OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

働き方改革のヒント①生産性向上

2018-08-05 21:30:15 | 法改正

育児介護休業法の書籍を事務所のスタッフと出すことができることになり、ここ数日はその仕事にかかり切っています。その次に控えているのが9月のOURSセミナーを皮切りにたぶん何度かセミナーでお話しすることになるであろう『労基法改正と働き方改革』かなと考えてその準備をお盆明けに行おうと思っています。思いついた時にこちらもシリーズでブログで取り上げていこうと思います。

本当は労基法改正の政省令が出てくれるとより細かな点がわかるので実務対応も考えられるのですが、どうも夏に出てくる感じがしないため、色々とアンテナを張って資料集めをする必要がありそうです。お盆は旅行に行く予定なのでその空き時間に「働き方改革」の本を色々読んでみようと4冊購入してみました。

連合会の働き方改革実務会議の委員になったこともあり、最近「働き方改革」のことを考えていることが多いのですが、気になるのが求められている「生産性の向上」のことです。

生産性の向上については、無駄に手をかけないなどが大事といわれることが多いのですが、細部までの丁寧さは日本人の良さではなかったのか?という疑問が付いて回るのです。

日本人の丁寧さを残しつつ生産性を上げるにはどうしたらよいかという答えの一つはアウトソースの活用ではないかと考えます。「餅は餅屋」だと思うのです。日本の社会は色々な意味で成熟したので全ての点で複雑になっています。仕事も昔より複雑になってきており時間がかかるような気がします。

日本のきめ細かな仕事を維持するためにはどうしても生産性が悪くなってしまっているのではないかと考えるのです。それはそんなに恥じるべきことではないのではないかということがいつも頭にあります。その解決策はアウトソーシングではないかということなのです。

総合的な判断ができる人は確かに必要なのですが、日本人の中でその適正を持った人の割合はそれほど多くないような気がします。むしろ専門職に向いている人が多いのではないかと思われます。企業は本業に注力するため業種を特化した分社化をして、専門性が高いものについては下請けに出したりアウトソーシングをする時代です。これをもっと進めることが肝要ではないかということです。もっと細かく専門家にアウトソースしていくことで生産性はぐっと上がってくるのではないかという気がします。

事務所の中もある程度スタッフに専門性を持ってもらおうと考えて仕事を担当してもらっています。そうすると調べることの範囲が限られその代わり深く勉強して考えられるのではないかと思うのです。ただあまり分業化してしまったり専門性に特化することで仕事が面白くなくなってしまうのは避けたいところです。その点が難しいところではあります。

いよいよ今週末からお盆休みに入ります。本試験を控えている場合大事な時期になってきます。最後の2週間と1週間はとにかく焦らず一つでも知識が定着するために繰り返す大事な時期です。受験する皆さんは頑張って欲しいと思います。

私はというと夏休みに読もうと思っていた大学院用の書籍が10冊くらいあるのですが、今のところ仕事に追われて手がついていません。でもこれも焦らずお盆明け「働き方改革のレジュメ」ができたら、9月下旬までの時間を利用してコツコツ取り組んでいこうと思っています。

来週は旅行に行きますのでブログはお休みします。皆様の夏休みが充実したものになりますように。


在職老齢年金の歴史⑤

2018-07-29 23:01:45 | 年金

今回で在職老齢年金について取り上げるのは最終回です。在職老齢年金については、平成29年5月10日、自民党一億総活躍推進本部が発表した「一億総活躍社会の構築に向けた提言」の中で、「廃止を含めた見直し」の検討が提言されています。「就労を阻害する」という影響を持つ点で、今後一億総活躍の場面では在職老齢年金制度は廃止する必要があるということなのです。それではこれまで在職老齢年金はどのような役割を果たしてきたのか、今後の方向性については、という2点を考えてみたいと思います。

60歳代前半を対象とする在職老齢年金の役割については、昭和40年の導入当初は「低賃金に対する所得補償」でした。平成6年の改正により就労促進を図る仕組みに改正した後も、「低在老」は定年後の60代前半の所得を補填する役割を果たしています。

それに対して、昭和61年の改正で一回廃止された後平成12年の改正において復活した「高在老」についてはその目的は「低在老」とは異なったもので、年金受給世代の高所得者の年金額を一定額または全額停止すると現役世代とのバランスを保つための調整機能を果たすというのが主な目的でした。

老齢厚生年金の支給開始年齢の65歳引上げが完了する2025年(女性は2030年)には「低在老」の対象者がいなくなるため、今後課題となってくるのは65歳以降の在職老齢年金である「高在老」ということになります。それでは高在老で高所得者の年金を支給停止にすることによりどの程度年金総額が削減されているのかという点を調べてみました。

平成30年4月4日に行われた、第1回社会保障審議会年金部会の参考資料(資料2-1)の中の「今後の検討課題―在職老齢年金について」に、低在老の対象者が約98万人・支給停止額が約7千憶円、高在老の対象者が約28万人・支給停止額が約3千憶円という数字が出ています。

公的年金受給者の年金総額は、平成28 年度末現在で54 兆8千億円と約32兆1千憶円とされていますので、比べてみると支給停止額はほんのわずかといえ、支給停止の効果は薄いといえます。また、70歳以上については被保険者の資格喪失をするため保険料を納付する必要はないのですが、現役世代並みに就労している場合「70歳以上被用者届」を出して在職老齢年金の支給停止の仕組みは残ることとなっており、違和感のある制度となっています。

平成29年版高齢社会白書(内閣府)に高齢者の就業状況が載っており、現在仕事をしている高齢者の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答。70歳くらいまでもしくはそれ以上との回答と合計すれば、約8割が高齢期にも高い就業意欲を持っている様子がうかがえる。

であるとすれば、「老齢」を支給事由とする例外的措置である在職老齢年金については廃止し、「退職を前提とせず」「老齢を支給事由として」在職中であっても老齢に該当すれば支給することとするのは、高齢者の就労のためにも必要なのかもしれないと考えます。

一昨日春学期が終わり、3つのレポートも無事提出することができました。レポートの1つの締切りが、連合会の韓国出張中になっており、どうしても行く前に提出しなければならず、またその提出日に午前中授業、午後BBクラブがあり翌日韓国出張の上、帰国日後に2つのレポートの締切りがあるという超過密スケジュールではあり、流石に大丈夫かなあと心配だったのですが無事乗り切りました。BBクラブの打ち上げでめちゃくちゃおいしそうな「牡蠣」があったのですが、万が一のことを考えて食さず正解でした。

