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労働時間「所定」と「法定」の違い

1月24日に渋谷労働基準協会さんが開催する「36協定集中講座」を皮切りに2月にかなりセミナーが立て込んでおり、ほとんどが働き方改革関連の改正であるため、12月(一部HPの公開は1月)に厚生労働省から発表された通達や資料について読み込んでみました。

12月に発表された「時間外労働の上限規制」「年5日の年次有給休暇の確実な取得」はともにわかりやすい解説と銘打っており、①法令解説編、②実務対応編、③Q&A、④参考、から構成されており、工夫された内容になっていると思います。

その中で「所定」と「法定」の違いというコラムがあり、確かにこの2つの考え方はしっかり理解しないと時間外労働の上限規制に対して誤った対応をとってしまう可能性があります。

元々昔から、労基法で定めた労働時間は「法定労働時間」に対して会社で定めた労働時間は「所定労働時間」という説明はしていました。その点についてはそれほど難しいことはないのですが、問題は休日の扱いです。労基法で法定休日は、1週間に1日又は変則休日制として4週間4日と定めており、土日が会社の定めた休日の週休2日制の場合、うち1日は法定休日に当たるわけですが、残り1日は法律で定めた休日ではなくその日に出勤したとしても法律上は休日出勤ではないという扱いになります。したがって法律上の休日ではない日に出勤したとした場合に、週40時間を超えて働いたところから時間外労働になることになります。

平成22(2010)年の労基法の改正により、60時間以上の時間外労働をさせた場合の割増率は50%と定められ、すでに大企業には2010年4月から施行されています。その際60時間のカウントをするときに、所定休日の出勤については時間外にカウントする場合があるということを認識することになりました。それまでは、法定休日と所定休日を明確に区分するという発想があまりなく、所定休日に出勤した場合も35%割増しの手当を支払えば損はしないので良いでしょう、という考えでした。しかし60時間を正確にカウントしないと、50%の割増賃金を支払うところ35%しか払わなかった場合未払い発生となるため、正確を期すということになったわけです。

なお、平成22年の改正当時出た「改正労働基準法に係る質疑応答」Q10に、法定休日が特定されていない場合について記載があります。

「法定休日が特定されていない場合で、暦週(日~土)の日曜日及び土曜日の両方に労働した場合は、当該暦週において後順に位置する土曜日における労働が法定休日労働となる。4週4日の休日制を採用する事業場においては、ある休日に労働させたことにより、以後4週4日の休日が確保されなくなるときは、当該休日以後の休日労働が法定休日労働となる。」

もし就業規則に「月曜日から1週間をカウントする」と定めておくと、法定休日が特定されていなくても土曜日・日曜日両方に労働した場合は、後順に位置する日曜日が休日労働となるということになります。

https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1k.pdf

今回中小企業についても2023年4月から時間外労働が60時間を超えた場合50%の割増率が適用されることと、大企業にも時間外労働の上限規制が2019年4月から適用されることを考えると、この法定休日について正確に理解してもらうことと、できれば明確に定めることは重要なことと思います。

昨年ゴルフクラブを購入し時々練習場に行っているのですが、軽くボールが飛んで行ったときの快感が少しわかるようになりました。まだコースに出たことはないのですが、練習ばかりしているのではなくすぐコースに出た方が良いですよと以前後輩社労士に言われたので今年はできればコースに出ることを楽しみにしています。

よく駅のホームでエアー素振りをしている人をみかけたりして、何が面白いのかな~と思っていましたが、それに近づくかもしれません。しかし運動神経がないことを自負している私としては、まずは仕事や勉強の気晴らしと運動不足解消と併せて家族交流が一番の目的といったところです。

大学院の方は、あと残すところレポートが一つとなり、何とか単位の方は予定通り取れそうな感じです。最後のレポートは立法過程について自分のテーマを取り上げるということなのですが、修論テーマとは異なり以前から興味をもって見ている「老人保健法」の立法過程を追ってみようと思いちょっとワクワクしています。

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全ての労働者の労働時間の把握について

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

今回の年末年始は9日連続休暇を取られた方も多いのかなと思います。ゆっくり休まれたでしょうか。今年は5月の連休もかなり長期休暇になる会社が多いかと思いますが、休暇という点からいよいよ本格的に働き方改革が始まる年という感じがします。

4月より働き方改革関連の法改正が行われることになりますが、その中でかなり大きな改正点として「すべての労働者の労働時間を把握する義務」があげられると思います。そもそもこれまでは管理監督者は労基法第41条の定めにより、「労働時間・休憩・休日の適用除外」とされているため労働時間の把握義務は使用者にはなかったわけです。また、裁量労働者については、労基法第38条の3の定めにより「労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なもの」ということで労働時間の把握義務が同じく使用者にはないということになっていました。ただし安衛法の面接指導の規定は適用されるということである意味間接的に把握義務があるという作りになっていました。

今回の改正ですべての労働者の労働時間について、使用者は労働時間の把握義務があるということが明確になりました。関係のリーフレットなどに書かれていますので既に認識されている方が多いと思いますが、法律条文がどのようになっているかという点について触れてみようと思います。

安衛法66条の8の3 事業者は、第66条の8第1項又は前条第1項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定め る方法により、労働者(次条第1項<いわゆる高度プロフェッショナル制度>に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。

上記安衛法の規定で時間把握について除かれている高度プロフェッショナル制度対象者については労基法において、労働時間だけではなく「労働時間と事業場外において労働した時間との合計時間である健康管理時間」を把握する措置が義務付けられています。

労基法第41条の2,3号  対象業務に従事する対象労働者の健康管理を行うために当該 対象労働者が事業場内にいた時間(この項の委員会が厚生労働 省令で定める労働時間以外の時間を除くことを決議したときは 、当該決議に係る時間を除いた時間)と事業場外において労働 した時間との合計の時間(略「健康管理時間」という。)を把握する措置(厚生労働省令 で定める方法に限る。)を当該決議で定めるところにより使用 者が講ずること。

