OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

公的年金の所得代替率について

2021-10-04 00:29:37 | 年金

自民党総裁選は、短い期間の中での潮目が変わった瞬間が何度かあり、政治とはそういうものなのだろうなととても興味深く注目していました。結果としては、無難なところに落ち着いたという感じであり、その後の特に閣僚人事は、素人考えかもしれませんが、何となく魅力に乏しく、若干あのあつい候補者の討論の毎日からすると拍子抜けの感じがするのは私だけでしょうか。

候補者の討論の中で、将来の年金の話が出ており、非常に興味を持って聞いていたのですが、河野さんの主張としてはマクロ経済スライドによって年金制度は維持されるが、年金額が保障されていないため、改革が必要であり、基礎年金部分は税金で賄い誰もが公平に受けられる年金にすればよい、という考えだったと思います。私は元々年金制度を改革するにしても、給付と負担の対応関係が明確な社会保険方式を変えるべきではないと考えており財源を税に持ってくるのは反対であり、基礎年金の財源には厚生年金からの拠出金も含まれているのではないかと考えると河野さんの主張の完成度が高いとはとても思えなかったのですが、給付水準について実のところどのようになっているのか、ここのところ見ていなかったので調べてみました。

令和元年に行われた5年に1度の財政検証の資料によると以下のように書かれています。
〇公的年金制度においては、マクロ経済スライドによる給付水準の調整に伴い、所得代替率は、現在(2019年度)の61.7%から将来低下していく見通し。
〇 現行制度における所得代替率は、20~60歳までの40年間就労することを前提に計算しているが、40年を超えて就労し、それに伴い受給開始時期の繰下げを選択すれば、その分給付水準が増加することとなるため、就労期間を延長することにより、将来の所得代替率の低下を防ぐことが可能となる。
○ そこで、以下の資料では、ケースⅢ、及びケースⅤについて、現行制度又はオプションB-⑤の制度を前提に、20歳から何歳まで就労すれば、現在(2019年度に65歳の者)の所得代替率を維持することができるかを生年度別に示すこととする。

所得代替率61.7%を将来も維持するには就労期間を長くして受給開始を遅らせるという方法で、現在20歳の世代は66歳9月まで就労し繰下げ受給を選択すれば、現在(2019年度)65歳の世代と同じ所得代替率を確保できる見通し。(仮にオプションB-⑤(基礎年金45年加入、65歳以上の在職老齢年金の廃止等)の制度改正を前提とすれば、65歳10月まで就労し繰下げ受給を選択すれば、現在65歳の世代と同じ所得代替率を確保できる見通し。

上記の試算を見ると若干ホッとしますが、これは経済状況の仮定を「経済成長と労働参加が進むケース」または「経済成長と労働参加が一定程度進むケース」を元に物価上昇率や賃金上昇率を置いているようなので、やはり年金の将来はひとえに経済成長にかかっていると感じます。

2019年財政検証関連資料(第9回社会保障審議会年金部会2019年8月27日資料4)
https://www.mhlw.go.jp/content/000540204.pdf

緊急事態宣言が解除されて、週末かなり色々なところで人出が多かったようですが、まだまだ慎重に行こうかなと考えていることと、原稿の仕事にめどをつけたいので週末もだいたい自宅で過ごしました。しかしコロナ禍あまりに動かないのも良くないのであちこち自宅の周りの散歩だけはしており、今日は気になっていたお店に行ってみたところ、なかなか素敵なお店で得した気分になりました。まだまだ身の回りでささやかな楽しみを見つけつつ、気を付けていきたいですね。


報酬比例部分の年金額の改定のタイミング

2020-02-02 19:31:15 | 年金

先日スタッフと顧問先への回答を作成しているときに、年金額の改定の時期について法改正を押さえておらず認識が誤っていたことを知りました。どこが法改正になっていたかというと、在職老齢年金の退職時の改定の部分のほんの小さな改定です。

老齢厚生年金の報酬比例部分の改定は標準報酬月額が変更される都度行なわれるのではなく一定のタイミングで、それまでの厚生年金被保険者期間が年金額に反映され再計算されます。 
1.退職時改定
2.65歳以降の本来の老齢厚生年金開始年齢到達時
3.70歳到達による被保険者資格喪失時

退職時改定は、資格喪失日から1か月経過した日の属する月から行われることになっており、それは今も変わっていません。しかし平成28年10月1日に施行された「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」(年金機能強化法)のの改正により、条文に以下アンダーラインの部分が追加されています。

(年金額)第43条

3 被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して一月を経過したときは、前項の規定にかかわらず、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であつた期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、資格を喪失した日(第十四条第二号から第四号までのいずれかに該当するに至つた日にあつては、その日)から起算して一月を経過した日の属する月から、年金の額を改定する。

この第14条2号から4号というのは、「その事業所等に使用されなくなつたとき」という資格喪失事由です。つまり死亡等による資格喪失の場合など原則としては資格喪失をした日から起算して1箇月を経過した日の属する月から年金額を改定するとしているわけですが、適用事業所を退職した場合は、資格喪失日ではなく退職日を起算日として改定することになったというわけです。

ここでポイントになるのは、月末退職の場合です。改正前は、月末に退職した場合資格喪失日は翌日となり、例えば1月31日付退職の場合2月1日が資格喪失日となります。2月1日から1か月経過した日の属する月から年金額を改定すると3月の年金額から変わることになります。月の半ばで退職した場合、例えば1月20日に退職すれば1月21日が資格喪失日となり、1か月経過した日の属する月は2月となりますから、月末退職であると1か月年金額の改定が遅れる状態でした。この改正は同じ月に退職した場合は同じ月に年金額が改定されるための改定と思われます。

なお、年金額は、上記に記載した通り、被保険者期間中の見直し(再計算)はされず退職した際にそれまでの被保険者期間を反映して計算しなおすことになり、それ以外については65歳到達時、70歳到達時についてもそれまでの被保険者期間を反映して計算しなおすことになります。70歳到達時は上記第14条5号ですので、退職時改定と異なり、法文上は資格喪失日が起算点になるかと思いますが実際の運用を調べてみる必要はありそうです。

今週は福岡に出張してまた美味しいものを沢山頂いてきました。綺麗で適度に人が多く活気があり、食べ物もおいしく本当に福岡は良いところだと思います。大学院の口述試験があり翌日は急ぎ戻らなければならなかったのですが、今度はゆっくりプライベートで行きたいところです

