OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

「雇用類似」の働き手に対する保護のあり方について、検討会中間報告

2019-07-16 01:55:03 | 労働保険

 7月4日付け労働新聞に、「厚生労働省は、『雇用類似』の働き手に対する保護のあり方について、検討会中間報告(案)を明らかにした。」という記事が載っています。

 副業・兼業を認めていくという国の方針もあり働き方が多様化する中で、「雇用類似の働き手の保護」という観点から厚労省では検討会を行っています。その中間報告がまとめられ以下のような概要となっています。

雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会 中間整理について

https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000523663.pdf

 修士論文のテーマはかなり焦点を絞ることにしましたが大きく括ればテーマといってよく、興味があるところですが、「労働基準法の労働者性判断基準を拡張して、雇用類似の働き手を保護すべき」という意見に対して、「これまでに確立された知見を抜本的に見直す必要が生じる」ということで短期的には結論を出すことはできないということになりました。今後、保護ルールを検討する考えである、ということです。保護対象となる雇用類似の働き手の定義としては、「発注者から委託を受け、主として個人で役務を提供し、その対償として報酬を得る者」が中心になる、としています。

 厚生労働省のhpにある検討会の資料をみると、中間報告に至るまでにかなり詳細なヒアリングと分析がなされていて、その中では契約条件の明示、契約の締結・変更・終了などに関しては「書面等での明示」、報酬の確実な支払い確保、水準設定、最低報酬額などが課題とされており、最低報酬の設定、その他、安全衛生、就業時間、損害賠償の予定などについて優先的に検討するということです。

 検討会の検討内容とは違った視点からの切り口で自分なりの研究をしてみようと考えており、特に影響を受けるということはないのですが、「労働基準法上の労働者」についての判断基準については、確かに拡大するには大きな転換が必要だとは感じます。しかしヨーロッパは特に国によっては拡大を図っているケースもありその転換のきっかけや考え方のプロセスなど調べてみたいことは色々とあります。

先週のゼミの後で、修士論文の報告をして概ね方向性は良いでしょうという菊池教授のアドバイスを頂いて、かなりホッとしたためというわけではないのですが、週末は小淵沢に行ってきました。ほとんど雨でしたし、先月からひいている風邪が抜けないのでゆっくりしようと思ったのですが、ウィンブルドンの決勝があまりに凄い試合で、ジョコビッチが勝利するまで寝ることができず結局夜更かしをしてしまい、まだ咳が残っています(それにしても本当にすごい試合でした!)。

今週末のBBクラブの予習・本番と7月末の学期末までのレポートを仕上げたら、修論についてはどこから何をして書き出すかという方向性も決まりましたので安心してふと気が付いたら既に7月中旬になっており、社労士本試験にあと約1か月ということに気が付きました。

受験生とっては、いよいよここからが本当、勝負のかかった大事な時期になるので、集中して力をあげていって欲しいです。


労災特別加入の加入状況

2019-07-07 21:14:25 | 労働保険

 平成29年度末の数字ですので少し古いものですが、特別加入の加入状況をみると、中小事業主等が1,089,983人(中小事業主650,953人及び家族従事者439,030人)と圧倒的に多く、次いで一人親方等が569,918人、特定作業従事者が112,499人、海外派遣者が98,774人となっています。

 一人親方等においては、建設業の一人親方が556,634人とほとんどを占めており、個人タクシー・個人貨物運送業者が9,311人、漁船による自営漁業者が1,539人、林業の一人親方が1,704人、医薬品の配置販売業者が178人、再生資源取扱業者が450人、船員法第1条に規定する船員が102人です。

 また、特定作業従事者においては農作業従事者が98,768人、訓練従事者が10,377人、家内労働者が481人、労働組合等常勤役員が86人、介護作業従事者が2,787人となっている。

 この中で気になるのが家内労働者です。家内労働者とは、家内労働法等に基づき、通常、自宅を作業場として、メーカーや問屋などの委託者から、部品や原材料の提供を受けて、一人または同居の親族とともに、物品の製造や加工などを行い、その労働に対して工賃を受け取る人をいいます。「内職」と理解してよいと思います。この家内労働者のうち労災保険の特別加入に加入することができるのは、特に危険度の高い業務及び作業とされています。内訳をみてみると、金属等の加工の作業329人、洋食器・刃物等加工の作業25人、履物等の加工の作業65人、陶磁器製造の作業0人、動力機械等による作業62人、仏壇・食器の加工の作業0人となっています。いつからなのか分かりませんが、0人という作業が2種類もあるということで、見直しの必要性を感じます。 

※業種別、事業及び作業の種類別中小事業主等特別加入状況(平成29年度末時点 速報)

梅雨だから仕方がないのかと思いますが、雨の日が続きますね。意外に外に出ると暑くなく寒くもなくさわやかな感じがすることもあります。梅雨が明けたらきっとものすごく暑くなるんだろうなと想像しながら少しこの気温を楽しみたいような気がします。

来週は修士論文の2度目の経過報告をすることになっており、準備に苦心しています。試しに一部分ですが書き出してみたところ、あっという間に4,000字になってしまい、少し細かなところまで書きすぎなのかなと考えています。調べたことを全てアウトプットしたいというクセはTACの講師時代からですが、昨年医療の講義のレポートを作成する際に島崎教授に言われた「簡にして要を得ている」ということを念頭に頑張ってみます。 


請負事業の一括について

2019-06-10 00:29:32 | 労働保険
労働保険の保険料の徴収に関する法律(徴収法)で労働保険料の徴収について一括ができるものとして定められている保険関係の一括は、「有期事業の一括」「請負事業の一括」「継続事業の一括」の3つがあります。このうち継続事業の一括については、労災保険及び雇用保険に係る保険関係を一括することができますが、有期事業の一括と請負事業の一括については労災保険に係る保険関係のみを一括することになります。
 
この中で、請負事業の一括は、数次の請負で行われることが通常である「建設業のみに適用」されるものです。家を建てる時などの建設の仕事を思い浮かべてみるとイメージしやすいと思うのですが、下請けやさらにその下請けである孫請けなど混在して仕事をします。このような数次の請負で仕事が行われる場合、下請負事業ごとに分割して保険適用することは現実的には困難です。そのため、法律上当然に下請負事業を元請負事業に一括して、元請負人のみを適用事業の事業主として取り扱うこととされています。

