち、短期間の休業を複数回取得することを希望する労働者の割合が約9割と引き続き高いこと、実際に介護休業を分割して取得できた事業所においては、分割できなかった事業所と比較して継続就業率が高いことなどから、育児・介護休業法における要介護状態が継続した場合であっても、介護休業の分割取得を認めることを検討すべきである。

高齢の母が住む実家は不要な荷物が沢山あります。このところ母がそれを非常に重荷に感じているらしく盛んに話に出すので思い切って専門業者にお願いして整理することになりました。今週見積りに来てもらうことになったのですが、いざというと「お嫁来た時に買った箪笥」だとか、「布団類は捨てたくない」とかすでに見積前になかなか捨てるのは厳しいかもという感じを受けています。

あまり環境の変化はショックを与えるだろうと思われ、まずは本人申告の本と洋服を処分してついでに整理していつでも捨てられるようにしておくつもりです。合わせて少し家の修繕も行って居室も1階に移してコンパクトに暮らせるようにしてみようと思います。介護保険を使い家の改装のための補助を受けたりして調べてみようと思っています。自分で試してみることにより介護休業について深いアドバイスができるようになるとよいと思っています。 


マイナンバー対応スケジュール

2015-09-07 00:45:21 | 雑感

今週はいよいよ顧問先企業からマイナンバー対応のため就業規則の改定案を作成したので見て欲しいなどのご連絡が来て後がなくなりOURSのマイナンバー対応のプランの設定を行いました。

概ね第1弾のご提案は完成しましたが、手続きを委託頂く際の業務フローやどのような方法で収集して頂いた番号を受け渡すか詳細に検討して第2弾のご提案も予定しています。

今後会社がマイナンバーで対応しなければならない最低限のことは時期的なものと対応させると以下の通りです。

 

マイナンバー制度実施スケジュール

対応

H27年秋

 

 【制度開始に向けての準備】

 ①マイナンバーを取扱う社内体制等安全管理体制の検討

 ②収集する必要のある対象者・業務の確定

 ③マイナンバー収集方法・時期の決定

 ④社員へのマイナンバー収集等対応についての説明・研修

 ⑤必要に応じたシステムの改修

H27.10.5

~H27.11第2週

通知カードを住民票住所に送付

※住民票への記載も同時に開始

 ①社員からのマイナンバーの収集

 ②業務を委託する場合の委託契約書・業務フローの決定

H28.1以降

個人番号カード交付開始

税・雇用保険・国民健康保険組合の届出にマイナンバー記載開始 

 

 税・雇用保険の各種届出書にマイナンバー記載

H29.1以降

健康保険・厚生年金保険の届出にマイナンバー記載開始 

健康保険・厚生年金保険の各種届出書にマイナンバー記載

月曜日からインターンシップの学生さんが事務所に来ています。今週の金曜日までの2週間の期間限定ですが、なんとなく若いスタッフがしっかりしようと考えるのかお昼なども率先して連れて行って面倒を見ているのが新鮮です。社労士の仕事の魅力や社労士としてのやりがいなどを実感してくれるとよいなと思っています。