OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

育児休業給付の2回目の支給単位期間について

2023-02-05 21:40:09 | 労働法

10年以上前からOURSでは毎週水曜日の午前中事務ミーティングを開催しています。手続の仕事をしない私にとっては、ここで出てくる情報はとても貴重だと、最近は特に感じることが多いです。先週も育児休業給付金の支給単位期間について、昨年10月以降の改正について把握漏れがあったことに気付いたのも事務ミーティングでの情報からでした。

育児休業は昨年4月と10月に大きな改正があり、その改正の中の目玉の一つが、これ育児休業は原則1歳まで1回のみ取得できるものとされていたところが、2回に分割取得することができるとされたことでした。今回顧問先の社員の方が2回目の育児休業を取得することになり、2回目の手続を初めて行ったところ、支給単位期間が1回目の育児休業の際の支給単位期間の続きではなく、再度支給単位期間を設定する書式であったことがが紹介されました。

書式は育児休業給付金支給申請書(2回目以降)の記入例にある通り、支給単位期間を記入する欄があります。
https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-hellowork/content/contents/001338262.pdf

10月まで特例的に2回目の育児休業を取得できることとされていたパパ休暇(廃止)は、支給単位期間は1回目の継続とされていましたが、分割取得が認められた10月以降は2回目の育休の支給単位期間は1回目の継続ではなく仕切り直しになるということです。

不覚にもこの変更を見落としていたため、いくつかのセミナーで支給単位期間は1回目の継続とお話ししてしまいましたので、ここでお詫びをして訂正させて頂きます。

以下リーフレットのP11一番下の点線枠内の記載がその点に触れています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000986158.pdf

先週木曜日と金曜日の2日間、連合会主催の「ビジネスと人権」の研修を受けました。もともと連合会の国際化の委員会に所属していたころからお付き合いのあるILOの駐日代表からレクチャーを3年ほど前に受けてから、これからの社労士業務になるものと思い、今後の業務のテーマにしたいと思ってきました。

セミナーは講義形式は一切なく、7人のグループに対してトレーナーが1名つく実習形式で行われ、ロールプレイングあり討議形式ありで、テンポよく進む実践的なものでした。今後どのような勉強をする必要があるという点も認識できましたが、社労士が通常行っている労務DDや相談業務と極めて近い動きをすることも認識できた貴重な機会となりました。


後継者問題について

2023-01-29 17:24:50 | 雑感

ゆえあって、しばらくの間ブログはいつもより軽めになるかもしれませんが、よろしくお願いします。

先日東商新聞に、企業の後継者不在率のことが載っていました。帝国データバンクの「全国企業『後継者不在率』動向調査(2022)」を元に書かれた記事ですが、全国・全業種約27万社の後継者不在率は57.2%ということです。かなり大きな数字と思いますが、調査開始2011年以降初めて60%を下回ったということです。

この改善は、M&Aや事業譲渡などの事業承継のメニューが整ってきたことと、地域金融機関等事業承継相談窓口が普及したことが影響したのではとされています。

事業承継の動向について、代表者の就任経緯としては34.0%の企業が同族承継とあり、前年比で急減だそうです。一方血縁関係のない役員などの内部昇格33.9%、M&Aほかが20.3%と増加したそうです。

具体的な後継者候補の属性としては、「非同族」が36.1%で最多、調査開始以来首位であった「子供」が今回初めて「非同族」がトップとなり、脱ファミリー化へ舵を切る動きが見て取れるということです。

新聞などでカリスマ経営者がどのように事業承継していくのかとても興味を持って見ています。後継者問題はこれまで日本を支えてきたベビーブーム世代の大きな課題ですから。

今年の新年会は久しぶりに立食パーティーがいくつかありました。やはりパーテーションをはさみ着席でのパーティーよりは、立食の方が色々な方とお話ができ、また着席でも座がばらけると色々な席へ行って交流を図るという状況で、久しぶりに楽しいものだと感じました。

ほかのパーティーに出て飾られていたお花をホテルから勧められて持ち帰ってくれた方から頂いた花束がとても見事で、勢いがあり、これも久しぶりに懐かしい習慣だと思い写真に残しました。元気が出ます。

 


永年褒章の社会保険の取扱いについて

2023-01-23 00:41:22 | 社会保険

年明けから何社かからご質問があったのが社会保険料の算定基礎となる「報酬」と「賞与」についてです。厚生年金保険法では「報酬」と「賞与」は以下のように定義されています(健康保険法でもほぼ同様です)。

厚生年金保険法第3条
③報酬 賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受ける全てのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び3月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。
④賞与 賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受ける全てのもののうち、3月を超える期間ごとに受けるものをいう
 
基本的に社会保険では慶弔見舞金などの恩恵的なものか出張旅費などの実費弁償的なものを除いて、報酬、賞与に該当するケースがほとんどのように感じます。その中で年明けにかなり指摘を受けたのが「年末年始手当」です。
 
疑義照会には報酬・賞与としない例として「大入り袋」を取り上げていますが、その理由として大入袋のもつ本来の性質①発生が不定期であること、②中身が高額でなく、縁起物なので極めて恩恵的要素が強いことからすると生計にあてられる実質的収入とは言い難く、報酬及び賞与としないとしています。
 