この場合注意しなければならないのは、請負事業の一括の対象となるのはあくまで「労災保険の対象者である労働者」ということになります。元請事業の事業主だけでなく、下請負事業の事業主や孫請事業の事業主や一人親方についてはこの一括の対象にはならないわけです。従って請負事業の一括の仕組みがあっても下請負事業の事業主等については労災保険の特別加入をしなければ、労災保険の補償を受けることはできないということになります。

下請事業の実質的経営者が元請事業の労働者であったとして労災保険の休業補償給付を申請したところ「労働者」に該当しないとして不支給処分とされ、それを不服として裁判に訴えたもののやはり労働者性が否定された判決があります(「呉労基署長〈浅野建設〉事件、広島地判平成4.1.21)。元請けが下請負人に行った指示、指導については、労働者性の判断基準となる指揮命令ではなく「請負契約の内容に沿うよう債務の履行を求めているにすぎないもの」と判断されています。
 
なお、「下請負事業の分離」といって一定以上の規模の下請負事業である場合については、元請負人及び下請負人の共同の申請により元請負事業に一括することなく下請負事業を分離して保険関係を成立させることが可能ですが、そのためには厚生労働大臣の認可が必要です。この認可を受ける一定規模とは、下請事業の概算保険料の額が160万円以上又は請負金額(消費税相当額を除く)が1億8,000万円以上になる場合です。
 
久しぶりに小淵沢に行ってきました。昨年秋にお風呂をリニューアルして外の景色を見ながら露天気分になる予定だったのですが、前回までは寒くて寒くて窓を開ける気に全くならず、やっと今回はわざわざ陽のあるうちにお風呂に入ることにして、少し露天風呂気分を味わうことができました。家の前は畑とその向こうは森なので窓を開けてもたいがい大丈夫なのですが、いきなり畑の様子を見に来たのか軽トラが走ってくるのが見えて慌ててブラインドを下ろしてドキドキしました。天気が良い夏なら星を見ながらの露天気分になれるはずと楽しみにしています。

特別加入申請書内容の重要性について

2019-05-26 21:57:12 | 労働保険

特別加入制度は、労働基準法の適用労働者に準じて保護するにふさわしい者に対し労災保険を適用しようとするものです。その場合の業務上外の認定基準は、以下の通達に定められています。

特別加入者の業務上外の認定基準について(昭和50.11.14基発671号、平成14.3.29基発0329008、)

特別加入に関係する裁判例を調べているのですがこの業務上外の認定はかなり厳しいものがあります。業務上と認定されるためには特別加入申請書に記載された内容が基礎となりますので、記載内容については慎重に記載する必要があります。実務では意外に簡単に記載していることが多いと思われますが、社労士としてはその点のアドバイスはきちんとしていく必要があります。

まず、中小事業主等における特別加入の場合、申請書別紙の業務の内容欄に記載された所定労働時間(休憩時間を含むものとする。)内において、事業主の立場において行う事業主本来の業務を除いた特別加入の申請に係る事業のためにする行為及びこれに直接附帯する行為(生理的行為、反射的行為、準備・後始末行為、必要行為、合理的行為及び緊急業務行為をいう。)を行う場合が前提となります。

その上で、労働していた時間について以下の要件が定められています。

1)特別加入申請書に記載した労働者の所定労働時間内において業務行為を行っている場合は、労働者を伴っていたか否かにかかわりなく、業務遂行性を認めるものである。

2)労働者の時間外労働又は休日労働に応じて就業する場合。

3)1)又は2)に接続して行われる業務(準備・後始末行為を含む。)を特別加入者のみ行う場合。

申請書別紙の記載内容の問題ではないですが、3)の「接続して行われる業務」についてはかなり厳しく、中小事業主が従業員の出社前に準備作業をしている最中に誤った機械操作をして死亡した事故については、始業時刻には取引先への訪問事業主としての業務)を予定していたということで「接続」の要件を満たさず、業務上と認定されなかったという裁判例があります(「所沢労基署長〈田中製作所〉事件、浦和地判昭58.4.20」)

申請書に記載した所定労働時間等から間隔があくと業務上の認定がなされない場合があることは、中小事業主等の特別加入申請をする際には説明しておく必要があると思います。

また、業務内容についても漏れのないように丁寧に記載することも大切ですので、そういう意味で申請書は慎重に作成する必要があります。

先週は支部で「同一労働同一賃金」の研修を受講しました。そろそろ夏のBBクラブやOURSセミナーのためにも少しずつ整理をして何をすべきか特定していきたいところですが、もう少し勉強してみたいところです。

法改正に対しての勉強については、TACの講師時代の一般常識セミナーの準備と同じような方法で行っています。一般常識セミナーの準備では数カ月間あれこれと資料を集めておき、頭の中で少しずつ熟成しておいて、集中して講義内容を考える、ということをしていました。いまはパワーポイントがありますので準備もしやすくなりましたので、整理していく楽しみもないわけではありません。頑張ります。


技能実習生の労災について

2019-05-19 22:14:56 | 労働保険
新たな在留資格の導入で、外国人労働者のこれまでにない増加が見込まれています。社労士として企業にアドバイスするするためにどのようなことを準備しておけばよいか気になっていましたが、連合会の委員会に参加させて頂くことになり、先日の初回の打ち合わせは大変勉強になりました。今後も研究を進めていきたいと思っています。外国人労働者であっても日本で雇用されて働く以上もちろん労災は適用されるのですが、技能実習生の労災適用状況が先日新聞に載っていました。今後新たな在留資格の受入れについては、現在日本で働いている外国人労働者に起こる課題から推察していくことができますが、技能実習生の労災事故が全体の労災事故と比較してどのような状況になっているかは今後の労務管理上有効な情報だと思われます。まずは働く場所の安全対策の徹底と雇用した労働者については外国人であっても、たとえ1時間しか働かない場合であっても、労災保険の適用対象であることを企業に認識してもらうことからでしょうか。

