OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

年少者の年齢証明書の備え付けについて

2024-11-04 22:09:39 | 労働基準法

労働基準法56条では、満15歳の年度末が終了するまでは、一部例外を除いて児童を使用してはならないとされており、また労基法57条で18歳未満の年少者を使用する場合は年齢を証明する証明書を事業場に備え付けなければならないとされています。

年少者の年齢証明書については、以下が通達(昭和50.2.17基発83号、平成11.3.31基発168号他)で示されています。
➀戸籍謄本、戸籍抄本
②年少者の氏名及び生年月日を記載して本籍地を管轄する地方自治体の長が証明したもの(これは正直見たことがありません)
③住民票
④住民票記載事項証明書(氏名及び出生の年月日が記載されているもの)
通達の書きぶりでは、➀又は②が原則だが、③又は④でも良いということになります。
従って、学生証、パスポートなどは認められず、マイナンバーカードも通達上認められていません。マイナンバーカードは本来であれば認められても良いとは思いますが、今のところ通達で示されていないため、労働基準監督署の監督官によっては通達で認められていないという理由で、指導があることも考えられるようです。それらを考えると、比較的入手が楽で、必要事項のみが証明できる「住民票記載事項証明書」望ましいと考えます。なお、年少者は18歳未満とされており(18歳到達年度末ではないので)高校生の途中で18歳に達したとき(18歳の誕生日の前日)に年少者の制限は解除されることになります。

ビジネスと人権の影響もあるのか、監督署の指摘や親会社の監査でも年少者(特にアルバイトの高校生など)の働き方については確認点になっているようですので注意が必要です。

また、労基法では親権者の同意は、15歳年度末に達しない児童を働かせる場合には必要とされていますが、年少者については必要とされていません。
ただ民法5条の規定で「未成年者が労働契約を締結するには法定代理人の同意を要する」とされています。従って同意を得ずに未成年者自身が締結した労働契約については親又は後見人(親権者等)又は行政官庁が、労働契約が未成年者に不利であると認める場合には、将来に向けてこれを解除することができることになります。なお、労基法58条では、親権者等は未成年者に代って労働契約を締結してはならないとしていますが、これに違反している場合であっても、また未成年者が親権者等の同意を得て直接使用者と労働契約を締結した場合であっても、未成年者に不利であると認める場合には、親権者等は将来に向けてこれを解除することができると解されています。

いよいよ暑がりの私にとっても夏服の出番はなくなりそうだということで、夏掛け布団と夏服の衣替えをすることにしました。ただ、1か月前ほどに散々お世話になっていた自宅マンションの前にあったクリーニング屋さんが建物取り壊しのためになくなってしまいどうするか思案していました。そこで別の店に持って行くことを考えネットで検索していたところ、宅配で引き取りから返却までを簡単にできる方法があることを知りました(息子に話したところ既に宅配クリーニングを利用していました)。これまでお店が狭いので1度に10点までと言われて少しずつ何回かに分けて衣替えを行うなどしていたのですが、いきなりシンプルになった感じです。やはり世の中は進んでおり、アンテナを張っていないと効率が悪いことを気付かず続けているのだろうと実感しました。


衛生委員会で注意したいこと

2024-10-27 23:03:39 | 労働法

衛生委員会は、常時使用労働者50人以上の全業種で設置義務があり、労働者の健康障害を防止するための調査審議を行うことになっています。特に働き方改革以降重要なテーマとなっている労働者の健康保持、長時間労働の削減を取り扱うための委員会ですので、しっかり運営する必要があります。以下のリーフレットには、委員会の目的や委員の構成、調査審議事項、運営についてわかりやすくまとまっています。
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/0902-2a.pdf

この中の構成員である産業医がグループの他の事業場の産業医を兼務できるかという点については通達が出ています(平成9.3.31基発第214号、令和3.3.31基発0331第5号)。あくまで専属産業医が非専属事業場の産業医を兼務をすることができる場合ですが、要件は以下の通りです。なお、常時 1,000 人以上の労働者を使用する事業場と、一定の危険有害業務に常時 500人以上の労働者を従事させる事業場では、その事業場に専属の産業医を選任しなければなりません。

1 専属産業医の所属する事業場と非専属事業場とが、以下の状況であること。
 ①労働衛生に関する協議組織が設置されている等労働衛生管理が相互に密接し関連して行われていること。
 ②労働の態様が類似していること等一体として産業保健活動を行うことが効率的であること。

2 専属産業医が兼務する事業場の数、対象労働者数については、専属産業医としての趣旨及び非専属事業場への訪問頻度や事業場間の移動に必要な時間を踏まえ、その職務の遂行に支障を生じない範囲 内とし、衛生委員会等で調査審議を行うこと。
 なお、非専属事業場への訪問頻度として、労働安全衛生規則第15条に基づき、少なくとも毎月1回(一定の条件を満たした場合は少なくとも2月に1回)、産業医が定期巡視を実地で実施する必要があることに留意すること。