また同じ疑義照会の回答で「労働の対償」とは、昭和 32.2.21保文発第 1515号からすると被保険者が事業所で労務に服し、その対価として事業主より受ける報酬や利益などをいい、①過去の労働と将来の労働とを含めた労働の対価 、②事業所に在籍することにより事業主(事業所)より受ける実質的収入と考えられます、としており、年末年始手当はやはり①の労働の対価に該当するため、賞与として保険料の算定基礎とすることが適切だと考えます。
 
それでは、「永年勤続表彰」はどうかということなのですが、時々年金事務所の調査の際に賞与だと指摘を受けることがあるようです。その場合は、明確に「賞与に該当しない」と以下の社会保険審査会の裁決(平成18年9月29日)が出ていることを伝えると良いようです。
 
その要旨としては、「本件表彰金は、①一定の勤続年数に達した場合に労務の内容等に関わりなく一律支払われ、②一定の勤続年数に達しない場合には、労働の実態があったとしても一律に支払われず、③心身のリフレッシュを目的とした休暇付与に伴う資金援助であり、④支払われる金額も社会通念上のいわゆるお祝い金の範囲を超えるものとはいえず、⑥誠実に勤務した労働者に対して創立記念日に恩恵的に支払われるものであり、⑥文言上も賃金や賞与ではなく表彰金と規定されている。 そうすると、本件表彰金は、労働者の労働の提供の対償として支給されるものでもなければ、労働者の通常の生計に充てられるものでもない。したがって、本件表彰金は、賞与に該当しない。」とあります。
 
昨日は久しぶりにリアルでBBクラブを開催することができました。zoomとリアル半分ずつということで会場は60名ほどが集まってくれて、法改正講義と開業体験談(とても分かりやすく、戦略も考えられた良い体験談でした)を半日ではありますが受講してもらって、その後乾きもののおつまみをつまみながらの乾杯と、今まで通りのBBクラブでした。参加頂いた会員も皆さんそれぞれにとても楽しそうでした。コロナ禍3年ぶりだったにもかかわらず、会員が忘れずにいてくれたこと、楽しみに参加頂いたことにとても嬉しかったです。zoom参加の方も次は是非リアルでお会いしましょう。

マクロ経済スライド発動について

2023-01-15 23:11:48 | 年金
昨年12月20日の日経新聞に、2023年度の年金額については「マクロ経済スライド」が3年ぶりに発動が政府で検討されているとの記事が載りました。「マクロ経済スライド」とは、そのときの社会情勢(現役世代の人口減少や平均余命の伸び(0.3%))に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです(厚生労働省HPより)。

2004(平成16)年の改正前までは、5年ごとの財政再計算で都度給付設計が行われ、保険料が段階的に引き上げられ、将来が見通せなかったため年金に対しての不安感が募りがちでした。そこで平成16年にマクロ経済スライドが導入され、給付水準の調整期間が設けられ、おおむね100年間で財政の均衡を図る方式になり、積立金を活用して、財政均衡期間の終了時に給付費1年分程度の積立金を保有する仕組みになりました。財源の範囲内で給付水準を自動調整する方法がとられることになったわけです。

ただマクロ経済スライドは物価と賃金が上昇したときに、年金額の伸びを抑制するという仕組みであるため、これまで2015(平成27)年度、2019(令和元)年度、2020(令和2)年度の3回しか発動されていません。また、2016(平成28)年に「キャリーオーバー制」という累積された未調整分について、マクロ経済スライドの発動したときに解消するという仕組みが導入されています。今回政府は2023(令和5)年の年金支給額の改定で「マクロ経済スライド」を3年ぶりに発動する検討に入ったということで、キャリーオーバー分の0.3%の解消も見込まれるため、給付額は抑制され物価上昇率に追いつかないのではと予測されています。

日経新聞によると、「2022年度の厚生年金のモデルケース(夫婦2人の場合)は月あたりの支給額が21万9593円だった。今回は足元の物価や賃金の伸びを踏まえて支給水準が3年ぶりに増える見通しだ。専門家は改定のベースになる22年の物価上昇率を2.5%と試算する。公的年金は少子高齢化にあわせて年金額を徐々に減らす仕組みだ。21年度から2年連続で発動を見送り、0.3%分がツケとしてたまっている。23年度の改定では21~23年度分が一気に差し引かれる可能性が高い。」としており、どうなるか注目されます。

今週から来週にかけて法改正セミナーが3本あるため、週末はレジュメ作りに集中して何とか作り上げることができました。この春は法改正事項が少なくて、テーマごとに少し丁寧に説明をする予定でいますが、ちょっと目玉がない感じではあります。人事・労務担当者の方にとってはそういう年があっても良いのかもしれません。

とはいっても人的資本関係のものを読んでいると、これからの人事は今までのデスクワーク中心ではなく戦略型人事になっていく必要があると予測され、社労士としてもワクワクするものがります。今年も色々と新たな考え方や意識を拾って発信していきたいと思います。


副業の通勤災害(片方フリーランス)

2023-01-09 21:58:00 | 労働法

先日副業の通勤災害がどこまでカバーするかというご質問があり、確認も兼ねて調べました。副業というと2020年9月から導入された複数事業労働者に該当するかどうかをまず検討する必要があります。複数事業労働者に該当するかどうかは以下で判断することになります。

①被災(けが、病気、死亡等)時点で、事業主が同一でない複数の事業場と労働契約関係にある労働者(雇用/雇用)
②1つの会社と労働契約関係にあり、他の就業について特別加入している方(雇用/特別加入)
③複数の就業について特別加入をしている方(特別加入/特別加入)

