OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

OURSセミナー7回目終了

2011-07-31 21:51:15 | 雑感

 29日(金)に無事7回目のOURSセミナーが終了しました。

今回は目立った改正がほとんどなく、前半は震災関係のQandAのおさらいが中心となりました。労働基準法関係では節電の際の始業時刻の変更、今回の震災における天災地変に際しての労災保険の業務上外の認定など、おおむね原則論から具体的な質問に答えるというQandAですので目新しいことはあまりないのですが、労災の「天災地変における業務上外の認定」の歴史についてはテキストで研究がされており、予習していて面白いなあと思いました。

後半は雇用保険料率の改正や助成金の再編、保険者算定の追加、年金額の改定と細かい改正や定番の改正を押さえて無事終了しました。今回は珍しく事前に考えていたタイムスケジュールよりやや前倒しに講義が進んでいき、すっきり終わることができました。それだけ深堀するほどのテーマがなかったのだろうとも思いますが、原則論を復習する良い機会になりました。

また、昨年の1月のOURSセミナーのスタート時から企画・運営をしてくれた島田さんが自分の本当にやりたいことに集中するため今回限りで担当を外れることになりましたが、ここまでセンスの良いリーフレットを作成してくれたり、スケジュール管理をして運営が無事に運ぶことができたのは彼女のお蔭と感謝しております。

6月、7月は社労士会関係の外出が多く、忙しく過ごしました。渋谷支部の事業もかなりの部分がスタートして、その中でも月曜日に開催した業務情報交換会は非常に盛況で、これまで支部行事にはあまり参加していなかった会員も参加していただいたようでした。食事の前に書籍等多数執筆をされているメンタルヘルスの涌井先生と支部役員の佐藤広一先生の講義があり、それぞれ惹きつけられるお話でした。

社労士業務は専門の分野が広く、社労士だからといって労基法から年金まで、労働・社会保険の手続きから人事制度まですべてをスラスラこなすということは少ないと思います。したがって社労士同士で仕事を紹介し合うような機会はかなりあり、又お互いに業務で得た情報を共有するの仕事の上でも役に立つと考えていますので、活発に名刺交換をして人間関係を作っておくことは大事なこと。これからもそういう場を支部役員会で提供できるように努力していこうと思います。まだまだ支部の事業については手探りの部分があり暗中模索といった感じですが、まずはご参加いただいた支部会員に感謝いたします。

いよいよまた本試験の行われる8月が巡ってきました。講師を辞めてマル2年が経ち、社労士試験に対する感覚がほとんど失われてしまったような気がしていますが、時々数名教えていた受講生のことを「ちゃんとやっているのかな」と思うことがあります。先日も10周年の記念事業に参加して「佐々先生の講演を聞きたかったな~」というメールが来たときは「参加していいよ」と返事しようかと迷ったのですが、心を鬼にして冬の勉強会で待っているからと返事をしました。あと約1か月何とか頑張って合格を手にしてもらいたいものです。

 


今後の研究テーマ 育児休業

2011-07-24 22:54:31 | 産前産後・育児・介護休業

ここ数日涼しい日が続いて気持ちがよいですね。社労士事務所は6月・7月は毎年忙しいのですが、今年はそれに顧問先企業の合併やコンサルのみだったものが手続きまで受託したことで事務所は毎晩遅くまでスタッフが仕事をする状態となりました。今週あたりから少し落ち着くかなと期待している状態です。そんな状態でスタッフが忙しければ私もやはり忙しく、手が付けられなかった7月29日開催のOURSセミナーのパワーポイント作りを今日は朝からやっていました。

いつもこの頃になると今年の秋以降何をテーマにしようかなと考え始めます。秋になると少し時間が取れるようになるのですが、テーマを決めて8月の夏休みあたり顧問先企業も夏休みという時期から手を付けておくのが進め方のコツという気がします。昨年は労務監査チェックシートの完成、一昨年はOURSモデル就業規則の完成でした。

