OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

平成23年度社会保険労務士本試験

2011-08-29 02:00:10 | 雑感

今日は平成23年度社会保険労務士試験でした。まだ問題を見たわけではないので何とも言えませんが、選択式の解答を見る限り、特に国年は具体的なことを規定した箇所ではないので、やはりなかなか難しい言葉が並んでいるなという感じがしました。

ただ労災は障害等級の男女差の見直しで、「鶏卵大面」など難しい言葉もありますが改正部分が出題されて勉強していればできたのかなと思いました。

また、労一が労務管理だったようですね。「職能資格制度」や「成果主義賃金制度」が選択肢で、これはうれしくなりました。実際に社労士の仕事をしていれば、労働経済等の統計数値である程度の労働に関する動向を押さえておく必要はあります。しかしそれらは何か案件があったときに調べればわかることでそれほど難しいこともありませんし数字を常に正確に頭に入れておく必要もありません。一方、労務管理については基本的な知識や言葉くらいは知っておかなければ恥ずかしいと思いますので、試験に以前からきちんと出題して欲しいと思っていました。

講師を辞めてからちょうど丸2年。今試験を受けたら合格する自信はないという社労士が多い中で、ずっと本試験対策を講師としてやっていたので多分大丈夫と思っていましたが、そろそろどうかな~という状態になりつつあるのかもしれません。ただ、日々の業務の中では、受験対策として勉強した蓄積が生きていて、思いがけず頭の中の引き出しをスムーズに開けて知識を取り出して相談業務を行うことができているような気がします。やはり長い間勉強したということはそれなり応えてくれるものなのだと思います。今日受験された方も、今回失敗してしまったからと言ってめげることなく頑張って欲しいと思います。長く勉強した分、実際に仕事をするときには使える知識になっていると思いますから。

8月最後の週末で夏休みもこれで終わりですね。秋からはまた気持ちを新たにいろいろな業務に取り組んでいきたいと考えています。また10月1日が改正予定日である最低賃金ですが、東京地方最低賃金審議会が837円という答申を出したようです。平成19年度以降の5年間で118円の引き上げということで企業にとっては厳しいですが、これで生活保護の時給換算額と同じ額になるようです。

 


子ども手当と児童手当

2011-08-21 21:36:23 | 法改正

子ども手当は本当に迷走ですね。

民主、自民、公明3党の幹事長、政調会で8月4日、年度内で子ども手当を廃止したうえで、2012年度からは税引き前年収960万円以上の所得制限を盛り込んだ新たな児童手当制度に移行することで正式合意しました。現行の子ども手当は今年9月で失効するため、特別措置法案を今国会で成立させ、10月~来年3月は子ども手当を暫定的に継続させるということです。

要するに月額2万6千円支給されるはずの子ども手当は、以下のような混乱に混乱を重ねるという経緯を経て廃止という結末になったわけです。

①平成22年4月より平成23年3月まで 「平成22年度における子ども手当の支給に関する法律」 月額1万3千円支給

②平成23年4月より9月まで 「平成23年度における子ども手当の支給に関する法律」 月額3歳未満2万円、3歳以上中学校終了前まで1万3千円支給

③平成23年10月より平成24年3月まで 「平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法案」 月額3歳未満1万5千円、3歳以上小学校終了前まで1万円(第1,2子)1万5千円(第3子)、中学生1万円支給

④平成24年度以降の子どものための現金給付については、上記の支給額等を基にして、児童手当法に所要の改正を行うことを基本とする。その際、地方等と十分に協議を行い、その理解を得るよう努めるものとするということになりました。

しかし、民主党は子ども手当が存続するという支持者向けのビラを作成して自民、公明両党の反発で配布中止、また懲りずに19日発行の機関誌で、「『子ども手当』の存続が決定しました」との記事を掲載したそうです。理由としては「名を捨て実を取った」ということらしいのです。恒久的な子ども手当の「形」が3党で合意されたということで、旧児童手当時代よりも支給対象や支給額が増えていることを指して「実を取った=子ども手当は廃止じゃない」ということのようです。

しかしそれは「違う!」と思います。 週末テレビを見ていても司会者やコメンテーターは「もらえる額が変わらないならどちらでも同じ」というような発言をしていましたが、支給根拠になる法律が異なるならやはりそれは「廃止」以外の何物でもないと思います。そもそも当初民主党は子ども手当の負担について全額国費で負担するといっていたわけです。財源は扶養控除等の廃止や予算削減ということで可能としており、実際一般の扶養親族のうち、年齢が16歳未満の人に対する扶養控除(38万円)が廃止されました。それでもあまりに財源の見通しが甘すぎて、結局地方負担について揉めに揉めた挙句、国の負担分を差し引いたあと児童手当と同様に地方自治体や企業に負担させることになりました。 

