OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

協会けんぽ 介護保険料率引下げについて

2015-07-26 23:39:52 | 社会保険

先日BBクラブで法改正内容である労働法の動向の講義をした際に「オヤ?」と思ったのが協会けんぽの介護保険料率の「引き下げ」についてでした。

介護保険は近年利用率が非常に高まっており、介護保険料は値上がりする一方だと思っていました。

調べたところ、協会けんぽからは「東京支部の加入者・事業主の皆さまへ」というリーフが出ていました。

平成27年4月分(5月納付分)から、協会けんぽの保険料率が改定されます。https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/tokyo/kouhou/%E6%9D%B1%E4%BA%AC_%E6%96%99%E9%A1%8D%E8%A1%A8%E3%83%81%E3%83%A9%E3%82%B7.pdf#search='%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E4%BF%9D%E9%99%BA%E6%96%99%E5%BC%95%E3%81%8D%E4%B8%8B%E3%81%92%E3%80%81%E5%8D%94%E4%BC%9A%E3%81%91%E3%82%93%E3%81%BD'

この介護保険料率の引き下げの影響はどのようなものであるかを調べてみたところ、NHK解説委員室 時事公論「報酬引き下げ どうなる介護」が出てきました(以下抜粋)。

介護サービスを提供した事業者に支払われる「介護報酬」が、9年ぶりに引き下げられることになりました。事業者の間には深刻な人手不足に拍車がかかり、サービスを提供できなくなるという危機感が広がっています。
  
介護保険制度では、訪問介護やデイサービス、特別養護老人ホームなどのサービスごとに事業者に支払う報酬の額を国が決めています。それが「介護報酬」です。事業者はサービスを提供して受け取った介護報酬の中から賃金を支払うので、報酬が引き下げられると賃金は抑制されやすくなります。

その一方で、非正規労働者を正社員にしたり、資格を取るための研修を行ったりするなど 政府は月収が1万2000円程度上がるようにするとしています。
  
いま、介護の現場は人手不足に揺れています。介護職員が集まらないため、事業の縮小を迫られるケースが相次いでいています。パートを含めて、およそ50人の介護職員しか採用できなかった一方、入所を待っている待機者は200人以上いて、部屋が空いているのに施設に入れない事態に陥っています。労働組合の調査によると、介護職員の賃金は月額平均20万円余りで、全ての産業の平均よりも9万円近く低くなっています。こうした職員の処遇を改善しない限り、人手不足の問題は解決しないと思います。

その他「特養(特別養護老人ホーム)」についての問題もあるようです。なぜ、人手不足に苦しむ特養の報酬を減らすのか。それは、財務省が特養は「儲け過ぎている」と見ているからです。特養は非課税でありながら多額の内部留保が存在する事に対し、財務当局や民間企業から厳しい目が向けられているからです

「超高齢社会」を乗り越えるため、必要なサービスは財政支出を惜しまずに充実させていく、そうした政策を進めて欲しいと思います。

上記の記事からすると人手不足の問題と多額の内部留保の問題の2つの問題があるということが分かります。介護職員の賃金は月額平均20万円余りということです。問題の解消のための介護保険料率の引き下げによりその狭間で介護職員の賃金がさらに低くなることのないようにしてもらいたいものです。

今週前半は1泊ですが九州に新規の契約の打ち合わせに出張に行ってきました。かなり駆け足でしたがしっかりスタッフが打合せをしてくれて、皿うどんを二回食し充実した出張になりました。

それにしてもこの暑さの中、目黒支部が目黒リバーサイドフェスティバルに参加するということで今日は差し入れに行って参りました。暑さの中かなりの人出で盛り上がっておりました。目黒支部の皆さんは冷房の効いた部屋で小林支部長が講師を務めるセミナー「マイナンバー利用開始までに企業がやるべきこと」の準備中で涼しげな顔だったのでアツアツのたこ焼きを差し入れてきました。来週は世田谷支部がやはり「せたがやふるさと区民祭り」ということです。

