解雇予告の適用除外として労働基準法に定められているのは、①日々雇入れられる者、②2か月以内の期間を定めて使用される者、③季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者、④試みの使用期間中(試用期間中)の者とされており、それぞれ一定の期間を超えると解雇予告が必要となります。
この中で④の試用期間中の者は、14日を超えて引き続き使用されるに至った場合に解雇予告の適用除外ではなくなるとされています。実務では会社が雇入れた社員が職場に合わないなどの判断を14日ですることはなかなか難しく、適用除外ということで解雇予告をせず解雇に至った案件は一度も経験していません(というより日本企業はかなりの割合で解雇ではなく退職勧奨を選択するので、解雇の案件自体が少なめなのが一般的ではないかと思います)。
先日チェックのご依頼を受けて就業規則を確認していたところ、試用期間を設けていないケースがありました。これは時々あることで、特に有期契約の場合は試用期間を設けていない場合もよく見かけます。このケースも当初2か月の契約を結びパフォーマンスを見極めて本採用に至るという方法をとっていました。有期契約といっても特に問題がなければ引き続き本採用となる契約であるため、健康保険及び厚生年金保険は2022年の改正で雇入れ当初から資格取得をしなければならないことが明確化されており、2か月の試用期間契約といった場合、実質的には当初から本採用であることと変わりないと感じます。とはいえ試用期間ということで解約権留保期間の意味合いもありますが、これも合理的な理由がなければ解雇は無効になることも考えられ、試用期間自体の意味合いは考えられているほど大きなものではないと感じています。
ただ気になったのが、雇入れ当初の2か月の有期契約について特に「試用期間」と明文化されていない場合、解雇予告の適用除外になるのかどうかという点です。調べてみたところおおむね適用できそうな古い通達がありました。このケースでは良好な勤務を条件として採用期間が区切られていますが、その点が契約などで明確になっていれば特に規程等に明記していなくても試用期間として認められるようです。
『地方公務員法第22条第1項に規定する条件付採用期間は、労働基準法第21条第四号に規定する「試の使用期間」と解すべきであるので、条件付採用期間中の地方公務員が14日を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、労働基準法第21条ただし書の規定により、労働基準法第20条の適用がある。(昭和38.11.4基収6227号)』
4月の施行に遅れてしまいましたが、4月10日に改正育児介護休業法の書籍を労務行政さんから出して頂きました。難解な雇用保険の給付や10月の改正、育介規程には載らない意向確認や周知だけでなく意向聴取と配慮など、かなり多岐にわたる内容なので、人事担当者や社労士には活用いただけると思います。ネットでも購入できますのでぜひ手に取って頂ければ幸いです。
1冊でわかる!改正早わかりシリーズ 育児・介護休業法、雇用保険法、次世代法|労政時報オンラインストア