今回、管理監督者については、労基法における労働時間等の概念がないことについてはそのままにして、安衛法において労働時間の把握義務を設けたところはやはり「健康管理のため」という目的があることが主たる理由であると思いますが、ちょっと違和感も感じています。

今年のお正月は年明けに備えて大掃除や駅伝観戦の合間に、セミナーレジュメやレポートに取り組んでだいぶはかどりました。4日に出社したときに36協定集中という1月に渋谷労働基準協会で行うセミナーのレジュメをひらこうとしたら12月31日0時〇分とあり、アレそんな時間にやっていたんだっけと自分でびっくりしてしまいました。働き方改革からしたら全く劣等生の私なのですが、TACの講師時代から社労士の仕事や勉強が楽しくて面白くて仕方ないという感じでここまで来てしまいました。そういう仕事に巡り合えたことは人生においてやはり幸せなことと思っています。

初詣では「大吉」が出ましたし、今年は周りに迷惑はかけないように気を付けながら元気に行きたいと思っています。宜しくお願いします。

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2019年ゴールデンウィーク10連休

2019年の10連休のゴールデンウィークについてのアンケート結果が11月5日以下の通り発表されました。
 
世界最大級の総合旅行サイト・エクスペディアの日本語サイト、エクスペディア・ジャパンは、「20代~50代の社会人経験のある男女」を対象に「ゴールデンウィーク10連休に関する意識調査」を実施いたしました。
「ゴールデンウィーク10連休の認識率は約8割!「嬉しい」と「嬉しくない」の声は半分に割れる」という結果だそうです。以下抜粋です。

 先日、2019年のゴールデンウィークが10連休になる方針が表明されました。このことを知っているか聞いたところ、約8割が認識していることがわかりました。しかし、ゴールデンウィーク10連休になることが「嬉しい」と答えた人は54%、そして「嬉しくない」と答えた人が46%と、回答が真っ二つに分かれる結果になりました。
 
「嬉しい」という答えが多かった職業は「公務員」「会社員」などの方々。「家族で出かける計画をしているから楽しみ」や「旅行にも行けるし ゆっくり休める」、「普段できないことや、行けないところへ出かけるチャンス」など、喜びのコメントが続きました。
 
 一方で、「嬉しくない」と答えが多かった職業には「専門家(医師・弁護士・会計士など)」 「主婦(夫)」 「パート・アルバイト」が並びました。専門家の方からは「祭日も仕事なうえ、人手不足で忙しくなる」、主婦の方からは「子供や夫が家にいるから炊事、家事が大変に」という声が。また、サービス業の方からは「毎日忙しくなるから怖いだけ」「国民全員に連休が取得できるように配慮するべき」という声があがりました。連休は、立場や業種などによって、一概に嬉しいものではないようです。
 
「10連休は休めるか」という質問です。およそ7割が「休めない」または「わからない」と回答しています。
 来年のゴールデンウィークが10連休になった場合、暦通り10連休になりそう、と回答した人は35%にとどまりました。32%は「休めなさそう」、そして33%は「休めるかわからない」と回答しました。
 
特に興味を引いたのは以下の部分です。
 
 そもそも社会人になってから10連休の経験があるかを聞いたところ、およそ7割が「10連休をとったことがない」という結果がでました。社会人になってから取れた最も長い連休日数で1番多かったのは「5日」(17%)という結果となり、暦通り休むことはもちろん、長期の休みを取るのは難しいことが伺えます。

私も社労士になってから約26年間、10連休というのはとったことがないような気がします。7割の社会人にとって未知の10連休ですが、超リフレッシュして連休明け仕事を再開できるのか?または仕事に行くのがひどく億劫になるのか、試行的な意味で楽しみです。ちなみにOURSは10連休を決心しました。私は半分はのんびり、半分は勉強しようと思っています。
 
今日はクリスマスイブということで、街はかなりの人手でした。長男が小さなころはツリーを買ってきて人並みに飾りつけをしたりしたのですが、今はそれらの飾りも箱の中にしまいっぱなしで、点滅するライトが飾られている小さなツリーを毎年飾ることでクリスマス気分を味わうことにしています。
 そしてクリスマスが終わると大掃除とお正月の準備にかかるわけですが、この1年間は本当にあっという間でした。この頃手抜きも甚だしい主婦業と仕事と大学院生という3足の草鞋を何とかこなせたことに感謝して、またブログを読んでます!と声をかけてくださった皆様にも感謝して、1年の締めくくりとしたいと思います。
来週は年末大掃除にいそしんでいると思いますのでブログはお休みさせて頂きます。よいお年をお迎えください。
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出向者の労災保険の適用について

出向者の労災保険の適用について、これまで当たり前のように出向元から賃金額情報を頂いて出向先で保険料を納付するという扱いをしてきたのですが、レポートを作っている中でその根拠の通達に触れましたので一応ここにあげておこうと思います。

出向労働者に対する労働者災害補償保険法の適用について(昭和35.11.2基発932号)
ある事業(以下「出向元事業」という。)に雇用される労働者(以下「出向労働者」という。)が、その雇用関係を存続したまま、事業主の命により、他の事業(以下「出向先事業」という。)の業務に従事する場合における労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。)の適用は、左記のとおりとするので、関係事業主に対し、この旨指導されたい。