3 対象労働者の総数については、労働安全衛生規則第13条第1項第4号の規定に準じ、3千人を超えてはならないこと。

また、労働基準監督署の調査の際にはほとんどの場合衛生委員会の議事録は確認されると思います。最近の調査では、「長時間労働について審議していない」という指導がありました。これまで、ここまで細かく審議の内容まで確認されていなかったようにも思いますが、まずは各部門の長時間労働者の確認などのほか調査審議事項について漏らさず行っておきたいところです。

またグループ会社と親会社の衛生委員会を合同で親会社において開催できるかというご質問があり調べたところでは、合同は認められないが、親会社とグループ会社それぞれの衛生委員会を開催した上で、合同で行う方法であれば認められるということでした。

今回の選挙は自民党に非常に厳しい結果となりました。国民の信頼を失ったということなのだろうと思いますが、今後様々な政策が進んでいくか気になります。                                  

 


フレックスのフレキシブルタイムについて

2024-10-20 21:51:01 | 労働基準法

フレックスタイム制の肝はなんといっても始業・終業時刻を労働者の選択にゆだねるという部分にあると考えています。労働者にとっては働きやすい制度だと思うのでできるだけ導入したいと思うのですが、意外に始業・終業の時刻を自主的に決めるというのは難しいことがあります。先日顧問先のご相談に乗っている際にフレキシブルタイムをもう少し明確に設定して社員が始業・終業時刻を選択できるようにすれば、フレックスタイム制として成立しそうでしたので、通達を調べました。

昭和63.1.1基発第1号によると、コアタイムについては「労働者が労働しなければならない時間帯」、フレキシブルタイムについては「労働者がその選択により労働することができる時間帯」と定義した上で、両方ともに「その時間帯の開始及び終了の時刻を定めなければならないものであること。」としています。

さらにフレキシブルタイムについては「極端に短い場合、コアタイムの開始から終了までの時間と標準となる一日の労働時間がほぼ一致している場合等については、基本的には始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねたこととはならず、フレックスタイム制の趣旨に合致しないものであること。」としています。コアタイムの時間と標準となる労働時間とがほぼ一致している場合はフレックスとはいえないのは当然として、フレキシブルタイムが極端に短いというその長さについては特に具体的な定めはありません。ずいぶん以前に監督署に問い合わせたときは「1時間」の選択幅があればギリギリでしょう、と言われたことがあり、いつもそのことは念頭に置いています。

ところで上記通達に「従来は、労働基準法上、フレックスタイム制に関する規定はなく、事実上、始業及び終業の時刻が労働者の自主的決定にゆだねられている限り、法第32条2項(1日の労働時間)及び第89条第1項(就業規則の作成・届出の義務)の趣旨に反しないものとして扱われていたものについて、今回その採用の要件を法律上明らかにしたものであること。」とあり、調べたところによると昭和63年4月より労基法の改正により施行されていました。それではそれまではどうであったかということで、昭和59年度の社会保険ハンドブックを確認してみると、そこには4週間単位の変形労働時間制(1か月単位の変形労働時間制の前身)の規定のみあり、フレックスは当然記載はない非常にシンプルな労働時間の規定になっていました。

ちなみにフレックスタイム制が改正により導入されたときに一緒に1か月単位の変形労働時間制も定められており、その際一緒に定められた1年単位の変形労働時間制は当時は3か月単位の変形労働時間制でした。

コロナ禍以降フルフレックスタイム導入が増えてきており、また柔軟な働き方が推奨されている現在、むしろ上記「始業・終業の時刻が労働者の自主的決定に委ねている限りは労働時間の規定の趣旨に反しない」という昭和63年以前の考え方でもよいのではないかと感じます。例えばフルフレックスを導入した場合、清算期間の総労働時間を満たせさえすれば、極端に長時間働く日と、全く働かない日を組み合わせることは可能なのか、それともその月の所定労働日数については必ず労働する必要があるのかなどは、会社によって方針が異なります。フレックスタイム制はあくまで始業・終業時刻を労働者に委ねるものであり、所定労働日に働かなくても良いということは趣旨には合わないということはご説明して、コアタイムをかなり極端に短く設定するケースも出てきており、それはそれで違和感がないわけでもないです。フレックス制定当初の通達では賄いきれない部分があり、そろそろ現状の働き方の方向性に合わせた制度設計にするなど過渡期に来ているように感じます。

年に2回、BBクラブという15年間の講師時代の合格者OBのための法改正勉強会を継続していることはよくブログにも書いていますが、年明けの勉強会は2025年2月8日(土)に決まっています。その準備の幹事会が昨日開かれて、分担を決めたり、オペレーションを確認したりしました。忌憚なく意見を出し合う雰囲気があり、昨日もいかに効率化するかという話が出たのですが、BBクラブは繋がりを大切に考えて今も多勢の方が集まってこられるのではないかという点で、会社の仕事とは異なり、効率化だけで考えるのは問題があるということになりました。

