OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

これからの育児介護休業規程

2014-10-26 23:15:21 | 産前産後・育児・介護休業

今週はいろいろなご質問が多く、厚生年金基金の解散の件から裁量労働制、契約社員向け就業規則からなぜか車両管理規程を見て欲しいというご連絡が重なり、ブレーンとなってくれる受講生OBや行政OBの方にかなり助けて頂いて、頭がフル回転していた感じです。

その中で少し前から懸案事項になっていた育児介護休業規程と母性健康管理、産前産後休業、育児時間などを合体する作業を週末に集中して行い何とか形にしました。母性健康管理は均等法、産前産後の休業や育児時間は労基法、それに育児介護休業法に定める育児休業と介護休業があるわけですが、さらに子の看護休暇が育介規程ではなく就業規則の方に載っていたり、育児短時間勤務や所定外労働の免除規程がさらに別規程になっていたりと、改正ごとにバラバラに存在している場合がかなりあるのです。

これをとにかく一本化していくのが良いと以前からセミナーではお話していたのですが、今回顧問先企業の改正ごとに育児短時間規程などが別になっているケースはどうしても1本にまとめた方が良いということで合体に着手したわけです。

いざ合体してみると、就業規則に規定している条文の言い回しの違いや、別規程になっている育児短時間勤務の規定の作りと育児介護休業規程の作りが条文ごとに区切られているものとそうでないものに異なっていてかなり細かい作業になりましたが、何とか形はできました。これからの母性保護~育児介護規規程のOURSモデルも合わせてできました。

この母性保護~育児介護休業規程の1本化の作業は、今後労働契約法の昨年の改正により無期転換社員が発生することに備え正社員・契約社員・無期転換社員・再雇用嘱託社員・限定正社員など多様な区分の社員に対してそれぞれ就業規則を作成するとした場合に、各区分の就業規則に「…については別に定める母性保護・産前産後・育児介護休業規程による」と委任規定をおき、見に行けるようにすると非常に合理的になるのではないかという考えに繋がるものです。あとはスタッフに見てもらえるところまで来ましたので、明日からは限定正社員について研究して次のセミナーに備える予定です。

先週は急に寒くなったので週末衣替えをしました。衝動買いで大きめのマフラーも買いました。少し冬の到来が楽しみになりました。

今週末はできれば仕事をしたくないなあと思っていたのですが、少ししてしまいました。しかし仕事をしているとなぜか嫌なことも忘れるので、ストレス解消にもなっているような気がします。また色々なことを手探りで考えている時に受講生OBに連絡させてもらって色々アドバイスいただくと本当に有難いと思うのですが、それと同時にいっとき講師と受講生という立場で一緒に合格を目指して勉強していた頃があり、またその後も仕事のことで情報交換ができたりやアドバイスがもらえるということがとても嬉しいと思います。こんな財産は他にはないと思います。


ストレスチェックに関する専門検討会とりまとめ

2014-10-19 23:15:08 | 法改正

ストレスチェックの義務化は平成27年12月1日とされています。また50人未満の事業場は当分の間「努力義務」とされています。

しかし50人未満の会社であっても、顧問先から早めの情報提供の希望が複数あります。ストレスチェックとはどのようなものなのか、ストレスチェック実施後の対応について準備をしておきたいなどセンシティブな問題だけに先を見て仕事をされる人事担当者からは十分準備をしておきたいという気持ちが伝わってきます。

なかなか情報がなかったのですが、9月9日にストレスチェック項目等に関する専門検討会の中間取りまとめが行われています。検討会の審議内容を見るとかなり白熱した議論になっているようです。

7月7日に行われた第1回ストレスチェック項目等に関する専門検討会では、ストレスチェックの実施について、検討する必要のある専門的な事項として、6点ほど挙げられています。

 ①ストレスチェックの実施方法について。②ストレスチェックの項目について。③ストレスチェック結果の評価について。④ストレスチェックに含めることが不適当な項目について。⑤ストレスチェック項目と一般定期健康診断項目との関係について。⑥その他ということでストレスチェック効果に関する今後の評価の方法等についてということです。 どれもこれも気になるところばかりです。

とりまとめについては以下で確認ができますがポイントを少し挙げておきます。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000058947.pdf