上記の場合は複数事業労働者に該当し、複数の事業場全ての事業場等の賃金額を合算した額を基礎として給付基礎日額が算定されます。

今回ご相談のケースはこちらには該当せず、片方が業務委託ということでした。業務委託でも特別加入をしているのであれば上記複数事業労働者に該当するのですが、一人親方として特別加入するには一定の事業又は作業に該当する必要があり、なかなか該当しないというのが実感です。とすると一方が雇用で片方業務委託の場合の通勤災害はどう判断されるかということになります。そもそもの通勤災害は以下の要件が必要です。

この場合の「通勤」とは、就業に関し、次に掲げる移動を、
(1)住居と就業の場所との間の往復
(2)就業場所から他の就業の場所への移動
(3)住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動
上記(1)から(3)のいずれかを合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとされていますが、移動の経路を逸脱、中断した場合は、逸脱又は中断の間及びその後の移動は「通勤」とはなりません。なお、日常生活上必要な最小限度のものは逸脱中断とはされず通勤となります。

複数事業労働者に該当しなければ上記(2)は通勤災害となりませんし、(3)は単身赴任先から家族のいる自宅に帰りその後会社に通勤というケースですので、業務委託のケースには当てはまらず、結局当てはまるとすると(1)のみということになります。

例えば、①自宅から雇用されている会社への移動、②雇用されている会社で就業後業務委託先に異動、③業務委託先で就業後自宅へ帰宅、というケースはどのようになるでしょうか。

①自宅から雇用されている会社への移動は通勤災害になります。ただし、複数事業労働者に該当しない場合の給付基礎日額は合算されないため、労災加入の雇用されている会社の賃金だけで計算されることになります。

②雇用先で就業後業務委託先への移動は自宅からの移動ではないので通勤災害には該当しないことになります。

③業務委託先から就業後自宅への移動も通勤災害にはなりません。通勤災害に該当するためには雇用されている会社又は特別加入した上での自宅への移動の必要があるためです。

分かっているつもりでも少し整理しないとすぐに正解が出にくいですね。

●通勤災害の定義
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/rousai_hoken/tuukin.html

●複数事業労働者のパンフ
https://www.mhlw.go.jp/content/000662505.pdf

あけましておめでとうございます。お天気が良くて穏やかなお正月でしたね。withコロナの時代、これまで以上に社会や人の意識が変化し、デジタル化も進み、社労士を取り巻く様々が変化していくような気がします。ワクワク感がありつつも気を引き締めていきたいと思います。今年もよろしくお願いします。


最近の弔事の際の会社の対応

2022-12-26 01:57:44 | 労務管理

最近、特にコロナ禍、葬儀は家族・親族のみの小さなお葬式や家族葬が多く、その場合供花辞退のご連絡を頂くことも結構増えてきたと思います。ネットで調べたところによると「供花」は神仏や個人に対してお供えする花のことをいいますが、家族葬ではお香典や弔問と同様に辞退されるケースもあるようです。もし供花を辞退するという場合は送らないことがマナーであり、供花の相場は約12,000円~20,000円程度ということです。

トレンドとして弔電や供花を送ることはどのようになっているのかを知りたかったのですが、ネットで検索した限りではそこまで細かな統計は出ていませんでした。ただ、色々な会社さんの就業規則をいつも見ている感じとしては、社員本人や家族の弔事の際の対応として、弔電や供花まで記載しているものはほとんどなく、慶弔休暇に加えてお香典等慶弔見舞金のことが決められている場合が多いのではないかと思います(そこまで規程には定めていないが実際はお送りしているということもあるかもしれませんが)。

労務行政さんの特別調査(労政時報3937号)を見てみると慶弔休暇は98.4%と高い制度導入率です。日数としては、配偶者、子供、本人の父母は5日(労働日)が最も多く、配偶者は5.7日、本人の父母は5.6日が平均となっています。本人の兄弟姉妹と祖父母については3日が多く、配偶者の父母も本人の父母より2日少ない3日となっているようです。

2017年JILのアンケート調査(シリーズ203号)によると、福利厚生制度の施策がある割合は、慶弔休暇制度が90.7%、慶弔見舞金制度が86.5%と高い数字です。しかし非正規従業員に適用している割合は、慶弔見舞金制度が46.6%、慶弔休暇制度は44.3%と約半分になっています。

今日はクリスマスでしたが、人出は以前ほどではないような気がしました。特に百貨店は以前はクリスマスや年末はごった返していたと思うのですが、店員さんが手持無沙汰な感じがしてしまうくらいで、一般的に購買意欲は戻っていないのかもしれません。

今年もあと残すところあと1週間となりました。人事労務的には育児介護休業法の改正が大きく、春前から秋の終わりまでかなり時間を取られていたと思います。それ以上に社会の変化が大きく、会議や研修はオンライン、働き方の自由度もかなり高まり、事務所では新たなシステムを入れて仕事の効率化を図るといった状況でした。ある意味非常に前に進んだ年といっても良く、少し将来の方向性が見えてきた感じもあります。

いよいよ来年1月のBBクラブはハイブリット開催となり、久しぶりにリアルで受講生OBとお会いできることになっています。どのくらい集まって頂けるか心配だったのですが、現時点ですでにリアルとオンライン半々で合計120名を超える申し込みを頂いており嬉しい限りです。またコロナ禍の間会費を徴収できなかったため寄付をお願いしたところ、沢山の方が寄付をして頂いたので傷んだ財政状況を戻すことができそうです。有難うございました。