今年のテーマは育児休業にしようと思っています。これはできれば社労士を今後続けていく中で意識的に勉強を蓄積していきたいと考え始めています。というのも育児休業というのは、まず妊娠中の労基法などの保護規定などへの対応、出産前後の健康保険の出産手当金などの手続き、産後休業終了後育児休業に入る時の雇用保険の給付金の手続き、育児介護休業法の育児休業の原則と特例の期間の管理、3歳未満の子がいる場合所定外労働免除と小学校入学までの時間外労働の免除との関係等、子供をおなかに宿してから小学校に入学するまでの間の長い期間人事担当者としては追って管理しなければならないとやることが盛り沢山なのです。これをテーマにしていつも意識していれば、色々なことを蓄積できそうな気がしました。また大好きな労働法の一つであり、しかも社労士として行う手続きが多いため弁護士さんと棲み分けが可能であり、このテーマはライフワークになるかもしれないとちょっと一人でワクワクしています。

一昨年、労務行政のK氏のお勧めで2010年6月30日施行に向けた書籍「改正育児・介護休業法の基本と実務早わかり」を島中先生と共著で執筆させていただきました。またその後「育児休業」をテーマに労政時報セミナーを始めとしていろいろなところで改正を中心に講師をさせて頂きました。ただそのときは改正のあった法律の一つということでとらえているだけだったのですが、長年「新標準テキスト」の内校であの読み替え規定の多い条文と格闘してきたこともあるのだし、今回の改正も書籍を執筆させて頂けたのだし、もう少し本腰を入れて手続きなどもスタッフから育休のみ奪い取り、研究してみるのは良いのではないかと思ったのです。K氏の構想で「改正育児・介護休業法の基本と実務早わかり」は改正法を前半に、後半は出産から小学校までのタイムスケジュールに基づいて書いたのですが、すでに2回増刷させてもらっています。やはり手続きの期間の長さと複雑さで人事担当者が悩むことが多いテーマなのかもしれません。

育児休業は平成4年4月1日に施行された法律です。当初は30人以下の事業所は対象ではなく、平成7年4月1日から適用になりました。その後大きな改正は3回です。平成14年の子の看護休暇や時間外労働の制限などの改正、平成17年の認可保育園に入所できない場合の1歳6か月までの期間の延長や期間雇用者への適用拡大、そして平成22年のパパ・ママ育休プラスや所定外労働の免除と短時間勤務制度の義務化です。さらに平成6年に雇用保険法の育児休業給付金の創設がありました。平成5年に開業した私にとっては3回の改正は、その都度スタッフとともに顧問先企業向けに作ったレジュメなど思い出深い面もあり、変遷を頭に置きながら法趣旨やその時代の要請などを考えるのは楽しいことです。少し年内に形になるように考えていこうと思います。

先日、労働保険の年度更新の時に、まだ開業してからそれほど時間がたっていないであろう若い女性の社労士と一緒になりました。「忙しくて仕方がないと言えるようになりたのですが、長くやることだと他の先生からアドバイスされました。本当ですか?」と聞かれたのです。まさにその通りと思います。時間がたてば経つほど人間関係も広がり、知識も経験となり、思いがけないほど広がりを見せるものだと思います。計算ではなく、またすぐに効果が出ることを期待しすぎずというところが私のアドバイスです。その女性社労士の気持ちはよくわかりますし、そういう質問をこちらに投げかけてくることに意欲を感じました。前向きに頑張ってもらいたいなあと思いました。 


2以上の事業所に使用される場合(Q&A 7.18追記)

2011-07-18 16:22:49 | 社会保険

 昨日のテーマである2以上の事業所に使用される場合について、少し追記したいと思います。

細かい話ですが従来の2以上勤務の取り扱いは、それぞれの会社の報酬月額を合算して1つの報酬月額を出してから標準報酬月額を決定する(届出時点での書式もそのような書き方です)、というものでした。等級表にあてはめるのは報酬(月額)を合算したあとだと考えていました。

しかし2以上の事業所に勤務する場合の随時改定のポイントは、「各事業所について随時改定の要件に該当するかどうか判断する」ということです。2等級の差を見るのであれば等級表にあてはめざるを得ず、報酬月額と標準報酬月額が混同されているように感じましたので厚生労働省に確認してみたところ、昨日も書きましたがこれまで各都道府県でバラバラの対応であったものを今回統一することになったとのこと。それぞれの事業所で固定的賃金の変動時に報酬月額を等級表にあてはめるというのは違和感があり「ねじれ」のような感じになるが、虚心に条文を読んでみるとそれぞれの報酬月額を等級表にあてはめ2等級の差を見るのもおかしくはないと考えましたとの回答でした。

