OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

障害者雇用促進法改正(平成22年7月1日施行)

2010-06-28 00:35:41 | 法改正
 7月1日に施行される障害者雇用促進法の改正の中で、一番注目されるのはこれまで障害者雇用納付金の納付について適用猶予されていた300人以下の企業のうち200人超300人以下の企業が、これからは対象になるということではないでしょうか?

 障害者雇用納付金は法定雇用義務不足1人につき5万円(今回新たに対象となる200人超300人以下の企業は5年間は4万円に軽減)ということで、法定雇用率未達成企業が納付することになっています。
 そもそも障害者の雇用義務は56人以上の企業(55人×一般事業主の法定雇用率1.8%=0.99であるため55人以下は雇用義務は課せられないことになる)にあることになりますが、障害者雇用納付金の納付義務が猶予されていたり雇用義務がなかったりする場合は、真剣に雇用について検討しているところは少ないと思われます。

 今回の改正でも障害者雇用納付金の義務が猶予される200人以下の企業であっても、近いうちに200人を超えるかもしれないという状況であれば早い段階で準備をすることが必要だと思います。
 以前労働者数300人になるかならないかというところで何も準備をしていなかった企業が、年間平均300人を超えてしまい、いきなり300人×1.8%=雇用義務5.4人、5万円×5.4人=月額27万円、年間324万円の納付が必要という事態になってしまったことがありました。そこで真剣に雇用を検討して数人の障害者の方の雇用をすることができたのを見て、やはり企業が真剣に検討すれば雇用できるのだということを実感したのと、もっと早い段階で社労士として準備をアドバイスすべきであったということを痛感したことがありました。200人超300人未満の企業に改正を伝えるとともに、200人に迫りつつある企業にも障害者の雇用義務について伝えておく必要があります。

 また今回はこれまで雇用者数や雇用率の算定の基礎に入らなかった短時間労働者(週20時間以上30時間未満の所定労働時間の労働者)ですが労働者数に0.5としてカウントすることになり、また短時間労働者である障害者及び知的障害者を雇用している場合は0.5としてカウントされることになりました。要するに分母にも分子にもカウントされることになりますから、パートタイマーやアルバイトが多い企業は、分母が増えて未達成率が上昇することもあり得ることになります。今一度雇用者数を見直さないと、来年思いがけない額の障害者雇用納付金の納付義務が発生することも考えられますので注意が必要です。

土曜日は東京都社労士会の野球大会に出場している支部の応援に行きました。芝生のグランドが気持ちが良く、「打って、走って、投げて、落として?という活躍のあと、握手して」という一連を応援して、なんだか忘れていたものを思い出したような気がしました。スポーツの持つ無心さといったものでしょうか。小学校の時に息子が地元の少年野球チームに所属していたころのことを思い出してしまい、結構ハラハラ、時には「ヨシッ」などと言いながら応援して、とても楽しかったです。それにしても対戦チ-ムの60歳を超えられた支部長ピッチャーのコントロールのよさには感嘆しました~。

雇用保険の特例対象者について

2010-06-20 22:41:46 | 法改正
 昨日はOB会であるBBクラブの勉強会で1日を過ごしました。久しぶりに法改正の講義を受けて、いつも人研ニュースで法改正はモレのないように確認していたつもりではありましたが、忘れかけていたものや意外に大切かもと思うものなどがあり、年に2回でも体系的に法改正を学習することはやはり必要だなと実感しました。
 
 7月27日のOURSセミナーでは同じテキストを使い今度は私も講師として説明しなければならないのですが、その時は実務的に特に気になるところや知っておくと役立ちそうなところを中心にお話ししていこうかなと構想を少し考えながら受講しました。

 昨日勉強した法改正の中に、雇用保険法の特例対象者に係る特例の創設(平成22年12月31日までに施行)があります。これは、保険料の時効である2年前を超えて、資格取得を認めようとするもので、遡れるのは「賃金から保険料を控除」していたことが確認できる最も古い日等までということになっています。要するに数十年会社で勤務していたのに取得漏れという事務的なミスで、資格取得を遡ってしなければならないことになった場合に、現在は遡れる期間は保険料納付の時効にかからない2年前の日までということになっているため、退職して給付を受給しようとしたときに、算定基礎期間が20年以上ではなく1年以上5年未満として扱われ給付日数が少なくなってしまう、ということがあるのを防ぐことができるようになるわけです。

 昔、顧問先になったばかりの会社でそのような事件があり、年に1回は在籍被保険者の確認を職安に出してもらったりして気を使っていましたので、そういう意味では良い改正だと思います。結構、在籍被保険者の記録を出してもらうと全然知らない名前がその会社の被保険者として載っていたりして怖いものもあったのですが・・・。
 