今日は、お嫁さんが私が昔母から持たされた着物を譲ったところそれを着て踊りの会に出てくれるということで観に行き優雅な時間を過ごすことができました。まだ体調がいまいちなのですが、それに加えて花粉症も始まりそうな気配ですね。皆様お気をつけて。


適格退職年金について

2019-11-17 21:24:50 | 年金

日大学院の授業で適格退職年金の話が出ました。適格退職年金は平成13年の確定給付企業年金法と確定拠出年金法の企業年金2法ができる前は、企業にとって税制上の優遇措置が受けられる企業年金の一つとして存在していた制度です。すでにあれから15年以上経過してしまった今となっては忘れ去られた制度なのかもしれません。しかし企業年金の沿革の中では、制度改革の要因ともなった重要な存在であると考えています。

特に私がTACの講師としてある程度経験と知識が積みあがった時期に、企業年金の大改革があったため印象深いのかもしれません。また平成5年に開業した当初、顧問先から退職金制度を入れたいとご相談を受けた際、たまたま最初の顧問先が中退共に加入しており要領がわかってたので中退共をご紹介したものの、先輩社労士から適格退職年金があると聞かされてもう少し調べるべきだったかなと反省したこともよく記憶しています(結果的には良い選択だったのですが)。

適格退職年金、いわゆる適年は企業年金2法ができる前①厚生年金保険法を根拠とする厚生年金基金、②法人税法を根拠とする適格退職年金、③法的根拠のない自社年金を包括した企業年金の中の一つでした。そもそも厚生年金基金を始めとして、当時の企業年金は退職金制度の一部の年金制度として、使用者が内部積立で支給する退職一時金と併せての定年退職後の生活の保障と考えられていました。

この制度がなぜ確定給付企業年金と確定拠出年金の企業年金2法に代わることになったかという経緯はいくつかの要因があるわけです。簡単にいってしまえば、昭和40年代の高度経済成長期に創設された厚生年金基金は長くサラリーマンの定年退職後の生活保障の役割をしてきましたが、バブル崩壊後金利の落ち込みとともに積立金の運用収入が悪化し、加入企業が追加掛金を再三求められる状況となり、脱退する企業が相次ぎさらに積立金不足に陥るという悪循環となったことがあげられます。基金から脱退する際はこれ以上積立不足にならないよう過去勤務債務分の一括徴収金という多額の置き土産を求められ、当時あれこれ勉強しながらいろな企業のご相談にのったりしていました。厚生年金基金と同様完全積立方式であった適格退職年金についても同様の状況となり、しかも適格退職年金は積立金の管理についての規制が非常に杜撰といってよく、ふたを開けてみたら積立金が底をついていたというケースもかなりあったと聞いています。受給権保護が図られず、権利保障について極めて不十分な制度ということで平成14年以降の新規の契約が認められず最終的に平成24年3月末で全て廃止となりました。

ちなみに中退共がなぜその中で生き残っているかというと、中退共は当時から確定拠出の仕組みで運用されており、要するに運用成績が悪くてもそれに合わせた退職金が支払われる仕組みであったため、問題にならなかったということがいえます。今考えると当時世の中がそれでかなり騒ぎになったことも懐かしく思い出されます。しかし厚生年金基金・適格退職年金から、確定給付企業年金(DB)、確定拠出年金(DC)、または中退に全ての企業が以降したわけではなく、3階部分の年金がなくなってしまったケースがかなりあるようで、今考えると残念気がします。3階部分の年金しっかりと確保できていれば、老後の資金の不足といわれている状況がもう少し良かったのではないか思うからです。

愛媛の社会保険労務士会の研修で出張した翌日10年ぶりに四国に住んでいる大学の友人のところに行ってきました。東京から松山までは飛行機で1時間で到着しあっという間であったのですが、友人の住んでいる宇和島までは1時間半かかるため、帰りの飛行機合わせて戻るとなると、列車の本数が限られるため、2時間くらいしか時間が取れなかったのですが、駅まで迎えに来てくれた姿を見てうれしかったです。

愛媛県会の会長や役員の方たちの和やかな雰囲気がとても良く、熱心に時に楽しそう受講頂いた会員に少しでヒントを提供できていたら嬉しいと思います。


マクロ経済スライド キャリーオーバー制度について

2019-07-21 22:46:43 | 年金
6月30日のブログでマクロ経済スライドの基本的な考え方をとりあげたのですが、その続きということで今年度発動されたキャリーオーバーについて取り上げてみようと思います。
 
そもそも年金額は、新規裁定者は名目賃金変動率、既裁定者については物価変動率を乗じて賃金や物価の変動に合わせ毎年改定率を決め改定することになっています。マクロ経済スライドというのはこの改定率に調整を加えることで年金額を抑制する仕組みです。保険料収入、積立金等と支給する年金の収支の均衡が取れるようになったときマクロ経済スライドの調整期間が終了します。
 
マクロ経済スライドによる年金額の調整は、賃金・物価が大幅に上昇しなければなかなか発動されない仕組みになっています。その大きな要因として、前年度の年金の名目額を下回らないようにする「名目下限措置」があり、物価・賃金変動率がプラスの場合のみマクロ経済スライドを発動することになっています。 また、例えば、物価変動率が0.8%、マクロ経済スライド調整率が▲1.0%の場合、調整は▲1.0%行うのではなく0.8%分のみマイナス調整をするため、年金額の改定率は0.0%(前年と同額)となります。

これまでマクロ経済スライドの発動は、賃金変動率の低迷等により平成27年度のみでした。第31回社会保障審議会年金部会(平成27年12月8日)において議論された検討課題の中で以下の検討がなされています。
〇将来世代の給付水準確保を図ることが必要
・ 物価>賃金の場合に賃金変動に合わせる考え方を徹底
 ・・・物価より賃金の変動に合わせるということは現役世代の賃金額より年金額が上昇することを避けるということで、現役世代に配慮した考え方です。
・ マクロ経済スライドによる調整が極力先送りされないよう 工夫することが重要
 ・・・マクロ経済スライドの調整を先送りするということは、マクロ経済スライド調整期間が延びるだけであり、こちらも将来世代の負担を増やさない配慮ということです。
要するにマクロ経済スライドを実施しないと、どんどん将来世代の負担が重くなるということなのです。
 