韓国の公認労務士制度については、10年前の社労士制度40周年の時に大槻最高顧問が交流を開始し、現会長である大西会長が熱意をもってつないで来られ、今年で10年が経ち新たなステージを迎えたわけですが、今回の3泊4日の訪問で、1年半前に参加したときより、かなり充実した意見交換や交流ができたように思います。今回は日本の社労士制度を紹介する担当でしたが20分程度の持ち時間でしたので比較的気持ちは楽であったのと、夜の懇親会ではGoogle翻訳が大活躍で、韓国公認労務士会の女性会員とかなりお互いの状況を交換することができて、本当に楽しかったです。

今後さらに意見交換を重ねていくことを約束しましたので、やはりハングル文字が読めるようにはならないといけないなと思ってしまいました。

  


在職老齢年金の歴史④

2018-07-16 23:35:55 | 年金

在職老齢年金について、内閣府が見直しを訴えという記事が7月13日付の日経新聞に載っていました。「内閣府がまとめた60歳代の就業行動に関する分析結果によると、働いて一定の収入がある高齢者の年金を減らす「在職老齢年金」がなかった場合、フルタイムで働くことを選択する確率は2.1%上昇し、人数換算で14万人分の押し上げ効果があるとした。内閣府は「制度によりフルタイム就業意欲が一定程度阻害されたことが示唆された」として、制度の見直しが重要と訴えている。」

14万人分の押し上げ効果とはまたかなりのものという感じがします。在職老齢年金は今後廃止という流れは確実のようです。

前々回のブログで、平成6年改正前の在職老齢年金の支給停止基準の表を載せたのですが、平成6年の改正で就労を促進するための見直しが行われました。ある意味この改正によりそれまでの在職老齢年金の所得保障の考え方から転換が図られたものと思います。改正内容は、まず在職中であると2割停止、賃金と年金の合計額が月額22万円に達するまでは、賃金と年金を併給し、22万円を超えても賃金が34万円までは、賃金が2増えれば年金を1減額し、賃金が34万円を超えた場合には、賃金の増加分だけ年金を減額する仕組みでした(数字は改正当時)。

①在職中(被保険者)

支給停止基準額=2割(8割支給)

②基本月額22万円以下、かつ、標準報酬月額34万円以下

支給停止基準額=2割+(標準報酬月額+年金月額-22万円)×1/2

③基本月額22万円以下、かつ、標準報酬月額が34万円超

支給停止基準額=(34万円+基本月額-22万円)×1/2+(標準報酬月額-34万円)

④基本月額22万円超、 かつ、標準報酬月額34万円以下

支給停止基準額=標準報酬月額×1/2

⑤基本月額22万円超、 かつ、標準報酬月額34万円超

支給停止基準額=34万円×1/2+(標準報酬月額-34万円)

 
その後平成15年4月より実施された、総報酬制の導入その他の改正により支給停止基準額が見直され、平成16年の改正で在職中の2割停止が廃止され、更に若干の数字の変更を経て現在の支給停止基準に至っています。昭和61年の改正時に60代後半の在職老齢年金は廃止されていたので昭和61年以降ここまでは60歳代前半の在職老齢年金の変遷です。

65歳以上の在職老齢年金はというと、昭和61年に一回廃止されたものの平成12年の改正で、「高在老」の導入を行い60歳代後半の在職老齢年金制度が復活しました。その後、平成16年の改正により、それまで70歳以降は給与収入額に関係なく年金を全額支給する仕組みであったものを廃止して、在職者である場合は65歳以上の仕組みによる支給停止基準を適用することとした。なおこの改正時点では、昭和12.4.1日以前生まれの70歳以上は適用しない扱いでしたが、平成27年にこれらの者も含めて適用する改正が行われています。

これまで本当に改正が多かった在職老齢年金ですが、どのような役割があったのか、ここまで改正が多かったのはなぜなのかという点について考えましたので次回は触れてみようと思います。

本当に毎日暑いですね。カーっと暑い夏が好きと公言していた私ですがさすがに「ちょっとこれは…」という感じです。まだまだこれから夏は長いですしね。

祭日にもかかわらず今日は授業があり出席したところいつもの半分以下の出席率でした。アメリカの連邦法と州法の関係の授業だったのですが、非常に面白かったです。先日のEU法の仕組みもとても面白く、やはり勉強するとなんだかんだ色々と興味の範囲が広がるような気がします。暑い中出席した甲斐がありました。

来週は連合会の委員会の関係で韓国に行くことになっており週末不在になります。そのためブログもお休みさせて頂きますのでよろしくお願いします。


中小企業の定義 労基法・時間外労働5割増関係

2018-07-09 00:28:15 | 労働基準法

先週法改正ニュースを配信したところ、ご質問がいつもより多く、そのほとんどが「時間外労働60時間超え5割増」の猶予になっている中小企業に該当するか否かというお問い合わせでした。すでに大企業として5割増の適用となっている会社さんがほとんどだったのですが、子会社が該当するかどうかなどのこともあったようです。

ネットで労働局などのサイトを検索して判断の表をURLをメールに貼り付けてお送りしようと思ったのですが、思ったよりすんなりと表が出て来ず、一部誤りがあったりもしたので、念のためブログに載せておこうと思いました。

中小企業に該当するか否かは、「資本金の額または出資の総額」か「常時使用する労働者の数」で判断されます。具体的には、以下いずれかに該当する場合中小企業ということになります(資本金等か使用労働者数のどれか一つでも該当すれば中小企業になります。)また、事業場単位ではなく、企業単位で判断されます。

業種

 

資本金の額または

出資の総額

または

常時使用する

労働者数

小売業

5,000万円以下

または

50人以下

サービス業

5000万円以下

100人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

その他

3億円以下

300人以下

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上記の業種の部分が問題で、労働保険の申告書などの業種とは異なりますのでご注意ください。業種分類は日本標準産業分類(第13回改定)に従っています。以下ご確認ください。

 http://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/sangyo/02toukatsu01_03000023.html

視力を計測すると相変わらず1.5などと素晴らしく良いのですが、今年になり夜になると文字が読みにくくこれはまずいと思い眼鏡を作り直し、先日はブルーベリーのサプリだけは毎日飲んだ方が良いというアドバイスを受けて、すぐに実行しています。眼鏡を合ったものに変えるだけでずいぶんと楽になりました。仕事をする上で目は大事とつくづく思うこの頃です。