1年間ブログを読んでいただいた皆様には本当に感謝します。また来年もよろしくお願いします。来週は元旦のためお休みさせて頂きますので、今年最後のブログとなります。よいお年をお迎えください


休業補償給付受給時の保障について

2022-12-19 00:20:13 | 労働保険

労災保険の休業補償については、休業(補償)給付が給付基礎日額の60%に休業特別支給金の20%が上乗せされるので、80%が休業日数について補償されることになります。その際会社が100%まで補償しようと考える場合はどのような扱いになるかということですが、ある程度の補償は可能だと考えて問題ありません。

休業補償給付の受給要件は、①療養のために休業する日であること、②労働不能であること、③賃金を受けない日であること、となります。会社から生活保障等が支給された場合には、③の賃金を受けない日に該当するかどうかがポイントになります。

所定労働時間の全部を労働不能であり休業した場合に、平均賃金の60%以上の生活保障を受ける場合は、「休業する日(賃金を受けない日)」に該当しないということで休業(補償)給付は支給されません。従って平均賃金の60%未満の生活保障を受ける場合は、「休業する日」に該当するため、休業(補償)給付の支給には影響がありません(昭和40.9.15基災発14号)。つまり、休業(補償)給付が60%+休業特別支給金20%+会社からの生活保障が50%支払われる場合は、合計130%が保障されることになります。

労災の休業(補償)給付が支給されない待期期間の3日間については労基法の災害補償の規定を根拠に会社が補償する必要がありますが、4日目以降については、労基法84条に、労基法の災害補償の事由について労災保険に基づく災害補償に相当する給付が行われる場合は補償の責めを免れる、という規定があるため、会社の補償は義務ではありません。

ただ、近年民法536条の規定により、会社に安全配慮義務違反があれば、労働者は100%の賃金請求権があるという判決も出てきているようです(長崎地判平成30.12.7)。これに関してはかなり勉強しなければなりませんが、研究者の間では反論も多くあるようですので、今後どのようになるかは注視しておきたいと思います。なかなか興味深いテーマだと思いました。

民法536条2項(債務者の危険負担等)
債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

大学院を修了してからそろそろ3年が経とうとしているのですが、労災保険のテーマを考えていると、やはり労災保険は解釈していくことが面白いなと思いました。判決文を読むのはあまり得意ではないのですが、時間ができたらまた興味のあるテーマをじっくりと研究したくなりました。

今年もいよいよ押し迫ってきましたので、何となく落ち着かないというか、新たな年に向けてワクワクするというか、いやその前にクリスマスがあると思いだし、慌ただしいような気分になります。寒くなりましたので、体調管理に注意して元気で年末とお正月を迎えられるようにしたいと思います。


電子処方箋について

2022-12-11 20:57:39 | 社会保険

協会けんぽの運営委員会でよく資料に出てくる電子処方箋ですが、よく考えてみるとイメージはあっても詳しい仕組みはぼんやりしているのに気づいたので調べてみました。規定されている法律は「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」です。

まず、電子処方箋とは、オンライン資格確認等システムを拡張し、現在紙で行われている処方箋の運用を、電子で実施する仕組み。オンライン資格確認等システムで閲覧できる情報を拡充し、患者が直近処方や調剤をされた内容の閲覧や、当該データを活用した重複投薬等チェックの結果確認が可能となる。(令和5年(2023年)1月~運用開始予定)、と説明されています。

具体的に流れを説明すると、
まず患者さん・医師・薬剤師の間を連携するのは、社会保険診療報酬支払基金等に置かれた電子処方箋管理サービスです。このサービスはクラウドを活用した構成とするとされており、このサービスを介して処方箋情報のやり取りがなされます。

①まず患者さんがマイナンバーカード又は健康保険証を病院等に持参して提示します。
②病院等の医師は、サービスを利用して過去に処方された薬の情報や重複投薬のチェックをし、処方箋の 内容の登録をします。
③患者さんが薬局に行き、マイナンバーカード又は健康保険証を提示し、薬剤師がそれを確認・患者さんの同意を得た上で、処方箋内容の取得その他過去の処方などをサービスにて閲覧し、調剤内容の登録をし、患者さんが薬を受け取る、という流れだそうです。施行は令和5年1月です。

電子処方箋のメリットは、複数の医療機関や薬局で直近に処方・調剤された情報の参照が可能になること、アレルギー情報の管理も可能とするほか、重複投薬等の防止が可能になります。また、紙の処方箋の印刷コスト削減や調剤に関する入力等の労務の軽減、誤入力の防止、災害時や救急医療の際に、処方・調剤情報を参照できるなど調べてみるとこの導入は今必要なものだと実感できます。

・「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000940722.pdf
・電子処方箋管理サービスの運用について 
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001006252.pdf

紙の処方箋が電子化されることは言葉から理解していたのですが実際の運用をイメージしてみると医師や病院から薬局にどのように連携されるものなのかがわかっておらず、かかりつけ医とかかりつけ薬局との間で連携してくれるのかなどと考えていましたが、もっと優れモノでした。やはり世の中は「クラウド」がとにかくポイントで、自分の発想の限界を感じました。