キャリーオーバー制度は、将来世代の給付水準の確保や、世代間での公平性を担保する観点から、年金額の改定に反映しきれなかったマクロ経済スライドの調整率を、翌年度以降に繰り越すこととするものです。この年金額改定ルールの見直しは平成30年4月1日から施行されましたが、令和元年度初めて実施されることになりました。

平成30年度は、年金額が据え置きだったため、マクロ経済スライドによる年金額の調整は行われず、未調整分の調整率(▲0.3%)は翌年度以降に繰り越されました。令和元年度(平成31年度)は、当年度分のマクロ経済スライド(▲0.2%)に、平成30年度に繰り越された未調整(▲0.3%)も含めて調整を行った上で、なお0.1%のプラス改定となりました。 

なお、平成33年4月から、68歳以降の既裁定者の年金については、将来世代の給付水準の確保のため、物価変動の方が賃金変動より高い場合は賃金の変動に置き換え、賃金の変動に合わせて年金額が減額改定されることになっています。 
 
 
昨日は年2回の恒例のBBクラブの勉強会でした。私の法改正は(弁解ですが修論報告が同じ週にあり)今一つでしたが、台東支部の金光仙子先生の「外国人雇用の基礎知識~改正入管法「特定技能」を中心に~」は今聞いておいてよかった、頭の中がクリアになったととても好評で、今回も良い勉強会となりました。BBクラブもとうとう18年続き、いまだ参加者が100名を切ったことがないということで、受講生OBの勉強熱心には頭が下がり、また嬉しく感じます。
 
2次会はおおかたいつも残るメンバーでいろいろな話をしましたが、当時若かった受講生も40代から50代となり、企業で働いている人は中心的な存在となり話していて勉強になることが多いです。また気楽に情報交換や相談ができるという点でも勉強会終了後の飲み会も貴重な機会になっているようです。継続は力なり。BBクラブが私の頑張ろうという気持ちの源泉になっていることは間違いないところです。

マクロ経済スライドの導入の経緯と基本的な考え方について

2019-06-30 21:27:32 | 年金

マクロ経済スライドが導入される平成16年の改正までは、5年ごとの財政再計算で、給付水準と当面の保険料負担を見直し、年金額及び保険料額を法律で決めていました。 

しかし、少子高齢化が急速に進む中で、財政再計算を行う度に、最終的な保険料水準の見通しは上がり続け、将来の保険料負担がどこまで上昇するのかという懸念もあり、年金への信頼が揺らいでいました。 

そこで、平成16年の制度改正では、将来の現役世代の保険料負担が重くなりすぎないように、保険料水準の上限を法律で決めました。この保険料水準を固定することで、保険料の上昇と最終保険料が見通せるようになったことは年金制度に安定感をもたらせたと思います。 

また、国が負担する割合も引き上げるとともに、積立金を活用していくことになり、公的年金財政の収入もその際に決め、5年に一度行う財政検証のときに、おおむね100年後に年金給付費1年分の積立金を持つこととして、年金額の伸びの調整を行う期間※1を見通すことにしました。 

そして、この収入の範囲内で給付を行うため、「平均余命の伸び率×公的年金被保険者数の変動(減少)率(2~4年度前の平均)=スライド調整率」を決め、マクロでみた給付と負担の変動に応じて、給付水準を自動的に調整する仕組みを導入したのです。この仕組みを「マクロ経済スライド」と呼んでいます。

※1 マクロ経済スライド調整終了時期は約30年後の予定。

イタリアから戻りまだ時差ボケが少し残っていますが、社労士制度の類似制度がある6か国で今後の情報交換や人事交流を行うための連携について世界社会保険労務士連盟を作り調印するという成果も出て、連合会の国際化事業は、一昨日の総会で一段落しました。引き続き連合会で国際化事業を担当できるかどうかわかりませんが、今後社労士が国際的な資格となることで、価値が高まるであろうとても意義のある事業と考えています。

国際化事業を行う中で、社労士会は厚生労働省からも評価を頂き、ILO,JICAなどの各機関と信頼し合うことができるようになったのも大きな意味があると思っています。

また、今回ヨーロッパの国とのディスカッションの中でわかったのですが、韓国も含めどちらかというとADR(裁判外紛争)など紛争解決にウェイトが重い国が多い中、日本の「労働環境を守る」という紛争の未然防止という考え方が高く評価されたことも、日本の社労士制度の価値を再認識させてもらうことができました。国際化事業に4年間関わらせて頂いたこと、とても感謝しています。

 本会議、世界社会保険労務士連盟発足 

 会議の帰り夜の街がとても雰囲気がありました


配偶者に係る加給年金額

2019-03-10 22:02:03 | 年金
配偶者に係る加給年金については老齢年金受給権者は受けている場合が多いと思います。この加給年金額に対する調査をはじめとした文書はかなり頻繁に受給権者に送られてきますが、多くは個別の連絡になっておらず一般論が書かれている文書が同封されているだけなのでかなり戸惑っておられる方が多いのではないかと思います。
 
加給年金額が加算される場合とは、日本年金機構のHPの説明を参考にしたいと思います。※若干分かりやすくなるように補足してあります。
 
【受給権者の要件】
1)65歳未満で受給する特別支給の老齢厚生年金(定額部分を受給している場合)または65歳以上の老齢厚生年金の受給者で、
2)厚生年金保険の被保険者期間が240月(中高齢の特例で240月が短縮される場合を含む)以上の場合に、
3)生計を維持している配偶者がいるとき
※加給年金額は、加算開始日が属する月の翌月分から受け取れます。
※上記の「240月を満たす」というのは、年金額のもととなる厚生年金保険および共済組合の期間を併せて240月以上に達している状態のこと。
・・・なぜ定額部分を受給していることと被保険者期間が240月以上が要件かというと、65歳未満で受ける特別支給の老齢厚生年金は昭和61年改正前の旧法時代は定額部分が必ず支給されており又20年(240月)で受給資格を得ることができたからで、それが今も生きているということになります。
 
