OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

育児休業規程 誤りやすい箇所

2017-08-27 21:54:34 | 労働法

お盆明けから10月の育児介護休業法の改正対応のご質問が多くあります。早く育児介護休業規程の改正対応部分のひな型を作り顧問先企業にお送りしなければならないのですが、色々と優先順位の高い仕事が入ってきていたので、これまで取り掛かれませんでした。厚生労働省のモデルも先日HPにアップされたようですので、今週はご連絡用のお手紙と規定改定案を作成する予定です。

ところでその前に育児介護休業規程の誤りやすい点というか混同しやすい点を記載しておこうと思います。

これまでずいぶんたくさんの会社さんの育児介護休業規程をチェックさせてもらいましたが、よく誤って規定されているのが、期間雇用者の育児休業の取得要件と、労使協定の適用除外です。ともに勤続1年未満の場合は育児休業が取得できないという点で同じことだと考えられ1本にまとめられてしまっているのだと思いますが、「引き続き雇用された期間が1年以上である者」の規定は期間雇用者の育児休業取得の条件であり、労使協定で適用除外として定めることができる「引き続き雇用された期間が1 年に満たない労働者」については期間雇用者に限らず期間の定めのない正社員も含め全員に適用されるものです。どちらも1年未満では育児休業が取得できないとするものなのですが、対象者が異なります。

(1)期間雇用者の育児休業の取得条件(法第5条)

①当該事業主に引き続き雇用された期間が1 年以上である者
②その養育する子が1 歳6 か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者

(2)労使協定により適用除外とすることができる者(第6条、則第8条、平成12年労告120号)

①当該事業主に引き続き雇用された期間が1 年に満たない労働者
②前号に掲げるもののほか、育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの(以下②-1、②-2)

②-1 育児休業申出があった日から起算して1 年(1歳6か月・2歳までの延長にあっては6月)以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
②-2 1 週間の所定労働日数が著しく少ないものとして厚生労働大臣が定める日数(2日)以下の労働者

この(1)と(2)が混在している場合がありますが、それぞれをしっかり規定しておくことが必要です。また上記はあくまで法律で最低限を定めているため、会社ごとに上回る規定を持つことは問題ありません。要するに期間雇用者が1年未満であっても育児休業を取得できるものとする、また勤続1年未満の社員を労使協定で適用除外とは定めないということは問題ないということになります。

今日は年に1回の本試験の日でした。気になってお昼頃解答速報をTACのHPで見たのですが、15時公開とのこと。仕事をしながら待って15時に確認したのですが、やはり一般常識が難しいように思いました。うちの事務所の受験生2人からメールがあり、講師時代のよう報告を見ていたらその苦労を知っているだけに熱いものがこみ上げそうになりました。時間をかけて努力して、落ち込んだり折れそうになった結果「合格」を手に入れることができて初めて人生の大きな宝物になると思います。


障害基礎年金の子の加算について

2017-08-20 14:04:41 | 年金

いよいよ社会保険労務士の本試験が近づいてきました。今年は少し時間的な余裕があり事務所の7名の受験生と7回勉強会をしてずいぶん私も勉強になりました。その中で質問がありずいぶん長く納得できない問題があったのですが、一昨日TAC時代の講師室仲間に教えてもらって納得しました。平成23年の国民年金法の択一問題なのですが、スタッフが持ってきた問題は少しアレンジてありました。本試験の問題は以下の通りです。

B.障害基礎年金に係る子の加算は、受給権者が当該受給権を取得した時点において、その者によって生計を維持する18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にあるか、20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にある子がなければ、行われない。(H23-5B)

B.×(法33条の2第2項)法改正により、平成23年4月1日から障害基礎年金の受給権を取得した日後に、生計を維持する子を有するに至った場合においても、子の加算が行われることになりました。それまでは、受給権発生時において対象者がいない場合は、その後子が生まれたとしても加算はされませんでした。 

この問題の論点は、障害基礎年金の子の加算は、受給権取得時点で障害状態にあることが要件ではなく、受給権取得後に障害状態になっても加算は行われるということで、平成23年の改正でした。

少し手直ししたスタッフが持ってきた問題は、「障害基礎年金の受給権取得当時19歳の子が障害状態になく、その後20歳に達するまでに障害状態になった場合に、加算が行われる」というもので、18歳年度末以降に障害状態に該当した場合は加算はないのではと考え理解できなかったというわけです。

確かに老齢厚生年金の子の加算については、「加給年金額の対象者でなくなった後に障害の状態になっても、加給年金額の対象者にはならない。したがって、例えば、子が19歳で障害の状態になっても加算の対象とされない」ということになっています。ちなみに厚生年金については、子の障害は「受給権発生の当時から引き続く」ものである必要はないとされています。障害基礎年金は旧法では子の加算は行われておらず平成61年の法改正で加算されるようになったため、厚生年金と受給権取得当時の障害要件が異なっていたようです。