一 出向労働者に係る保険関係について
出向労働者に係る保険関係が、出向元事業と出向先事業とのいずれにあるかは、出向の目的及び出向元事業主と出向先事業主とが当該出向労働者の出向につき行なった契約ならびに出向先事業における出向労働者の労働の実態等に基づき、当該労働者の労働関係の所在を判断して、決定すること。
その場合において、出向労働者が、出向先事業の組織に組み入れられ、出向先事業場の他の労働者と同様の立場(ただし、身分関係及び賃金関係を除く。)で、出向先事業主の指揮監督を受けて労働に従事している場合には、たとえ、当該出向労働者が、出向元事業主と出向先事業主とが行なつた契約等により、出向元事業主から賃金名目の金銭給付を受けている場合であつても、出向先事業主が、当該金銭給付を出向先事業の支払う賃金として、労災保険法第二五条〔現行徴収法第一一条第二項。以下同じ〕に規定する事業の賃金総額に含め、保険料を納付する旨を申し出た場合には当該金銭給付を出向先事業から受ける賃金とみなし、当該出向労働者を出向先事業に係る保険関係によるものとして取り扱うこと。
二 前記一の後段に係る事務取扱
(一) 保険料の納付について
出向元事業主が、出向先事業主との契約等により、出向労働に対して支払う賃金名目の金銭給付を、出向先事業に関する労災保険法第二五条に規定する賃金総額に含めたうえ、保険料を算定し、納付させること。
(二) 平均賃金の算定について
出向労働者につき業務上災害が発生し、保険給付のため平均賃金を算定する必要が生じたときは、出向元事業主が、出向先事業主との契約等により、出向労働者に対して支払う賃金名目の金銭給付を、出向先事業が支払つた賃金とみなし、出向先事業の出向労働者に対し支払つた賃金と合算したうえ、保険給付の基礎となる平均賃金を算定すること。この場合には、出向元事業主の上記金銭支払明細書(ただし、前記平均賃金を算定するための所要時間内に支払われたものに限る。)について出向先事業主の承認をうけ、これを補償費請求書に添付して提出するよう受給権者を指導すること。
なお、前記平均賃金の算定が、労働基準法第一二条第二項の規定によるべき場合で、出向元事業の賃金締切日と出向先事業の賃金締切日とが相違するときは、それぞれに係る部分について各別に計算し、両者の合算額を、保険給付の基礎となる平均賃金とすること。
(三) 休業補償費のスライドについて
労災保険法第一二条第四項の規定による労働基準法第七六条第二項の規定の適用については、「出向先事業場における同種の労働者」を「同一の事業場における同種の労働者」として取り扱うこと。従つてたとえ、出向労働者が災害後出向元事業に復帰している場合であつても、同様であること。
(四) 保険料率のメリツトについて
労災保険法第二七条〔現行徴収法第一二条第三項〕の規定の適用については、出向労働者に対する保険給付を、出向先事業に対する保険給付として取り扱うこと。
(略)

上記アンダーラインにある、「保険料を納付する旨申し出た場合」とあるのが気になります。確かそのような申し出はなかったと思うのですが。また平均賃金の算定方法が詳しく記載されているのも発見ではありました。

大学院の秋学期は1科目だけテストをする授業があります。大学院の勉強の目的からいってちょっと違うのではという気がするのと、以前はあまり苦にならなかった記憶というものが最近非常に難しく、困ったことになったものだと思いました。案の定、前回のテストは準備をしたもののいざ解答用紙に向かったら頭が真っ白で、それでも何とかいくつか思い出したキーワードを書いてしのぎました。

前回はヤマをはったテーマに対して作った「文章」を覚えようとしたのが失敗だったかなと思い、今回は、文章はサッと2度ほど読んだだけで、とにかくキーワードをお風呂の中で、布団の中で、電車の中繰り返し、解答用紙が配られたらまず覚えたキーワードを書き出して、それからおもむろにキーワードを入れながら文章を考えるという方法にしてみました。キーワードを覚えるのも以前に比べると苦労でしたが、それでも今回はほとんどのキーワードを入れることができて、まだまだ何とかなりそうだと少し自信になりました。

それにしてもTACで講師をしていたころ今の私くらいの年齢の受講生がかなりおられ、一生懸命勉強されていた姿が良く思い出されます。あの膨大な記憶力を要求される社労士試験によく皆さん合格されたと本当に今更ながら尊敬の念を覚えます。 

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中小事業主の特別加入の業務上外の認定について

中小事業主の特別加入については、業務上の認定について厳しい条件が課せられます。昭和50年に発出された671号通達にはまず以下のように大前提が示されています。

「特別加入制度の趣旨はその業務の実情、災害の発生状況等に照らし実質的に労働基準法の適用労働者に準じて保護するにふさわしい者に対し労災保険を適用しようとするものである。したがって、特別加入者の被った災害が業務災害として保護される場合の業務の範囲は、あくまでも労働者の行う業務に準じた業務の範囲であり、特別加入者の行う全ての業務に対して保護を与える趣旨のものではない。」

その上で、中小事業主の特別加入の業務遂行性が認められるポイントとしては以下のような場合とされています。

特別加入申請書別紙の業務の内容欄に記載された所定労働時間(休憩時間を含む。)内において、特別加入の申請に係る事業のためにする行為及びこれに直接附帯する行為(生理的行為、反射的行為、準備・後始末行為、必要行為、合理的行為及び緊急業務行為をいう。以下同じ。)を行う場合
・所定労働時間内であれば、労働者を伴っていたか否かは問われません。
・事業主の立場において行う事業主本来の業務を行っている場合は、労働者が行う業務に準じた業務ということはできないので、業務遂行性は認められません。

・事業主本来の業務を行っている場合とは、たとえば、法人等の執行機関として出席する株主総会、役員会、事業主団体等の役員、構成員として出席する事業主団体の会議、得意先等の接待等(資金繰り等を目的とする宴会、親会社等のゴルフ接待等)に出席する行為などということになります。

さらに厳しいことに、中小事業主が商談、集金等のため外出し、途中で事業主団体等の会議に役員、構成員として出席する場合は、商談、集金等の業務行為が終了した時点で業務遂行性は失われるとされています。

②労働者の時間外労働又は休日労働に応じて就業する場合

こちらについては、労働者が時間外労働を行っている時間の範囲において業務遂行性を認めるとされており、労働者と一緒に残業等を行っている場合になります。

③①又は②に接続して行われる業務(準備・後始末行為を含む。)を特別加入者のみで行う場合

労働者が帰ってから特別加入者が1人で残業しているケースは通常の時間又は残業時間に接続している場合になります

このほか業務上外の認定についていくつかあげられているのですが特に特別加入者において特徴的な考え方は上記の3条件ではないかと思います。親会社のゴルフの接待は、労働者でも出席することがあると思いますし、中小事業主の一人として思うのは、社員7,8人くらいの規模までであれば9割がた労働者と同じ仕事をしていると思うのですが・・・。