昔は夏祭りが普通だったのでしょうけれど、この暑さの日本での夏のお祭りはかなり体力がないと楽しめないような気がしましたのでしっかり充電します。

    


朝活夕活

2015-07-20 00:02:49 | 労務管理

昨日のBBクラブの勉強会の後の懇親会で、「朝活、夕活」の話題が女性陣の中から出ていました。今のところ顧問先での導入はほぼなかったのでノーマークだったのですが、BBクラブの会員の企業では導入されていました。

先日「ゆう活」が官庁で導入されたというニュースを見たのですが、ネットで調べると日経新聞や毎日新聞などに記事が載っています。

政府は1日、国家公務員の4割にあたる約22万人を対象に勤務時間を朝型にシフトする取り組みを始めた。出勤を1~2時間繰り上げる一方、早めに退庁し夕方から夜の時間帯を家庭生活の充実や趣味、自己研さんに充てるのを「ゆう活」と称して奨励する。8月末まで実施する。
霞が関の定時は午前9時半~午後6時15分。これまでも都合により出勤を午前8時半に早められたが、さらに1時間前倒しし午前7時半から勤務できるようにした。退庁は最も早いケースで午後4時15分になる。

朝型勤務を励行するため期間中は夕方以降の会議を行わず、職場の早めの消灯なども実施する。夏場の事務量を減らすため、来年度予算案概算要求の提出期限も延長する方向だ。育児など実施が難しい事情がある職員は通常勤務とし、開・閉庁や窓口業務の時間は変更しない。

安倍内閣はこの運動を「夕方に悠々」とのイメージから「ゆう活」と名付け、民間や自治体にも普及を働きかけている。夏の朝型勤務は一律で夏時間を導入する「サマータイム」とは異なり職場が出勤、退社時間を1〜2時間、前倒しする。すでに一部企業で導入され、残業時間の短縮や能率向上などのプラス面が指摘されている。秋以降も継続する企業が出てきており、同社では「朝活」「夕活」が定着する傾向があるとみている。

以前朝極端に早く(私にとっては明らかにまだ真夜中と思える時間帯に)起きて勉強や仕事をするのが成功の秘訣だという本を読んでとても共感を覚えたのですが、結局夜型の私にとっては実行不可能で1日もマネができなかったことがあります。

朝方というととてもイメージは良いですが、朝早く来た分夕方早く帰るということができる自信は私にはないのです。実際OURSは通常の始業時刻は9時半のところ毎週金曜日は8時半からミーティングをするため5時が終業時刻となっているのです。しかしその日に私が5時に帰るということは全くなく、スタッフもその日も通常の終業時刻である6時以降まで残って働いているように思います。ただ確かに1時間早く来るだけでも情報交換のミーティングは下手をすると1時間行ったあともかなり時間がたっぷりある感じで、また程よくエンジンがかかっており午前中に仕事がはかどる感じはします。年齢を重ねると朝の方が夜より明らかに頭もっすきりしていることを感じます。新聞にも書いてありましたが朝活した日は夕活も必ずセットということにしないといけないですね。

一方、朝活については、本当にそれが良いのかという点が疑問なのです。確かに7時半から勤務すれば午前中にかなりのことが片付くようには思うのですが、7時半に仕事を開始するとすると朝ごはんは何時に食べているのだろうと思ってしまうわけです。また保育園には預けることは可能な時間なのでしょうか。夜は会合などでなかなか食事を作れないため朝は必ず簡単に準備するようにしています。朝は夜より手を掛けないで作れるので有難いのです。かなり食事作りについて手抜きしているのですがこれだけは頑張っていると言ってもよい部分であるため、朝活はそういう家庭とのバランスを考えないでもよい人が対象なのかなという気がします。自分がドトールに寄り珈琲とパンで簡単に朝食を済ませることができるのであればその悩みはないのでしょうし、また朝スポーツクラブに寄ってから出社というのも朝食の準備の段取りなどを考えるとクラクラしてきます。家庭を持っている特に女性にとって本当に良い施策なのでしょうか。今後朝の食事を重めにして夜の食事は軽くしようか、その方が体のためにも良いようだしなどと考えているので特にそんな気がします。

