OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

2暦日にわたる労働(休日が絡む場合)

2022-02-27 18:03:12 | 労働基準法

今週は3月2日(水)に渋谷労働基準協会さんで「36協定集中講座」を行うため、レジュメを作成しながら2暦日にわたる労働について、再確認しました。このセミナーはスタートしてから毎年今頃の季節に担当させて頂いているわけですが、ここに来て押印廃止、本社一括届出や電子申請による届出の推進などずいぶんと変化がありました。今回そのあたりをレジュメに加えつつ、2暦日にわたる労働について再度確認してみました。

これは平成6年5月31日基発331号「法定休日における割増賃金の考え方について」に詳しく書かれているのですが考え方としては以下の通りです。

①休日労働となる部分の考え方
法定休日である日の午前0時から午後12時までの時間帯に労働した部分が休日労働となる。したがって、法定休日の前日の勤務が延長されて法定休日に及んだ場合及び法定休日の勤務が延長されて翌日に及んだ場合のいずれの場合においても、法定休日の日の午前0時から午後12時までの時間帯に労働した部分が3割5分以上の割増賃金の支払いを要する休日労働時間となる。

②時間外労働となる部分の考え方
①で休日労働と判断された時間を除いて、それ以外の時間について法定労働時間を超える部分が時間外労働になる。この場合、1日及び1週間の労働時間の算定に当たっては、労働時間が2暦日にわたる勤務については勤務の開始時間が属する日の勤務として取り扱う(平成6.5.31基発331号)

労働日の労働が法定休日がかかった場合については比較的よくあるケースで、所定労働日の勤務が延長し法定休日に入ったところから割増賃金率は休日割増の1.35+深夜割増の0.25の合計1.6となるのですが、法定休日の労働が延長し所定労働日にかかった場合どのようになるのかという点が明確になるのがこの通達です。

結局のところ2暦日にわたる勤務については原則通り「始業時刻が属する日の労働」という考え方は休日勤務であったとしても生きており、2暦日目の所定労働日に入ったとしても法定休日の勤務の延長ということになるが、割増率については休日は0時から12時までの暦日で考え、所定労働日に入った労働が8時間を超えていれば割増率は時間外割増の1.25+深夜割増の0.25の合計1.5となり、午前5時以降は深夜割増がなくなるため1.25、翌日の始業時刻以降は割増なし、となるということです。

ただし翌日の始業時刻以降労働が免除されている等、ルールとして2暦日にわたる場合の2暦日目の始業時刻(終業時刻)が別途明確に就業規則などで規定されている場合は、2暦日目の別途明確化された始業時刻以降時間外割増は不要と認められる場合もあります(この辺りになると、監督官によってもケースにより判断が異なるようです)。

昨年9月から取掛り、かなり悪戦苦闘しながら共著で執筆した「1冊でわかる改正早わかりシリーズ『育児・介護休業法』株式会社労務行政」がいよいよ発刊されることになりました。Twitterや顧問先様宛のメルマガでも、また発売となったらフェイスブックでも宣伝しようと思っているので、本当にしつこくて申し訳ないのですが、審議会の答申、条文段階から頑張って作り上げた書籍なので、是非皆様の改正対応に活躍してもらいたいと願っているのでお許し頂ければと思います。現在のところ先行予約が可能ということで、発売は3月上旬になるようです。以下URLでご確認いただければ嬉しいです。

 

https://www.rosei.jp/products/detail.php?item_no=9908&fbclid=IwAR145LuYBeT763aPcxbE5gAInlG6z3zGdeVUV0wDpS_kF6MR-A1veO_A0qQ


大きな変化の時

2022-02-20 22:38:14 | 雑感

コロナ感染拡大もはや丸2年、コロナ禍日本のデジタル化が世界的に見て非常に遅れていることが認識されて、今社会の様々な構造が大きく変化していこうとしていることをひしひし感じています。セミナーの準備をはじめとして様々な情報を集めている中で、この変化をどのようにとらえるかのヒントになるような調査を厚生労働省が出していました。

「経済社会の変化、デジタル化による働き方の変化、コロナ禍等による労働者の意識変化等について」という以下の調査です。
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000890

P4の2025年以降2000年以降急増していた65歳以上人口が2025年から2040年にかけては緩やかな増加になるということは興味深いです。これまで日本の国の社会保障をはじめとした様々なことに影響を与えてきた団塊の世代の影響がここにも出ていると思います。例えば高年齢雇用継続給付は、団塊の世代がすべて75歳以上になる2025(令和7)年度からは給付率の見直しが行われ給付率が10%となる予定です。これは一定の役割を終えたと国が考えた結果なのかなと思います。今後安定的な高齢者層が存在することを考えると、高齢者層もできるだけ活躍するような組織を企業が作ることも一つの課題だと考えます。