 これは年金記録問題で、年金時効特例法により「保険料控除が確認できる」場合には第三者委員会のあっせんにより記録の訂正を行い、その訂正された記録に基づく年金を受けることができるというものと同じ考え方です。法律により保険料の納付が、2年で時効にかかることは変わりません。従ってこの訂正が行われた場合に、事業主に保険料の納付を強制することはできず、あくまで納付を「勧奨する」というところも同じです。
 
 保険料の控除を確認するのは、給与明細等の書類になるのだろうと思いますが、年金の場合は第三者委員会で審議するわけですから、雇用保険もその確認書類を精査するシステムを持たなければいけないと思います。もし時効期間を超えての遡り取得を認めることになった場合に、保険料は100%回収できるわけではなく、その財源は雇用保険にきちんと加入している事業主と被保険者が納付した保険料になるだろうからです。そういう意味で「簡単に作れてしまう確認書類を簡単に通す」ということはしないで欲しいと思います。
 
 事務的なミスで取得漏れということもたまにあると思いますが、やはり多いのは小さなお店などで雇用保険の加入をしていない、資格取得をしていないというケースではないでしょうか?その場合は保険料を賃金から控除されていることはないことがほとんどでしょうから、今回の改正で救済されるわけではありません。あくまで保険料控除が確認できる場合にさかのぼることが可能になるからです。そういう会社には、雇用保険は被保険者のためだけのものと考えているかもしれませんが、どうしても経営が厳しくなったときに、社員に辞めてもらわなくてはならない場合に、雇用保険に入っているのといないのでは社長さんの気持ちの負担も違うので入りましょうね、ということにしています。そういうことにはならないことを願っていますが・・・。

苦楽を共にした合格者と法改正を勉強したり、メンバーの中から講師をお願いしてお話ししてもらったりする年に2回のOB会は、とても私にとっては大切です。合格してから皆に色々な人生があり、仕事のことで悩んだり、結婚したり、子供が生まれたり、特定社労士に合格したり、転職したりと様々なことがあるのですが、その日集まって1日勉強に過ごし久しぶりに親睦を深めることで、私も初心に帰れるのだと講師を卒業してから特に強く思うようになりました。ということで昨日は遅くまでハリキリすぎて今日はぐったりしていました~。また今週もがんばりましょ。
 

休職期間中の育児休業

2010-06-13 23:59:45 | 労務管理

顧問先企業から毎日色々な質問が来ますが、それにお答えする手順はだいたい同じです。まず自分で永年使っているTACの新標準テキストを確認しながら答えを考えてみる。そのあと根拠の条文や通達を調べてみる。それでも確証がなければ持っている書籍で調べてみる。そのあたりで必要と思えばおおむね自分なりの見解を考えた上で厚生労働省などに確認してみる。ここまで行かず、すぐ答えられるご質問も多いですが、考えていくと奥深いものもかなりあります。毎日そのような作業を繰り返すことによって、自分の知識の蓄積ができることがうれしく、仕事をしながら勉強できる社会保険労務士という仕事に出会えて本当に自分は幸せだと感じています。

先日企業からお問い合わせがあった質問の中で休職期間中に育児休業の申し出があった場合どうなるのか?また、育児休業期間中に休職期間が満了した場合は退職としても良いのか?というものがありました。

休職期間というのは病気等のために労働日の労働を免除するというものですが、法律で「休職」を規定しているわけではありません。従って労働基準法でも就業規則の絶対的必要記載事項ではなく、相対的必要記載事項(会社に定めがあるならば記載することとするもの)となっています。

労働日の労働を休職によりすでに免除されているのに育児休業を取得することは可能なのか?お問い合わせを受けたときにまず頭に浮かんだのですが、そこは育児休業の申し出は労働者としての権利ですし、雇用保険法に定める育児休業給付金が受給できるということもありますので育児休業の取得は可能であろうと考えました(その場合は病気休職ではなく育児休業となるので傷病手当金は受給しない)。また育児休業の途中で休職期間満了となった場合は、復帰できない状態であればそこで退職となるであろうと考えました。これは色々な本を調べてもたぶん載っていないと考え、ここまであたりをつけて厚生労働省に確認したのですが、折り返しということで即答ではありませんでした。

翌日回答を頂いたのですが以下の通りです。

①休職期間中に育児休業の申し出があった場合は育児休業を取得させることになる。これは法に定めのない休職期間より、法に定めのある育児休業の方を優先させるべきだという考えに基づくそうです。

②その育児休業期間中に休職期間満了の日が来た場合に、病気等が治らず育児休業がないとしても復帰できない状態であれば退職として差し支えない(あくまで出産・育児休業等の取得を理由として無理やり退職させるようなものでないこと)ということでした。これは解雇制限期間中に契約期間満了となった場合には、解雇ではなく契約期間満了による退職となるのに少し似ていると思います。