なお、年金額のもととなる期間の(再)計算は以下の時期に行います。
・老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)を受ける年齢に達したとき
・退職などで厚生年金保険や共済組合の被保険者(組合員)資格を失ったとき
・65歳に達したとき
・70歳に達したとき
・・・要するに老齢厚生年金の受給権を取得(請求)当時240月に満たなくても、上記再計算のタイミングに240月以上の老齢厚生年金を受けることになった時点で、加給年金額の対象者との間の生計維持関係を確認の上、その他条件に該当すれば、年金額に加給年金額を乗せて受けられるということになります。
 
【受給権者の配偶者の要件】
年齢制限  65歳未満であること
(大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません)
その他   生計維持関係のある配偶者であること
 
日本年金機構HP(参考)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/jukyu/20140421-27.html
 
週末名古屋に1泊で社員旅行に行ってきました。徳川園でのランチ、個人的に行ってみたかった瀬戸訪問をコースに入れてもらって陶器を購入し、2日目は顧問先のミュージアムの見学と盛りだくさんの充実した旅行でした。OURSがご依頼いただいている顧問先がこんなすごいものを作っている会社なんだと実感したというスタッフもいて行ってよかったと思いました。例年できるだけ顧問先に関連する土地やミュージアム訪問をテーマとしています。たった1泊の旅ですが、班が違えば普段あまり話す機会のないスタッフ同士も交流が図れますし、デスクに向かって仕事をしているだけはなくたまに外に出てみるのも良いものだと思います。
徳川園でのランチ(騒いではいけません)
 
あいち航空ミュージアム(後ろがMRJ)
 

在職老齢年金の歴史⑤

2018-07-29 23:01:45 | 年金

今回で在職老齢年金について取り上げるのは最終回です。在職老齢年金については、平成29年5月10日、自民党一億総活躍推進本部が発表した「一億総活躍社会の構築に向けた提言」の中で、「廃止を含めた見直し」の検討が提言されています。「就労を阻害する」という影響を持つ点で、今後一億総活躍の場面では在職老齢年金制度は廃止する必要があるということなのです。それではこれまで在職老齢年金はどのような役割を果たしてきたのか、今後の方向性については、という2点を考えてみたいと思います。

60歳代前半を対象とする在職老齢年金の役割については、昭和40年の導入当初は「低賃金に対する所得補償」でした。平成6年の改正により就労促進を図る仕組みに改正した後も、「低在老」は定年後の60代前半の所得を補填する役割を果たしています。

それに対して、昭和61年の改正で一回廃止された後平成12年の改正において復活した「高在老」についてはその目的は「低在老」とは異なったもので、年金受給世代の高所得者の年金額を一定額または全額停止すると現役世代とのバランスを保つための調整機能を果たすというのが主な目的でした。

老齢厚生年金の支給開始年齢の65歳引上げが完了する2025年(女性は2030年)には「低在老」の対象者がいなくなるため、今後課題となってくるのは65歳以降の在職老齢年金である「高在老」ということになります。それでは高在老で高所得者の年金を支給停止にすることによりどの程度年金総額が削減されているのかという点を調べてみました。

平成30年4月4日に行われた、第1回社会保障審議会年金部会の参考資料(資料2-1)の中の「今後の検討課題―在職老齢年金について」に、低在老の対象者が約98万人・支給停止額が約7千憶円、高在老の対象者が約28万人・支給停止額が約3千憶円という数字が出ています。

公的年金受給者の年金総額は、平成28 年度末現在で54 兆8千億円と約32兆1千憶円とされていますので、比べてみると支給停止額はほんのわずかといえ、支給停止の効果は薄いといえます。また、70歳以上については被保険者の資格喪失をするため保険料を納付する必要はないのですが、現役世代並みに就労している場合「70歳以上被用者届」を出して在職老齢年金の支給停止の仕組みは残ることとなっており、違和感のある制度となっています。

平成29年版高齢社会白書(内閣府)に高齢者の就業状況が載っており、現在仕事をしている高齢者の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答。70歳くらいまでもしくはそれ以上との回答と合計すれば、約8割が高齢期にも高い就業意欲を持っている様子がうかがえる。

であるとすれば、「老齢」を支給事由とする例外的措置である在職老齢年金については廃止し、「退職を前提とせず」「老齢を支給事由として」在職中であっても老齢に該当すれば支給することとするのは、高齢者の就労のためにも必要なのかもしれないと考えます。

一昨日春学期が終わり、3つのレポートも無事提出することができました。レポートの1つの締切りが、連合会の韓国出張中になっており、どうしても行く前に提出しなければならず、またその提出日に午前中授業、午後BBクラブがあり翌日韓国出張の上、帰国日後に2つのレポートの締切りがあるという超過密スケジュールではあり、流石に大丈夫かなあと心配だったのですが無事乗り切りました。BBクラブの打ち上げでめちゃくちゃおいしそうな「牡蠣」があったのですが、万が一のことを考えて食さず正解でした。

韓国の公認労務士制度については、10年前の社労士制度40周年の時に大槻最高顧問が交流を開始し、現会長である大西会長が熱意をもってつないで来られ、今年で10年が経ち新たなステージを迎えたわけですが、今回の3泊4日の訪問で、1年半前に参加したときより、かなり充実した意見交換や交流ができたように思います。今回は日本の社労士制度を紹介する担当でしたが20分程度の持ち時間でしたので比較的気持ちは楽であったのと、夜の懇親会ではGoogle翻訳が大活躍で、韓国公認労務士会の女性会員とかなりお互いの状況を交換することができて、本当に楽しかったです。

今後さらに意見交換を重ねていくことを約束しましたので、やはりハングル文字が読めるようにはならないといけないなと思ってしまいました。

  


在職老齢年金の歴史④

2018-07-16 23:35:55 | 年金

在職老齢年金について、内閣府が見直しを訴えという記事が7月13日付の日経新聞に載っていました。「内閣府がまとめた60歳代の就業行動に関する分析結果によると、働いて一定の収入がある高齢者の年金を減らす「在職老齢年金」がなかった場合、フルタイムで働くことを選択する確率は2.1%上昇し、人数換算で14万人分の押し上げ効果があるとした。内閣府は「制度によりフルタイム就業意欲が一定程度阻害されたことが示唆された」として、制度の見直しが重要と訴えている。」