特に慎重に検討する必要があるのは特別加入の申請時に記述する業務内容です。こちらに書かれている業務内容に該当しない行為中のけが等の場合、たとえ②や③をクリアしても業務上の認定はされないことになります。

それでは、特別加入の申請をするのは控えておく方が良いかということについてですが、やはり特別加入をしておく方が良いと考えます。通勤災害の場合は通常の労働者と同様に扱われますし、休業補償給付については、賃金の支払いの有無を問わず支給されます。特別加入者については自身の報酬に合わせて算定基礎日額を選択することができること、労災保険はそれほど保険料が高くないことなどを考えるとやはり特別加入は申請しておく方が良いと思います。

先週は連合会の社会保険労務士制度創設50周年のお祝い一色になりました。特に水曜日に行われた式典については天皇陛下のご臨席を賜りとても感動しました。火曜日は前夜祭、水曜日は式典・シンポジウムと祝賀会、木曜日は午前中が連合会主催の「国際シンポジウム」、午後はILO主催の「日本の社労士制度に関する国際ラウンドテーブル」と懇親会と非常に充実した内容で海外の社労士制度に類似した制度やインドネシアに導入されたプリサイという社労士制度の状況報告や意見交換が行われました。金曜日はそのプリサイの人達がうちの事務所に見学に来られ、事務所で行っている業務や事務所のこれまでの歴史を説明したり、電子申請を見てもらったりしました。

さてこれで一段落。年末まであと発表が一つ、名古屋出張で役員向けセミナーが一つ残っていますがオオ山は超えた感じです。年末は少しゆっくりしてクリスマスを楽しみたいと思います。

全国社会保険労務士会連合会社労士制度創設50周年記念祝賀会

 インドネシアの社労士=プリサイの皆さんのOURS事務所見学の様子

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法律が施行されるまでの過程について(与党審査)

法律のできる過程については想像以上に色々な手順が踏まれているのだということは以前のブログでも取り上げています。

そもそも法案には、内閣提出法案と議員提出法案があるのですが、内閣提出法案については、各省庁が原案を作成して省内調整や省庁間の調整後「内閣法制局審査」を経て国会に提出する前に「与党審査」が行われます。

この与党審査というのは、国会に提出前、事前にその法案について与党の了承を得ることなのですが、特に法律上の根拠があるわけではありません。これまでも小泉政権時代と民主党政権時代に与党審査制を廃止すべきとということで改革を進めようとしたことがあったようです。特に民主党への政権が交代した際には、与党審査の廃止を決定して内閣において意思決定を行うこととし仕組みを変えたのです。しかし与党議員の意見などを聴く場がないということで不満が高まり、上手く行かなかったといういきさつがある様です。

与党審査の機能としては、国会への法案が提出された際に、与党議員に党議拘束をかけて円滑な国会運営を図り確実に成立までもっていくため、事前に与党内の反対意見を聴く場を設ける等意見を調整していく調整機能があります。また政府と与党の一体性を確保することや、各立ち位置での利益の調整、与党(自民党)の立案能力等の向上、省庁間の縦割り行政の弊害が緩和されるなどの効果があります。

しかし弊害として、憲法に定める統治機構外部にある与党というインフォーマルな場での不透明な政策決定、政府・与党二元体制による責任の不明確さ、国会審議の形骸化、利益誘導の分配の政治構造、族議員の癒着等、党議拘束による個人意見表明の制約などがあげられるということです。

国会の審議前にある程度でき上っているというのは前回のブログの際にも書いたのですが、かなり強固な仕組みが出来上がっているという感じです。

しかし年金にしても立法にしてもそうなのですが勉強していると民主党政権下で行われた改革が一つの重要な転換点になっていることが多いと感じます。かなりの部分で失敗に終わっているのですが、長く続いた自民党政治に対する風穴を開けた部分もあるようですし、結局難しくなし崩しに終わってしまった改革もあるようですが、いずれにしても今となっては日本にとって無駄ではない経験であったのかな感じます。

残すところいよいよ今年もあと1か月となりました。先週は収録・発表・セミナーとたて続き、前倒して準備はしていたのですがいっぱいいっぱいでした。11月がかなり忙しかった代わりに12月の方が少しゆとりができそうで嬉しいです。まあ自分で選んで忙しくしている面もあるので仕方ないとは思いますが。

今週は、社会保険労務士制度創立50周年記念ということで、連合会のイベントなどが4日間続きます。前夜祭では今年3回目の着物も頑張って来てみる予定です。2日目は式典が開催され、3日目は連合会で担当させて頂いている国際化推進特別委員会のシンポジウムがあり、この10年間連合会が取り組んできた国際化の事業が一つの結実した形で発表できる機会になります。私自身のこの事業への参加は5年目でしかないのですがお手伝いできたことが嬉しく楽しみにしています。翌日4日目はインドネシアの訪問団が事務所に見学に来られる予定ですので、あっという間に1週間が終わりそうです。 

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オンライン資格確認について

「オンライン資格確認」がある会議資料に載っていたのでどのようなものなのか興味を持ち調べてみました。昨年11月8日の第108回社会保障審議会医療保険部会の資料として厚生労働省保険局から提出された資料に内容が書かれています。

その資料によると、まずは「(医療保険の)被保険者番号の個人単位化と資格履歴の一元管理」を目指しているということなのです。現状の課題としては、現在の被保険者番号は基本的な世帯単位とし、保険者は特に被扶養者の状況はあくまで求めていないが、適切な保険制度の運用のためにも、保険者として、個人単位での状況把握をどう行うかとしています。

また各保険者でそれぞれ被保険者番号を付番しており、資格管理も保険者ごとに行われ、加入する保険が変わる場合、個人の資格情報は引き継がれず、継続的な資格管理がされていないことが課題となっています。

この対応方針として、加入する保険制度が変わっても、個人単位で資格情報等のデータをつなげることを容易にするとしており、被保険者番号を個人単位化した上で、医療等分野の情報連携に用いるIDとしての活用も想定しているということです。支払基金等で被保険者番号等の履歴を管理することになるということです。