開業後ここまで大事にしてきたこと

2022-12-04 23:44:37 | 開業記

今日は特にこれといったテーマがないので(というか2023年4月の新たな法改正項目がほとんど現段階でないという近年まれにみる状況なので)開業30年を振り返って思うことを書いてみようと思います。

来年にスタッフを採用する予定がありいよいよ事務所も30人体制になるのですが、ここまで方針として良かったと思うことがいくつかあります。まず一番大きかったと思うのが、やらないことを決めてきたことです。OURSでは給与計算は受託しておらず、その時間を手続や相談業務の勉強に充ててよりその分野での専門性を高めていこう、と考えました。当然、給与計算とセットでというご依頼にはこたえられず、契約が成立できなかったケースなどはありました。しかしそれでもやせ我慢。結果やはり相談業務やセミナー、執筆に強い事務所になったと思います。TACの講師業も15年間を通して毎年1クラスしか持たない(これもやらないこと)と決めていましたので講師業と並行して事務所も着実に成長していきました。

「やらないことを決めることはむしろ「やることを決めることより良かったと思います。というのは取組む業務範囲に広がりができたからです。手続とそれに付随する相談業務だけでなく、労務監査や人事制度の構築、セミナー、執筆、最近はM&AやI PO支援など社労士業務の拡大に伴って私だけでなくスタッフも含めて事務所の取組む業務は広がったと思います。

2番目は、先を見て手を打ってきたということです。これは少し先のことを考えて何をしておくのが良いのかと考えることが好きだという私の個人的特性によるものだと思います。仕事に限らずいつも先のことを考えて準備をすることが習慣になっている感じです。いつからそうなったのか分かりませんが、とにかく段取りをつけておくという比較的近い先のことだけでなく、中長期の想定をして準備をするのが苦でなく好きなのです。開業してからこれまで、仕事の方向性、事務所の移転、スタッフの採用、システムの導入など、常に先を考えて決断するという連続だったと思います。今は事務所については組織の中で決めていきますので、むしろ社会的な特に人事労務関係やその他周辺の動向を追っているときがとても楽しいです。

3番目は、とにかく最後解決するまで諦めないことです。ここまで来るには分不相応な大きな仕事を頂いて大揺れに揺れたこともあり、まさに土俵際に追い込まれたことが数回ありましたが、ねばって踏みとどまることができました。やはり何事も諦めないところから始まるのかもしれません。社労士試験も諦めなければ必ず成功できると良く受講生に言っていましたが、仕事も諦めず取り組んでいる(考えている)と光が差す瞬間がある、そんな感覚です。

あとは、人に恵まれたこと。これはとても大きくまた必要なことだっだと思っています。事務所のスタッフと取り巻く人々、顧問先等の方々、もちろんBBクラブの会員である受講生OB、社労士の先輩や後輩とその時々の関り合いに感謝しています。


来春の賃上げについて

2022-11-27 18:02:53 | 労務管理

来年の春の賃上げ状況については、物価上昇もあり期待されるところだと思います。先日のニュースで連合は来年の春闘で5%程度の賃上げを求める(平成26年以降で最大)としており、経団連も「2023年春季労使交渉では、様々な考慮要素のうち、物価の動向を最も重視して検討すべきである。」という十倉会長の発言があったと伝えています。

それではどの程度の賃上げ率になるかという点については、もちろんまだまだ分からないところではありますが、前出の十倉会長の発言要旨の中では「〔5%程度の賃上げを求める連合の方針案を問われ、〕足もとの物価上昇を見れば驚きはないが、高めのボールではある。各企業において、どの位が適切な賃金引き上げの水準であるか、労使で慎重に検討されるであろう。」とされており、驚きはないがということからするとここ数年の賃上げ率よりは上回ってくるだろうということは当然考えられます。

春闘の賃上げ結果の推移でも平成12年から平成25年までは2%を超えておらず、平成26年以降も2%を若干超える年があった程度(賃金・人的資本に関するデータ集R3.11内閣府新しい資本主義実現本部事務局資料1)となっています。厚生労働省の「令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」によると、令和4年の1人平均賃金の改定額が最も高い建設業が8,101円(2.3%)となっています。バブル期は改定率も6%前後、金額も14,000円超と今からは考えられないような額ですが、バブル崩壊後の平成5年が3.7%(9,711円)、平成11年以降ほとんど1%台(平成29年から令和元年まで2%)で推移しています。2.0%というのはこれまでの推移からみるとここのところの一つの目安になっているように見えます。

東京商工リサーチの調査を読むと、2023年度 「賃上げ実施予定」は81.6% 「5%以上」の引き上げは4.2%にとどまる。ただし「業績見通しアンケート」調査では、2022年度の業績を「減益」「前年度並み」とする企業は63.6%に達した。6割以上の企業が今年度の業績が悪化、もしくは現状維持を見込んでおり、「賃上げは実施するが、賃上げ率は伸び悩む」可能性も出てきた。とあります。

11月18日に発表された第一生命経済研究所の2023年・春闘賃上げ率の見通しでは、「春闘賃上げ率は+2.70%を予想。伸びは高まるもベア+1%には届かず(定昇分1.8%、ベア0.9%)」とされています。連合の5%程度はかなり厳しい数字のように見えます。

・令和4年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況を公表します(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12604000/000976440.pdf

・2023 年・春闘賃上げ率の見通し(第一生命経済研究所)
https://www.dlri.co.jp/report/macro/212312.html

・2023年度「賃上げに関するアンケート」調査(株式会社東京商工リサーチ)
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20221021_01.html

相変わらず仕事を沢山頂いて、どのような段取りで取り組むか、手帳とにらめっこが続く中、40年来の心置きなく何でも話せる友人と集まり、半日ひたすらあれこれとお喋りをしました。仕事のことを考えずに過ごす時間はとてもリフレッシュになりました。気分転換は大事ですね。

今日はサッカーワールドカップのコスタリカ戦です。流れと勢いが大事というのはサッカーを見ていると良く分かります。ここで勝てばこれは凄いことですね!