14万人分の押し上げ効果とはまたかなりのものという感じがします。在職老齢年金は今後廃止という流れは確実のようです。

前々回のブログで、平成6年改正前の在職老齢年金の支給停止基準の表を載せたのですが、平成6年の改正で就労を促進するための見直しが行われました。ある意味この改正によりそれまでの在職老齢年金の所得保障の考え方から転換が図られたものと思います。改正内容は、まず在職中であると2割停止、賃金と年金の合計額が月額22万円に達するまでは、賃金と年金を併給し、22万円を超えても賃金が34万円までは、賃金が2増えれば年金を1減額し、賃金が34万円を超えた場合には、賃金の増加分だけ年金を減額する仕組みでした(数字は改正当時)。

①在職中(被保険者)

支給停止基準額=2割(8割支給)

②基本月額22万円以下、かつ、標準報酬月額34万円以下

支給停止基準額=2割+(標準報酬月額+年金月額-22万円)×1/2

③基本月額22万円以下、かつ、標準報酬月額が34万円超

支給停止基準額=(34万円+基本月額-22万円)×1/2+(標準報酬月額-34万円)

④基本月額22万円超、 かつ、標準報酬月額34万円以下

支給停止基準額=標準報酬月額×1/2

⑤基本月額22万円超、 かつ、標準報酬月額34万円超

支給停止基準額=34万円×1/2+(標準報酬月額-34万円)

 
その後平成15年4月より実施された、総報酬制の導入その他の改正により支給停止基準額が見直され、平成16年の改正で在職中の2割停止が廃止され、更に若干の数字の変更を経て現在の支給停止基準に至っています。昭和61年の改正時に60代後半の在職老齢年金は廃止されていたので昭和61年以降ここまでは60歳代前半の在職老齢年金の変遷です。

65歳以上の在職老齢年金はというと、昭和61年に一回廃止されたものの平成12年の改正で、「高在老」の導入を行い60歳代後半の在職老齢年金制度が復活しました。その後、平成16年の改正により、それまで70歳以降は給与収入額に関係なく年金を全額支給する仕組みであったものを廃止して、在職者である場合は65歳以上の仕組みによる支給停止基準を適用することとした。なおこの改正時点では、昭和12.4.1日以前生まれの70歳以上は適用しない扱いでしたが、平成27年にこれらの者も含めて適用する改正が行われています。

これまで本当に改正が多かった在職老齢年金ですが、どのような役割があったのか、ここまで改正が多かったのはなぜなのかという点について考えましたので次回は触れてみようと思います。

本当に毎日暑いですね。カーっと暑い夏が好きと公言していた私ですがさすがに「ちょっとこれは…」という感じです。まだまだこれから夏は長いですしね。

祭日にもかかわらず今日は授業があり出席したところいつもの半分以下の出席率でした。アメリカの連邦法と州法の関係の授業だったのですが、非常に面白かったです。先日のEU法の仕組みもとても面白く、やはり勉強するとなんだかんだ色々と興味の範囲が広がるような気がします。暑い中出席した甲斐がありました。

来週は連合会の委員会の関係で韓国に行くことになっており週末不在になります。そのためブログもお休みさせて頂きますのでよろしくお願いします。


在職老齢年金の歴史③

2018-07-01 23:14:00 | 年金

年金制度が作られた目的は、そもそも「老齢をある種の廃失と考え、それによる所得喪失に対する最低保障」ということで、所得喪失=退職が支給事由であるとも考えられるのですが、厚生年金保険法の目的条文を見ると支給事由(保険事故)は「老齢」です。

厚生年金保険法 第1条 この法律は、労働者の『老齢』、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

その点どのように考えるか以前から疑問だったのですが、「在職老齢年金」についての定義としては「『在職老齢年金』は、本来『退職』を前提とした『老齢』を支給事由とする老齢年金の例外的措置」という表現が正しいということを先日学びました。

あくまで「老齢」が支給事由とすると、平均寿命が伸び、高齢者の概念も昔とは異なってきている現在は「老齢」の定義も変更されてもおかしくはなく、支給開始年齢が現在の65歳より後ろ倒しになるということも理論上妥当だと思われます。

実際、2017年1月5日に発表された「日本老年学会・日本老年医学会 高齢者に関する定義検討ワーキンググループ報告書」において、高齢者の新たな定義を75歳以上とする提言が示されたのは記憶に新しいところです。今後老齢厚生年金の支給開始年齢の議論が行われるとしたら、在職老齢年金がその中でどのような位置づけになるのか、という点については非常に興味深く感じています。

非常に改正が多かった在職老齢年金であるという点については、ブログの在職老齢年金の歴史①及び②で記載しました。今回在職老齢年金制度を調べる中で平成6年改正前の60歳台前半の在職老齢年金の支給(停止)割合が比較的見つけにくかったので、記録という意味で残しておきたいと思います。

平成6年の改正が行われるまでの60歳台前半の在職老齢年金は標準報酬月額に応じて支給割合が定められており、収入が一定水準を超えると全額支給停止される仕組みでした。

標準報酬月額等級

標準報酬月額

支給割合率

第1級~第3級

110,000未満

3割

      第4級~第6級

118,000円~134,000円

4割

第7級~第9級

142,000円~160,000円

5割

第10級~第11級

170,000円~180,000円

6割

第12級~第13級

190,000円~200,000円

7割

第14級~第15級

220,000円~240,000円

8割

注)標準報酬月額等級が第16級(標準報酬月額が26万円、報酬月額が25万円)以上の場合は、全額支給停止となる。

この仕組みについては、「働いても年金を受給しても収入がたいして変わらないとなると、仕事を辞めて年金を受給する人が多くなる」 ということで、平成6年に改正が行われました。 この改正以後の60歳台前半の在職老齢年金の支給停止基準の表についてはその変遷がまたありますので、次の回で比較させて頂きます。

サッカーワールドカップの日本代表の試合は、特に第3戦目はまさに賛否両論ですね。しかしここまで来たので明日はとにかく頑張らざるを得ない状況ですが、3時からの試合ということで、日本国民は果たしてその時間起きて見るのでしょうか。夜型の私としても悩ましいところです。 


在職老齢年金の歴史②

2018-06-17 23:22:13 | 年金

先々週に続きまして在職老齢年金の歴史です。先々週は昭和61年の年金制度大改正前までの在職老齢年金のことを載せました。その時代の在職老齢年金は低賃金を補うという役割を果たしていました。そして昭和61年の年金制度大改正の際に65歳以上の在職老齢年金はいったん廃止されています。65歳以上から老齢基礎年金を受給する自営業者と揃えるという考え方だったそうです。平成12年の改正(平成14年施行)により高在老が導入されるまでは65歳未満の(要するに特別支給の)老齢厚生年金のみ在職老齢年金の支給停止がかかっていました。