やっと年金のレポートを作り終わり、春学期は「医療」のレポートを残すのみとなりました。夏休みには読んでおきたい本や勉強しなければならないことがすでに予定されているのですが、1つのテーマを追えるのは楽しみです。


在職老齢年金の歴史③

2018-07-01 23:14:00 | 年金

年金制度が作られた目的は、そもそも「老齢をある種の廃失と考え、それによる所得喪失に対する最低保障」ということで、所得喪失=退職が支給事由であるとも考えられるのですが、厚生年金保険法の目的条文を見ると支給事由(保険事故)は「老齢」です。

厚生年金保険法 第1条 この法律は、労働者の『老齢』、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

その点どのように考えるか以前から疑問だったのですが、「在職老齢年金」についての定義としては「『在職老齢年金』は、本来『退職』を前提とした『老齢』を支給事由とする老齢年金の例外的措置」という表現が正しいということを先日学びました。

あくまで「老齢」が支給事由とすると、平均寿命が伸び、高齢者の概念も昔とは異なってきている現在は「老齢」の定義も変更されてもおかしくはなく、支給開始年齢が現在の65歳より後ろ倒しになるということも理論上妥当だと思われます。

実際、2017年1月5日に発表された「日本老年学会・日本老年医学会 高齢者に関する定義検討ワーキンググループ報告書」において、高齢者の新たな定義を75歳以上とする提言が示されたのは記憶に新しいところです。今後老齢厚生年金の支給開始年齢の議論が行われるとしたら、在職老齢年金がその中でどのような位置づけになるのか、という点については非常に興味深く感じています。

非常に改正が多かった在職老齢年金であるという点については、ブログの在職老齢年金の歴史①及び②で記載しました。今回在職老齢年金制度を調べる中で平成6年改正前の60歳台前半の在職老齢年金の支給(停止)割合が比較的見つけにくかったので、記録という意味で残しておきたいと思います。

平成6年の改正が行われるまでの60歳台前半の在職老齢年金は標準報酬月額に応じて支給割合が定められており、収入が一定水準を超えると全額支給停止される仕組みでした。

標準報酬月額等級

標準報酬月額

支給割合率

第1級~第3級

110,000未満

3割

      第4級~第6級

118,000円~134,000円

4割

第7級~第9級

142,000円~160,000円

5割

第10級~第11級

170,000円~180,000円

6割

第12級~第13級

190,000円~200,000円

7割

第14級~第15級

220,000円~240,000円

8割

注)標準報酬月額等級が第16級(標準報酬月額が26万円、報酬月額が25万円)以上の場合は、全額支給停止となる。

この仕組みについては、「働いても年金を受給しても収入がたいして変わらないとなると、仕事を辞めて年金を受給する人が多くなる」 ということで、平成6年に改正が行われました。 この改正以後の60歳台前半の在職老齢年金の支給停止基準の表についてはその変遷がまたありますので、次の回で比較させて頂きます。

サッカーワールドカップの日本代表の試合は、特に第3戦目はまさに賛否両論ですね。しかしここまで来たので明日はとにかく頑張らざるを得ない状況ですが、3時からの試合ということで、日本国民は果たしてその時間起きて見るのでしょうか。夜型の私としても悩ましいところです。 


「働き方」についての考え方の転換期

2018-06-24 21:50:31 | 労働法

6月22日付の日経新聞の記事に「今春の新入社員、仕事『人並みで十分61%』」 という記事が載りました。正直60%という数字には驚きました。記事の主な内容は以下の通り。
 
「働き方は人並みで十分」。今春の新入社員を対象に実施したアンケートで、こう答えた新人が過去最高の61.6%に上ったとの結果を日本生産性本部(東京)などが21日、公表した。2013年度以降、増加傾向が続いている。「人並み以上に働きたい」は今回、31.3%にとどまり、2倍近い差がついた。

今年3~4月、生産性本部が主催した研修に参加した企業の社員を対象に実施し、1644人から回答を得た。調査担当者は「ブラック企業が問題となるなど、働くことにネガティブな意識が持たれているのではないか。意欲が後退している印象」と分析した。

アンケートで「若いうちは自ら進んで苦労する気持ちがなくてはならないか」との問いには、「進んで苦労すべきだ」が47.1%を占め、「好んで苦労することはない」(34.1%)を上回ったものの、その差は11年度から40ポイント近く縮まった。「デートの約束があった時、残業を命じられたらどうするか」を尋ねると、残業派が68.5%で、デート派は30.9%。ただ、ここでもデート派が年々増加している。

「夢中になって仕事に取り組む時期があるのは必要」「仕事に真剣に取り組むことで自分を成長させることができる」「何かを乗り越えるには自分を追い込むことも必要」以前のブログにも書いた記憶があるのですが、私は今も考え方はひとつも変わってはいません。

しかし、新人が記事のように考えているのであれば、「働く」ということについて考え方の転換期を迎えているのかもしれないと感じます。少なくとも記事の通り6割くらいの社員に対するマネジメントについてこれまで通りでは通用しなくなっているように感じます。「契約」に基づいて働く、という感覚が何となくフィットする感じがします。それはそれで価値観は違ったとしても悪いということではなく受け入れていく必要があるのだと思います。

企業のご相談にのっているときも同じようなことは感じます。企業の成長にとっては常に世代が入れ替わる必要があり、20代が魅力的と感じる業界や企業になっていかなければ、企業自体が高齢化して行く心配があります。世代や社員によって希望する働き方を提供できる多様な働き方のメニューを準備するということになるのかもしれません。高度プロフェッショナル制度は、そういう意味ではメニューの一つとして考えるのは有用だと思います。

先週は風邪をひいてしまいなかなか夏物を着ることができなかったのですが、いよいよ明日からは半袖・夏物の上着で行こうと思っています。のどが痛かったので冷やすのが良いかと思い、毎日スタバの大人のフラペチーノを飲んでいました。あれは本当に美味しいと思います。

それにしても一つの仕事に継続して真剣に取り組み「目に見える形で実績を残していく」というのは素晴らしいことだなと感じることが多いです。年金制度の5年ごとの改正を担当した官僚の書かれた書籍を読んでも、特に大改正の際の表には見えない苦労や状況を知ると、その苦労の結果が今の制度にどのような効果をもたらしたかを知り感動します。

たった一度の人生ですから、自分の中で誇れる「結果や成果」は宝物になると思うのです。そういう意味で「仕事ができる時間というのは人生の中で素晴らしいとき」なのだと思っています。