報酬月額とは定時決定等の処理を経たものを等級表の報酬月額の欄のランクにあてはめたもの(等級の決定はまだ)と考えれば確かにそうかもしれません。(しかしそうすると従来の通達である報酬月額を合算して1つの報酬月額を出すという2以上勤務の処理が意味不明なのです。元々条文から見ると通達がおかしいような気がしていましたのでなんとなく整合性がとれないでいます。ややマニアックになりました。)

実務上の扱いであると、それぞれの会社で例えば報酬月額を年金事務所に届け出ておき、それを合算して最終的に標準報酬月額を決定するのは年金事務所のようです。その結果昨日のブログに書いた「旧社会保険庁の平成21年度の事務処理誤り等の一覧等の結果」によると片方の会社の喪失があったにもかかわらずもう一つの会社ではまだ2以上勤務として扱われており、その連携が悪くミスがたびたび起こっていたようです。それを考えると随時改定はそれぞれの事業所で要件を見るとしておくのが一番ミスが起こらない方法であるとは思います。なんだか報酬と報酬月額と標準報酬月額の定義があいまいになるようでちょっと怖いのですが、法律条文というのはあいまいな部分がどうしてもありますね。

2以上勤務者の標準報酬月額の取り扱いについてQ&Aが出ていますので載せておきます。

https://www.shakaihokenroumushi.jp/social/user/tsutatsu/pdf/S_20110713.pdf

なでしこJAPANやりましたね。感動しました。沢選手はいわゆる「持っている」選手だと思いました。ところで本文にある報酬と報酬月額と標準報酬月額ですが、「報酬は素材、報酬月額が素材を切ったりすること、標準報酬月額は切った素材を調理して料理を完成すること」とよく講義で話していました。だいたいそういう風に考えるとうまく理解できるようです。


2以上の事業所に使用される場合

2011-07-18 00:01:42 | 社会保険

2つ以上の会社に勤務することというのはたまにはあることです。

実務の事例としては、会社の命により2つの会社の取締役を兼任するとき、出向元と出向先両方から賃金が支払われるとき、また会社を辞めようとするときにまだ有給を消化中に次の職場で働きだしてしまうケース等があります。

この場合雇用保険法は明快で「生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける一の雇用関係」のみにおいて被保険者となると行政手引にあり、また運用も喪失がないと次の取得ができないなど1つの会社の雇用関係でしか取得ができないようになっています。

それに対して社会保険(健康保険・厚生年金)については、もう20年前近くになるのですが、新米社労士だった私はテキストを読んで2以上の事業所勤務届をはりきって届出しようと社会保険事務所に出向き「届出書をもらいたい」と言ったのです。そうしたところ受付にいた方はやおら一番奥のキャビネットを2人がかりでバタバタと探し始め待つこと15分くらい経過後、「どうも用紙がないのですが、出さなくてよいですよ!」…「そんなものか」と思ったものでした。(当時は行政が出さなくてもよいと言えば出さなくてもよいのだろう程度にしか私も物を考えていませんでした。)。

この同一管内の2以上の企業で働くときに届出る「2以上事業所勤務届(厚年則2条)」又は異なる管轄の年金事務所の企業に同時に使用されるとき届出る「所属選択届(厚年則1条)」は、社会保険労務士試験にはかなりよく出題されるものであり、講義の際に説明するには細かいところまでの仕組みを理解しなければ板書できませんでしたので、実務の取り扱いはちょっとびっくりという感じでした。印象深かったので未だにその光景が目に浮かぶほどです

しかし最近(特に社会保険庁から日本年金機構に変わってから)2以上の事業所は運用をきちんと行いたいという方向になってきたようです。簡単に原則的な事項をまとめておくと、厚生年金保険法の方法としては以下のようになります。

①まず管轄の年金事務所が異なる場合どちらかの年金事務所を選択する

②それぞれの事業所で受けた報酬月額を合算して報酬月額とし、標準報酬月額にあてはめる

③②の標準報酬月額で保険料を算定し、その保険料をそれぞれの報酬月額に応じて案分となる

④選択した方の年金事務所にそれぞれの事業主が事業主負担分と本人分と合わせ納める、ということになります。

7月1日に日本年金機構からの指示・依頼によると、2以上の事業所に勤務する場合の随時改定のポイントは、「各事業所について随時改定の要件に該当するかどうか判断する」ということで、