外国人の労災事故2847人 最多更新、技能実習生も増加 (2019.5日経新聞記事)
厚労省によると、18年の外国人の死傷者数は前年の2494人から14.2%増えた。10年前(1443人)と比較するとほぼ倍増した。
この間、外国人労働者数は3倍に膨らみ、約146万人となっている。
死傷者のうち技能実習生が784人(27.5%)で、過去最多を更新。
外国人労働者における技能実習生の割合(18年は21.1%)を上回る状態が続いている。
4月に改正出入国管理法が施行され、新たな在留資格制度「特定技能」が始まった。
外食業や宿泊業など対象14業種について、技能と日本語の試験に受かるなどすれば、通算5年在留可能なビザを取得できる。
外国人の受け入れ拡大が加速する中、安全対策が課題だ。
日本人も含めた国内全体の労災事故では、死傷者数は前年比5.7%増の12万7329人。3年連続で増えた。
一方、死亡事故に限れば同7.1%減の909人で過去最少だった。

昨年1月の日経新聞にも以下の記事が載っています。

労災による死亡と認定された外国人技能実習生が2014~16年度の3年間で計22人に上ることが14日、厚生労働省のまとめで分かった。
大半が事故とみられるが、過労死も1人いた。
政府統計で実習生の労災死の実態が明らかになったのは初めて。
労災保険の給付対象となる休業4日以上の労災件数は3年間の平均で年475件だった。(2018/1/14日経新聞記事)
政府統計で実習生の労災死の実態が明らかになったのは初めて(東京・霞が関の厚労省)
実習生は職種が限られており、労災死比率が日本の雇用者全体の労災死比率を大きく上回っている。
実習の名の下に日本人より危険で過酷な労働を負担している現実が示された。
厚労省によると、死亡した実習生のうち労災認定されたのは14年度が8人、15年度が9人、16年度が5人。
労働基準監督署に報告があった実習生の死亡事案の中で、労災認定されたものを集計した。
実習生の国籍や都道府県別の人数は不明。

法務省によると、実習生の数は14年16万7641人、15年19万2655人、16年22万8589人。
集計が年と年度で違うが、単純計算すると3年間の労災死は10万人当たり3.7人になる。
一方、日本全体では厚労省の集計で14~16年の労災死は計2957人。
総務省統計局による雇用者数の3年間合計(1億6964万人)で計算すると、労災死は10万人当たり1.7人。

実習生の仕事は農業、機械加工など70余りの職種だけという違いはあるものの、差が大きい。
実習生に詳しい自由人権協会の旗手明理事は「慣れない日本の労働現場、
しかも労働安全衛生への意識が低い中小企業で働くことが多い上、実習生は日本語での意思疎通がうまくできない」と労災が多い背景を分析。
「けがで働けなくなった実習生を強制帰国させるケースもあり、労災隠しは横行している」と話す。
 
今の事務所に引っ越してから、とても嬉しいのはパン屋さんの移動販売車が週2回来てくれることです。昨年夏まで青学西門付近に15年くらい事務所を構えており、そのあたりも結構ランチができるお店や隠れ家的お店もあったので楽しかったのですが、今の事務所はヒカリエのお隣なのでヒカリエの美味しそうなお弁当を購入してくるスタッフもいますし、宮益坂にもたくさんランチをできるお店があるのでその点はとても恵まれた環境ではあります。ただ外出から戻ってきたばかりであったり、またお客様のご相談が午前中いっぱいあった場合などは移動販売のパン屋さんはとても助かります。かなりたくさんの種類が並んでおり、美味しいパンです。
昔(私が子供時代)は、お魚屋さんや八百屋さんが家の近所に移動販売できていたことを思い出します。母や近所のお母さんたちが家から出てきて買っていたのをよく覚えています。今後高齢化社会であまり遠くに買い物が行けない、また車の運転も免許返上、という人たちが増えたときのヒントにならないでしょうか。

出向者の労災保険の適用について

2018-12-17 00:56:27 | 労働保険

出向者の労災保険の適用について、これまで当たり前のように出向元から賃金額情報を頂いて出向先で保険料を納付するという扱いをしてきたのですが、レポートを作っている中でその根拠の通達に触れましたので一応ここにあげておこうと思います。

出向労働者に対する労働者災害補償保険法の適用について(昭和35.11.2基発932号)
ある事業(以下「出向元事業」という。)に雇用される労働者(以下「出向労働者」という。)が、その雇用関係を存続したまま、事業主の命により、他の事業(以下「出向先事業」という。)の業務に従事する場合における労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。)の適用は、左記のとおりとするので、関係事業主に対し、この旨指導されたい。

一 出向労働者に係る保険関係について
出向労働者に係る保険関係が、出向元事業と出向先事業とのいずれにあるかは、出向の目的及び出向元事業主と出向先事業主とが当該出向労働者の出向につき行なった契約ならびに出向先事業における出向労働者の労働の実態等に基づき、当該労働者の労働関係の所在を判断して、決定すること。
その場合において、出向労働者が、出向先事業の組織に組み入れられ、出向先事業場の他の労働者と同様の立場(ただし、身分関係及び賃金関係を除く。)で、出向先事業主の指揮監督を受けて労働に従事している場合には、たとえ、当該出向労働者が、出向元事業主と出向先事業主とが行なつた契約等により、出向元事業主から賃金名目の金銭給付を受けている場合であつても、出向先事業主が、当該金銭給付を出向先事業の支払う賃金として、労災保険法第二五条〔現行徴収法第一一条第二項。以下同じ〕に規定する事業の賃金総額に含め、保険料を納付する旨を申し出た場合には当該金銭給付を出向先事業から受ける賃金とみなし、当該出向労働者を出向先事業に係る保険関係によるものとして取り扱うこと。
二 前記一の後段に係る事務取扱
(一) 保険料の納付について
出向元事業主が、出向先事業主との契約等により、出向労働に対して支払う賃金名目の金銭給付を、出向先事業に関する労災保険法第二五条に規定する賃金総額に含めたうえ、保険料を算定し、納付させること。
(二) 平均賃金の算定について
出向労働者につき業務上災害が発生し、保険給付のため平均賃金を算定する必要が生じたときは、出向元事業主が、出向先事業主との契約等により、出向労働者に対して支払う賃金名目の金銭給付を、出向先事業が支払つた賃金とみなし、出向先事業の出向労働者に対し支払つた賃金と合算したうえ、保険給付の基礎となる平均賃金を算定すること。この場合には、出向元事業主の上記金銭支払明細書(ただし、前記平均賃金を算定するための所要時間内に支払われたものに限る。)について出向先事業主の承認をうけ、これを補償費請求書に添付して提出するよう受給権者を指導すること。
なお、前記平均賃金の算定が、労働基準法第一二条第二項の規定によるべき場合で、出向元事業の賃金締切日と出向先事業の賃金締切日とが相違するときは、それぞれに係る部分について各別に計算し、両者の合算額を、保険給付の基礎となる平均賃金とすること。
(三) 休業補償費のスライドについて
労災保険法第一二条第四項の規定による労働基準法第七六条第二項の規定の適用については、「出向先事業場における同種の労働者」を「同一の事業場における同種の労働者」として取り扱うこと。従つてたとえ、出向労働者が災害後出向元事業に復帰している場合であつても、同様であること。
(四) 保険料率のメリツトについて
労災保険法第二七条〔現行徴収法第一二条第三項〕の規定の適用については、出向労働者に対する保険給付を、出向先事業に対する保険給付として取り扱うこと。
(略)