労災保険受任者払い制度

2022-11-21 00:32:37 | 労働法

労災保険受任者払い制度について、ご相談があったため調べました。この制度がいつ頃からあったのか分かりませんが、平成14年3月発行の厚生労働省労働基準局労災補償部補償課が出している「第一線職員のための労災実務必携」の中に次の記載があります。休業(補償)給付の留意事項として、時効により請求権が消滅していないことや、労働者性、支給要件の確認等と合わせて「受任者払の場合は、事業主による立替払が確実に行われていることの確認」とありますので、20年以上前からあったものだと思います。

そもそもですが、労災保険は申請者本人の口座に振り込まれるものです。ただし申請書を労働基準監督署に提出してから約1カ月(昔は3か月とも言われていた)かかるので、その間収入がない状況になる場合がほとんどかと思います。受任者払い制度とは、労災保険の休業(補償)給付等について行われているもので、労働者が受け取る給付金の相当額を会社が立て替え、後日休業補償給付などが会社の口座に振り込まれるという制度です。

手続きとしては、休業(補償)給付支給請求書と合わせて「受任者払に係る届」と提出することになります。様式は各労働基準監督署で異なるようです。
https://jsite.mhlw.go.jp/hyogo-roudoukyoku/content/contents/000623147.pdf

受任者払制度のメリットとしては、被災労働者の休業中に無収入の期間が発生することを避けることができるので、被災労働者の生活の安定が図れることです。

留意点としては、必ず立替額を支払ってから、上記受任者に係る届を被災労働者に記入してもらうことです。立て替えをしてもらう前から記入を求められるのは労働者が不信を感じる可能性がありますので。

また休業(補償)給付等の支給が労災として認定されない、又は実際監督署から振り込まれた額が違ったという場合の差額分の精算方法については事前に決めておくと良いということです。

今日は3年ぶりの渋谷支部管外研修でした。所沢の角川武蔵野ミュージアムから秩父に行き秩父まつり会館、秩父神社などを回りました。1日バスで回る間に色々な話をすることができて、やはり会員間の距離が縮まるとも感じ、日帰りでも旅行に行くのは良いことだなと思いました。またプロジェクションマッピングを駆使した映像関係がコロナ前の管外研修に比べてかなり高度化しているような気がしました。コロナでお休みしていた事務所の旅行も、そろそろ日帰りでよいので再開してみようかなと思いました。

 秩父のお祭りは力強く迫力がありそうでした。


育児目的休暇について

2022-11-13 22:35:03 | 産前産後・育児・介護休業

育児目的休暇についてどのように定められているか調べてみました。

まず育児介護休業法24条に「小学校就学の始期に達するまでの措置」として労働者の申出に基づく育児に関する目的のために利用できる休暇であり、子の看護休暇、介護休暇及び年次有給休暇を除き、出産後の養育について出産前において準備することができる休暇を含むものを与えるための措置を講ずるように努めなければならないと育児目的休暇が定められています。

さらに、両立支援指針(名前が長いのですが正確には「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針<令和3.9.30号外厚生労働省告示第365号>)にその具体例として以下の記載(少し略しました)が示されています。

12 法第24条第1項に規定する休暇及び同項各号に定める制度又は措置に準じて、必要な措置を講ずるに当たっての事項
 (一) 労働者の申出に基づく育児に関する目的のために利用することができる休暇とは、例えば、次に掲げるものが考えられること。
イ 配偶者の出産に伴い取得することができるいわゆる配偶者出産休暇
ロ 入園式、卒園式等の行事参加も含めた育児にも利用できる多目的休暇(いわゆる失効年次有給休暇の積立による休暇制度の一環として措置することを含む)

2023年4月には、常時雇用する労働者数1000人超の企業が対象ではありますが、男性の育児休業等取得率の公表が義務付けられており、その算定においては育児休業だけではなく「育児を目的とした休暇制度」を含めて算定することもできることとされています。なお、公表は公表前事業年度終了後速やか(概ね3か月以内)に行うこととされており、事業年度とは各事業主における会計年度をいいます(通達P124)。

先週末コロナワクチン5回目を接種しました。4回目からはファイザー、それまではモデルナで、いずれもそれほど副反応はなかったのですが、今回は接種した後から翌日の朝まで結構のどが痛くなり、翌日は何となく熱っぽくダラダラしてしまいました。今日はすっきり目覚めたのでホッとしましたが、やはり休みの前の日の夜接種をしておいてよかったです。このワクチン接種もいつまで続けなければいけないのかなあと少しユーツになりますね。


在籍出向と労働者供給事業の関係について

2022-11-07 00:44:47 | 労働法

在籍出向と職業安定法第44条により禁止される労働者供給事業について調べたのですが、「労働者派遣事業関係業務取扱要領」にまとまった記載がありました。そもそも職業安定法第44条と45条は、「労働者供給事業の禁止」を次の通り定めています。