また「オンライン資格確認」については、現状の課題として、現行の健康保険証による資格確認では、資格喪失後の未回収の保険証による受診や、それに伴う過誤請求が請求時に判明し、保険者・医療機関等の双方に負担が発生していることがあげられています。

この対応方針としては、マイナンバーカードの電子証明書を保険医療機関・薬局の窓口で読み取って、受信時やレセプト請求前等にオンラインで支払基金等に資格情報を紹介・確認する仕組みを整備するということです。なお、健康保険証のみを持参した場合は、券面の新被保険者番号により、資格情報の有効性を確認するとしています。

この仕組みが完成すれば、転職により所属する保険者を変更した場合であって保険証がまだもらえないという状況で受診した場合であっても、受診した病院でマイナンバーカードによる資格確認が可能になるのではないかと考えます。個人単位の新しい被保険者番号を記載した健康保険証は、保険者等と調整して確定の上、平成31年度以降順次、発行していくとしています。

 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000183858.pdf

この秋は、息子の結婚や母の入院があった上に、大学院の発表が途切れなくあり小淵沢の家に行くチャンスがなかったのですが久しぶりに週末行くことができました。しかし、しばらく空けておいたためなのかとにかく家のなかが寒くてびっくりしました。容量オーバーによるブレーカーの落ちるのと闘いながら、電気ストーブや石油ストーブで各部屋を暖めて何とか人心地着く状態になったのは朝目覚めてからという感じで、いよいよ冬を実感しました。

色々調べたり、食事に行ったお店ではどうしているのかを見て、足元を暖めるパネル状のヒーターが、夜中もつけておけるし、デロンギのパネルヒーターと異なり、使用ワット数が100W前後ととても小さいので早速購入してみようと思っています。いよいよ寒さ本番になりますね。

 

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日本の認知症施策について

厚生労働省が示している認知症施策についてまとめる機会があり、そこに示されている施策の数々に少なからず驚きました。そもそも認知症対策としては平成24年に「オレンジプラン」が策定されていたところ、平成25年12月に英国で「G8認知症サミット」が開催され、世界的に認知症に対する対策についての展開に向けて協働することとされました。

その後日本は平成27年1月に「新オレンジプラン」が策定され、7つの柱がかかげられています。7つ目の柱である「認知症の人や家族の視点の重視」を重要な柱として位置づけたことが特徴となっています。これまでの認知症の人を支える側の視点からの取組みからの変化ということになります。

その施策の中で興味を持ったのが「認知症カフェ」です。どのようなものなのか全く知識がなかったため、書籍(浅岡雅子「魅力あふれる認知症カフェの始め方・続け方」〈2015.10.16・翔泳社〉)を購入してみました。「認知症の人や家族が気軽に立ち寄れる場」として注目されている認知症カフェを、解説・運営・支援のすべてを紹介するという本ですが、そこから少し紹介してみようと思います。

認知症カフェには色々なお客さんがやってくるとして、「軽度認知障害(MCI)の人、認知症初期の人、認知症初期の人に同伴する家族、認知症の人を伴わず単独で参加する家族、地域の認知症サポーター、認知症の人の友人・知人、認知症になるのではと心配している人、認知症のことを理解しようと思っている地域の人、セミナーなど行う認知症外来の医師等外部講師、認知症相談に対応するケアマネージャー等専門職」があげられており、認知症カフェは、認知症の人やその家族が「気軽に立ち寄りたいと思うようなリラックスできる場所」であることが基本ということです。

認知症カフェの3要素として「楽しむ(カフェとしてお茶とお菓子おしゃべりを楽しむ・コンサートの催しなど)」、「相談する(医師・ケアマネに相談、家族通しアドバイス)」、「学ぶ(セミナー・勉強会)」があり、地域包括支援センター・NPO法人・家族会・介護機関・医療機関などが主催しているということでそれぞれ事例が載っています。

認知症カフェは毎日開店しなければいけないというものではないそうです。

カフェ好きの私としては興味をひかれたのですが、今後高齢者が多くなれば認知症カフェのような場が身近にできるのかもしれません。それにしても、高齢の親を見送り見守る私の経験からして考えるに、新オレンジプランの内容が病院から紹介されたこともないですし、重要な役割を果たしているという「認知症サポーター」にお目にかかったこともなく、友人との話にも出てきたこともないのはどういうことなのかと不思議に感じます。

週末は久しぶりに広島に出張してきました。東京に戻りその足で授業に行くなど強行軍でしたが、訪問先企業の地方都市ならではの大きな空の下壮大な敷地内の新しいビルも訪問できましたし、一緒に行ったスタッフと社労士事務所の今後の戦略など時間を気にせず話ができたり、地元の美味しいものを食べたりなかなか充実した出張となりました。

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法源について

法源として認められる形をとる規範には、当然に法的拘束力が認められます。どこまでの範囲で法的拘束力があるかというのは社労士業務の中でも大事だと思います。法源のリストとしてあげてみると以下のものがあります。

①憲法、②条約・・・条約と憲法のいずれが優位かについては議論があります、③法律、

④命令・・・政令や省令など、行政機関によって作られる法規規範をまとめて「命令」といいます。命令のうち最も重要なのは内閣で定める「政令(施行令)」です。その他内閣総理大臣が定める「内閣府令」、各省の大臣が定める「省令(施行規則)」、各委員会・各庁の長官が定める「規則」などがあります。

⑤条例・規則・・・地方議会が定める「条例」、都道府県知事や市町村長が定める「規則」などがあります。

⑥慣習法・条理‥文章にはなっていないが慣習が法として認められた慣習法や社会通念と呼ばれる条理(法)があります。

ところで「告示」は法的拘束力を持つかどうかというと、これは法的拘束力を持たないものとされていますが、官報等に掲載されるという点では法律や政省令と同じであり、個別判断で法的拘束力があるといえるような場合もあります。

