昨日はTAC合格者のOB会であるBBクラブの勉強会の日でした。いつもと変わらず150人弱が集まり、渋谷支部の成田先生のあっせん委員から見たあっせんの話や、法改正、中野さんの純白の開業体験談ととても充実した内容で、その後の懇親会も和気あいあいとした中で終わりいい一日だったと思います。
今回の法改正講義は私が担当したのですが、やはり若干時間切れで、本当は話したかった年金の時効のことを話しそびれました。年金を受ける権利の時効については、時効特例法が施行された平成19年7月6日以前に受給権が発生したものと、後に発生したものと若干異なっています。
なお、「時効の援用」とは
時効とは、時効期間が過ぎれば自然に成立するものではなく、時効が完成するには時効によって利益を受ける者が、時効が成立したことを主張する必要があります。この時効が成立したことを主張することを「時効の援用」といいます。以下の時効の援用をするは「国」ということになります。
<基本権>
年金を受ける権利(基本権)は、権利が発生してから5年を経過したときは、時効によって消滅します(国民年金法第102条第1項・厚生年金保険法第92条第1項)。
ただし、やむを得ない事情により、時効完成前に請求をすることができなかった場合は、その理由を書面で申し立てることにより、基本権を時効消滅させない取扱いを行っています。(平成19年7月7日以降に受給権が発生した年金について、時効を援用しない場合は、申立書の提出は不要です。)
<支分権>
○平成19年7月6日以前に受給権が発生した年金
平成19年7月6日以前に受給権が発生した年金の支給を受ける権利(支分権)は、会計法の規定により、5年を経過したときは時効によって消滅します。ただし、年金記録の訂正がなされた上で裁定(裁定の訂正を含みます。)が行われた場合は、支分権が時効消滅している場合であっても、全額が支給されます。(年金時効特例法による取扱い)
○平成19年7月7日以降に受給権が発生した年金
年金時効特例法の制定に伴う厚生年金保険法及び国民年金法の一部改正により、平成19年7月7日以降に受給権が発生した年金の支分権は、5年を経過しても自動的に消滅せず、国が個別に時効を援用することによって、時効消滅することとなりました。
5年以上前の給付を受ける権利について、次の(1)又は(2)に該当する場合には、国は時効を援用しないこととします。
(1)年金記録の訂正がなされた上で裁定(裁定の訂正を含みます。)が行われたもの
(2)時効援用しない事務処理誤りと認定されたもの
…年金を受ける権利としての基本権は本来5年で時効消滅であるところ、(これは年金問題の以前から)時効の援用をしないという扱いにして、裁定請求が受給権発生時から5年経過後であったとしても年金の受給権を発生させるという扱いをしてきたものです。しかし毎月の支払われる権利である支分権は、会計法の規定により援用不要で5年で時効消滅することになっていました。従って年金問題以前は裁定請求が遅れた場合であっても基本権は発生させるが、支分権の時効消滅した年金を遡り受給することはできないとされていました。しかし年金問題が起こり、支分権についても援用が必要とされ、記録訂正が必要な場合や旧社会保険庁の事務処理の誤りにより年金額を遡り修正する必要があるというような場合など必要に応じて援用をしない扱いをして年金の確保を図ったということになります。
ちょっとややこしい話ではあるのですが、第三者委員会で3年ほど委員として務めさせて頂いた私としては日本年金機構のHPに載っていた上記の記載により頭が整理されました。年金問題は平成19年に起こったということになりますが、随分あれから時間が経ったなという気がします。
年に2回のBBクラブの勉強会ですが、受講生の顔を見るとちっとも変っていないことに驚いてしまいます(年をとったのは自分だけのような気がして)。合格してからもずぅっとこの勉強会に参加してくれて、しかもほとんど言葉も交わさず帰ってしまう方もいるのですが、きっと年に2回この会に参加することで、勉強したことの確保を図るということだけではなく、その時の気持ちを忘れないために等それぞれの方にとって何らかの思いがあるということで必ず来てくれているのかなと思っています。それぞれに何かの役割をしっかり果たしているのであろうこの勉強会はどんなことがあっても頑張って続けていきたいと考えています。折しも勉強会の帰りにメールを確認していたところ、もう8年近く連絡をくれなかった受講生OBからのメールが来ていました。またいつでも戻って参加することができるという会でありたいと思っています。