在職老齢年金の歴史②

2018-06-17 23:22:13 | 年金

先々週に続きまして在職老齢年金の歴史です。先々週は昭和61年の年金制度大改正前までの在職老齢年金のことを載せました。その時代の在職老齢年金は低賃金を補うという役割を果たしていました。そして昭和61年の年金制度大改正の際に65歳以上の在職老齢年金はいったん廃止されています。65歳以上から老齢基礎年金を受給する自営業者と揃えるという考え方だったそうです。平成12年の改正(平成14年施行)により高在老が導入されるまでは65歳未満の(要するに特別支給の)老齢厚生年金のみ在職老齢年金の支給停止がかかっていました。

その間の、平成6年の改正でそれまでの所得の補填である在職老齢年金の考え方に変化がありました。それまでの在職老齢年金は、賃金が増えてもその分在職老齢年金の減額も大きくなるため、「働いても働かなくても手取りはほとんど変わらない」という問題があり、就労促進のために、賃金が増えた場合緩やかに賃金と年金の合計額が増えていく仕組みに変更されたわけです。

ちょうどTACで講師をしてテキストを担当していたころ在職老齢年金の改正はしっかり追っていたのですが、ここまで改正が多かったとは正直ちょっとびっくりしました。

 

昭和61年

65歳以上の本来の老齢厚生年金については在職老齢年金制度は廃止

(60歳代前半の特別支給の老齢厚生年金は在職老齢年金制度の適用あり)

65歳

平成元年

60歳台前半在職老齢年金制度(8割~2割の7段階)に変更

※賃金増でも年金額の合計額が増えず減る場合も

平成6年

60歳代前半について、賃金の増加に応じて賃金と年金額の合計額がなだらかに増加する制度に改正(一律2割は支給停止)

① 在職中は、2割の年金を支給停止。賃金と年金の合計額が22万円に達するまでは、賃金と年金(8割)は併給

② ①を上回る賃金があると賃金の増加2に対し、年金額を1停止

③ 賃金が34万円を超えるとさらに、賃金が増加した分だけ年金を停止

平成12年

上記計算式中34万円→37万円

〈14.4.1実施〉

65歳~70歳未満の在職老齢年金制度「高在老」の導入(復活)

① 基礎年金は支給停止せず、全額支給

② 賃金と厚生年金との合計額が37万円に達するまでは、満額の厚生年金を支給

③ これを上回る場合には、賃金の増加2に対して、年金額1を停止(60歳台前半のような一律2割の年金の支給停止はない)

※60歳~65歳未満は「低在老」と命名

※昭和12.4.2以降生まれ(14.4.1現在65歳未満)対象

70歳

〈16.4.1実施〉

1)低在老 

標準報酬月額の37 万円を総報酬月額相当額の48 万円に

基本月額の22 万円を28 万円に

2)高在老

年金月額と標準報酬月額の合算額の37 万円を年金月額と総報酬月額相当額の合算額の48 万円に引き上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回はここまでにしたいと思います。興味のある方は あまり多くないかと思いますが、もう少し続きがありマイブームですのでまた次回おつきあいください。

久しぶりに小淵沢の家に行きのんびりしてきました。目の前の田んぼは田植えが終わり青々として綺麗でした。小淵沢の家に行くと日常よりは早めに寝てしまうことが多く、今回も10時間近く寝てしまいました(なんといつもの倍近く)。やはり自然に近い生活はそういう意味では人間らしいのかなと感じてしまいます。しかし明日からまた色々と予定があり、それはそれで張り切っています。

 


積立方式と賦課方式

2018-06-10 22:38:53 | 年金

年金の財政運営方式として、「積立方式」と「賦課方式」があります。厚生労働白書にもたびたび登場して、授業でも必ず取り上げて説明していました。

積立方式と賦課方式の説明については厚生労働省で作った以下のサイトがわかりやすいと思います。

http://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/finance/index.html

日本の年金制度が創設時に積立方式を採用した理由は、平成23年の厚生労働白書のコラムに以下のように記述があります。

日本の年金制度の財政運営方式は、現在では修正積立方式を採用しているが、制度創設時は「積立方式」を採用していた。では、なぜ積立方式を採用したのか。『昭和34年度版厚生白書』は次のように説明している。「年金の財政運営方式としては、この(積立方式の)ほかに年年必要な給付額をその年度に徴収する『賦課方式』があるが、これによるときは、国の財政規模という観点からの影響を受けやすいため、将来において年金給付が不安定となるおそれがあり、他方、現在のわが国のように、老齢人口の占める比率が急速に高まりつつある国においは、将来の生産年齢人口の負担が重くなるという不合理も生ずるので、積立方式を採用して制度の安定と確立を期したわけである。」しかしながら、積立方式は、物価や賃金の変動への対応が困難という課題も有している。このため、高齢者の生活を保障できる実質的価値のある年金を支給するという観点から、その時代の生産活動に従事する現役世代が収入を失った高齢世代を支えるという、世代間扶養の考え方を基本に置いた賦課方式の要素の強い財政運営方式に改められた形となって現在に至っている

 これについては、講義で説明するときにいつも結局「積立方式又は修正積立方式」なのか「賦課方式なのか」または「賦課方式の要素の強い財政運営方式」というべきなのか、またいつ積立方式から賦課方式へ変わったのか、といったところで自分でも確信が持てずにいました。

結局結論としては、積立方式から以下にある段階保険料方式を採用した昭和29年の改正から乖離して行き、次第に賦課方式としての要素を強めていったということですね。確かに段階保険料方式は、本来必要とされる平準保険料率を下回る保険料率でスタートして段階的に引き上げていくという方式ですから、下回る保険料率に設定した時点で積立方式から乖離したというのは納得がいくことです。

昭和19年 制度発足当時は「積立方式」を採用

昭和29年の改正 インフレ・負担能力を考慮して平準保険料を下回る保険料の設定を行うという「段階保険料方式」を採用→この時点で純粋な積立方式からは乖離

昭和48年改正 高度成長に伴う中で、物価や賃金の変動への対応が困難という課題に対応するため、物価スライドや賃金再評価に要する原資を後代の保険料で賄うとしたことで「賦課方式」の要素が強まる

平成16年の改正 積立金を給付費の1年分程度にすることとなったため、そうなった場合は「賦課方式」を基本とする(基礎年金の財政方式は、完全賦課方式で運営している)

金曜日には、東京都社労士会の総会があり、新たな新年度がスタートしました。あっという間の一年ではありましたが色々なことがありずいぶん1年前が以前のことのようにも感じます。