その間の、平成6年の改正でそれまでの所得の補填である在職老齢年金の考え方に変化がありました。それまでの在職老齢年金は、賃金が増えてもその分在職老齢年金の減額も大きくなるため、「働いても働かなくても手取りはほとんど変わらない」という問題があり、就労促進のために、賃金が増えた場合緩やかに賃金と年金の合計額が増えていく仕組みに変更されたわけです。

ちょうどTACで講師をしてテキストを担当していたころ在職老齢年金の改正はしっかり追っていたのですが、ここまで改正が多かったとは正直ちょっとびっくりしました。

 

昭和61年

65歳以上の本来の老齢厚生年金については在職老齢年金制度は廃止

(60歳代前半の特別支給の老齢厚生年金は在職老齢年金制度の適用あり)

65歳

平成元年

60歳台前半在職老齢年金制度(8割~2割の7段階)に変更

※賃金増でも年金額の合計額が増えず減る場合も

平成6年

60歳代前半について、賃金の増加に応じて賃金と年金額の合計額がなだらかに増加する制度に改正(一律2割は支給停止)

① 在職中は、2割の年金を支給停止。賃金と年金の合計額が22万円に達するまでは、賃金と年金(8割)は併給

② ①を上回る賃金があると賃金の増加2に対し、年金額を1停止

③ 賃金が34万円を超えるとさらに、賃金が増加した分だけ年金を停止

平成12年

上記計算式中34万円→37万円

〈14.4.1実施〉

65歳~70歳未満の在職老齢年金制度「高在老」の導入(復活)

① 基礎年金は支給停止せず、全額支給

② 賃金と厚生年金との合計額が37万円に達するまでは、満額の厚生年金を支給

③ これを上回る場合には、賃金の増加2に対して、年金額1を停止(60歳台前半のような一律2割の年金の支給停止はない)

※60歳~65歳未満は「低在老」と命名

※昭和12.4.2以降生まれ(14.4.1現在65歳未満)対象

70歳

〈16.4.1実施〉

1)低在老 

標準報酬月額の37 万円を総報酬月額相当額の48 万円に

基本月額の22 万円を28 万円に

2)高在老

年金月額と標準報酬月額の合算額の37 万円を年金月額と総報酬月額相当額の合算額の48 万円に引き上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回はここまでにしたいと思います。興味のある方は あまり多くないかと思いますが、もう少し続きがありマイブームですのでまた次回おつきあいください。

久しぶりに小淵沢の家に行きのんびりしてきました。目の前の田んぼは田植えが終わり青々として綺麗でした。小淵沢の家に行くと日常よりは早めに寝てしまうことが多く、今回も10時間近く寝てしまいました(なんといつもの倍近く)。やはり自然に近い生活はそういう意味では人間らしいのかなと感じてしまいます。しかし明日からまた色々と予定があり、それはそれで張り切っています。

 


積立方式と賦課方式

2018-06-10 22:38:53 | 年金

年金の財政運営方式として、「積立方式」と「賦課方式」があります。厚生労働白書にもたびたび登場して、授業でも必ず取り上げて説明していました。

積立方式と賦課方式の説明については厚生労働省で作った以下のサイトがわかりやすいと思います。

http://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/finance/index.html

日本の年金制度が創設時に積立方式を採用した理由は、平成23年の厚生労働白書のコラムに以下のように記述があります。

日本の年金制度の財政運営方式は、現在では修正積立方式を採用しているが、制度創設時は「積立方式」を採用していた。では、なぜ積立方式を採用したのか。『昭和34年度版厚生白書』は次のように説明している。「年金の財政運営方式としては、この(積立方式の)ほかに年年必要な給付額をその年度に徴収する『賦課方式』があるが、これによるときは、国の財政規模という観点からの影響を受けやすいため、将来において年金給付が不安定となるおそれがあり、他方、現在のわが国のように、老齢人口の占める比率が急速に高まりつつある国においは、将来の生産年齢人口の負担が重くなるという不合理も生ずるので、積立方式を採用して制度の安定と確立を期したわけである。」しかしながら、積立方式は、物価や賃金の変動への対応が困難という課題も有している。このため、高齢者の生活を保障できる実質的価値のある年金を支給するという観点から、その時代の生産活動に従事する現役世代が収入を失った高齢世代を支えるという、世代間扶養の考え方を基本に置いた賦課方式の要素の強い財政運営方式に改められた形となって現在に至っている

 これについては、講義で説明するときにいつも結局「積立方式又は修正積立方式」なのか「賦課方式なのか」または「賦課方式の要素の強い財政運営方式」というべきなのか、またいつ積立方式から賦課方式へ変わったのか、といったところで自分でも確信が持てずにいました。

結局結論としては、積立方式から以下にある段階保険料方式を採用した昭和29年の改正から乖離して行き、次第に賦課方式としての要素を強めていったということですね。確かに段階保険料方式は、本来必要とされる平準保険料率を下回る保険料率でスタートして段階的に引き上げていくという方式ですから、下回る保険料率に設定した時点で積立方式から乖離したというのは納得がいくことです。

昭和19年 制度発足当時は「積立方式」を採用

昭和29年の改正 インフレ・負担能力を考慮して平準保険料を下回る保険料の設定を行うという「段階保険料方式」を採用→この時点で純粋な積立方式からは乖離

昭和48年改正 高度成長に伴う中で、物価や賃金の変動への対応が困難という課題に対応するため、物価スライドや賃金再評価に要する原資を後代の保険料で賄うとしたことで「賦課方式」の要素が強まる

平成16年の改正 積立金を給付費の1年分程度にすることとなったため、そうなった場合は「賦課方式」を基本とする(基礎年金の財政方式は、完全賦課方式で運営している)

金曜日には、東京都社労士会の総会があり、新たな新年度がスタートしました。あっという間の一年ではありましたが色々なことがありずいぶん1年前が以前のことのようにも感じます。

