36協定を4月1日に更新する企業は多いため念のためチェックをと依頼されることが多い時期です。それほど多いケースではないのですが、時々見かける誤った決め方がありますので、その根拠もここで明確にしておきたいと思います。
協定に定める場合は、1日についての延長することができる時間及び1日を超える一定の期間についての延長することができる時間について協定しなければなりません。
この中で、一定期間とは「1日を超え3箇月以内の期間及び1年間」をいい、例えば「1日と1箇月と1年」又は「1日と3箇月と1年」の延長時間を定めることになります。この場合延長時間の上限が定められており、原則として1箇月の場合は45時間、3箇月の場合は120時間になります。
ほとんどの企業は1箇月の上限時間を定めていることが多いのですが、3箇月の上限時間を定めている企業もたまに見かけます。これは3箇月の上限時間を120時間と決めて、とても忙しい月には80時間の時間外を行ったとしても翌月と翌々月が各20時間であれば、3箇月で120時間以内に収まることになり、法定された上限時間を超えていないため、特別条項は適用する必要もないということになります。
誤りやすいのは、3箇月の上限時間を定めた場合です。一定期間を3箇月で定めた場合に、特別延長時間は例えば1箇月70時間と定めるのは認められません。一定期間を3箇月で定めた場合に、特別条項における特別延長時間も3箇月(例えば3箇月210時間など)で定めなければなりません。
以下の通達の抜粋が根拠です。(平成11年1月29日基発45号、平成15年10月22日基発1022003号)
ハ 一定期間についての延長時間は限度時間以内の時間とすることが原則であるが、弾力措置として、限度時間以内の時間を一定期間についての延長時間の原則(以下「原則となる延長時間」という。)として定めた上で、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情が生じたときに限り、一定期間として協定されている期間ごとに、労使当事者間において定める手続を経て、限度時間を超える一定の時間(以下「特別延長時間」という。)まで労働時間を延長することができる旨を協定すれば(この場合における協定を「特別条項付き協定」という。以下同じ。)、当該一定期間についての延長時間は限度時間を超える時間とすることができることとしたものであること。
なお、留意すべきは、一定期間の上限時間は1箇月の場合45時間ですが、3箇月の場合は120時間とされているため、若干3箇月で定める場合の方が少ない時間数となります。
法改正間近ではありますが、現状特別条項が1年の半分までとされているにもかかわらず、半分に収めるのがかなり難しいという状況で、業務の繁閑がかなりあるというようなことであれば、一定期間についての上限時間とそれをさらに延長できる特別条項を定めるにあたって、一定期間についてよく検討してみるのも一つの方法ではあると思います。
4月から大学院で勉強することになり、昨日履修説明会に行きいよいよ始まることになりました。社会人入学でもちろん働きながらの勉強にはなるのですが、事務所のスタッフの戦力も充実したので、少し時間をもらって社労士としてさらに違う視点から学ぶ意義もあるのではないかと考えました。昼の授業もいくつか取ってあまり無理せず、体調管理をしてテーマを絞り研究していきたいと思います。
ベランダの花も春が来て花盛りになりました