上記アンダーラインにある、「保険料を納付する旨申し出た場合」とあるのが気になります。確かそのような申し出はなかったと思うのですが。また平均賃金の算定方法が詳しく記載されているのも発見ではありました。

大学院の秋学期は1科目だけテストをする授業があります。大学院の勉強の目的からいってちょっと違うのではという気がするのと、以前はあまり苦にならなかった記憶というものが最近非常に難しく、困ったことになったものだと思いました。案の定、前回のテストは準備をしたもののいざ解答用紙に向かったら頭が真っ白で、それでも何とかいくつか思い出したキーワードを書いてしのぎました。

前回はヤマをはったテーマに対して作った「文章」を覚えようとしたのが失敗だったかなと思い、今回は、文章はサッと2度ほど読んだだけで、とにかくキーワードをお風呂の中で、布団の中で、電車の中繰り返し、解答用紙が配られたらまず覚えたキーワードを書き出して、それからおもむろにキーワードを入れながら文章を考えるという方法にしてみました。キーワードを覚えるのも以前に比べると苦労でしたが、それでも今回はほとんどのキーワードを入れることができて、まだまだ何とかなりそうだと少し自信になりました。

それにしてもTACで講師をしていたころ今の私くらいの年齢の受講生がかなりおられ、一生懸命勉強されていた姿が良く思い出されます。あの膨大な記憶力を要求される社労士試験によく皆さん合格されたと本当に今更ながら尊敬の念を覚えます。 


中小事業主の特別加入の業務上外の認定について

2018-12-09 22:23:20 | 労働保険

中小事業主の特別加入については、業務上の認定について厳しい条件が課せられます。昭和50年に発出された671号通達にはまず以下のように大前提が示されています。

「特別加入制度の趣旨はその業務の実情、災害の発生状況等に照らし実質的に労働基準法の適用労働者に準じて保護するにふさわしい者に対し労災保険を適用しようとするものである。したがって、特別加入者の被った災害が業務災害として保護される場合の業務の範囲は、あくまでも労働者の行う業務に準じた業務の範囲であり、特別加入者の行う全ての業務に対して保護を与える趣旨のものではない。」

その上で、中小事業主の特別加入の業務遂行性が認められるポイントとしては以下のような場合とされています。

特別加入申請書別紙の業務の内容欄に記載された所定労働時間(休憩時間を含む。)内において、特別加入の申請に係る事業のためにする行為及びこれに直接附帯する行為(生理的行為、反射的行為、準備・後始末行為、必要行為、合理的行為及び緊急業務行為をいう。以下同じ。)を行う場合
・所定労働時間内であれば、労働者を伴っていたか否かは問われません。
・事業主の立場において行う事業主本来の業務を行っている場合は、労働者が行う業務に準じた業務ということはできないので、業務遂行性は認められません。

・事業主本来の業務を行っている場合とは、たとえば、法人等の執行機関として出席する株主総会、役員会、事業主団体等の役員、構成員として出席する事業主団体の会議、得意先等の接待等(資金繰り等を目的とする宴会、親会社等のゴルフ接待等)に出席する行為などということになります。

さらに厳しいことに、中小事業主が商談、集金等のため外出し、途中で事業主団体等の会議に役員、構成員として出席する場合は、商談、集金等の業務行為が終了した時点で業務遂行性は失われるとされています。

②労働者の時間外労働又は休日労働に応じて就業する場合

こちらについては、労働者が時間外労働を行っている時間の範囲において業務遂行性を認めるとされており、労働者と一緒に残業等を行っている場合になります。

③①又は②に接続して行われる業務(準備・後始末行為を含む。)を特別加入者のみで行う場合

労働者が帰ってから特別加入者が1人で残業しているケースは通常の時間又は残業時間に接続している場合になります

このほか業務上外の認定についていくつかあげられているのですが特に特別加入者において特徴的な考え方は上記の3条件ではないかと思います。親会社のゴルフの接待は、労働者でも出席することがあると思いますし、中小事業主の一人として思うのは、社員7,8人くらいの規模までであれば9割がた労働者と同じ仕事をしていると思うのですが・・・。

特に慎重に検討する必要があるのは特別加入の申請時に記述する業務内容です。こちらに書かれている業務内容に該当しない行為中のけが等の場合、たとえ②や③をクリアしても業務上の認定はされないことになります。

それでは、特別加入の申請をするのは控えておく方が良いかということについてですが、やはり特別加入をしておく方が良いと考えます。通勤災害の場合は通常の労働者と同様に扱われますし、休業補償給付については、賃金の支払いの有無を問わず支給されます。特別加入者については自身の報酬に合わせて算定基礎日額を選択することができること、労災保険はそれほど保険料が高くないことなどを考えるとやはり特別加入は申請しておく方が良いと思います。

先週は連合会の社会保険労務士制度創設50周年のお祝い一色になりました。特に水曜日に行われた式典については天皇陛下のご臨席を賜りとても感動しました。火曜日は前夜祭、水曜日は式典・シンポジウムと祝賀会、木曜日は午前中が連合会主催の「国際シンポジウム」、午後はILO主催の「日本の社労士制度に関する国際ラウンドテーブル」と懇親会と非常に充実した内容で海外の社労士制度に類似した制度やインドネシアに導入されたプリサイという社労士制度の状況報告や意見交換が行われました。金曜日はそのプリサイの人達がうちの事務所に見学に来られ、事務所で行っている業務や事務所のこれまでの歴史を説明したり、電子申請を見てもらったりしました。