しかし障害者の方を保護する観点から、障害基礎年金の平成23年の改正で、受給権取得当時障害であることという要件が撤廃され、20歳未満であればどの時点で障害状態になっても20歳までは加算されるということになったそうです。

以下が改正時のリーフレットです。

http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tokureiho/20141209.files/nenkin69-11-01.pdf

平成23年4月から「障害年金加算改善法」の施行により障害年金の配偶者や子の加算制度が改正されました。

これまで(平成23年4月前まで)、障害年金を受ける権利が発生した時点で、加算要件を満たす配偶者や子がいる場合に加算がされていました。
障害年金を受ける権利が発生した後に、結婚や子の出生等により加算要件を満たす場合にも、届出により新たに加算されることになりました。

平成21年に講師を引退して、それ以後も法改正はメンテしていたつもりでしたがやはりこういう細かい改正でまた実務ではほとんど接しないものについては、弱いのを実感しました。

夏休みは雨が多くてちょっと残念でしたが涼しいという意味では助かりました。事務所も連続6連休となり2日出勤してまた週末ということでだいぶゆったりとした時間が過ごせました。少し旅行もして楽しい夏休みでした。

今年は、事務所の受験生と一緒に勉強ができたのがとても楽しかったです(もしかしたらスタッフは迷惑だったかもしれません)。ここ数年忙しくてあまり接することがなかった入社してから年数がまだ短いスタッフとの時間は貴重でした。勉強していると思いだすことも多く、なんとなくまた勉強したくなってしまいました。あとは健闘を祈るのみです。


労使合意に基づく申出による短時間労働者の適用について

2017-08-06 20:40:35 | 社会保険

平成29年4月1日から、厚生年金保険の被保険者数が常時500人以下の企業に勤務する短時間労働者についても、「労使合意に基づき申出」をすることにより、短時間労働者として被保険者の資格取得をすることができるようになっています。

そもそも、平成28年10月からの健保・厚年の適用拡大の対象は、被保険者数が常時500人以下の事業所に勤務する、①週所定労働時間が20時間以上であり、②雇用期間が1年以上見込まれ、③賃金の月額が8.8万円以上である、④学生ではないものとされました。

今回500人以下にも適用できるという適用拡大を申し出る企業はどのような企業かというと、例えば500人以下のグループ企業にも適用することによりグループ内全ての企業に社会保険に適用できれば、グループ内の転籍があったとしても社会保険の適用に差がない扱いができる、などのケースがあります。

それにしても、今回の適用拡大でも対象にはならなかった所定労働時間が20時間未満のパート・アルバイトについては、今後も健保・厚年の適用はないのかという点ですが、これについては検討の余地があり、厚生労働省も考えているのではないかと思います。20時間という線引きの根拠が希薄であることと、やはり保険料は収入があれば負担すべきではないかという保険原理の観点からそのような気がしています。

健保・厚年の被保険者の範囲に入らない人たちについては、国民健康保険と国民年金でカバーされる層と健康保険の被扶養者であり第3号被保険者であるという層の2種類の層が存在します。健康保険の被扶養者で第3号被保険者である人たちは、一般的にはサラリーマンの夫がいる妻ということになり、保険料は納付しません。サラリーマンの夫がいる妻が社会保険の適用事業で20時間未満働きながら国民健康保険と国民年金の第1号被保険者になることは想定が難しく、一般的には第3号被保険者になるであろうということになります。

かたや国民健康保険と国民年金の第1号被保険者である人たちは、自営業で働く場合か、夫が自営業である場合ということになるかと思います。働いていようがいまいが国民年金の保険料16,490円(平成29年度)を納めます。この額を毎月支払いながら第3号被保険者と同じ給付しか受けられないということは公平性に欠けるということは以前から言われています。

また、20時間以上働いている適用拡大で短時間労働者として被保険者になった人の厚生年金保険料は、一番低い標準報酬額93,000円未満(88,000)の保険料は16000.16円で被保険者負担分は8000.6円です。自営業の国民年金保険料の16,490円に比較して半分の額の保険料で給付は上乗せがあるということになりますので、こちらも公平性に欠けるということになります。

第3号被保険者だけではなく適用拡大で被保険者になった場合も、サラリーマン世帯は自営業世帯に比べると有利であると感じます。

暑い毎日でいよいよ夏本番といった感じですね。最近勉強気分旺盛なのですが、タイミングよく法律勉強会に声をかけて頂きました。大学の先生や企業の人事担当者、若手ホープの社労士と労働基準監督官の経歴を持っている社労士と多彩な参加者が集まり、勉強会が終わっても主催していただいた社労士の先生の事務所のビルの1階にあるお店のテラス席でおいしいものを頂きながらいろいろな情報交換をして非常に楽しかったです。そういう機会は本当に大切だと思いました。実務家の社労士は法律的なものの見方を示されるととても新鮮に感じます。幅広い人材との意見交換の場を自分でも作れるとよいなあと思います。

来週は事務所が夏休みを頂きますので旅行に行ってきますのでブログも夏休みとさせて頂きます。皆様も、良い夏休みをお過ごしください。