今年は昨年とはまた違った環境にいますが、その環境をできるだけ楽しんで、充実させていきたいと考えています。


在職老齢年金の歴史①

2018-06-04 00:25:31 | 年金

月曜日に労働法のゼミで判例研究の発表がありその最後の検討部分に苦心していたので今日はあまり年金レポートの準備に時間が取れなかったのですが、少し在職老齢年金の歴史を取りまとめてみました。

在職老齢年金がいつ制度としてできたのかは知らなかったのですが、昭和40年に創設されていました。導入の背景としては、厚生年金制度の老齢年金は、昭和29年にほぼ現在の姿になって以来、支給開始年齢要件に加え、「退職」を支給要件としており、在職中は年金を支給しないことが原則であった。しかしながら、高齢者は低賃金の場合が多く、賃金だけでは生活が困難であったため、「 昭和40年、65歳以上の在職者にも支給される特別な年金(在職老齢年金)を新たに創設(年金を8割支給する制度)。」ということです。

 

在職老齢年金

被保険者上限年齢

昭和40年

65歳以上の在職者対象にも支給される特別な年金である在職老齢年金を新たに創設(年金を8割支給する制度)

なし

昭和44年

60歳代前半にも拡大(支給割合 8,6,4,2割の4段階)

昭和50年

60歳台前半の在職老齢年金の支給制限緩和(支給割合8,5,2割の3段階)※同じ賃金であれば、原則、支給割合が増加

 

 

 

 

 

 

 

 

昭和61年新法施行までの在職老齢年金は上記の通りであり、当初65歳以上が対象であったものが途中で60歳代前半にも拡大されています。

なぜ在職老齢年金を調べてみようと考えたかというと、年金は「老齢」を保険事故としているのか「退職」を保険事故としているのか?という疑問がわき講師の先生に質問してみたところ「退職」が支給事由であるという回答でした。そうであれば在職している場合は年金は受給しないということが筋であり、在職老齢年金というのはどういう考えで始まったのか知りたいと思ったのがきっかけです。昭和61年新法改正より以前にも存在していたということで新たな発見でした。もう少し突き詰めてみようと思っています。

ハマキョウレックスと長澤運輸事件の最高裁の判決ありましたが、特に長澤運輸事件は若干おどろきました。今回の判決はこれからの様々な特に賃金制度の施策を考えるときの指標になると思います。改正解説の研修などをいくつか受講する予定もあり自分なりに消化してみようと思っています。


労働者名簿の記載事項

2018-05-27 23:16:18 | 労働基準法

先週、賃金台帳の記載事項というタイトルでブログを書いたところとてもたくさんの方に見て頂いたようなので、引き続き今週は法定3帳簿の一つである「労働者名簿の記載事項」を取り上げてみたいと思います。

労働者名簿は、労働基準法及び労働基準法施行規則に以下の通り定められています。

法第107条 使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。(第2項略)

則第53条 法第107条第1項の労働者名簿に記入しなければならない事項は、同条同項に規定するもののほか、次に掲げるもの(●)とする。(第2項略)

労働者名簿法定記載事項

○法で定める事項 1労働者の氏名  2生年月日  3履歴

●則で定める事項 4性別  5住所  6従事する業務の種類  7雇入の年月日  8退職の年月日及びその事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。) 9死亡の年月日及びその原因 

以前のブログにも書きましたが、平成9年の労基法施行規則の改正により、「本籍」は記載事項から削除されました。これは、個人情報保護法が施行される前の段階で当時労働省により発表された「労働者の個人情報に関する行動指針」(平成12年12月20日)にもある以下の記載事由によるものです。

2.個人情報の収集(3)使用者は、次に掲げる個人情報を収集してはならない。ただし、法令に定めがある場合及び特別な職業上の必要性があることその他業務の適正な実施に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合は、この限りでない。 (イ)  人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
(ロ)  思想、信条及び信仰 
とあり、「社会的差別の原因となる恐れがある事項」とされたためです。 

また、労働者名簿、賃金台帳等の保存と取扱いについての解釈(平成17年3月31日基発0331014号)では要件を満たせばデーターでの管理も認められるということで、以下のように示されています。

次の1及び2のいずれをも満たす場合には、労働基準法第107条及び第108条の要件を満たすものとして取り扱う。

1 電子機器を用いて磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク等により調製された労働者名簿、賃金台帳に法定必要記載事項を具備し、かつ、各事業場ごとにそれぞれ労働者名簿、賃金台帳を画面に表示し、及び印字するための装置を備えつける等の措置を講ずること。
2 労働基準監督官の臨検時等労働者名簿、賃金台帳の閲覧、提出等が必要とされる場合に、直ちに必要事項が明らかにされ、かつ、写しを提出し得るシステムとなっていること。

労働者名簿(先週取り上げた賃金台帳も同じ)は、法律でも「各事業場ごとに」と定められており、また上記通達の2にも示されているため、労働基準監督官が調査に来られた際には、本社でデーター一括管理している場合でも、各事業場で確認したい時にすぐに閲覧または提出できるようにしておかなければならないと指導がされます。会社さんによっては、その指導に従って事業場のトップの所長のみにログインパスワードを付与して本社の管理している労働者名簿・賃金台帳を閲覧できようにしたケースもあります。

なお、法定記載事項とされている「履歴」については特に通達等で示されたものはないようです。「学歴・職歴・入社後の職歴」を記載しておけば問題ないと考えます。

本当に良い季節になりましたね。毎日洋服も軽くなり気分が良いです。ところでやっと25日に衆院厚生労働委員で「働き方改革関連法案」が可決しました。与党は29日にも衆院本会議で可決し、参院に送付する方針ということです。この夏あたりは実務対応をじっくりと考えて、秋には情報提供がしっかりできるように準備をしようという意欲がわいてきました。

一方で、春学期の半分が過ぎたところで、読まなければならない本はかなり積みあがって来ており、また2つの授業で7月末までにレポートを作成する必要があり、ワクワク勉強しているばかりではだめで少しおしりに火が付いてきた感じです。来週からは、レポートの準備を兼ねて「年金」次に「医療」についての勉強したことを順次取り上げていきたいと思っています。こちらの都合で申し訳ないのですが少しお付き合いいただければと思います。


賃金台帳の記載事項

2018-05-21 00:08:42 | 労働基準法

賃金台帳の記載事項についてご質問があり調べてみると意外に知らないことが多いなあと驚いてしまいましたので取り上げてみたいと思います。賃金台帳の記載については、労働基準法及び施行規則に定められています。

