OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

外国人登録制度の廃止と在留カードについて

2012-05-28 00:08:24 | 法改正

5月のOURS事務所通信に外国人登録制度の廃止と「在留カード」のことが載ったため、顧問先の外資系企業より在留カードが発行される外国人に対する住民票の件でご質問を受け少し調べてみました。

今後人事担当者の方は、外国人の雇用の際に「在留カード」を確認したり、外国人配偶者などの同居の確認(生計同一関係の証明)などに「住民票」の提出を求めるなどが可能になると思いますので、覚えておくとよい関係法令の改正だと思います。

①在留カードについて

新しい在留管理制度は、外国人の適正な在留の確保のため、日本国に在留資格をもって「中長期間在留する外国人」を対象として、その在留状況を継続的に把握する制度であり、この制度の対象者には、氏名等の基本的身分事項や在留資格、在留期間が記載され、顔写真が貼付された在留カードが交付されることになります。また、新しい在留管理制度の導入に伴って外国人登録制度は廃止されることになります。在留カードは2012.7.9の施行日に一斉に切り替わるのではなく順次更新時に切り替わることになるそうです。http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_1/index.html

②外国人住民の方の住民票交付について

日本に入国・在留する外国人が年々増加していること等を背景に、外国人住民についても、日本人と同様に、住民基本台帳法の適用対象に加え、外国人住民の利便の増進及び市町村等の行政の合理化を図るための、「住民基本台帳法の一部を改正する法律」が平成21年7月15日に公布され、外国人住民に住民票が交付されることになりました。実際のスタートは上記①の「在留カード交付」の施行の日である平成24年7月9日です(公布から施行までずいぶん時間があったのでその間に準備していたのでしょうね。結構これは大変な作業だったのではないかと思います。)。これまで住民基本台帳法と外国人登録法の2つの別々の制度で把握していた複数国籍世帯(外国人と日本人で構成する一の世帯)について、より正確に世帯構成を把握することが可能になるとともに、世帯全員が記載された住民票の写し等が発行できるようになるので、だいぶ利便性が高まるのではないでしょうか?

③高度外国人の入国促進のためのポイント制について

5月7日から高度外国人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度を設け5月7日から開始したそうです。高度外国人材とは、経済成長や雇用創出に資することが期待できる高度な能力を有する外国人を言い、学歴・職歴・年収・研究実績などのポイントを合計して70点以上になると優遇制度が受けられるとのことです。優遇制度は、複合的な在留活動を認めたり、配偶者の就労条件の緩和などがあります。ポイント制とは、ちょっと楽しくアイディアだなあと思いました。http://www.immi-moj.go.jp/info/120416_01.html

今日は本当に気持ちの良い日でした。昨年の今頃はそんなことを味わう状況ではなかったので久しぶりに気持ちの良い季節を感じています。最近事務所で「社会保険労務士試験対策特別勉強会」をスタッフのT君と毎週2時間行っているのですが、予習のためテキストを前日に読んでいると問題を解くポイントがよみがえります。1週間でたった2時間ですから、もちろん限界はあるためかえって割り切れて、結構簡潔にポイントを押さえることに集中してみると、上級FASTの時もこういう風に講義をすればよかったのかなとか、まだまだ忘れてないなあ~とか、楽しんでいます。


村木厚子さんの書かれた本

2012-05-20 23:11:48 | 雑感

 

今週は先週にひいた風邪が治りきらず頭も働かず、体もシャキッとしない1週間でした。体調管理がしっかりできていない自分のせいなので仕方ないですが、大きな仕事の立ち上げがほぼ何とか見えてきたこともありホッとしたのかもしれないと、あまり自分を責めず今日はごろごろとしていました。

親しい受講生から村木厚子さんの本を紹介されて読んでみました。村木さんは、障害者郵便割引制度を悪用した「凛の会事件」で不当に逮捕・起訴され164日間拘留の後無罪が確定、厚生労働省に復職された方といえばほとんどの方はご存知だと思います。まだ半分くらいしか読めていないのですが、旧労働省に入所されてからの仕事は社労士の関係法令と密接で、法律が出来上がった背景などもわかり面白いです(「あきらめない」日経BP社)。

また以前から本当に強い女性だなと、テレビの報道を見ながら感じていたのですが、お父様が「社労士」であるということをその受講生から教えてもらいどうしても読んでみたくなりました。

広く浅く経験をした仕事がある程度のところですべてつながり深くなるということでの仕事を「異動」することの大切さ、階段を1段上がれば見える景色が変わるという昇進のススメ、情報を上げてもらえる上司になるなど仕事をしていく中で共感することが多く書かれています。

