大学院の秋のカリキュラムには「立法学」があり、法律の成立過程や各機関等の役割を学んでいます。法律ができるまでには非常に多くの工程があり驚きます。
まず法律提出には、内閣提出法案と議員提出法案があります。ちなみに社労士法など資格に関する法律は議員提出法案がほとんどのようです。しかしその数としては内閣提出法案が圧倒的に多いということです。
内閣提出法案についてどのような工程を踏み施行までたどり着くのかというと以下の通りです。
各省庁による原案作成→省内審査→各省協議→内閣法制局審査→与党審査→閣議→国会提出→(本会議趣旨説明)→委員会審査→本会議可決→成立→公布→施行
非常に多くの工程を踏んで施行に至ることは分かりましたが、特に内閣法制局審査については知識がなかったので少し勉強しました。
内閣法制局というのは明治18年12月、内閣制度の創設に伴い設置されたとされています。戦後いったん解体された後、昭和23年に法務庁設置法により法務総裁の所管の下に法制局が置かれることになり、法務庁が法務省となり、法制局も再び内閣の補佐機構としての地位を与えられました。
内閣法制局の主な業務は、以下の通りです。
・法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣および各省大臣に対して意見を述べる「意見事務」
・閣議に付される法律案、政令案及び条約案を審査する「審査事務」
この審査については、下は文章の点の付け方から、上は憲法をはじめ他の法令との対照、抵触の排除におよぶものであり、具体的には法律として制定する必要性、規制・手続等について、憲法を頂点とする既存の法体系との整合性を確認、表現の統一、条文配列の論理的整序、文章の正確さを厳しく審査するということです(中島誠「立法学第3版」〈法律文化社2014〉P83より抜粋)。
この審査は、1日10数時間、連日連夜行われるという激務になるそうで、その審査を経るので日本の法律は裁判所による違憲審査も少なく、法的安定性が確保されていることに繋がっているということなのです。
いよいよ65歳定年制及び66歳以上継続雇用制度の流れが明確になってきたようです。連合会で受託した各企業にこれらを提案するという事業については、この秋から冬にかけて顧問先に回りご説明してみようと思います。
人生100年時代に突入したといっていい現在、年金制度はそこまでの受給年数について設計されておらず、そうであれば雇用延長と合わせて年金支給開始年齢を選択できるということになるのかと思います。勉強していると医療制度も大きな見直しが必要であることを実感しますし、日本の誇る国民皆年金・皆保険制度を持続可能とするための大きな改革の時期が来ているように思います。