さてこれで一段落。年末まであと発表が一つ、名古屋出張で役員向けセミナーが一つ残っていますがオオ山は超えた感じです。年末は少しゆっくりしてクリスマスを楽しみたいと思います。

全国社会保険労務士会連合会社労士制度創設50周年記念祝賀会

 インドネシアの社労士=プリサイの皆さんのOURS事務所見学の様子


法定を超えた介護休業に対する介護休業給付金

2017-11-05 20:33:20 | 労働保険

介護休業を取得する社員は今のところそれほど多いわけではないと思います。しかし今年1月に育児介護休業法が改正され、介護休業はだいぶ取得しやすくなりましたので、今後かなり取得申請が多くなると見込まれます。

現在育児介護休業法で定めている介護休業期間は、1人の対象家族につき「93日の範囲内で3回の範囲内取得可能」とすることになっています。例えば31日+31日+31日取得することも、40日+20日+33日という取得も可能です。また雇用保険法の介護休業給付金については、法に定める介護休業期間に対して、すなわち支給対象となる同じ家族について93日を限度に3回までに限り支給されることになっています。

育児休業と同様、特に大企業では介護休業を法律で定める93日とせず、例えば365日何回でも取得可能とする場合があります。その場合に気を付けなければならないのは、介護休業給付金はあくまで法で定められた日数と回数しか支給されないということです。5日間の介護休業を3回取得してその都度介護休業給付金を支給申請したとすると、会社の定める介護休業は350日残っているとしても介護休業給付金はすでに3回支給されているためそれ以上は支給されません。ある程度まとまった期間について93日の範囲内で給付申請することにして、細切れにとった介護休業は法を上回る介護休業と位置付ける必要があります。なかなか細かな管理が必要になるということです。

なお、介護休業給付の受給資格は、原則として介護休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月以上必要となります。ここでいう「被保険者期間」とは、介護休業開始日の前日から1か月ごとに区切った期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日ある月を「被保険者期間」1か月とカウントし、12か月以上必要だということです。

介護休業給付の1支給単位期間ごとの給付額は、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」により、算出します。賃金の支払いがない場合の支給額は、介護休業開始前6か月間の総支給額により、概ね以下のとおりとされています。
・平均して月額15万円程度の場合、支給額は月額10万円程度
・平均して月額20万円程度の場合、支給額は月額13,4万円程度
・平均して月額30万円程度の場合、支給額は月額20,1万円程度

この連休は気持ちの良いお天気でこれまでの週末雨続きをスカッと吹き飛ばす感じでした。この連休の1日目は家でのんびり。2日目は予定していたBBクラブ幹事とOURSスタッフ有志とその家族と総勢18名でBBQをしました。5年ぶりの開催だったのですが、初回開催から10年近くが経過しその当時小さかった男の子が14歳になりすっかりかっこいい少年になっていたり、普段話に聞いていたスタッフの小さな子供たちに会えて一緒に遊んだり、また気心の知れたメンバーとのんびり過ごしてとても楽しい時間でした。3日目は渋谷区民祭の2日目で朝から参加して久しぶりに骨密度測定やこまごましたお手伝いをしました。やはりどっしり構えている立場よりは、コマゴマ動いているのが好きなのか。自分が支部長時代に始めた区民際の骨密度測定も年6目となり定着しているのがとても嬉しいです。

 BBQは炭に火をつけるのに苦心手伝うと言いながら実は眺めている時間が長い


業務上疾病(労働基準法施行規則別表第1の2)

2017-10-22 21:44:43 | 労働保険

労災認定されるには、「業務起因性」と「業務遂行性」の二要件が必要とされており、「業務起因性」は業務と負傷・疾病との間に相当因果関係が認められることをいいます。

二要件のうち特に必要とされるのが「業務起因性」ですが、この業務起因性を立証するのは困難な場合があるため、医学的に因果関係が明確になっている特定の疾病については、労災保険の補償の根拠となっている労働基準法の施行規則別表第1の2に以下●の通り列挙されています。

これらについては、一定要件を満たし、かつ、特段の反証のない限り因果関係を立証しなくても業務起因性を推定することで、業務上認定をすることになっています。

この中で、第8号「脳血管疾患及び虚血性心疾患」と第9号「心理的負荷による精神障害」については、平成22年の改正前は「その他業務に起因することの明らかな疾病(現在11号)=業務との間に相当因果関係があると認められるその他の疾病」とされており別表には列挙されていませんでしたが、平成22年の改正において別表1の2に追加されています。通達で示されている判断基準に該当することで「因果関係が明確」とされ「業務起因性」のみで労災の業務上認定が可能となるわけです。

●労基法施行規則 別表第1の2

1業務上の負傷に起因する疾病

2物理的因子による次に掲げる疾病

3身体に過度の負担のかかる作業態様に起因する次に掲げる疾病

4化学物質等による次に掲げる疾病

5 粉じんを飛散する場所における業務によるじん肺症又はじん肺法に規定するじん肺と合併したじん肺法施行規則第一条各号に掲げる疾病

6 細菌、ウイルス等の病原体による次に掲げる疾病

7 がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における業務による次に掲げる疾病

8 長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務による脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む。)若しくは解離性大動脈瘤りゆう 又はこれらの疾病に付随する疾病

※脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準  【基発第1063号 平成13年12月12日】
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-11a.pdf

9 人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病

※心理的負荷による精神障害の認定基準について【平成23年12月26日 基発1226第1号】
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001z3zj-att/2r9852000001z43h.pdf

10 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣の指定する疾病

11 その他業務に起因することの明らかな疾病

毎日雨がよく降りさわやかな秋が恋しいですね。今日も大雨でしたが選挙に行ってきました。今回の選挙は選挙が決まってからの1週間くらいはめまぐるしい動きで、事務所でも社労士仲間の間でも結構話題になりましたが、後半はだんだん収束していってしまいました。安倍さんが総理大臣になる前は、しょっちゅう総理大臣が変わって、外国に対して恥ずかしいと思っていましたので、安定政権を持つことができるのは大切なことだと思っています。また消費税の使い道について、これまで高齢者に手厚かったものを、若い世代に回すという考え方は、社会保障の世代間の公平性のためには必要な施策と考えています。