①固定的賃金の変動のあった片方の事業所の報酬月額がこれまでと比べて2等級以上の差があれば随時改定となる。

②また、どちらの事業所も固定的賃金の変動があるがそれぞれ1等級の変動であるのに合計では2等級以上の差が出るという場合は随時改定に該当しない(あくまで各事業所で2等級以上かどうかを見る)ということです。

これはこれまで取り扱いが各都道府県でバラバラであり、また事業所を退職していたにもかかわらず引き続き2以上事業所勤務として扱ってミスになったなどを調べた結果(旧社会保険庁の平成21年度の事務処理誤り等の一覧等の結果)により「業務改善工程表」を作り統一の扱いをするようになったようです。やはり日本年金機構に組織が変わってから大分業務がきちんと行おうとしてはいるですね。

確かに2以上勤務届を出さず片方の会社だけの報酬で標準報酬月額を算定すると、その時の保険料は安くてお得な感じがするのでしょうけれど、将来の年金額がその分少なくなるので、きちんと2つ以上の勤務があるときは合算した標準報酬月額にしなければいけないのです。考えてみるとこれは出向など会社の命による場合などは特にゆゆしき問題と言えます。20年前はそこまで頭が回りませんでした~。それにしても年金制度に事務処理がまだまだ追いついていないような感じがします。これから2以上の勤務届についてはいろいろとご質問や問題点が出てきそうな気がします。(上記通知は詳しいものが出ましたらブログにアップするか人研のhpで確認できるようにします) 


住宅手当についての考察

2011-07-10 22:07:14 | 労働保険

 住宅手当というのはなかなか奥の深い手当だと思います。ちょうど春から顧問先企業の賃金制度の見直しをしている中で先日の打ち合わせで取り上げられたのですが、住宅手当というのはなかなかいろいろな意味で面白い手当です。

そもそも一定の住宅手当は、労働基準法で割増賃金の算定基礎に含めなくてもよいものと規定されています。「一定の」と書いたのは、住宅手当と名がつけばすべて割増賃金の算定基礎から除外できるかというとそういうことはないからです。割増賃金の算定基礎から除外される住宅手当とは、「住宅に要する費用に応じて算定される手当をいう」とされており、具体的にいうと住宅に要する費用に定率を乗じる額としたり、住宅に要する費用を段階的に区分して費用が増えるに従い額を多くして支給するもの、とされています(平成11.3.31基発170号)。算定基礎から除外できない例としては、全員一律に定額で支給することとされているものや、住宅以外の要素に応じて支給されるもの(たとえば扶養家族がいれば2万円、いなければ1万円など)、住宅の形態ごとに一律に定額(賃貸であれば2万円、持ち家であれば1万円)で支給することとされているものとされています(同上)。

しかし色々な企業から賃金規程の改定の仕事や、就業規則のチェックの仕事をいただいて見ると、割増賃金から除外できないとされている「賃貸なら2万円・持家なら1万円」という定め方はとても多く、むしろ借りている家賃に応じて定率を支給するという住宅手当はほとんど見たことがないという気がします。

それなら違法かというと、そうとも言えないのです。というのも住宅手当は、平成11年10月1日から割増賃金の算定基礎に算入しなくてよい賃金として追加されたものなのです(労働基準法施行規則第21条)。 そこでそもそも割増賃金の算定基礎に含めていたものを今さら除外はできないということで今も算定基礎に含めているケースもママあります。また、それまでは、割増賃金の算定基礎に含めなければならない賃金とされていたので、支給基準の定め方も算定基礎から除外することを意識したものではなかったわけです。従って、通達から見ると除外できないケースの基準のものも結構あったわけで、除外できなかったということもあります。にもかかわらず除外しているとするとこれは修正していかねばなりません。

 ということで算定基礎から除外しているケースといないケースが混在している住宅手当の支給額の決定要素としては、2011.2に労務行政さんの労政時報に調査報告がありますが、①世帯構成(世帯主・扶養家族の有無など)65.8%、②住宅形態(借家・自家・親元など)25.4%、③地域・都市46.5%、④役職・資格13.5%、⑤その他(家賃の金額・年齢など)9.6%、⑥一律同額13.2%と圧倒的に「世帯構成による」です。確かに世帯構成により人数が多くなれば広い家が必要=家賃がかかる、ということで理屈は通りそうですが、やはりこの場合は割増賃金の算定基礎から除くわけにはいきません(…やはり家賃の金額によるは少ないです)。