また仕事の手法としてアンケートをうまく使っている点はなるほどという感じでした。村木さんのスタンスとして、相手の言い分に耳を傾けるという姿勢が非常にある方なのだとは推測されますから、アンケートはその姿勢に合ったものなのだと思います。先の育児・介護休業法の改正を作り上げた時の雇用均等・児童家庭局長であり、そういえば平成22年6月30日の改正は、綿密な働く女性へのアンケートを基に何が政策として必要なのかをよく調べてそれに対応した法改正内容になっていたなと思います。改正の際、現状分析によりそれに対応した制度を作ろうとしているというその姿勢がとても印象的で、今でもセミナーの時にはその点を少し最初にお話ししているくらいです。その背景がとてもよくわかり本当にこの本を読んで良かったです。法案成立の直前の逮捕はさぞ無念であったと思います。

お金で時間を買うという考え方は同じで、子育て中のお迎えなどタクシーを多用している点は自分と同じだと思いました。稼ぐお金がタクシー代にほとんど消えてしまったとしても、その時の仕事が将来の蓄積には必要と思えばその蓄積を買っているのですからもったいないという感覚はないのです。国家公務員の仕事は22時に帰るのは早いと言われるくらい半端なものではなさそうですから、それが普通なのかもしれないですね。

男女雇用機会均等法のもとになった研究会を立ち上げて、大蔵省から予算をもらった時の話もとても興味深いです(私ももっと頭がよければ法律の制定にかかわる仕事がしたかったなあ~と思いました)。

刺激を受けてこれから勉強会を立ち上げてチームで議論したり、研究を取りまとめてみたいと意欲がわいてきました。やっぱり社会保険労務士という仕事は面白いです。色々なことができる可能性がありますから。また明日からがんばりましょう!


OURSセミナー10回目終了

2012-05-13 23:42:54 | セミナー

 

先週金曜日にOURSセミナー10回目が終了しました。

今回のテーマは「賃金・賞与・退職金」ということで主に賃金の話が中心となりました。

賃金と福利厚生について、平均賃金の出し方、欠勤控除をする場合の就業規則の決め方、最低賃金の減額の計算実例、減給の制裁のパターンなどのことを取り上げました。中でも賃金と福利厚生の違いは時々顧問先企業からもご質問を頂くのでよく調べたりしているのですが、セミナーの中でうまく説明ができなかったこと少し心残りです。

住宅や食費など昔はこれは福利厚生だからという説明で労働保険料から除外することについてそれほど厳しい取扱いを求められなかったように思うのですが、最近はコンプライアンス意識が高くなりある程度の規模の企業であると厳密に運用するようになりました。

住宅や食費を福利厚生として取り扱う場合は「実費の一部を徴収する」としておくことが確実な方法です。労働関係は3分の1ルール、社会保険関係は3分の2ルールがあります。したがって少なくとも3分の1は労働者に負担してもらうとよいのではないかと思います。労働保険はそれほど厳格に現物給付を要求している感じではないのでそれほど神経質になる必要もないのですが3分の1の実費負担があれば残りは福利厚生として扱われます。それに対して、社会保険の場合は3分の2ルールですから3分の1の負担ではまだ福利厚生としては扱われません。そのような場合は場合厚生労働大臣から示されている現物給付の価額から労働者が一部負担している額を控除した額が報酬になります。すると特に食事などは報酬になる部分はゼロかとても少ない額となると思います。以下参考まで。

http://www.nenkin.go.jp/n/www/share/pdf/existing/employer/genbutsu_kyuuyo24.pdf

OURSセミナーも10回を数えました。前回からスタッフも交替で最後20分くらいを使い実務的なテーマを説明するということになっており、今回の佐藤の「被保険者の年齢によって変わる保険料」も好評でした。これからもどんどん事務所のスタッフに交替で講義等をしてもらおうと思います。何か一つでも二つでもOURSセミナーの中で気づきになる部分があればよいなといつも考えております(OURS人研で出している欠席フォロー用CDもよろしく)。

週末は事務所の一部のメンバーを小淵沢の家に招待しました。今回はとても天気が良くて夜の満天の星がすごかったです。また朝の散歩でも山がとてもきれいに見える中森の中を歩き気持ちがよかったです。朝6時ころ家の周りの森のあたりを散歩していたAさんはキツネと遭遇したそうです。本当は新入社員のT君の勉強合宿を兼ねるつもりが、食後夜寝るまでの時間島中先生の訓話?があり結局持ってきたテキスト5冊は東京に戻ってから自習室で使うことになったようです。この調子で色々な人をまずは招待してそのうちご家族でも気軽に利用してもらえる山の家になるとよいと考えています。(写真は山の家の前の森の中と散歩中に撮った南アルプス甲斐駒ケ岳、とがって小さく見えるのが北岳)。