今年は昨年とはまた違った環境にいますが、その環境をできるだけ楽しんで、充実させていきたいと考えています。


在職老齢年金の歴史①

2018-06-04 00:25:31 | 年金

月曜日に労働法のゼミで判例研究の発表がありその最後の検討部分に苦心していたので今日はあまり年金レポートの準備に時間が取れなかったのですが、少し在職老齢年金の歴史を取りまとめてみました。

在職老齢年金がいつ制度としてできたのかは知らなかったのですが、昭和40年に創設されていました。導入の背景としては、厚生年金制度の老齢年金は、昭和29年にほぼ現在の姿になって以来、支給開始年齢要件に加え、「退職」を支給要件としており、在職中は年金を支給しないことが原則であった。しかしながら、高齢者は低賃金の場合が多く、賃金だけでは生活が困難であったため、「 昭和40年、65歳以上の在職者にも支給される特別な年金(在職老齢年金)を新たに創設(年金を8割支給する制度)。」ということです。

 

在職老齢年金

被保険者上限年齢

昭和40年

65歳以上の在職者対象にも支給される特別な年金である在職老齢年金を新たに創設(年金を8割支給する制度)

なし

昭和44年

60歳代前半にも拡大(支給割合 8,6,4,2割の4段階)

昭和50年

60歳台前半の在職老齢年金の支給制限緩和(支給割合8,5,2割の3段階)※同じ賃金であれば、原則、支給割合が増加

 

 

 

 

 

 

 

 

昭和61年新法施行までの在職老齢年金は上記の通りであり、当初65歳以上が対象であったものが途中で60歳代前半にも拡大されています。

なぜ在職老齢年金を調べてみようと考えたかというと、年金は「老齢」を保険事故としているのか「退職」を保険事故としているのか?という疑問がわき講師の先生に質問してみたところ「退職」が支給事由であるという回答でした。そうであれば在職している場合は年金は受給しないということが筋であり、在職老齢年金というのはどういう考えで始まったのか知りたいと思ったのがきっかけです。昭和61年新法改正より以前にも存在していたということで新たな発見でした。もう少し突き詰めてみようと思っています。

ハマキョウレックスと長澤運輸事件の最高裁の判決ありましたが、特に長澤運輸事件は若干おどろきました。今回の判決はこれからの様々な特に賃金制度の施策を考えるときの指標になると思います。改正解説の研修などをいくつか受講する予定もあり自分なりに消化してみようと思っています。


受給資格期間10年で特別支給の老齢厚生年金も受給可能に

2017-09-24 23:08:27 | 年金

8月から年金受給に必要とされていた25年の保険料納付期間等が10年に短縮されています。かなりの人が年金事務所の窓口に来られて大変なことになるのではと言われていましたが、それほど大きな混乱はなかったようです。この受給資格期間短縮については、保険料の納付期間等が足りないため年金を受け取ることができない「無年金者」を減らすことを目的に行われたものです。

対象者は保険料納付期間等が10年以上のすでに65歳以上で、今年2月から7月までの間に日本年金機構から「年金請求書(短縮用)」が届いているようです。厚生年金保険の加入期間が1年以上ある場合は、特別支給の老齢厚生年金の受給も可能になるため男性は62歳、女性は60歳以上65歳未満が対象です。

また、保険料納付済期間等が10年以上の者が原則として65歳以上になった場合も対象になりますが、受給年齢になると日本年金機構から「年金請求書」が手元に届く予定になっているそうです。

なお、受給できる額は、40年間保険料納付等することにより受給できる満額の基礎年金が月額約6万5千円であるのに対して、10年間保険料納付済の場合は満額の4分の1の約1万6千円です。

額としては非常に少ないのですが、年金額は以下の方法で増やすことなどが可能です。

①60歳から65歳までの5年間、任意加入をすることで国民年金保険料を納めれば、65歳から受け取る老齢基礎年金の額を増やすことができます。

②資格期間が10年に満たず受給資格がない場合は、最長で70歳まで国民年金に任意加入することで資格期間が増え年金を受け取れるようになる場合もあります。

③過去5年間については後納制度を利用して、時効になった期間についても保険料を納めることができ、年金を受け取れる又は年金額を増やすことができます。この後納制度は平成30年9月までの時限措置ですので注意が必要です。

リーフレット
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/0000151856.pdf

 かなり秋めいた空気となり気持ちが良い週末でした。夏物の服も今週限りかもしれないと衣替えのタイミングを図る感じになってきました。10月の育介法改正対応もさることながら、来春の無期転換に備えての就業規則の改定の作業もいくつかご依頼いただいて、取り組んでみたところだいぶポイントがわかってきました。OURSも最近スタッフが20名となり戦力が充実してきたため、この後の作業は準備してあるモデル規程を元にみんなに分担してもらい、少し楽させてもらう予定です。 


障害基礎年金の子の加算について

2017-08-20 14:04:41 | 年金

いよいよ社会保険労務士の本試験が近づいてきました。今年は少し時間的な余裕があり事務所の7名の受験生と7回勉強会をしてずいぶん私も勉強になりました。その中で質問がありずいぶん長く納得できない問題があったのですが、一昨日TAC時代の講師室仲間に教えてもらって納得しました。平成23年の国民年金法の択一問題なのですが、スタッフが持ってきた問題は少しアレンジてありました。本試験の問題は以下の通りです。

B.障害基礎年金に係る子の加算は、受給権者が当該受給権を取得した時点において、その者によって生計を維持する18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にあるか、20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にある子がなければ、行われない。(H23-5B)

B.×(法33条の2第2項)法改正により、平成23年4月1日から障害基礎年金の受給権を取得した日後に、生計を維持する子を有するに至った場合においても、子の加算が行われることになりました。それまでは、受給権発生時において対象者がいない場合は、その後子が生まれたとしても加算はされませんでした。 

この問題の論点は、障害基礎年金の子の加算は、受給権取得時点で障害状態にあることが要件ではなく、受給権取得後に障害状態になっても加算は行われるということで、平成23年の改正でした。

少し手直ししたスタッフが持ってきた問題は、「障害基礎年金の受給権取得当時19歳の子が障害状態になく、その後20歳に達するまでに障害状態になった場合に、加算が行われる」というもので、18歳年度末以降に障害状態に該当した場合は加算はないのではと考え理解できなかったというわけです。