また「通達」は、行政において重要なものではありますが、法源のリストには入っておらず、法ではなく行政内部規範にとどまるものです。

今年の社労士試験の発表が金曜日にあり、OURSでは2人が合格するという事務所開設以来の快挙でした。仕事をしながらの受験勉強は大変だったと思いますが良く頑張ってくれました。資格を取得したことで、これまでとはまた違った仕事への気持ちが生まれるのではないかなと思いますが、社労士としてどのように育っていってくれるか楽しみにしています。今回合格した2人は昨年の夏事務所で開いた勉強会の参加メンバーだったので勉強の進度や状況もある程度わかっていたので嬉しかったです。私の受験指導の知識は心もとなくなっていますが、受験生に迷惑にならない程度に来年はまた開催してみようかなと思いました。

今回涙をのんだメンバーや受験生については、また気持ちを新たに合格を目指して欲しいと思います。社労士の受験については合格するまで続ければ「成功」なのですし、人生の中で社労士の資格を取得するということは大きな財産になるですので、決してあきらめないでもらいたいと思います。

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マネジメントについて

マネジメントについては学問的に学んだことはほとんどなく、社労士として企業のご相談を受ける中で学んだことや、自分の事務所の運営の中で学んだことが私の思考の中では中心となっています。約10年前くらいにやっと事務所が10人になるかならないかという時、当時助っ人として事務所に入ってくれていた優秀なスタッフに「事務所のマネジメントがなっていない」と指摘を受けて、それまではまるでサークルのように仲間としてやってきたところが、この人数になればそれは通用しないのだと感じました。それからずっと事務所を運営する中で「マネジメントはできているか」ということは私の課題であり、当初は全く五里霧中であったものが今もまだまだだとは思いますが、少しは分かったこともあると思っています。

事務所は現在20名を数名超えた状態で、この10年間でマネージャー、班長とスタッフ層という重層構造ができており、その組織を作っていくのは計画的に考えたので、比較的スムーズに出来上がっていったと思います。マネージャー、班長層はそれぞれの個性があり、数名のスタッフをそれぞれの個性によりマネジメントしているように見えます。以前管理職の準備のため読んだ本に、最初は3名程度の部下をマネジメントするのがスタートとあったため、うちの事務所でもそれくらいで一つの班を形成し班長がマネジメントし、その班複数についてマネージャーがマネジメントする、というイメージを持っています。いまのところ人数的には複数の班をマネジメントするスタッフはいないのですが、今後そんな感じになっていきそうな雰囲気はあります。

マネジメントの1つのイメージとしては「我慢」です。今の事務所は、スタッフのスキルと能力が集まって出来上がったと思うことが多々あり、私ができない仕事も沢山あるのですが、自分がやってみたいなと思う仕事がないわけではないのです。しかしそこは我慢してスタッフにやってもらって自信をつけてもらおう、ということは常に考えています。

またどこまで自分でやるべきか、どこからは任せるべきかという点でも、我慢はポイントになります。自分でやった方が早いかなと思う場合であっても、少し時間がかかっても経験してもらわなければ将来が開けてこないわけなので、そこは待ちの姿勢に入り我慢することがあります。

自分がやらなければならないこと、我慢して動かない方が良いことは何かを、立場に応じてしっかり判断するという点においては組織で仕事をしていく以上重要なことで、管理職だけでなくスタッフ層についても(セルフマネジメントを含めて)すべてに通じることではないかと感じています。

八百屋さんに行ったところイチゴが登場していました。いよいよメリークリスマスに一直線でしょうか。11月はセミナーの準備3つと大学院のレポートが3つというかなり切羽詰まった状況です。この分で行くとあっという間に12月に突入しそうなので、いつも頼んでいる年末大掃除浴室3点パックとおせちをネットで予約しました。12月にはいれば少し楽になる予定なのですが今しばらくは頑張らなければなりません。

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立法学

大学院の秋のカリキュラムには「立法学」があり、法律の成立過程や各機関等の役割を学んでいます。法律ができるまでには非常に多くの工程があり驚きます。

まず法律提出には、内閣提出法案と議員提出法案があります。ちなみに社労士法など資格に関する法律は議員提出法案がほとんどのようです。しかしその数としては内閣提出法案が圧倒的に多いということです。

内閣提出法案についてどのような工程を踏み施行までたどり着くのかというと以下の通りです。

各省庁による原案作成→省内審査→各省協議→内閣法制局審査→与党審査→閣議→国会提出→(本会議趣旨説明)→委員会審査→本会議可決→成立→公布→施行

非常に多くの工程を踏んで施行に至ることは分かりましたが、特に内閣法制局審査については知識がなかったので少し勉強しました。

内閣法制局というのは明治18年12月、内閣制度の創設に伴い設置されたとされています。戦後いったん解体された後、昭和23年に法務庁設置法により法務総裁の所管の下に法制局が置かれることになり、法務庁が法務省となり、法制局も再び内閣の補佐機構としての地位を与えられました。

内閣法制局の主な業務は、以下の通りです。

・法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣および各省大臣に対して意見を述べる「意見事務」

・閣議に付される法律案、政令案及び条約案を審査する「審査事務」

この審査については、下は文章の点の付け方から、上は憲法をはじめ他の法令との対照、抵触の排除におよぶものであり、具体的には法律として制定する必要性、規制・手続等について、憲法を頂点とする既存の法体系との整合性を確認、表現の統一、条文配列の論理的整序、文章の正確さを厳しく審査するということです(中島誠「立法学第3版」〈法律文化社2014〉P83より抜粋)。

この審査は、1日10数時間、連日連夜行われるという激務になるそうで、その審査を経るので日本の法律は裁判所による違憲審査も少なく、法的安定性が確保されていることに繋がっているということなのです。

いよいよ65歳定年制及び66歳以上継続雇用制度の流れが明確になってきたようです。連合会で受託した各企業にこれらを提案するという事業については、この秋から冬にかけて顧問先に回りご説明してみようと思います。

人生100年時代に突入したといっていい現在、年金制度はそこまでの受給年数について設計されておらず、そうであれば雇用延長と合わせて年金支給開始年齢を選択できるということになるのかと思います。勉強していると医療制度も大きな見直しが必要であることを実感しますし、日本の誇る国民皆年金・皆保険制度を持続可能とするための大きな改革の時期が来ているように思います。