(賃金台帳)
第108条 使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

上記厚生労働省令で定める事項は施行規則第54条に以下の通り定められています。
第54条 使用者は、法第108条の規定によつて、次に掲げる事項を労働者各人別に賃金台帳に記入しなければならない。

①氏名 ②性別 ③賃金計算期間 ④労働日数 ⑤労働時間数 ⑥法第33条若しくは法第36条第1項の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数 ⑦基本給、手当その他賃金の種類毎にその額 ⑧法第24条第1項の規定によつて賃金の一部を控除した場合には、その額

…上記記載事項についてはよく目にするところです。⑧の法第24条1項の規定とは、過半数組合等との労使協定の締結により賃金から一部控除できるという定めです。

2 前項第6号の労働時間数は当該事業場の就業規則において法の規定に異なる所定労働時間又は休日の定をした場合には、その就業規則に基いて算定する労働時間数を以てこれに代えることができる。 

…法定労働時間の1日8時間・1週間40時間ではなく、会社で定めた所定労働時間が例えば7時間・35時間であればその時間数を超えた時間外労働時間数等を記載してよいということですね。

3 第1項第7号の賃金の種類中に通貨以外のもので支払われる賃金がある場合には、その評価総額を記入しなければならない。

…現物給付については、評価総額を記入しなければならないということです。

4 日々雇い入れられる者(1箇月を超えて引続き使用される者を除く。)については、第1項第3号は記入するを要しない。

…日雇の場合は賃金計算期間は記入しなくて良いということです。

5 法第41条各号の一に該当する労働者については第1項第5号及び第6号は、これを記入することを要しない。

…管理監督者等労働時間・休憩・休日の適用除外者については、(労働時間等の概念を持たないので)労働時間数・時間外労働時間数の記入は不要ということです。深夜労働時間数は記載が必要です(「昭和23.2.3基発161号 規則第54条第1項第6号の「深夜労働時間数」は賃金台帳に記入するように指導されたい」と示されています)。

ところでご質問は賃金台帳の記載のうち有給休暇分の記載の方法が昭和23年の通達で以下の通り定められているがその通りにするべきかということでした。通達では「年休取得の日数及び時間は、労働時間とみなして労働時間数に含め記入し、その年休取得日数と時間数をかっこで囲み記入するように」ということが示されています。監督署に確認したところ、「その記載で」ということでした。

(昭和23.11.02基収(旧労働省労働基準局長が疑義に応えて発する通達)第3815号)。

(問)(一) 年次有給休暇の期間は、通常の労働時間労働したものとみなし、その日数、時間については、労働日数欄、労働時間数欄に記入するか。
(二) 宿日直勤務の時間は、断続的業務であるから、労働時間数欄、労働日数欄、休日労働時間数欄には記入せず、手当欄に日直又は宿直手当として記入するよう指導して差支えないか。

(答)(一) 見解の通り、年次有給休暇の日数及び時間を実際に労働に従事した日数及び労働時間数とみなして夫々該当欄に記入するが、その日数及び時間を夫々該当欄に別掲し括弧をもって囲んで記入するよう指導されたい。
(二) 宿日直勤務については手当欄に宿直又は日直手当として記入、各々その回数を括弧をもって囲んで金額欄に附記するよう指導されたい。

施行規則第55条には賃金台帳の様式が定められています。様式20号を見てみると、上記通達の記入方法はとりにくいように思いました。やはり昭和23年の通達が出た当初は手書きで調製していた賃金台帳も、今はほとんどがデーターでしょうからなかなか当てはめるのは難しいような気がしますが、様式20号はシステム化を検討する場合は確認する良いと思います。

様式20号

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/pdf/d.pdf

第55条 法第108条の規定による賃金台帳は、常時使用される労働者(一箇月を超えて引続き使用される日々雇い入れられる者を含む。)については様式第20号、日々雇い入れられる者(一箇月を超えて引続き使用される者を除く。)については様式第21号によつて、これを調製しなければならない。

事務所は年度末から4月にかけての入退社の山を乗り越え、少し今一息ですがこれからまた年更・算定の時期を目の前にして気が抜けない感じです。しかし思えば4,5人で事務所運営していた当時は仕事が入るたびに誰に担当してもらおうかと苦心していたものですが、今は20人のスタッフがいることが本当に心強いと思います。そのスタッフに支えられて勉強させてもらっていると感じますが、年齢を重ねてからの勉強とはここまで面白いものかと、かみしめながら授業を受けている感じです。 


求人票と異なる労働条件での契約締結の際の注意点

2018-05-13 22:52:49 | 労働法

1月8日のブログでも取り上げていましたが、平成30年1月1日施行の職安法の改正により、求人票と異なる労働条件で締結する際には変更点を詳細に明示しなければならないとされています。

先日「福祉事業者A苑事件(京都地判平29.3.30)」を勉強したのですが、求人票の記載と実際の労働契約締結時に示された労働条件が異なっており、その結果求人票で示された「期間の定めなし・定年なし」なのか又は労働契約時に示された「有期契約・定年あり」が有効かという点で争われ、求人票に記載された内容が認められたものです。10人未満の会社であり就業規則の作成義務もないため「定年」ということを考えたこともなく求人票に「なし」と記載したものなのか、また労働契約締結時には有期契約であることや定年が書かれた契約書を社長が読み上げているという点ではそれなりに会社も対応しているように感じました。しかしその程度では契約書に署名・押印があったことも自由な判断のもとではなかった可能性もあるとされ、労働契約時の労働条件ではなく、求人票の内容が有効とされています。

その判決を考えると、月のブログでもリーフレットのURLを貼ってありますが、もっとしっかり求人票と異なる点を労働契約時に説明しないといけないと強く思いました。リーフでも触れていますが、指針では変更点は「交付される書面において、変更内容等に下線を引き、若しくは着色し、又は変更内容等を注記すること」とあります。それくらい強調しないといけないという感じです。以下指針からの抜粋です。

職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示等に関して適切に対処するための指針(平11成年労働省告示第141号)(抄)(第一条関係)

三 求人者等による労働条件等の変更等に係る明示
求人者、労働者の募集を行う者及び労働者供給を受けようとする者(以下「求人者等」という。)は、法第五条の三第三項の規定に基づき、それぞれ、紹介された求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者( において「紹介求職者等」という。)と労働契約を締結しようとする場合であって、これらの者に対して同条第一項の規定により明示された従事すべき業務の内容等(以下この三において「第一項明示」という。)を変更し、特定し、削除し、又は第一項明示に含まれない従事すべき業務の内容等を追加する場合は、当該契約の相手方となろうとする者に対し、当該変更し、特定し、削除し、又は追加する従事すべき業務の内容等( において「変更内容等」という。)を明示しなければならない

