先週年金事務所の調査についてブログに書いたところいつもより多くの方が見て頂いているようで、調査対応について悩まれている人事担当者等が多いと感じましたので、今週と来週で労働局の「同一労働同一賃金の調査」について、多少の経験を元に留意しておく点などを書いてみたいと思います。
同一労働同一賃金はそもそも平成30年12月に「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」が公布・告示され、これがいわゆる「同一労働同一賃金のガイドライン」として裁判例と共に現在まで考え方の基礎となっています。
平成30年当時、同一労働同一賃金のガイドラインに沿って各社とも特に均衡待遇について合理的な説明ができるか、又は待遇差を解消するかを検討しました。その際慶弔休暇については正社員と契約社員の差をなくした会社さんが多かったと記憶しています。令和5年12月26日の労政審、雇用環境・均等分科会(第66回)の資料を見ると、正社員100とした場合の有期雇用パートタイムに実施した内容のベスト3は通勤手当(84.7)、法定外休暇(66.8)、慶弔休暇(61.8)です。逆に住宅手当等の手当関係、退職金などは実施が10.0前後ととても少なく、ただ人事評価、賞与、昇給は(45.0前後)と、思ったより実施していると感じます。
厚生労働省は、令和4年12月から「同一労働同一賃金の遵守の徹底に向けた取組み」を行っており、労働基準監督署ルートと都道府県労働局ルートの2方向から調査等を行っています。顧問先に監督署の調査のご連絡があり、事前に送られてきた調査票が同一労働同一賃金だったので、てっきり同調査と思い会社さんと事前に準備をしたところ、実際の調査は労働時間を中心とした労働基準法の調査であったことがあります。監督官に最後に同一労働同一賃金の調査はないのでしょうかと問いかけたところ、あれは労働局の担当なのでということでサラリとかわされ、後日労働局の同一労働同一賃金の調査が別にあったという事例がありました。思えば以下の取組みの流れを考えると当然で、労働基準監督署の監督官は「事実関係の確認」を行っていたのだということが分かります。
上記資料によると、労働基準監督署の「事実関係の確認」は、令和4年から令和5年11月までに39,174件、その中で対象企業を選定して都道府県労働局が「パート・有期雇用労働法に基づく報告徴収等」として同期間に7,983件、法違反があると「都道府県労働局長による助言・指導等」から不合理な待遇差の是正につなげます。法違反のない場合も雇用管理改善を助言として「働き方改革推進支援センターにおける相談・コンサルティングにより待遇の点検・見直しにつなげるとされています。
調査があるからというだけでなく、最近もかなり同一労働同一賃金についてはご相談が多く、特に待遇差について検討されることが多くなっているように思います。悩ましいものの1つが賞与ですが、正社員は成績等評価による支給、契約社員は慰労的な根拠と賞与の支給基準が異なるとことで額の差び説明がつくということで問題ないようです。ただ実際の調査の際には、正社員のみに精勤に係る賞与が別途年2回支給されていた場合、契約社員に対しても「均等・均衡待遇」の観点から支給を検討しては如何かという「提案」がありました。(来週に続く)
いよいよ梅雨明けで、これから暑い日が続きそうです。熱中症に気を付けて過ごしましょう。来週は年に2回のBBクラブの勉強会です。100名を超える参加のご連絡を頂いており、参加頂く方達にお会いできるのを楽しみにしています。