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老人保健法が廃止に至った理由

先週に引き続き「老人保健法」が廃止に至った理由を少し触れてみようと思います。老人保健法が廃止に至ったのは、先週も触れていますが、加入者按分率を創設当初は50であったものが100にまであげてしまったこととされています。

老人保健拠出金の計算は以下のように定められていました。

(A式)当該保険者の老人医療費総額×(全保険者の平均老人加入率÷当該保険者の老人加入率)×加入者按分率×(1-公費負担割合)

(B式)当該保険者の老人1人当たり医療費×当該保険者の加入者数×全保険者の平均老人加入率×加入者按分率×(1-公費負担割合)

「加入者案分率」とは、老人医療費のうち老人が加入している割合の格差による負担の不均衡をどの程度まで調整するかという役割を担っています。調べたところによると次のような変遷をたどっています。1982年2月~50%、1983年度47.2%、1984年度45.1%、1985年度44.7%、1987年1月~80%、1987年度~90%、1991年度100%。これをみると1987年からいきなり財政状況が悪くなったためなのか、加入者按分率が急速に引きあげられたことがわかります。

加入者按分率が100まで上がったという理由については、老人保健法の制度成立当初の退職被保険者の数に読み違いがあり、要するに被用者保険者が負担する予定であった被用者OB分の額が見込み額に比べて少なく、国民健康保険が負担する費用が予想より大きくなってしまったためだったということです。

退職被保険者になるには、「被用者年金加入期間が20年以上もしくは40歳以降に10年以上」を要件としており、実際老齢(退職)年金を受給している必要があります。今は経過的に若干残っている制度となってしまいましたが、老人保健法が廃止される前はサラリーマンが定年退職後ほとんど適用となっていた制度です。ちなみに、何故医療なのに年金受給が条件なのかと思っていたのですが、「対象となる退職者を把握するには過去のデータを持っている被用者年金を利用する」というある意味アイディアがあったようです(「戦後社会保障の証言―厚生官僚120時間オーラルヒストリー―」〈有斐閣〉より)。

医療保険制度については、後期高齢者医療制度も含めて再度見直される公算が大きいと思います。今後医療制度全体について真剣に抜本的な改革を検討することになると思いますので、過去の制度の総括し、振り返る価値はあるのかなと思っています。

今回ゼミで上記の書籍(オーラルヒストリー)を取り上げることになったため、読んでみて実感したのは、なかなか書籍の中で文章とはなってこない「語られること」は文章と伝わってくる内容が違うということでした。文章ではある程度結果的な事柄が書かれているわけですが「語り」においては結果より経緯が詳しく語られ、その中の一言で鮮やかにイメージできたりすることが何回もありました。そういう意味では授業やセミナーも同じなのかもしれないと感じました。

先週、尊敬すべき女性の先輩とランチをしたとき、スマホにキンドルを入れてバンバンそれも源氏物語や蜻蛉日記から夏目漱石まで読んでいると教えてもらいました。スマホで読むと7分間だけ電車に立っているあいだであっても読めるし文字も適度な大きさにすることができて、又無料版もたくさんありすごく良いということでした。すごいなあと思うと同時に元気をもらいました。キンドル版が大学院で使う書籍にはほとんどないので残念ですが、早速キンドルをスマホにダウンロードしました。

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老人保健法と退職者医療制度

2008(平成20)年に高齢者医療制度(後期高齢者医療制度と前期高齢者医療制度)が発足するまでは、1983(平成58)年から施行された「老人保健法」とその翌年施行された「退職者医療制度」で高齢者の医療費に対する財政調整は行われていました。高齢者医療制度については、我が国が高齢化対応に迫られるようになってから常に議論されています。

老人保健法については、所属している各医療保険者の被保険者のままに財政調整が行われる仕組みであり、この老人保健法の対象年齢である70歳に至るまでの退職者医療保険制度は被用者OBを現役被用者が支えるといういわゆる突抜方式といわれる方式を採っており、当時から合理的な制度であると私は考えていました。しかし、各医療保険者の負担が重くなり見直すことになり、現在の後期高齢者医療及び前期高齢者医療制度が創設されることになりました。

なぜ各医療保険者の負担が重くなってしまったのかについて調べてみたところ、老人保健法の制度のスタートにおいては50であった「加入者按分率」を一挙に100まで引き上げたこととされています。老人保健法の財政調整の方式は、各保険者に加入している老人の割合を問わず、その保険者数の加入者数に応じて拠出するという、老人医療費から公費負担を除いた医療費を各保険者の加入者の頭数で割り振るという仕組みでありました。そこで算出された費用の額に加入者按分率を乗じるわけですが当初50%が10年で100%になるとはやはりあまりに急激すぎたのだろうと思われます。

被用者保険に属さない者はすべて国民健康保険がカバーし国民皆保険を成り立たせるという日本の医療保険制度の基本設計においては、高齢化の影響は定年後加入するケースが多い国民健康保険に特に大きく、負担が重くなりすぎる。この構造が変わらないかぎり後期高齢者医療制度という独立した保険制度を作ったとしても保険者間の財政調整は必要となり現役世代の重い負担は解消されないように考えます。日本の医療保険制度を考える上でヒントになりそうな気がしますので、老人保健法が廃止となった理由をもう少し調べてみたいと思います。

昨日は一人息子の結婚式でありました。2人で並ぶとお似合いの、ゆったりとしたいつも自然体のお嫁さんを迎えて、また大勢の友人に囲まれて、終始幸せそうでした。TACの講師時代は、やれ大学受験だ、就職活動だとずいぶん授業でも登場させましたが、大学入学後の19歳から一人暮らしをはじめました。従って最近は全くといってよいほど面倒を見ていなかったのですが、やはり結婚するとなるとお嫁さんにお任せできるとほっとした気持ちになるものです。