面白いのはP7の人生100年時代に求められる能力として、「自ら考え、行動することのできる能力」と「柔軟な発想で新しい考えを生み出すことのできる能力」を企業が重視しているということです。変化の大きい時代に求められるのは「自らの役割を果たす能力」や「経験をもとに着実に仕事を行う能力」では乗り切れないと考えられているのかなと思います。確かに現状においても変化に柔軟に対応していかないと業務が停滞してしまうと実感しており、この統計にはうなずけるものがあります。

興味深いのはP18の今後の人材ポートフォリオの在り方です。日本型正社員の上にトップマネジメント層が区分されていることと、プロ型正社員が登場していることが印象的です。プロ型正社員は技能・賃金レベルが高いので雇用から業務委託を選択する可能性もあり、フリーランスが雇用の枠外に来るのかもしれません。

P22を見るとコロナ禍収束後の変化として労働者意識調査では「時間管理の柔軟化」は50.2%、「テレワークの普及」は42.6%、とどちらも半数に近いことは頷けます。ただ意外なのがP23のテレワークを行うことが「仕事の生産性、効率性」と「仕事を通じた充実感・満足感」はいずれも低下するとする割合計が上昇するとする割合を大きく上回っているにもかかわらずP24のテレワーク実施者の9割近くが継続意向ということです。テレワークの際の生産性、仕事の充実感等を労働者が感じられることもですが、企業側も価値を実感できることが課題ですね。

自宅開業から始まった社労士としては、常に在宅勤務をしてきたようなものでありながら、やはり私は今のところは仕事は事務所でしたいと思います。しかしコロナ禍ほとんどすべての会議がオンラインとなったことは非常に効率化が図られました。それまで顧問先企業へ訪問して打合せをしたり、社労士会の会議や研修に外出するスケジュールは、1日4件でもかなり頑張った感があったと思います。しかしオンラインの打合せの今はそれくらいのスケジュールであれば問題なくこなすことができるのは有難いです。大学でも先生がリアルとオンラインのどちらの講義が良いかと生徒に問いかけ、リアルという回答があっても実際リアルで行うと非常に出席者が少ないそうです。リアルでないと解決できないと感じることもあり、オンラインとリアルのバランスをどこに落としていくか、これから見極めていく必要がありそうです。

今日は「メトロポリタン美術館展」を観に行きました。コロナ対策として日時を予約することになっており、確かに日曜日にしては並ぶこともなく人数制限は効いている感じでした。これからは絵を観に行くときも予約制になっていくのかなと思いここでも変化を感じました。


雇用類似の働き方

2022-02-13 23:40:56 | 労働法

明日の月曜日は、主催している「社労士の明日を考える会(仮称)」で、いつも親しくさせて頂いている北岡先生の講演と意見交換会をzoom開催するのですが、テーマは「雇用類似をめぐる労働法上の課題とは」です。今日は雨も降っていたので家で少しその予習をしておりました。

これまで日本の労働法は「雇用」について適用され、委任や請負と区分することで適用関係が明確化されてきましたが、2020年の全世代型社会保障検討会議で「フリーランスなど、雇用によらない働き方の保護の在り方」が取り上げられ、検討会等が設置される等フリーランスの働き方に対する保護が本格化されたといえます。

さらにコロナ禍大きく拡大した在宅勤務を中心に、働く時間の柔軟化、場所を選ばない働き方などの影響は大きく、実際雇用されている場合であってもフリーランスとの線引きがあいまいになってきました。また成果主義などがもっと進めば労働時間とは関係なく成果により報酬の額が決まることになり、賃金すら雇用とフリーランスとの線引きは困難になると感じます。

また働き方の多様化により、日経新聞の1月29日の記事によると、「英人材大手ヘイズが20年8~9月、日本の働き手に転職の際に重視することを聞くと「柔軟な働き方」(76%)を挙げた人が最も多く、「雇用の安定と安心」(60%)などを上回った。20年1~2月の調査で最も高かったのは「給与や福利厚生」(77%)。テレワークの定着で多くの人が働く意味を見直し、長時間通勤や硬直的な労働時間管理への不満を強めたと見ることもできる。」とあり、この記事から考えてもフリーランスとして働くことを選ぶ人が増えていく可能性が予測されます。特に自分自身のスキルがある程度高い価値を持つという一定の自信がある場合はフリーランスという働き方は魅力的であろうと思います。