何人も、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。例外として、労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。

労働者供給事業とは、労働者が「支配従属関係や雇用関係がある供給元」が供給先と供給契約を結び労働者が供給先と雇用関係を持ち労働を提供するという形態ですが、労基法第6条で禁止されている「中間搾取」の恐れがあるなどの問題があり禁止されているものです。中間搾取の排除規定の違反については、強制労働に次ぐ2番目に重い罰則が労基法で規定されています。

労働者供給事業と在籍出向の関係については、「労働者派遣事業関係業務取扱要領」に次の通りの記載があります。

在籍型出向は労働者派遣に該当するものではないが、その形態は、労働者供給に該当するので、その在籍型出向が「業として行われる」ことにより、職業安定法第 44 条により禁止される労働者供給事業に該当するようなケースが生ずることもあるので、注意が必要である。
ただし、在籍型出向と呼ばれているものは、通常、①労働者を離職させるのではなく、関係会社において雇用機会を確保する、②経営指導、技術指導の実施、③職業能力開発の一環として行う、④企業グループ内の人事交流の一環として行う等の目的を有しており、出向が行為として形式的に繰り返し行われたとしても、社会通念上業として行われていると判断し得るものは少ない
と考えられるので、その旨留意すること。

さらに「業として行う」とは、「一定の目的をもって同種の行為を反復継続的に遂行することをいい、1回限りの行為であったとしても反復継続の意思をもって行えば事業性がある」とされ、「具体的には、一定の目的と計画に基づいて経営する経済的活動として行われるか否かによって判断され」るとあります。在籍出向の場合は出向元が出向により利益を業として得るということはないものと考えますが、懸念が指摘された際問題にならないよう留意しておくことは必要だと考えます。

最近ご依頼が多いのが賃金・評価制度の改定についての支援です。内容としてはそれぞれの会社さんが課題としてとらえていることの解消で、採用や雇用の人材確保のためであったり、評価の透明性による社員の納得性の確保であったりと様々ですが、ジョブ型賃金への興味もかなり持たれているようです。ジョブ型賃金は以前は日本には合わないのではと考えていたのですが、勉強の結果最近はジョブ型賃金を導入する必要性も感じています。

だいぶ秋めいてきましたが、小淵沢はかなり紅葉していました。秋は空気が澄んで山もとても綺麗にみえる良い季節です。

 


育児休業給付金の就業賃金による減額について

2022-10-30 21:55:59 | 産前産後・育児・介護休業

育児休業給付金については表題にある通り賃金が支払われた場合には減額の仕組みを持っています。支払われた賃金が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%超80%の未満の場合は賃金額と給付金の合計が80%を超える額が給付金から減額され、支払われた賃金が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の80%以上の場合は給付金が支給されません。

そもそも育児休業期間中の就業は臨時的であれば認められてはいたものの原則としては認められていなかったので、育児休業期間中の賃金が支払われるというのは例外的な位置づけでした。しかし10月施行の改正で「出生時育児休業」では労使協定の締結など一定の条件のもと就業が認められることとなったため、これまでの減額の仕組みが必要であるかどうか疑問に感じるようになりました。

元々育児休業の給付率はどのような経緯で67%(180日経過後は50%)になったかのか調べてみたところ以下の通りでした。なお、平成7年創設当時から平成19年10月改正までは職場復帰給付金として育児休業終了後6か月在籍して追加支給される仕組みがありましたが、その支給率も合計した給付率を示します。

平成7年4月創設時 25% ➡平成13年1月改正施行 40% ➡平成19年10月改正施行 50% ➡平成26年4月 67%

制度創設時は25%の給付率(育児休業基本給付金20%と職場復帰給付金5%)ということで給付率が上がったことは少子化に苦しむ我が国にとっては必要なことだったと思いますが、私の記憶では冒頭の賃金日額の80%までというルールは一度も見直されていません。67%の給付率の場合減額されないためには賃金は13%の範囲内に収めておく必要がありますが、13%に相当する日数はわずかです。出生時育児休業の就業は所定労働日数・時間数の約1/2は認められているわけですから28日の1/2の休日分を控除したとしても10日程度は就業できることになります。いくらそのような仕組みを作ったとしても育児休業給付金が減額されてしまうのでは会社も社員も使い勝手が悪い感じがしてしまうと思います。

男性の育児休業は特に取得を控える要因になるのは「収入を減らしたくなかったから41.4%※」という数字が出ており、せめて賃金日額の100%までは減額がない仕組みに変える必要がある(あるいは少子化対策としては100%を超えてしまうのを許容する)仕組みでもよいのではないかと考えます。令和2年4月に育児休業給付は失業等給付とは異なる給付体系と位置付けられ、また独自の保険料率を持ち資金設定をされたこともあり、他の雇用継続給付との整合を考えることなく仕組みの見直しも可能になっているのではないのかなと思います。

経団連のHPに週間経団連タイムス2022年5月19日NO.3544「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか」が載っているのですが、少子化は日本社会の構造にかかわる問題とあり、とても興味深い内容でした。本当に少子化に対して多方面で真剣に手を打たなければならない状況にあると思っており、社労士としてできるだけ発信したいと思っています。