雇用保険の基本手当 受給期間の延長について

2017-06-11 17:50:10 | 労働保険

失業した際に受給できる雇用保険の基本手当の受給期間の延長申請の期限が、平成29年4月1日から変わりました。もともと基本手当の受給期間は、原則として、離職した日の翌日から1年間ですが、その間に病気、けが、妊娠、出産、育児等の理由により引き続き30日以上働くことができなくなったときは、その働くことのできなくなった日数だけ、受給期間を延長することができます。延長できる期間は最長で3年間(本来の受給期間と合計すると受給期間は4年間)となっています。

これまで、この場合手続きとしては、引き続き30日以上職業に就くことができなくなった日の翌日から起算して「1カ月以内」にしなければならないことになっていました。

その手続きが今年の4月1日以降、「延長後の受給期間の最後の日までの間」であれば、申請は可能とされました。なお、住所の管轄するハローワークに申請しますが、代理人又は郵送の申請も認められます。また、延長後の受給期間の最後の日前までに延長申請をしたとしても、以下のリーフレットにある通り延長される受給期間の中でしか基本手当は受給できないので、申請した時点で延長される受給期間が基本手当の日数分より短い場合はその日数分しか受給することはできませんので注意が必要です。

うっかり受給期間の延長申請をし忘れて失業給付をもらうことができなかった方でも、この改正により受給できるようになるかもしれないので確認してみるとよいと思います。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000163256.pdf

ところで受給期間の延長はどのような場合認められるかということになりますが、以下の理由が認められます。
イ 妊娠  産前6 週間以内に限らず、本人が、妊娠のために職業に就き得ない旨を申し出た場合。

ロ 出産  出産は妊娠4 か月以上(1 か月は28 日として計算する。4 か月以上というのは85日以上のこと。)の分娩とし、生産、死産、早産を問わない。また、出産は本人の出産に限られます。

ハ 育児  育児とは、3 歳未満の乳幼児の育児とし、社会通念上やむを得ないと認められる理由により親族が3 歳未満の乳幼児を預かり、育児を行う場合にも、受給
期間の延長を認められます。

ニ 疾病又は負傷 なお、傷病手当の支給を受ける期間については受給期間の延長の措置の対象とはなりません。

ホ イからニまでの理由に準ずる理由で管轄安定所長がやむを得ないと認めるもの
(イ) 次の場合はこれに該当します。
a 常時本人の介護を必要とする場合の親族の疾病、負傷若しくは老衰又は障害者の看護内縁の配偶者及びその親若しくは子はここにいう「親族」に該当すると解し、親族の配偶者についてはこれに準じるものと取り扱うことになります。
b 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する場合の負傷し、又は病気にかかったその子の看護(aに該当するものを除く。)
c 知的障害者更生施設又は機能回復訓練施設への入所
d 配偶者の海外勤務に本人が同行する場合
e 青年海外協力隊その他公的機関が行う海外技術指導等に応募し、海外へ派遣される場合(派遺前の訓練(研修)を含む。)
ただし、青年海外協力隊以外の公的機関が行う海外技術指導等の中には、ボランティア(自発的に専門的技術や時間、労力を提供する行為)ではなく就職とされるため該当しません。
f eに準ずる公的機関が募集し、実費相当額を超える報酬を得ないで社会に貢献する次に掲げる活動(被災地の支援活動や身体障害者療護施設などでの支援活動等をいい、専ら親族に対する支援となる活動を除く。)を行う場合。
また、逮捕、勾留及び刑の執行や上記dのケースを除いた海外旅行は該当するとは認められません。

雇用保険事務取扱要領に詳しく書かれています。50271(1)受給期間の延長が認められる理由
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000160152.pdf

最近塩分控えめの料理を研究しています。色々とみると食塩が入っているものは多いですし、なかなか大変なのですがちょっとチャレンジ精神を刺激されて減塩のしょうゆをはじめ減塩の調味料を使い、お味噌汁の味噌もぐっと控えてみたりしています。味は、ちょっと物足りない時もありますが意外においしいと思う時もあります。

この頃朝も以前より早く目が覚めるようになりいよいよそういうお年頃かなと思うのですが、まだまだ仕事や勉強がしたいので健康には気を付けようと思っています。


兼業・副業の場合の労災給付拡充予定

2017-05-14 23:09:09 | 労働保険

5月2日付の日経新聞に、兼業している場合の労災についての保護が検討されているという記事が載りました。以下記事の抜粋です。

「厚生労働省は労働者が仕事中のケガで働けなくなった場合に生活を支援する労災保険の給付を拡充する。今の仕組みでは複数の企業で働いていても、負傷した際に働いていた1つの企業の賃金分しか補償されない。複数の企業で得ている賃金に基づいて給付できるように制度を改める。副業や兼業といった働き方の多様化にセーフティーネットを合わせる狙いだ。

厚労省は複数の企業で働いている人が労災認定された場合に、複数職場の賃金の合計額に基づいて給付額を計算する方式に改める。労働政策審議会での議論を経て関係法令を改正。早ければ来年度にも新しい仕組みを始める。」

確かに、2つの会社に勤務している場合、2か所から給与を受けているわけで、その合計がその人の月の生計費になっているのだと思いますが、今の法律では労災の適用事業としてそれぞれが労働者に支払った賃金から算定した保険料を納付しているため、本人が給付を受ける際も労災事故が発生した会社が支払っている賃金を基礎とした給付を受給することになります。

例えばA社で15万円、B社で10万円の計25万円がその人の月の生計費であるにもかかわらず、B社で労災事故にあって休業する場合は10万円を基礎とした休業補償給付等が支給されるわけです。(働けないのはB社だけではなくA社でも働けない状況になることがほとんどだと思いますので、その場合10万円ではなく25万円の給与の月額合計の逸失利益に対する補償がなされる必要があるわけです)

とはいえクリアしなければならない問題点としては、給付する際の一方の会社から支払われている賃金額の把握をどのように行うか、また事故率によりメリット制の適用があり企業が負担する保険料が変動するわけですがそのあたりの扱いも複雑そうです。

政府が副業を推進しているため、今後このような細かな点での問題点の解消が行われていく必要があり、現場にいる社労士としても気が付いた点については運用面も含めてどんどん発信していくのが重要だと思います。

5月は本当に気持ちが良い日が多いですね。夜型人間の私も最近年齢のせいか夜がめっきり弱くなり、朝も少し早く目が覚めるようになりました。頭を使う仕事は極力午前中か午後の早めに持ってこないと精度が落ちるような気がします。TACの講師時代は、毎日仕事を終え家に戻り食事を作りその後講義の予習や教材作成をしていましたので、若干情けない気持ちになりますが、朝早めに目が覚めるのは嬉しいような気もします。