求人者等は、明示を行うに当たっては、紹介求職者等が変更内容等を十分に理解することができるよう、適切な明示方法をとら
なければならないこと。その際、次のイの方法によることが望ましいものであるが、次のロなどの方法によることも可能であること
イ第一項明示と変更内容等とを対照することができる書面を交付すること。
ロ労働基準法第十五条第一項の規定に基づき交付される書面において、変更内容等に下線を引き、若しくは着色し、又は変更内容
等を注記すること。なお、第一項明示の一部の事項を削除する場合にあっては、削除される前の当該従事すべき業務の内容等も併
せて記載すること。

今日は母の日でしたがあいにくの雨になってしまいましたね。この数日街はカーネーションでいっぱいでした。毎月といってよいほどイベントテーマがありなかなか忙しい感じがします。

判例を読むのはあまり得意ではないのですが、どのように読めばよいのか今探っているところです。社労士試験もそうですが、とにかくどのように取り組めば理解と定着ができるのか、その人ごとに違う方法があり、それを見つけることが勉強においてはとても大事だと思っています。自分の方法を見つけることができればあとはそれほど困難ではないように思うのです。判例を読んでサクッと判旨を理解し、検討部分を引き出せるようになるために地道に取り組んでいます(愚直な取り組みが必ず後になり効いてくると思いますので)。

また、最近実感するのは、やはり読んでいるだけではだめで手を動かすことが必要だなということです。ノートに手書きが正当かと思いますがとにかくワードで内容を入力していき整理する、という作業にしています。そのまとめた内容が後で役に立つかもしれないということもあり、そういう点ではデータにしておくのはやはり便利です。

社労士試験にかかわってわかったことの一つに、難解な文章の場合多少わからない部分があっても読み進んでいくことが大切ということがあります。しばらく読み進んでいくうちに前に分からないと思ったところの理解ができることがあるからです。いまはどのように勉強していくかを見つけるためにあれこれ楽しみながら試しているという感じです。


育児介護休業法の時間外労働の制限規定について

2018-05-06 22:52:47 | 労働時間

初夏までに育児介護休業法の原稿を仕上げる必要があり、事務所のスタッフでプロジェクトチームを作り頑張っています。私も連休中に少し取り掛からねばと思い、育児介護休業法の歴史を調べてみたところ、すっかり忘れていたこともあり、覚書もかねて時間外労働の制限規定の成り立ちを記載しておこうと思います。

第17条 事業主は、労働基準法第36条第1項本文の規定により同項に規定する労働時間(以下この条において単に「労働時間」という。)を延長することができる場合において、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって一定の条件に該当しないものが当該子を養育するために請求したときは、制限時間(1月について24時間、1年について150時間をいう。)を超えて労働時間を延長してはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。(一部省略)

この規定が施行されたのは平成14年4月1日です。実は育児介護休業法第19条には深夜業の制限も定められており、時間外労働の制限、深夜業の制限ともに子が小学校就学前までの期間を対象としています。この両規定の施行日は同じと思いきや、実は深夜業の制限規定は平成11年4月1日、時間外労働の制限規定は平成14年4月1日と深夜業の制限規定の方が先に施行されていました。深夜業はそもそも満18歳以上女性は禁止と労基法に規定されていたもので、しかし平成9年に均等法における募集・採用・配置・昇進についての差別禁止の努力規定が義務規定に改正され、それに伴いバランスをとるために労基法の女性の深夜業の制限規定は撤廃となり、対象者を育児介護休業者に絞り込み、異動してきたという事情があります。

時間外労働の制限についても、平成11年4月1日労基法改正施行日前は、満18歳以上の女子に関する規制として時間外労働の制限が定められていたものが、改正により撤廃されたため育児介護休業法に異動してきたという経緯があります。平成11年の労基法改正前の満18歳以上の女子に関する規制をまとめると以下の通りになります。

平成11年改正前の労基法で定めていた女子の時間外労働の上限規制

業種

具体例

時間外労働の上限

工業的業種

鉱工業
建設業
運送業

1週間に6時間
(決算時は2週間に12時間)
1年に150時間

保健衛生業・接客娯楽業

病院
旅館
飲食店

2週間に12時間
1年に150時間

上記以外の非工業的業種

商業
サービス業

4週間に36時間
1年に150時間

1年150時間の時間外労働の上限規制が、育児・介護期間中の労働者を対象に絞り込んだ上で育児介護休業法に異動してきたのだということがわかります。なお18歳未満の女子は、年少者としての保護規定の対象となりますので上記規制の対象からは外れていました。

また時間外・休日労働の制限の例外として、①指揮命令者及び専門業務従事者、②臨時の必要がある場合、③法41条該当者の3つがあるとされていました。この①指揮命令者及び専門業務従事者は、改正ですっかり姿を消してしまいましたが、どのような立場であったかというと、1.業務を遂行するための最小単位の組織の長である者、2.職務上の地位が上記の者より上位にある者で、労働者の業務の遂行を指揮命令する者(管理監督者を含む)と定められていました。完全に私見ではあるのですが、労基法のこの定義が残っていれば、リーダー的な女性がもっとたくさん育って来て、今女性活躍ももう少し進んでいたのではないかという気がします。

上記女子の保護規定撤廃により、当時TACの講師をしていた私は講義を終えて控室に戻る時間帯には受付の女性がいなくなっていたのが、戻った際に残っているようになったということで、法改正の効果を実感したのを覚えています。労基法はこの平成11年改正後21年改正を経て、今回また大きな改正が30年に成立するとすれば、おおむね10年ごとに改正ということになるわけですね。

連休中は、ゆっくり休んだ、勉強に集中した、旅行に行ったなどそれぞれまとまったお休みの中で充実して過ごされたのではないでしょうか。しかしそれにしてもあいにく毎日風が強いと感じたのは私だけでしょうか。最近駅前にできた大きなビルの前に強いビル風が吹くようになり、建物が前にあり比較的静かだったうちのベランダにもその影響があるのではないかと心配になります。

連休は、勉強の貯金も少しできましたが、お天気が良かったので毎年恒例の衣替えをしっかり行いました。服をクリーニングに出すだけではなく、寝具を夏用にしたり、ソファーのカバーも綿のものに変えたり、ブーツをしまい込んだりとずいぶんとすっきりしました。また夏に向けて準備万端になったような気分でいます。