従来より児童手当の費用負担は、被用者に対する場合は事業主からの拠出金7割、国1割、都道府県1割、市町村1割(自営業者などについては国、都道府県、市町村各1/3)と児童手当法で定められています。支給額だけでなく財源も含めた全体の構造が法律で定められているのですから、民主党の議員が「名を捨て実を取る」と言っていることは法律のことを全く念頭に置いていないという意味で理解しがたいことだと思います。

支給額が変わらないなら存続と言ってしまってもよいというその感覚は、ちょっと年金問題と同じものを感じてしまいます。どうせ細かいことは分からないのだからといって、国民をバカにしている気がしてしまうのです。

車山の頂上に登りました(といってもほとんどリフトです)。しかし眺めは素晴らしかったです。リフレッシュして東京に戻りやる気満々です。 

 


夏休み

2011-08-11 22:49:38 | 雑感

 今週の週末は夏の旅行に行ってきます。

母親が70歳になったときに「よしこれから夏休みは毎年どこかに連れて行こう!」と考えて11年目です。北は北海道から南は九州まで色々なところに行きました。もう少し細かく言うと北は礼文島から南は鹿児島桜島までです。講師をしている時代は直前対策講義と本試験の間の週末しか休みが取れなかったり、本試験の前日に旅行から戻ったりという綱渡りの年もありました。母は今も元気にしっかりついてきてくれます。今年は八ヶ岳に行ってまいります(秋になったら八ヶ岳の周りを歩き回ろうともくろんでおりその下見をしてこようと思っています)。

お盆明けすでに仕事の予定がぎっしりという感じです。忙しいことはありがたいことですがその前に少し気分転換をしてまいります。

なんだが既に8月も中旬とはあまりの時間の経過の速さに一人で目が回りそうな感じですので、山でゆったりした気持ちを取り戻してきます!

従って今週末のブログはお休みさせていただきます。よろしくお願いします。


民法と労働法

2011-08-07 22:29:31 | OURS
 8月から私を含め事務所スタッフの知識向上のため、就業時間後弁護士の岩田先生の講義による勉強会を行うことにして第1回目が始まりました。岩田先生はまだ弁護士になり1年目の若い先生なのですが大学の時にゼミ形式で後輩を指導した経験があるというだけあり、条文を読ませたりクイズのような質問を投げかけたりととても楽しい時間でした。時にはスタッフから質問も出てそれに先生が答えてくれるという双方向の勉強会であったため予定の半分しか進まなかったようですが充実した勉強会となりました。
 以前から顧問先企業にアドバイスするには民法をもっと勉強したいと考えて温めていた構想でしたが、金銭的な面でも良い先生と巡り合う機会という点でもなかなか実現できないでいました。私としてはやっとここまでたどり着いたということで始まったのですが、やはり今回初回から目からウロコがぼろぼろでした。というのもこれまで社会保険労務士として取り扱う労基法を始めとした労働法については社労士試験の教材作成の過程で条文の隅々までかなり読み込んでいたのですが、これら特別法の根底に流れる民法を大げさに言えば体感した感じでした。この一般法としての民法と、特別法としての労働法を比較しながら法趣旨を考えたりすることがとても面白く、講義の次の日もあれこれ思いめぐらしてしまうほどでした。例えば以下に挙げてみます。
●民法
第六百二十八条  当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
●労働契約法
第17条  使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない
両者を比較するとよくわかるように、労働契約法は「やむを得ない事由がなければ」有期労働契約の期間途中の解除はできないとなっているため、一般法の民法よりより厳しい特別法として存在するわけです。
子が出生した時点の問題も先生から問われましたが、胎児もかなり話題になりました。
●民法
第八百八十六条  胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
●労災法
第16条の2,2項 
 労働者の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは、前項の規定の適用については、将来に向かつて、その子は、労働者の死亡の当時その収入によつて生計を維持していた子とみなす。
「将来に向かって子とみなす」というのは本試験のポイントでもありましたが、だてにポイントだったわけではないのだと思いました。民法の相続の規定については胎児ということで既にに生まれているとみなすのに、労災法の遺族補償年金の受給権者として扱われるために必要な生計維持関係は、出生した時に初めて胎児であった時代でも認められそれも将来に向かって子とみなすとしているわけです。
これからもっと色々と勉強したくなりました。自分の息子と同じ歳の先生から「意欲的ですね」と褒められてうれしい私でした。
昨日は7士業無料相談会に行ってきました。正式名称は「渋谷暮らしと事業の無料相談会」ということで、弁護士、司法書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、行政書士、税理士、社労士という7つの士業で行う相談会です。それぞれの士業の特徴がなんとなくわかるような雰囲気が醸し出されているように思いました。その後、控室では自分の通信環境の説明会となりiPadの有効な使い方など教えてもらいました。とにかくメモなどすべてデータ化して、出先でもiPadで見るというのを聞いてうらやましくなりました。「これから駆け落ちするみたいだな~」と言われるくらい私は重たいバックをいつも持っているので、これは検討する必要があると思いました。それにしても税理士の先生の元気には見習うものがあると思いました。