とはいえ今後実際の生の声をよく聞いて行きたい国の施策という感じはします。

これまで実はどちらかというと女性の両立支援的なテーマを考えることは避けてきたところがありました。理由は2つあり、ひとつは子供が本当に小さなとき専業主婦であったため一番たいへんな時期に仕事との両立を経験していないことがあり自分が語るには申し訳ないような気がしていました。もう一つは自分自身の考え方がワークライフバランスどころか超仕事人間であり、仕事をする以上はとことんやりたいと思っているからでした。

しかし色々な会議に出てみるとあまりに男性ばかりで女性活躍は必要だなと感じますし、23年前に開業してから曲がりなりにも仕事と家事を行ってきたことを考えると、もう少しそのあたりを突っ込んで考えてもよいのかもしれないなあという感じがします。一般企業でも優秀な女性社員が子供が生まれるとどうしても仕事に対するスタンスが変化することや、いい意味で出世を考えている女性は独身か子供を持たないことを選択しているのが現状なのではなどと聞くと残念な感じがします。自分のことは十分やってきたため今後は若い世代を応援しようと考えていることもあり、両立支援についてまずは子育て中の周りに色々と思いや考え方を聞いてみようかなと思い始めています。

昨日のBBクラブは150名を超える参加がありとても盛大かつ真面目に勉強をしました。前日の夜もマイナンバーのセミナーでお話をして、BBクラブの当日は準備に8時半に事務所に行って、午前午後講義とハードスケジュールであったためややパワー不足。何時もより一人一人に声を掛けてちょっとした近況を聴いたりできなかったことが心残りではありましたが、皆さん変わらない様子で安心しました。継続は力なり。


調べ方 自分なりの方法

2015-07-12 23:29:15 | 雑感
 日々業務を行う際にたくさんのご質問を頂きメール等をお返しする際に、私は自分なりの調べ方を長年の社労士生活の中で持っています。また、自分なりに調べ方を持つということはとても強みになると感じています。
どのように調べるかというと、長年いつも傍らにある新標準テキストで確認し、状況によっては労働法全書や解釈総覧という通達集やネットで通達原本、書籍等にあたり、時に判例であればローライブラリーというサイトと契約しているのでそちらで調べ、ある程度自分の頭の中で整理されたところで疑問点のポイントを絞り込み、厚生労働省や労働局などに電話をして確認をするという手順です。
 
既に発刊されていない新標準テキストは法改正の部分だけ注意すれば以前の物でもまだまだ使えますし、相からわず記載について新たな発見もあるのです。本当にこれは優れたテキストだといまだ実感します。
 
しかし最近顧問先を訪問した際に特に法改正が多くある実務的で基本的なことに確信が持てないことがあり、講師時代であればこういうご質問にもさっと答えられたのになあと残念な気がすることが多くなりました。そういう時意外に役に立つのは社労士手帳で、スケジュール帳の別冊として付いている資料集が結構役に立ちます。
しかし流石に社労士手帳では書いてあることも限界があり、もう少し何かないかなと思っていたところ先日実家に行った際に社労士を開業したばかりの頃に購入した全国社会保険労務士会連合会編の「平成5年版 社会保険労務ハンドブック」を見つけました。
あの頃はネットの環境はもちろんなく何か質問されたときにどうしようかと思い購入したのだと思いますが、あまり使った形跡もなくきっとご質問頂くような会社さんを見つけるのが先!という状況だったのだろうと思いました。
 
パラパラと中身を見るとこれが労働・社会保険関係の細かな点まで網羅されておりこれは使えそうな本だという気がしました。早速事務所全員の分平成27年度版を購入して配布。先日顧問先を訪問した際に持参していたのでこれを使って調べることができました。もう30年くらい毎年発刊されているこの本が今度こそぼろぼろになるように使込んでいき、基本の一冊として毎年購入して行こうと思っています。 
 