さらに、夫が世帯主であったのに、夫の会社には住宅手当等がなく、妻の勤める会社は世帯主であると住宅手当が出るということで妻を世帯主に変更したり(これはまあ仕方ないとしても)、親元に住んでいるのに親から子に世帯主を変更したりと、怪しい行動といっていい状態も起こります。そういうことを考えるとやはり住宅手当はそろそろ廃止でもよいのかなあという気がしてきます。

先日メンタルヘルスのセミナーで、「うつ」は女性の方が倍くらい多いのに、「うつによる自殺者」は男性の方が多いということを聞きました。医者である講師の先生によると、女性は「しゃべる」ことにより発散できるが男性は「男は黙ってサッポロビール(…この先生同世代か?)」となかなか自分の気持ちを話すことができないからだそうです。ということは女性の場合聞いてあげることでかなり解決する部分があるということ。私にとっては、話を聞いていながら手を打たないというのは結構難しい~と思います。しかし確かにそうだなあという気もします。「聞き流しの技術」磨いてみたいと思います。


夏の節電対策による休日の増加

2011-07-04 01:04:12 | 労務管理

いよいよの暑さですね。

今年の夏は節電ということで事務所でもなるべくクーラーをつけずに過ごしていますが、だいたい11時くらいになると耐えられなくなり挫折してスイッチオン。この状態で8月が乗り切れるのか非常に心配になります。その上、7月10日を目前に控え、労働保険の年度更新と健康保険・厚生年金の算定基礎届の作成に、事務所としてはみんな最後の追い込み状態です。社労士事務所としては一番忙しい時期なので仕方がないというより有難いことなのですが、ここを乗り切ったら今年は節電のこともあり事務所の夏休みは長めにとろうと思っております。目安としては8月13日(土)から17日(水)までを原則として事務所全体の夏休みとして、それ以外に2日(要するに合計平日5日)自由にとれることにしました。何しろoursのスタッフは事務所にいるのが好きなのか、仕事熱心なのか、夕方になってきた仕事を片づけないと1日が終わらないという潔癖なたち?なのかわかりませんが終業時刻になっても「今やたけなわ」といった感じで仕事をしていることが多いのです。節電だけでなく、ワークライフバランスという面では、いっそのこと休みにしてしまう方がよいという考えに私としてはなるわけです。

顧問先各社からのご質問も、夏の休日のことについてかなり増えています。今年の夏だけ休日数を増やすことは可能か等です。先日、日経新聞に載っていましたが、始業及び終業時刻を早めて早く家に帰って個別にクーラーを使う方が、会社でみんなでクーラーを使うより電力を使ってしまうことになるということでした。ということはやはり自動車メーカーなどで行われているように、土日を労働日として平日を休日に振替えるという方法か、7・8月の夏場の休日を増やし、10月以降の労働日に振替えるという方法が節電には効果的なようです。また以前のブログにも書きましたが、特に始業時刻の変更は社員にとって厳しい場合もあるため、節電対策としては総合的に見て休日の調整に軍配が上がりそうに思います。

何か留意することはありますかというご質問が多いのですが、以下のことが考えられます。

1)7・8月の夏場の休日を増やし、10月以降の労働日に振り替えるという方法については、10月以降の労働時間の増加が見込まれるケースがあります。今回の大震災の関連での36協定の特例等はないということですので、大震災以降4月、5月の労働時間が長かった場合など36協定の特別条項について定めた回数上限(年の半分まで)を超えないか、1カ月の労働時間の上限を超えていないかというところ注意していく必要があります。

2)7・8月の休日を増やして、特に10月以降の労働日に振替えることはしない(単に年間の休日数が増加した)という場合には、年間所定労働日数が減少するため、時間外労働の時間単価が増額となることがあります。

3)手続きとしては、休日の振替の場合は就業規則に「業務の必要上休日を労働日と振替える場合がある」などの規定があれば、休日の増加同様労使と協議する又は意見を聞く機会を設ける等の不利益にならないための配慮は必要かと思いますが、特に労使協定等の手続きの必要はありません。就業規則の休日の条文に、「その他会社が定める日」と規定されている場合も同様です。年次有給休暇の計画的付与をすることにより夏の休日を集中してとることになったという場合は労使協定の締結(届け出は不要)が必要です。