実施方法については、1年以内ごとに1回とされており、調査票によって実施することを基本とします。この1年に1回ということについては定期健康診断と同時に実施することが可能です。しかし、ストレスチェックは労働者に検査を受ける義務がないため、本人の同意なく事業者に検査結果ををできず、その点が定期健康診断の情報の取り扱いとは異なるところで、情報の取り扱いには留意が必要とされています。

項目については、国が標準的な項目を指針等で示す一方で、それを参考に各企業の判断で項目を選定できるようにすることが適当とされています。「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」が現在最も望ましいとされていますが、中小事業場も考慮して簡略化した調査票の例も示すべきとされています。

なお、このストレスチェックの目的については、主に一次予防(本人のストレスへの気づきと対処の支援及び職場環境等の改善)としています。やはり会社の十分な準備が必要です。

この週末は久しぶりに穏やかな気持ちの良い日々でした。土曜日は来年1月のBBクラブの勉強会の幹事会があり、どのようなことを勉強するか3時間ほど色々と打合せをしました。メンタルにかかった労働者の復職に際しての気持ちなどの話を臨床心理士の資格を取得したOBにお話頂くことになり、それに組み合わせて改正施行予定のストレスチェック対応なども講師を探すことになりました。

この1週間は、民間の保険制度について教えて頂きたいことがあり生命保険会社勤務のOBにメールしたり、DBのことについて教えて頂きたいことがあり企業年金基金に勤務するOBに電話したりと、相変わらずBBクラブの人材を頼りにしています。合格後も受講生OBと仕事の話ができることに喜びを感じますし、お互いの人生の中での数年の勉強期間に生まれた信頼関係が長く続くということについて、本当に一生の何にも替えがたい財産だと思っています。


任意継続被保険者

2014-10-13 18:18:29 | 社会保険

会社の退職後の医療保険制度ヘの加入は、3つの選択肢があります。「健康保険任意継続」、「国民健康保険」、「家族の被扶養者」の3つです。

家族の被扶養者になる場合を除き、一般的には毎月納める保険料と給付を比較することになると思います。

1.健康保険の任意継続被保険者の条件は、(1)資格喪失日の前日までに「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること。(2)資格喪失日から「20日以内」に自宅住所地を管轄する協会けんぽ(健保組合に加入している会社の場合は健保組合)に申請することになります。(20日目が営業日でない場合は翌営業日まで)

保険料は、被保険者時代は半分を会社が負担していますが、退職後任意継続被保険者になると全額本人負担となります。しかし、任意継続被保険者の場合は保険料の基礎となる標準報酬月額に上限が設けられています。協会けんぽの場合標準報酬月額の平均額が28万円であり、この標準報酬月額の平均額と資格喪失時の標準報酬月額と比較していずれか低い額が任意継続被保険者の保険料の基礎となる標準報酬月額になります。従って被保険者時代の標準報酬月額が高い場合にはこの上限の効果があり、全額負担してもむしろ被保険者時代より低い保険料を払えば良いということになります。

また任意継続被保険者の場合、退職後だということで傷病手当金・出産手当金を受けることはできません。以前は任意継続被保険者は全く被保険者と同じ給付を受けることができたのですが、平成19年の改正により退職者である任意継続被保険者の休業補償である傷病手当金の支給まではすることはないだろうという考えのもとに(もちろん健康保険制度の財政状況の逼迫があると思いますが)廃止になりました。

2.国民健康保険は、健康保険制度を資格喪失していることを証明すればとくに被保険者になることについて条件はありません。住所地の市区町村の国民健康保険で手続をします。

保険料については、各市区町村で計算の方法が異なるため一応計算してもらい把握したうえで1の任意継続被保険者の保険料と比較してみる必要があります。前年の収入をもとに計算しますので、退職後1年目は高く、2年目は低くなることがほとんどです。

平成22年4月から「非自発的失業者ヘの軽減措置」が実施されており、その場合保険料は離職日の翌日の属する月からその月の属する年度の翌年度末まで 30%に抑えられます。あくまで事業所の倒産、解雇等事業主の都合により離職した「特定受給資格者」と労働契約期間が満了し、更新を希望したが更新されずに離職した「特定理由離職者」が軽減対象です。

給付については現在は高齢者を除く医療制度全てが3割負担であり、市区町村にもよりますが傷病手当金などの支給はない場合がほとんどなので、1の場合と同じと考えて問題ないと思います。

