2015.5.24 のブログで「深夜業を含む業務の定義について」として特定業務従事者の健康診断をとりあげていますが、その後もコンスタントに「深夜業を含む業務」についての健康診断のご質問があります。
安衛則第13条第1項第2号には、一定の有害業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場には専属の産業医を選任することと定められていますが、その一定の有害業務の一つとして「深夜業を含む業務」が規定されています。
さらに安衛則第45条1項で、「第13条第1項2号に定める一定の有害業務に「常時従事する労働者について、配置替えの際又は6月以内ごとに1回(年2回)」いわゆる特定業務従事者の健康診断の実施が事業者には義務付けられています。
ここでいう「(深夜業を含む業務に)常時従事する」とは「業務の『常態として』深夜業を1週1回以上又は1月に4回以上行う業務をいう(昭和23.10.1基発1456号)」と通達で定義が定められており、混同しやすい自発的健康診断の定義は「6カ月間を平均して1カ月4回以上深夜業に従事」したこととされ、定義づけが異なっているということは先のブログで取り上げたところです。
先日この『常態として』というのはどう考えればよいのかというご質問がありました。このテーマにはこだわりがあるのでかなり調べてみたのですが通達などは出ていないようでしたので労働局に問い合わせたところ「社会通念上妥当と思われるところでの判断となります」という回答でした。従って限定的に3か月だけ深夜業を行う必要があるというようなときには『常態として』行われているとまでは言えず、年に2回の特定業務従事者の健康診断を行う必要はない、ということになるようです。
ところでコロナウイルス感染症の拡大のために、定期健康診断が延期となっている会社は多いと思います。厚生労働省のHP(以下URL)、新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)の6安全衛生問2において、当初健康診断実施の延期が認められたものの6月末までの措置としていました。しかし、令和2年5月29日時点版には、コロナウイルスの影響が長引いているためか、特定業務従事者の健康診断を含む一般健康診断の実施時期を「令和2年6月末までに実施することが求められるものについては、延期することとして差し支えありません。」とされ、「健康診断の実施時期を延期したものについては、いわゆる“三つの密”を避け、十分な感染防止対策を講じた健康診断実施機関において、できるだけ早期に実施することし、令和2年10月末までに実施してください。なお、健康診断実施機関の予約が取れない等の事情により、やむを得ず10月末までの実施が困難な場合には、可能な限り早期に実施できるよう計画を立て、それに基づき実施する必要があります。」と示されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
しかし特定業務従事者の健康診断は年2回ということで、各社の定期健康診断の延期の影響で秋の健康診断がかなり増えたためか10月末までに1回目の予約が取れないということも発生しており、非常に悩ましい状況になっています。
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