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時季指定年休の罰則適用について

朝日新聞の7月19日付で改正労基法の年次有給休暇に係る罰則についての記事が載っているというご連絡を顧問先から受けました。7月18日の労働政策審議会の審議についてはまだ議事録が見れない状況なのですが、そこでの見解であろうと思われます。違反について罰則がかかるのは企業単位なのか労働者1人当たり単位なのかというご質問はほかの会社さんからも若干受けていますが、今回の厚労省の見解は労働者1人当たりであるということです。

働きかた改革法の来年4月から全企業に課される年次有給休暇の消化義務をめぐり、厚労省は18日、企業側が年休の消化日を指定したのに従業員が従わずに働いた場合、消化させたことにはならないとの見解を示した。企業側にとっては、指定した日にきちんと休んでもらう手立ても課題になりそうだ。法施行に必要な省令改正などを検討する労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で、経営側委員の質問に担当者が答えた。働きかた改革法では、年10日以上の年休が与えられている働き手が自主的に5日以上を消化しない場合、企業が本人の希望をふまえて日程を決め、最低5日は消化させることが義務づけられる。違反した場合、従業員1人あたり最大30万円の罰金が企業に科されるため、企業は対応に神経をとがらせている。(朝日新聞2018.7.19付記事より)

これは刑法48条*に基づくものと考えられ、「罰金の多額の合計以下」ということになります。労働者1人当たり30万円の罰金ということは5日取得できていない労働者が10人いれば300万円以下の金額での罰金ということに理論上はなるのかなと思われます。

実際に5日未取得者がいるからといって即罰金刑が科されるかどうかは、来年の4月以降改正法が施行された後労働基準監督署等の動向を見てみないとわからないですが、法律の定めはそのようになっているということは認識しておく必要があるかと思います。

*刑法第48条(罰金の併科等)
第四十八条 罰金と他の刑とは、併科する。ただし、第四十六条第一項の場合は、この限りでない。

2 併合罪のうちの二個以上の罪について罰金に処するときは、それぞれの罪について定めた罰金の多額の合計以下で処断する。

一昨日は大学卒業周年記念のお祝い会でした。みんなそれなりに年を取っていましたが、あっという間に当時の雰囲気がよみがえり、色々なことを思い出しながら話し、心から笑って楽しく過ごすことができました。特に体育会の仲間は懐かしく、話していると当時から今日までタイムスリップしたような不思議な感じすらしました。また次の会の時まで元気で過ごして皆で集まれますようにと願っています。

いよいよ大学院の授業が始まり、いきなり読む本がどっと提示されました。発表も10月に1つ手をあげましたのでまた頑張ろうと思います。ただ春学期のスタートの時は、右も左もわからず社会保障の世界に飛び込んだ感じでしたが、秋学期を迎えて少しではありますが春学期の勉強や夏休みに読んだ本の知識の積み上げができて、色々なことの関連性、つながりが見えてくるような気がして、勉強することがますます楽しくなってきたように思います。

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児童手当と子ども手当について

児童手当は、1971(昭和46)年に創設された社会手当の代表的なものです。児童手当のモデルになったのはフランスの制度であり、歴史的に事業主の拠出を主として発展してきたということがその理由だそうです。事業主による拠出については制度の設計当初より重要と考えられており、その理由は被用者・被用者等以外のすべての財源を無拠出制で賄うとなると、生活保護に代表される社会扶助として、資産調査を伴う救貧政策の延長とならざるを得ないという懸念があったからということです。

とにかくこれまで改正が非常に多かった児童手当なのですが、1972年の実施3年後には制度見直しの議論がされており、1978年の改正においてはその目的も改正されています。その後頻繁に改正された後、更に2009(平成21)年の政権交代によって、民主党中心の政権与党が「子ども手当」という新たな制度を創設しました。この子ども手当はその目的が「子どもの健やかな育ちを支援する」とされ、所得制限をしないという、それまでの児童手当とは異なった制度ではあったのですが、従来の児童手当を廃止したのではなく、生かしつつ財源構成がなされていました。しかし公費による財源確保が困難となり、わずか2年で廃止されています。その後「平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法(特別措置法)」等の特別措置法などでつなぎ、現在の児童手当は2012(平成24)年に新たな児童手当が施行されています。

現在の児童手当の目的は、「家庭等の生活の安定に寄与するとともに時代の社会を担う児童の健やかな成長に資する」とされており、子ども手当施行前の児童手当とほとんど変わっていません。家庭に「等」が追加されているのは、従来受給資格者が監護・生計同一の父母又は児童を養育している者であったため、親の虐待等により施設に入所している児童について受給できないという問題などがありましたが、上記特別措置法により施設の設置者等に対しても支給されることになった等の改正点を引き継ぎ追加されたものです。

支給対象は、中学校修了までの国内に住所を有する児童とされており、支給される月額は以下の通りです。(所得制限があり、夫婦と児童2人の場合年収ベースで960万円未満とされています)

○0~3歳未満一律15,000円
○3歳~小学校修了まで
・第1子、第2子:10,000円(第3子以降:15,000円)
○中学生一律10,000円
○所得制限以上一律5,000円(当分の間の特例給付)

財源については、国・地方(都道府県・市町村)、事業主拠出金で構成されていますが、事業主拠出金で賄われるのは、所得制限未満・3歳未満の児童手当だけであり、あとは公費で賄われており、受給対象が中学校修了前までと拡大されたためか、事業主の拠出はかなり児童手当全体からみると割合的には小さいものとなっていると感じます。なお、公務員については各省庁が全額負担ということにはずっと変わりありません。

児童手当も調べてみると色々な点で発見があります。勉強してみると民主党政権時代の施策により評価される部分も知ることができて興味深く感じます。

今晩はひどい雨風の台風です。山手線なども早くに運休となってしまったので、日曜日で家にいることができてよかったと思います。午前中に選挙に行き、ついでに夏枯れしてしまったベランダの花をあれこれ買ったのですが、家の中に避難させました。

いよいよ明日から10月です。本当に1年があっという間で驚きますが、事務所は秋からまた少し大きな仕事に取り組むことになりますので、できるだけうまく皆が業務を進められるように、方向性を明確にしながら、環境を整えていきたいと思います。

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