病気休職から育児休業に変更になった場合の傷病手当金はどうなるのかは聞きませんでした(たぶん担当部署が異なると思いましたので)。その際は育児休業給付金を受給するわけですし信義則からいっても傷病手当金は受給してはいけないと思いますが、そうなると結局育児休業と休職とどちらが労働者にとって良いかという問題になると思います。資格喪失後の継続給付としての傷病手当金は資格喪失の時点で受けているか報酬との調整で受けていなくても受けうる状態である場合に限られるのですから、育児休業ではなく休職として傷病手当金を受けた方が退職後のことを考えると良いかもしれません。やはり深いです~。

毎日とてもさわやかな季節になりました。2階に移転した事務所はベランダがあるため開放感があり、今のところ私の席の後ろにある窓を半分くらいあけて仕事をしていますが、とても気持ちが良いです。夏が近づいてきましたが、社労士受験生は本試験まであと2カ月強、落ち着いて丁寧に勉強してください。


法趣旨について

2010-06-06 22:56:29 | 雑感

この週末は本当に珍しく予定もなく2日間家でのんびりと過ごしました。どういうわけか私はこの本読んでくださいと周りの人に言われることが多くて、今読んでいる本が3冊あるのでなかなか忙しいのですが、その中で高杉良の「不撓不屈(フトウフクツ)」の上巻が今日読み終わる感じになってきました。

この「不撓不屈」は税理士の実話で、政治家なども実名で出てきます。映画化もされているそうですが私はまだ映画は見たことがありません(今度見てみようと思っています)。非常に優秀な税理士ということであり、とても興味と期待を持って読んでみたのですが感想としては今のところ私としては微妙という感じです。

と言いますのも、この本は国税庁側があるきっかけから一税理士を徹底的に弾圧する話で、確かに本当このようなことであれば国家権力の集中攻撃を浴びながら毅然と戦う税理士ということで、共感を覚えることができるストーリーなのかもしれません。ただ気になるのがそのきっかけになった節税なのか脱税なのかという税理士のアドバイスについてなのです。確かに節税と脱税の境目はすっきりしたものではないのかもしれません。ここら辺は社労士である私にはわからないことも多くあるのだとは思います。

法律は条文を読んでいると、とてもよくできているなと思うときもありますが、逆に不備ではないのか?と気がつくものもあります。通達や指針で補完されることもあるので一概には言えないのですが、法律だからといって完璧なものとは言いがたいと思うこともたびたびあります。また細かいことまで法律に書かれることは多くないので「拡大解釈」ということも成り立つ場合があります。実務上は法律の規定を押さえながら拡大解釈をしていき企業規模にもよりますが大丈夫だろうというアドバイスを顧問先企業にすることもあります。

ただ私はそういう場合でも理論の組み立ての基本に持ってくるのは「法趣旨」と考えています。この法律がどのような趣旨を持ち規定されたのかをきちんと押さえておけばまず間違った方向にアドバイスしてしまうようなことはないだろうと考えています。

不撓不屈に出てくる「別段賞与」は確かに資金繰りなどに苦しむ中小企業を助けるという節税の考え方から発したものであり、脱税ということではないと思います。ただ開業当初に出てくる「別段預金」の話になると法の盲点を突いているのであって法趣旨からは逸脱しているのでは?という気がしてくるのです。それがあるのでちょっとしっくりこないなあと感じてしまうのかもしれません。

例えば4月に改正がありました雇用保険の、雇用見込み31日以上で被保険者の資格取得という規定は、改正条文を見るとすべての被保険者の取得に当てはまるようにしか読めないのです。しかしこれはリーフレットを見ると、短時間就労者(通常の労働者の労働時間に比し労働時間が短い人)について必要とされる雇用見込みであることが書いてあります。もともと雇用見込みを問われていたのは短時間就労者のみであり、通常の労働者は雇用見込みを問われることなく資格取得することになっていました。改正でそれが不利に変更されることはおかしなことなので、条文を読んだときに厚生労働省に電話をかけて確認しましたが、「法趣旨から通常の労働者の取り扱いを変更することではなく、短時間就労者のみの適用規定と考えてください。」ということでした。社労士をしていれば法の盲点というのはおのずから見えてしまうことがありますが、法律を元に仕事をしている士業である以上、法趣旨を大事にしていく必要があると思っています。

気持ちのよい季節で本当に気分が良いですね。この週末は布団を夏用に変えたり、大学の後輩の母上が作ったお米を買っているのですが、精米機で7分づきや5分づきに精米して毎回使う分だけ小分けする作業をしたりしていました。最近平日なかなかご飯を作ることができないので、週末に料理を少し作りためたり、平日にいろいろなことが効率的できるように準備したりすることにしています。それはそれで結構気分転換になるものですね。