労災保険と健康保険の調整について

2017-04-23 23:42:51 | 労働保険

平成29年2月1日に、次の内容の平成29.2.1基補発0201第1号「労災認定された傷病等に対して労災保険以外から給付等を受けていた場合における保険者等の調整について」が発出されました。

これまで、労災認定された傷病等に対して過去に健康保険等医療保険から給付を受けていた被保険者等については、医療保険からの給付額を保険者に返還した上で、改めて労災保険給付の請求を行うことを原則としていました。

上記通達によると、被保険者等が医療保険の保険者に返還する必要のある金額に相当する分の労災保険給付の受領について、医療保険の保険者に委任する旨を労働基準監督署に申し出た場合には、返還額相当分の労災保険給付を医療保険の保険者に支払うことにより調整を行うことができることとする、とされました。

要するに、労災給付として受けるべき給付に相当するものを健康保険等で誤って受給していた場合に、その給付分を労災で受給しなおすなどのケースが発生したら、まず健康保険等に一部負担金以外の費用も含め全額支払った上で労災に申請して労災給付を受けていたものを、申し出により労災と健康保険等の保険者間でやり取りをしてくれるので、いったん全額負担する必要がないということなのです。

労災で受けるべき給付を健康保険証を使ってしまったというケースは実務では多く発生しますので、これはとても楽になると思ったのですが、先日事務所のスタッフから「あくまで一度労災認定がされていないとこのケースは該当しないそうです」という報告がありました。確かに冒頭の通達を読んでみたところ「労災認定された傷病等に対して」という文言があります。一度確認してみようと思っていましたところ、金曜日に統括支部の定期会議があり監督署の労災担当の副署長も来賓で来られていましたので聞いてみました。

確かに一度「労災認定」されていないとこの扱いはないということで、でもそれはどういうケースなのかというと、治療については健康保険証を使って健康保険で受けており、労災の療養補償給付を受けず休業補償給付だけを受けていたようなケースがあるそうです。その場合は一度は休業補償給付において労災認定がされていたわけですから、その後治療部分のみ健康保険等から労災保険の療養補償給付に切り替えなおすということになり、そういった場合は全額精算をするのではなく労災保険と健康保険等保険者間で調整してくれるということでした。

なかなかこれは通達でそこまで理解するのは難しく、問い合わせが多いためか通達もネットでは検索できなくなっているようです。

金曜日に山手統括支部の定期会議があり、2年間の統括支部長のお役目を終えました。渋谷支部の支部長時代から数えてまる6年間支部長職についていたことになり、よく考えてみるとずいぶん長い間支部長を務めさせて頂いたものだと思います。やはり流石に寂しいものがありますが、肩の荷が下りた感じもあります。

今日はスマホと携帯の一本化をすることにして、ドコモショップで3時間と家に帰って種々の設定で一日が過ぎました。何とかだいたいの作業を終えることができましたが、長年使ってきた携帯メールがスマホメールに代わるのが心配です。

 2017.4.21山手統括支部定期会議


基本手当 給付日数の改定(2017年4月から予定)

2017-02-19 14:16:45 | 労働保険

平成28年12月13日付で労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会報告が行なわれ、その報告を元に4月からの雇用保険法の改正のための審議が第193回通常国会で行なわれています。

今回の改正では雇用保険の給付日数について変更が行われるようですが、その変更については覚えておく方が良いように思います。

1点は、比較的若い層で勤務期間も短めの特定受給資格者に対する給付日数は、これまで90日ということで特定受給資格者としての利点は給付制限なしという部分のみであったのですが、以下の通り変更される予定のようです。

特定受給資格者年齢

被保険者であった期間

現行

改正後

30歳以上35歳未満

1年以上5年未満

90日

120日

35歳以上45歳未満

150日

以下の報告にもありますが、若い層の特定受給資格者の就職率が他の年齢層に比べて低いということでの改正のようです。

また、延長給付でも改正があり、こちらが東京都社会保険労務士会の社会貢献委員会が力を入れている「がん患者等就労支援」と同じ趣旨の病気等の方の就職支援でした。東京労働局の方との意見交換会でも、ハローワークが就職支援に力を入れると話しておられたことを思い出しました。

[雇用保険部会報告』 第1 雇用保険制度等の見直しの方向

(3)給付日数について
・特定受給資格者の所定給付日数内での就職率をみると、被保険者であった期間が1年以上5年未満である30 歳以上35 歳未満、35 歳以上45 歳未満の層で
は、他の層と比べて低くなっている。そこで、特定受給資格者以外の給付(所定給付日数、給付制限)についても見直すべきである旨の意見があったが、被保険者であった期間が1年以上5年未満である30 歳以上35 歳未満の特定受給資格者について、30 日(拡充後120 日)、35 歳以上45 歳未満については60 日(拡充後150 日)、所定給付日数を拡充すべきである。

・「病気の治療と仕事の両立」が重要な課題となっていることから、難病等病気の治療を図りながら求職活動をする等の特定受給資格者等について、60 日の所定給付日数の延長が可能となるようにすべきである。

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11607000-Shokugyouanteikyoku-Koyouhokenka/0000146957.pdf

東京会が来週2月22日(水)に行う「がん患者就労支援セミナー」のご案内は以下の通りです。企業及び人事担当者向けです。まだ席はあると思います。もし興味のある会社さんがおられればご紹介ください。とても貴重な情報が得られると思います。

 http://www.tokyosr.jp/topics/2016-topics/24000/

来週は、木曜日から韓国公認労務士会創立30周年記念のシンポジウム参加のため韓国へ出張します。シンポジウムでは「日本・韓国における社会保険業務内容の比較と制度改善案の導出」というテーマの中で発表することになっており、今からかなり緊張しています。

しかし連合会の国際化推進特別委員会に参加させて頂くと非常に日本の素晴らしい法制度やシステムを再認識することが多いです。先日はインドネシアに健康保険・年金制度を導入するということで視察団が来られたのですが、最後の発表を聞いていると、日本の診療報酬制度の素晴らしい仕組みを感じることができました。