医療費自己負担割合の変遷

2018-04-22 23:41:02 | 社会保険

大正11年に健康保険法が制定されてから、健康保険も国民健康保険も医療費の自己負担割合は変化してきました。健康保険法の制定時は、本人原則負担なし(10割給付)・家族5割負担でした。国民健康保険は、昭和13年の国民健康保険法制定時は、本人・家族共に5割負担でした。国民皆保険となる昭和36年の2年後、昭和38年に本人負担が3割(家族負担は5割のまま)になりますが、健康保険のように10割給付を目指していたようです。

その後昭和43年には、国民健康保険の家族負担が3割になっています。健康保険の家族についてはこの時点ではまだ5割負担であり、昭和48年に3割負担になりました(以後高齢者については除きます)。家族の3割負担の実現は、国民健康保険の方が早かったというのは驚きです。またそれまでは健康保険も国民健康保険も療養給付期間は3年の制限があったものを、昭和48年に期間の制限を廃止しています。

その後昭和59年に健康保険法の大改正が行われ本人の1割負担(家族は昭和56年入院2割負担)に、平成9年の本人入院及び外来2割(家族は入院2割外来3割)となり、平成15年からは本人家族共に3割(義務教育就学前2割)負担になって今に至ります。この自己負担には平成9年から平成15年までの数年間ですが、薬剤の一部負担金制度があった時期もあり、その推移を追い、その時代ごとにどのように考えてきたかを理解することは時間がかかると思いますが、医療の様々な要素を検討するのであれば必要なことなのだろうと思います。

イチゴが好きなので、イチゴが出ている季節は基本的には毎日食べています。この季節くらいになるとだいぶ安くなってきており、その代わり12月のクリスマス前あたりに出てきたものほどピカピカにキレイというわけにはいきませんが、5月連休前までは食べていこうと思います。

それにしても大学の図書館は本当に便利です。学生は自宅にいながら、お目当ての本が大学のどの図書館にあるのかを検索することができ、貸出しの予約まであるのです。これにはびっくりしましたがさっそく借りてみました。上手く行くかどうかちょっと心配です。

来週は連休中のためブログはお休みさせて頂きます。連休の前半は久しぶりに小淵沢に行ってのびのびしてくる予定で、後半は今後の自分の発表の担当についての準備をしようと思っています。良い連休をお過ごしください。


定年後の労働条件

2018-04-15 23:46:14 | 労働法

定年後の労働条件をどのように提示するかというご質問はかなり多いのですが、ここのところ参考となる判決が出ています。その中で平成29年9月7日福岡高裁の判決(九州惣菜事件)を整理してみたいと思います。

この裁判は定年後の継続雇用をフルタイムで希望している社員に対して、会社が示した処遇は時給制で1日6時間勤務であったため、社員は継続雇用を拒否して退職したものの、退職後裁判に訴えたものです。主位的な訴えと予備的な訴えに分けられており、主位的な訴えとしては、「定年後も雇用契約関係が存在し黙示的合意が成立している」として労働契約上の地位確認を求めました。予備的な訴えについては、「再雇用契約の内容が著しく不合理な労働条件の提示は、再雇用を侵害する不法行為である」として、逸失利益と慰謝料等の支払いを求めています。

判決の中でまず主位的な訴えに対しては、再雇用後の会社が提示した再雇用の労働条件を社員は承諾しなかったため、再雇用の労働契約については合意が成立したものは認めることができない、としています。

しかし、予備的な訴えについては、到底受け入れがたいような労働条件の提示は、継続雇用制度の導入の趣旨に反した違法性を有する行為であり、継続雇用制度については、定年前後の労働条件の継続性・連続性が一定程度確保されることが前提ないし原則となると解するのが相当である、とされました。また継続雇用制度の趣旨に沿うものであるといえるには、大幅な賃金の減少がある場合それを正当化する合理的な理由が必要である、とされています。

労働時間は定年前の月172.5時間に対して再雇用後は96時間ということで45%減となっているのに対して、賃金については月収ベースの賃金の約75パーセント減となり、短時間労働者への転換を正当化する合理的な理由があるとは認められない。また、会社が本件提案をしてそれに終始したことは、継続雇用制度の導入の趣旨に反し、裁量権を逸脱又は濫用したもので、違法性があるとされました。その上で、店舗の減少を踏まえた提案であったこと、本人が遺族厚生年金を受給しており、再雇用後は高年齢雇用継続給付も受給できる見込みであり、扶養家族もなかったことから、直ちに生活を破綻させるものではなかった等の諸事情を総合考慮すれば、慰謝料額100万円とするのが相当とされました。

「継続雇用制度については、定年前後の労働条件の継続性・連続性が一定程度確保されることが前提ないし原則となると解するのが相当」というのはちょっと驚きです。定年で退職金も支払われた場合、再雇用後の業務や処遇に継続性や連続性が一定程度確保されるのは実務においてはなかなか難しいケースが多いように思います。

ちなみに、高年法のQ&Aでは以下のように示されています。

 Q1-9: 本人と事業主の間で賃金と労働時間の条件が合意できず、継続雇用を拒否した場合も違反になるのですか。A1-9: 高年齢者雇用安定法が求めているのは、継続雇用制度の導入であって、事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではなく、事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、労働者と事業主との間で労働条件等についての合意が得られず、結果的に労働者が継続雇用されることを拒否したとしても、高年齢者雇用安定法違反となるものではありません。

4月20日に長澤運輸事件、23日にハマキョウレックス事件の最高裁の弁論が開かれます。いよいよという感じです。

やっと厚手のダウンなどはクリーニングに出すことができましたが、なんだか今年は風が冷たく感じでコートが手放せない日が多いです。連休中ちょっとしたイベントがあり、〇十年ぶりに着物を着てみることにしました。これを機に新年会やお祝いの会に着物を着れるようになりたいと思うのですが、長時間「おしとやか」にしていられますかどうか。

昨日BBクラブの幹事会があり、夏の勉強会のテーマを決めました。今回は連合会の国際化推進特別委員会で親しくさせて頂いている元ILO駐日事務所次長の方に、「ILO条約と日本の労働法(仮)」を講義いただくことになりました。「労基法」がスタートではなく、そのベースにはILOの条約があることは社労士であっても意識していない場合が多いと思いますので、そういう意味では非常に良い機会になるかと思います。勉強してみると今まで見てきたものを違う側面から見れるような気がしてとても楽しいと思うこの頃です。