厚生労働省ではフリーランスについて保護が必要な対象として「雇用類似の働き方」という文言を使い検討会が設置されており、これまで以下の検討会の報告がなされています。

2018年3月30日 雇用類似の働き方に関する検討会 (厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11909500-Koyoukankyoukintoukyoku-Soumuka/0000201113.pdf

2020年6月28日 雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会 (厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000712058.pdf

2020年12月19日
全世代型社会保障検討会議 中間報告 
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/zensedaigata_shakaihoshou/pdf/cyukanhoukoku_r011219.pdf

令和3年3月26日  フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン
(内閣官房 ・公正取引委員会 ・中小企業庁 ・厚生労働省 )
https://www.meti.go.jp/press/2020/03/20210326005/20210326005-1.pdf

上記論点整理等に関する検討会でも論点のとりまとめになっていて、議論はこれからということで今後の状況を注目していきたいと思います。以下の実態調査結果はなかなか面白いです。

令和2年5月
フリーランス実態調査結果 (内閣官房日本経済再生総合事務局)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/zensedaigata_shakaihoshou/dai9/sankou.pdf

今年はよく雪が降りますね。明日も朝方雪が積もるということで、事務所はコアタイムを解除してフルフレックスにして様子を見ながら出勤又は在宅勤務ということにしました。私はお正月明けに雪が降った際に以前から準備をしていた雨用のショートブーツがやはり滑ることが分かったので、底ががっちりした雪用のショートブーツを買い直し、万全の準備を整えました。コロナと雪でますます出不精になっていますが、とにかく買物も、映画やドラマも、勉強、食事(ウーバーイーツ)もなんでもインターネットで賄えるので外出しなくてもかなり充実した週末が過ごせる今日この頃である、と感じ入っています。


自営業を開始した場合の雇用保険

2022-02-06 21:29:10 | 労働法

最近最寄り駅の駅ビルも撤退したお店が増えてきて、3月になるとリニューアルするということなのですが、お店の店員さんはどうしたかなと気になります。流石にここまでコロナの感染拡大が続きさらにオミクロン株が爆発している現状では、お店も持ちこたえるのが大変だったのだろうと寂しい気持ちになります。再就職先が見つかればよいなあと願っているのですが、社労士になるにあたり無謀にも事務所勤務の経験もなく開業した私としては、もし何かやりたいことがあればこれを機に自営で始めて見るということもありだと、思うところではあります。

雇用保険では、自営業を開始した場合どのような扱いになるかというと、「事務取扱要領」に以下示されています。

●(2)受給資格の決定(ニ)(行政手引50102)

内職、自営及び任意的な就労等の非雇用労働へ就くことのみを希望している者については、労働の意思を有するものとして扱うことはできない。
ただし、求職活動と並行して創業の準備・検討を行う場合にあっては、その者が自営の準備に専念するものではなく、安定所の職業紹介に応じられる場合には、受給資格決定を行うことが可能となるので留意すること。ここで、自営業の開業に先行する準備行為であって事務所の設営等開業に向けた継続的性質を有するものを開始した場合は、原則として、自営の準備に専念しているものと取り扱うこと。
一方で、事業許可取得のための申請手続、事務所賃借のための契約手続等の諸手続(当該諸手続のための書類の作成等の事実行為を含む。)を行っているに過ぎないような場合は、その行為が求職活動の継続と両立しないようなものでないかどうかについて、個別具体的な事情を勘案して判断すること

ということで自営の準備をしているに過ぎないのであり、安定所の職業紹介に応じられる場合は受給資格の決定をするということです。ただし受給資格者が「就職」した日があるときはその日については失業の認定は行わないとされています。以下にある通り労働時間が4時間以上になると失業の認定は行われないということになります。

●就職した日又は自己の労働による収入があったかどうかの確認(51255)

就職とは雇用関係に入るものはもちろん、請負、委任により常時労務を提供する地位にある場合、自営業を開始した場合等であって、原則として1日の労働時間が4時間以上の者(4時間未満被保険者となる場合を含む。)をいう

なお労働政策審議会の職業安定分科会雇用保険部会では、起業した場合でやむを得ず廃業に至り改めて求職活動をする場合の受給期間の特例を設けることについて報告されています。今後どのように展開するかは押さえておく必要があります。
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000880033.pdf

また、昨年1月には以下のようなリーフレットも作られていました。自営業の収入が雇用されている収入より多かったとしても、被保険者資格届けを出しておくことになっていました。
https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2020-1223-1.pdf

ワクチン3回目を接種したところ、1,2回目は出なかった副反応がでて、翌日の今日熱が37度1分となりました。流石に少しだるくて昼間は寝ていました夜になり熱も下がり大したことにはなりませんでした。これで少し安心しましたが、とにかく早くコロナの感染が収まってくれると良いですね。