6月4日の東京都社会保険労務士会の総会で、副会長を拝命しました。その後連合会の総会などもありバタバタと落ち着かなかったのですが、既に担当の広報委員会も社会貢献委員会も動き出しています。この2年は山手統括支部の支部長も兼務となりますのでかなり色々なことを目配りしながらの必要があります。しかし開業した当初もちろん自分が副会長という大役を受けることになるなどとは全く予想もしていなかったことでもあり、社会保険労務士の人生においてこのような機会を頂くことができたのであれば悔いのないようにこの2年間を過ごしていきたいと思っています。
まだまだ新米という感じで、色々な面で掴めていないことが多くあり、また出席する会議や担当することが良くわかっていない状況ですが、それがある意味新鮮で、できるだけスピード感を持ってひとつひとつ自分なりのやり方を掴んでいきたいと思っています。この2年間東京会の会員のために必要なことを的確に捉え、また外に対して「社労士」をしっかり発信して、社労士という仕事の価値を高めることができればと思っています。 

派遣法改正 労働契約申し込みみなし制度

2015-07-06 00:06:00 | 労働法

6月19日、特定労働者派遣事業(届出制)と一般労働者派遣事業(許可制)の区別を廃止し全て許可制にすることや専門26業務の撤廃を盛り込む改正労働者派遣法案が、衆議院で可決しました。今国会の会期を大幅に延長し、今後、参議院を通過して法案が成立する公算が大きいということで、成立すれば2015年9月1日から施行されることになります。

2012年の派遣法改正で決まった、「労働契約申込みみなし制度」が本年10月にスタートします。違法派遣と知りながら派遣先が派遣労働者を受け入れて違法状態になった時点において、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の直接雇用の申込みをしたと「みなされる」制度です。

「違法派遣の場合」とは以下の通りです。

1.派遣禁止業務に従事させた場合

2.無許可・無届の派遣会社から派遣を受け入れた場合

3.派遣受入可能期間を超えて派遣を受け入れた場合

4.偽装請負に該当する場合

労働契約の条件は、違法状態が発生した時点の、派遣労働者の派遣元における労働条件と同一となります。たとえば、派遣労働者と派遣元との労働契約が有期契約あった場合は、その有期の労働契約を派遣先が申し込んだと「みなす」ことになります。

上記3については、現在専門26業務は派遣期間の上限がないため受入可能期間という考え方がありません。9月の改正が成立しないと26業務の概念があいまいな状態で26業務に該当するのかどうか(制限期間があるのかどうか)が対応できないまま10月の「申し込みみなし制度開始」を迎えることになってしまうため、どうしても9月施行の改正法案を政府は成立させたいと考えていると思います。
 
マイナンバー対応とストレスチェックも準備しなければならないので、この秋は忙しそうです。
 
先週顧問先からナイターのチケットを頂いてOURSのメンバー8人で行ってきました。久しぶりのドームでのナイターで楽天対日ハムの試合でした。メンバーの中には生まれて初めてナイターに行ったという強者もいれば両親が好きなので毎年来ているというスタッフもいましたが、やはり日常と違うのでみんなうきうきしていました。2階席であったため全体が見えて、ドーム全体がほんとうに広いんだなあと実感しました。試合も最後にヤマ場があり楽しかったです。ドーム型アイス最中を食べてジャイアンツのユニフォームの絵柄の袋に入ったナボナ5つ入りを買って満喫して帰りました。
 
顧問先向けマイナンバーセミナーが6月24日に無事終了してホッとしたのもつかの間、7月18日に行うBBの勉強会の「労働法の動向2015年前期」の講義を担当することになっていますので今日はそのレジュメを作りました。改正労基法、改正派遣法、ストレスチェックなどの話が中心になりますがレジュメを作りながらなかなか楽しかったです。午後にマイナンバーの講義もあり今のところ150名の申込みがあります。今回もかなり盛況になりそうです。
 
OURSセミナーは、同じく「労働法の動向」の内容に「マイナンバー」を加えて8月4日(火)に行います。よろしくお願いします。