確かに老齢厚生年金の子の加算については、「加給年金額の対象者でなくなった後に障害の状態になっても、加給年金額の対象者にはならない。したがって、例えば、子が19歳で障害の状態になっても加算の対象とされない」ということになっています。ちなみに厚生年金については、子の障害は「受給権発生の当時から引き続く」ものである必要はないとされています。障害基礎年金は旧法では子の加算は行われておらず平成61年の法改正で加算されるようになったため、厚生年金と受給権取得当時の障害要件が異なっていたようです。

しかし障害者の方を保護する観点から、障害基礎年金の平成23年の改正で、受給権取得当時障害であることという要件が撤廃され、20歳未満であればどの時点で障害状態になっても20歳までは加算されるということになったそうです。

以下が改正時のリーフレットです。

http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tokureiho/20141209.files/nenkin69-11-01.pdf

平成23年4月から「障害年金加算改善法」の施行により障害年金の配偶者や子の加算制度が改正されました。

これまで(平成23年4月前まで)、障害年金を受ける権利が発生した時点で、加算要件を満たす配偶者や子がいる場合に加算がされていました。
障害年金を受ける権利が発生した後に、結婚や子の出生等により加算要件を満たす場合にも、届出により新たに加算されることになりました。

平成21年に講師を引退して、それ以後も法改正はメンテしていたつもりでしたがやはりこういう細かい改正でまた実務ではほとんど接しないものについては、弱いのを実感しました。

夏休みは雨が多くてちょっと残念でしたが涼しいという意味では助かりました。事務所も連続6連休となり2日出勤してまた週末ということでだいぶゆったりとした時間が過ごせました。少し旅行もして楽しい夏休みでした。

今年は、事務所の受験生と一緒に勉強ができたのがとても楽しかったです(もしかしたらスタッフは迷惑だったかもしれません)。ここ数年忙しくてあまり接することがなかった入社してから年数がまだ短いスタッフとの時間は貴重でした。勉強していると思いだすことも多く、なんとなくまた勉強したくなってしまいました。あとは健闘を祈るのみです。


70歳以上の在職老齢年金について

2016-04-10 22:16:51 | 年金

70歳以上で働いている場合の在職老齢年金の支給停止については、意外に知られていないかもしれません。

厚生年金保険の当然被保険者は70歳未満とされ、70歳に到達すると被保険者資格を喪失することになります。それでは70歳以上の場合は厚生年金保険の適用事業所に使用されていても何も影響がないかというとそういうわけではありません。

70歳以上になっても当然被保険者に該当する要件(所定労働時間等がその事業所の同様の業務に従事している一般労働者の概ね3/4以上であること等)を満たす場合「70歳以上被用者」とされ「70歳以上被用者該当届」を届け出ることになります。なぜこの届出を行うかというと、65歳以上の在職老齢年金が引き続き適用されるためです。従って、報酬額によっては70歳以上であっても在職老齢年金として年金が支給停止される場合があるということになります。なお保険料は70歳以上の場合徴収されることはありません。

※70歳以上で在職老齢年金の支給停止になる場合は、あくまでも働いている事業所が厚生年金保険の適用事業所であり、本人も70歳未満であれば当然被保険者に該当する時間数等で働いている場合であり、たとえば個人経営の事業主として働いている場合については在職老齢年金の支給停止になることはありません。

70歳以上で当然被保険者と同様の勤務時間で働いている場合というのは一般のサラリーマンであると少ないかもしれませんが、自分で会社をやっている社長などは70歳以上の方も多く、また報酬も高いため70歳以上であっても老齢基礎年金しか受給していないというケースは結構あるものです。

そもそも平成12年の改正までは、65歳以上は年金を全額支給することになっていました。しかし平成12年の改正により60歳代後半(65歳以上69歳)は、在職老齢年金の支給停止の仕組みを導入することになりました。この60歳代後半の在職老齢年金の支給停止の仕組み(高在老)は、60歳代前半の特別支給の老齢厚生年金の支給停止の仕組み(低在老)より緩やかなものです。また支給停止は2階部分の老齢厚生年金に対してのみ行われ、1階部分の老齢基礎年金は全額支給されることになっています。

この平成12年の改正による60歳代後半の在職老齢年金の支給停止は平成14年に施行されるのですが、平成16年にはさらに上記に書いた70歳以上に対しても同様に在職老齢年金の支給停止の仕組みを導入する改正がありました。

しかし平成16年の改正が決まったとき、施行日である平成19年4月1日において70歳以上である昭和12年4月1日以前に生まれた人については在職老齢年金の支給停止は行わないとされました。すでに年金を満額受給している70歳以上の年金に対しての既得権を守った形になりました。

ただ平成27年10月1日からは、この昭和12年4月1日以前の老齢厚生年金についても在職老齢年金の支給停止が適用されることになりました。これは被用者年金一元化法によるもので、共済年金には昭和12年4月1日以前生まれの特例はなかったことが原因です。

昭和12年4月1日以前生まれの人についての支給停止については60歳代後半の在職老齢年金の仕組みが適用されますが、平成27年9月30日以前より引き続き勤務している場合は激変緩和措置が適用され、報酬と年金の合計の10%が支給停止の上限になっています。

https://www.nenkin.go.jp/jigyonushi/index.files/1120.pdf#search='78%E6%AD%B3%E3%80%81%E6%98%AD%E5%92%8C12%E5%B9%B4%E4%BB%A5%E5%89%8D%E7%94%9F%E3%81%BE%E3%82%8C

北島康介選手が引退することになりましたね。今回も何とかリオに行って欲しいと思っていましたので残念な気持ちでいっぱいですが、やはりいつかはそういう時が来るということで仕方がないのだろうとも思います。

またオリンピックに挑戦すると聞いた時に、みじめなことにはなって欲しくないという思いと、北島ならやってくれるんではないかという思いがありました。柔道の野村忠弘選手が引退することになった全日本を観戦して負けたところを見ていた北島選手が、自分のことと重ね合わせているのだろうなというのはその表情からよくわかりました。そのあとの挑戦についてはここのところよく報道されていた通りです。

これまでの軌跡の中では特に北京の100メートルが一番会心の泳ぎだったようですが、私の中でも同様でした。ミスチルの「GIFT」とともにどれだけ励まされたかわかりません。何度も感動させてもらいましたが、今回も最後の最後まで挑戦し続けることで「やり切った」といえるところまで私も頑張ってみようと励まされました。