※出典:第146回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会参考資料より

今日は「はまっている」ケーキを買いに日本橋に行くことにしていたのですが、お店に行ってみたところ凄い列にめげてしまいました。以前夜になり帰りがけに寄ったときも購入できたので他の用事を済ませて、再度立ち寄ったところなんと2つだけぽつんと残っており「運が良いなあ~」と嬉しくなりました。小さな幸せを拾っていきたいですね。


転勤に関する最近の傾向

2022-10-23 21:21:24 | 労務管理

ここのところ転勤に関する顧問先からのご相談がとても多いです。それも内容としては本人が転勤を受け入れないなどの案件ではなく、転勤するにあたって配偶者に対する対応についてのご相談がほとんどです。このブログでも2022年4月4日のブログで「配偶者転勤等同行休職について」として取り上げているのですが、さらにその応用編といったご相談が多いです。例えば、配偶者転勤同行制度を創設したいだけでなく、配偶者の転勤に同行することを認めて配偶者の転勤先でのテレワークを認めたいとか、配偶者の転勤に同行するため退職することにした人を優先的に再雇用する制度を入れたい、などかなり色々なケースが出てきています。また転勤することになった際の配偶者への対応について、過剰ともいえる要望も出てきているように思います。

転勤についての法律の定めは、労働契約法第3条3項の「仕事と生活の調和への配慮」と育児介護休業法第26条の「労働者の配置に関する配慮」が主なものかと考えます。特に指針(平成21年厚労省告示509号)においては、「子の養育又は家族介護の状況把握」と「労働者本人の意向のしんしゃく」、「就業の場所の変更を伴うものとした場合の子の養育又は家族介護の代替手段の有無の確認」を配慮するものとしています。今のところ育児や介護を抱える場合への配慮にとどまっていますが、現実は法律より先に進んでいる感じです。

コロナ感染拡大によりテレワークが当たり前の世の中になったことが「働き方」について大きな影響を及ぼしたことは間違いないと思いますが、いくつかの大きな意識の変化の中で「転勤」に対する捉え方が一つあげられると思います。その意識の変化が企業にも社員にも感じられるところです。

平成29年3月30日に厚生労働省雇用均等・児童家庭局でまとめた「転勤に関する雇用管理のヒントと手法」では「配置の変更(異動)を通じて、企業内の人材の需給調整や人材育成が行われてきた」とあり、まさにその通りなのですが、配偶者である女性も仕事をしている場合の転勤となるとやはり昔のようにはいかない現実があると感じます。そこで転勤に関する意識が現状どのようなものなのかという点に興味がわきました。検索してみたところ「エン・ジャパン」が行った『エン転職』1万人アンケート(2022年6月)転勤に関する意識調査がヒットしたのですが、内容としてはかなり驚きました。主な内容を取り上げてみると以下の通りです。

・64%が転勤は退職のきっかけになると回答…この数字は正直驚きです。転勤を理由に退職したという数字は今のところ小さいですがエピソードを見ると家族のことで転勤を理由に退職したケースが多いようです。

・コロナ禍で転勤への意識が変化したは2割で、良いと思わなくなったは年代で若干差があり、20代48%、30代60%、40代以上59%となっており、20代が他の年代より否定の割合が小さいのは身軽ということもあるのかと思います。よいと思うようになったというコメントには、コロナでずっとどこにも行けなかった分、転勤で違う地域に行けるのは良い、転勤を機に都会に住みたいと思うようなった又は地元に帰るなどの転勤は良いなど、コロナ禍を経た内容が興味深いです。テレワークの影響も感じます。

・2019年のアンケートにもありますが、転勤についての承諾ポイントは「家賃補助」「昇進・昇給」「転勤期間が決まっている」「単身赴任手当」「やりたい仕事ができる」「転勤先を選択できる」という順であり、これは企業へのアドバイスの際に役立ちそうな情報だと感じます。

転勤に対する社会の対応と働く人の意識の変化や配偶者転勤同行制度についてのテーマは、この先も注目していってアドバイスの引き出しを増やしていきたいと思います。

・『エン転職』1万人アンケート(2022年6月)転勤に関する意識調査
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2022/29780.html

・「転勤に関する雇用管理のヒントと手法」厚生労働省雇用均等・児童家庭局
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11903000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Shokugyoukateiryouritsuka/0000160191.pdf

父親が銀行員だったので高校2年の最後の転勤まで、引っ越し、転校、転勤が私の人生の大きなイベントでした。確かに転校により受験は不利になるし、修学旅行がいつも転校直後で楽しくなかったり、転校当初よそ者扱いでいじめられたりということもありましたが、今考えると、それらがあっての今の自分だと有難くさえ感じています。15歳で親元を離れて学校の寮に入り自分の考えを持つようになりましたし、父親のことを考えても、地方支店時代は支店の人たちがお正月に家に来られたり、何かと接点も多く、子供の私にとって一番父を身近な存在として感じた時代だったように思います。そういう経験から転勤が一概によくないものとは考えていないというところが本音です。

先月、いつも通っていた「おまかせ亭」が閉店してしまいました。渋谷2丁目に事務所を移した20年前から特にランチでよく通ったお店の突然の閉店にショックでした。ここのところランチに行っても入れなかったりでしばらく行けていなかったのが心残りです。最後にオムライスとデザートのケーキ食べて、フロアのおじさんに挨拶したかったな。

・おまかせ亭入口 ・シェフとフロア3人の人形(お店を作った当時作ったのかな)・藤井さんが転んだ席