週末になると台風が多いですね。台風は昔は夏休みの終わりころに来ていたと思っていたのですが最近少し来る時期が遅くないですか?それとあまりに準備万端過ぎる気がして仕方ありません。確かに日本は災害で様々な被害を受けているのでしょうがないのかもしれませんが。縮こまるのは嫌だなと思います。

先日本屋さんで見た「大人の女はどう働くか?」という本が気になり購入しましたがとても共感を覚えました。とても参考になりました。これで私もうまく割り切り、余裕を持って仕事を回し、自分の時間もしっかり持てるようになるのが夢です。本を読んだ後なのできそうな気がしています。楽しみです。

 


始末書を提出してこない場合について

2014-10-05 22:17:12 | 労務管理

懲戒処分における始末書の提出の意味合いは、職場の秩序を乱したことに対する謝罪や反省を表明するところにあります。


現実的には始末書の提出は簡単に決定というわけにはいかないものです。懲戒処分をされることは労働者にとって大きなことですし企業も慎重になります。懲罰委員会などの手続きを経て、懲戒処分をするということになれば就業規則の規定を根拠に「始末書のみをけん責として提出」させる場合もありますし、また「減給処分や出勤停止処分であっても併せて始末書の提出」を求める場合が多いです。


懲戒処分をするかどうか企業は迷う場合があることをよく見ますが、やはり企業秩序を乱す行為があった場合等に都度始末書を提出させるということは大事なことのように思います。確かに本人には大きなことですが、企業が始末書の提出を求めてくるくらい重大な案件とみているとも感じるでしょうし、企業秩序を乱すようなことが何度も重なってくれば更に重い処分になっていくことになりますが、それまで「まあまあ」と流してしまっている場合で、いきなり重い処分をするのではなく当初から企業側の姿勢を見せておく必要があり、その積み重ねが濫用とは言えないということに繋がると考えるからです。


懲戒処分により提出を命じたにもかかわらず労働者が始末書を提出してこない場合に、始末書を提出しないことについてさらに懲戒処分をすることができるかということなのですが、これはできないとされる判例が多いようです(福知山信用金庫事件・大阪高裁昭53.10.27判決)。


謝罪や反省を表明するものである始末書の提出は、個人の内心の自由の観点から強制するべきものではないこと。また始末書提出の命令は懲戒処分を行うための命令であって、労務提供に関して行われる業務命令ではないという考え方から、始末書を提出しないことについての懲戒処分はできないと考えておく方が良いようです。


その場合企業はどう対応すればよいかということですが、事実経過の報告を求める顛末書については、業務に関するものとして提出を命じることができるとされています(淀川製鋼所事件・大阪地裁昭45.4.17判決)。懲戒処分を行う場合特に大事なのが正確な事実確認です。曖昧な把握でとどめず正確に事実を把握することで懲戒処分の妥当性が確保されることになります。始末書の提出がなければ顛末書の提出は必須だと考えます。


最近ちょっと怒りっぽくないですか。カルシウムが足りてないんじゃないですか?と支部の後輩に言われドッと笑われてしまいました。確かに忙しくしている中でカリカリしていることが多いかもしれません。反省して少し穏やかな心を持つようにしようと思います。


しかし昨日の街頭相談の際ののぼり等の荷物の搬入の時は頭にきました。今渋谷駅のロータリーはかなり前から工事でごちゃごちゃの状況なのです。その中でどこに車をつけて搬入すればよいか2回ほどHPを見て研究したのですが、一般車がどこまで入れるのか分かるものはありませんでした。「一般車が入れるかどうかちょっと心配だな」とは思っていたのですが当日するすると入っていけたので、支部の皆が待っているところに車を付けたところ6人ほどのT急の警備の人たちに取り囲まれ「なんで入ってきたんだ」「切符を切るぞ」「早く出ていけ」といきなりすごい剣幕で怒鳴られました。そこで「そういう言い方はないんじゃないですか!」と怒ったわけです。最初から進入禁止とされているのにもかかわらず進入したのであれば仕方がありません。しかしそんな表示はほとんど見えないところにあるだけで、するすると進入を許しておく状況を作っておきながらいきなりそれはないんじゃないかと思いました。懲戒処分だってまずは禁止事項や遵守事項を明確に示してそれに違反して初めて検討されるわけです。不条理なことの多い世の中ですが冷静に対応できるよう日々修行です。