これらの素晴らしい制度は戦後から昭和30年代に骨格ができたわけですが、人口構造の変化が大きく、成熟した今後の日本にもこれに匹敵する各国が勉強に来てくれる制度を新たに作り上げる必要があるのだと思います。社労士として現場から発信していくことで協力できるのが理想だと思います。

今回のインドネシアの視察団は、OURSの顧問先にも来て頂きました。私が開業して最初に契約いただいた先輩の会社なのですがとても楽しい経験になりました。インドネシアの視察団のメンバーは、明るくて元気もあり、研修後はいつも質問が沢山出ます。これから作り上げる活力がそこには感じられてこちらまで元気になります。


雇用保険の適用拡大について

2016-11-13 22:01:41 | 労働保険

平成29年1月1日より雇用保険の適用拡大が行われます。これまで同一の事業主に65歳到達日の前日(誕生日の前々日)から引き続いて65歳に達した日以後の日において雇用されている場合のみ、「高年齢継続被保険者」として65歳以上であっても雇用保険が適用されていました。それが1月以降は65歳以上で新たに雇用された場合にも「高年齢被保険者」として雇用保険が適用されることになったものです。詳しくは文末のリーフレットに書かれていますが、手続きとしては以下の通りとなっています。※いずれも雇用保険の被保険者の要件を満たしている場合。

①平成29年1月1日以降に新たに雇用した場合→雇用した時点から被保険者になるため、雇用した日の属する月の翌日10日までに資格取得届を提出する。(労働条件の変更があり適用要件に該当した場合も労働条件の変更日の属する月の翌月10日まで)

②平成28年12月末までに雇用されていたが65歳以上で雇用されたため高年齢継続被保険者には該当していなかったが平成29年1月1日以降も継続して雇用している場合→平成29年1月1日より「高年齢被保険者」となるため平成29年3月31日までに取得届を提出する。

③平成29年1月1日時点で「高年齢継続被保険者」である場合で平成29年1月1日以降も継続して雇用している場合→自動的に高年齢被保険者となるため届出は不要。

ところで雇用保険の被保険者要件というのはこれまで以下の変遷をたどってきました。やはり歴史はなかなか面白いです。

 

週所定労働時間

年収

雇用期間

昭和50年~

通常の労働者のおおむね4分の3以上かつ22時間以上

52万円以上

反復継続して就労する者

平成元年~

22時間以上

90万円以上

1年以上(見込み)

平成6年~

20時間以上

90万円以上

1年以上(見込み)

平成13年~

20時間以上

年収要件廃止

1年以上(見込み)

平成21年~

20時間以上

6カ月以上(見込み)

平成22年~

20時間以上

31日以上(見込み)

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000136394.pdf

今年の社労士試験の合格率は4.4%ということで昨年ほどではないものの非常に厳しい結果であったと思います。しかし択一の基準点は思いのほか低く42点で救済も3科目あり。これは問題が難しかったのか、少なくともこれ以上低くすることもできなかったであろう基準点だったので、合格率が低くても仕方がないような気がしました。受験生もさることながら、各資格取得校の試験対策、頑張ってほしいですね。

残すところ今年もあと2か月を切り、はや年末年始の準備も始めています。インフルエンザの予防接種も受け、おせちや大掃除の予約もすでに完了しました。その前に来週末は事務所の皆と名古屋1泊の社員旅行に行ってまいります。昨年から1泊の社員旅行で顧問先の関係資料館などの見学をしています。事務所のスタッフも楽しいと言ってくれるのがうれしいです。味噌カツやひつまぶし食べてきます。 


第三者行為災害について

2016-11-06 23:29:15 | 労働保険

労災保険の保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じた場合には、第三者行為災害届を提出することになります。

労災保険の保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じた場合、被災労働者は労災保険の保険給付を受ける権利を有するとともに、第三者に対して損害賠償を請求する権利を有することになります。しかし、保険給付と損害賠償が2重に填補されるのは適当ではないため、以下の調整を行うこととされており、そのために第三者を把握する必要があり、第三者行為災害届を提出するということになるわけです。

①保険給付が行われる前に同一の事由で損害賠償が行われた場合は、その価額の限度で労災保険の保険給付が行われないことになっています。

②先に労災保険の保険給付が行われた場合は、政府はその価額の限度で、被災労働者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得することになります。その請求権を政府が第三者に行使することを「求償」と言います。要するに労災給付にかかった費用を第三者に負担してもらうという考え方です。

交通事故などの場合に、「自賠責」が先行すれば①に該当するため、労災の保険給付は同一の事由については給付が行われないということになります。このケースの場合は比較的わかりやすいのですが、例えば会社から帰宅する際に酔っ払いに絡まれて殴られた場合などは、第三者行為災害なのですがその酔っ払いが逃げてしまっていると第三者が誰だかわからないということになります。その場合でも第三者行為災害届は提出することになりますが、政府は労災保険給付を行っても第三者が不明であるため、「求償」は行えないということになります。

また職場の同僚による事故など以下の場合には、それが故意によるものなど特殊な場合を除き、求償権の行使は(調整は)行わないことになっています。

①事業主を同じくする同一事業場内の労働者間の加害行為

②事業主を同じくするが、事業場を異にする労働者間の加害行為

③同一作業場内における使用者を異にする労働者間の加害行為

上記の場合は事業主が労働者に係る労災保険の保険料を支払っているにもかかわらず、第三者である別の労働者等に求償を行って費用を負担させるのは、事業主が労災保険料を支払っている意味が薄れるため、求償は行わないということになっているのです。

従って、会社内でパワハラが行われて労災認定された場合であっても、パワハラを行った従業員に求償権が行使されることはありません。第三者行為災害届を提出しなくてもよいという監督署の指示がある場合もあるようです。

最近車の運転を頻繁にしてだいぶ勘が戻ってきました。20歳で免許を取ってから、20代・30代のころは子供を連れて実家に帰るために東名高速をよく行き来していました。その後TACの講師時代もよくハローワークに行くためなどにも運転していたのですが、仕事で使うと駐車違反で切符を切られたりレッカーで持ってかれてしまったことも1回あり、かえって駐車場を探すことで時間をとられるのも面倒になり、ここ10年近くはほとんど週末ちょっと運転するだけという状態でした。運転しだすとやはり便利で、特に親の入院もあったので助かりました。とはいえ年のせいか以前より敏捷でなくなっているので、安全運転で行きたいと思います。