事務所でお送りしている紙の「通信」が思いがけず、一時期社内セミナーを受託していた大会社の人事部門のラックに置かれているという情報をもらい、意外にメルマガより読まれているのかもしれないと感じたり、テレワークと出勤もどちらに偏るのではなくベストバランスを見極めるのが大事だと思っています。これも現在の話であり将来はもっと変わっていくのかもしれませんね。

そういえばBBクラブの参加者が勉強会に求めているものの一つに、皆さん勉強会に参加することで、社労士資格取得を目指して頑張っていた頃のことを思い出し元気復活ということもあるのではないかと気づきました。そういう思いに沿うべく、元気に頑張って良い講義ができるよう勉強していきたいと思います。


就業規則作成義務の人数に派遣労働者を含めるか

2024-10-14 22:49:54 | 労働基準法

就業規則は、労基法89条で「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、一定事項について就業規則を作成し、行政官庁(労働基準監督署長)に届出なければならない。」と規定されています。この常時10人以上の考え方としては通達に定められています。

「労働者」とは、当該事業場に使用されているすべての労働者をいい、正規従業員だけでなく臨時的・短期的な雇用形態の労働者はもちろん、他社への派遣中の労働者も含まれる。従って、これらの労働者を全て合わせて10人以上であれば、就業規則を作成し届け出なければならない(昭和61.6.6基発333号)。

上記には派遣労働者も含まれていますが、これはあくまで「派遣元として他社へ派遣している労働者」をいいます。同じ通達で「労働基準法第89条により就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者とを合わせて常時10人以上の労働者を使用している『派遣元の使用者』であること。」とされていることからもわかります。

先日監督署の調査で顧問先の出先事業場が派遣労働者を含めると10人以上になるので、就業規則の届出義務があるという是正勧告を受けたのですが、後で伺いそれは監督官の勘違いだと思いました。つまり派遣労働者といっても派遣で受け入れている労働者を含めると10人以上になるというだけのことで、派遣労働者を含めない直接雇用の人数は10人未満であったからです。10人未満の事業場で就業規則の届出を行うことはもちろん悪いことではないので、届出をして頂くことになりましたが、最近監督官の勘違いは時々あるので、できれば是正勧告を受け取るときに内容をしっかり確認して、疑問があれば根拠をしっかり確認させてもらう方が良いようです。疑問があれば確認させてもらってから後日受け取ることを伝えるのも可能だと思います。

ちなみに、コンメンタールの解釈では「常時10人未満の労働者を使用する使用者において就業規則を作成したときは、それも本法に言う『就業規則』として、第91条[制裁規定の制限]第92条[法令及び労働協約との関係]及び第93条[効力]の規定は適用されると解すべきである、とあります。

住まいのある品川区では、結構お祭りが多くて、夏の終わりから毎週のようにお祭りやイベントがあるのですが、今週末も近くの八幡様の御神輿や山車がにぎやかに練り歩いていましたし、大崎駅周辺では「しながわ夢桟橋」という一大イベントがあり、孫と一緒に行ってきました。なりきりポリスというコーナーや日本全国からテントが出ており、なかなか楽しく、社労士会のブースも出ていたようです(うっかり気づきませんでした。来年は伺います!)。

だいたいお祭りが終わるといよいよ冬を迎えますね。11月の予定がぼちぼち入ってきており今年もだんだん残り少なくなってきたことを感じます。社労士になってからあっという間に1年間が過ぎていくような気がするのですが、毎日が充実しているということなのかもしれません。健康で仕事の依頼を頂けることに感謝しています。


時間外割増賃金の算定基礎(住宅手当)

2024-10-06 21:00:35 | 労働法

割増賃金の算定基礎から除外できる賃金は労基法第37条5項と労基法施行規則第21条に以下が定められています。
➀家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、④住宅手当、⑤臨時に支払われた賃金、⑥1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

上記は限定列挙であり例示ではないため拡大解釈はできないこと、一律に支給される賃金ではないこと、また名称ではなく実質をみることが肝要です。ここで除外される賃金は、労働と直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支給されているとされるため割増賃金にはなじまない趣旨で割増賃金の算定基礎から除かれています。除外賃金かどうかのご質問に回答する際は上記の考え方を元に判断しています。

この中で住宅手当については、他の除外賃金より後の平成11年10月から算定対象外とされました。調べてみると、平成11年以前から住宅手当が割増賃金の算定基礎とされているのは個人的事情に左右される場合が多いという点から批判があったようで、改正に至ったということことです。あとから除外賃金に規定されたため、除外賃金にされていない会社も時々見受けられますが、厳密にみるとやはり除外賃金には該当しないというケースもあります。平成11年の通達をみると具体的に示されていますので、確認しておくと良いと思います。(平11.3.31基発170号)

通達で示されている具体例としては、除外できるケースと除外できないケースが示されており、ポイントを絞ると以下の通りです。
➀除外できる住宅手当
・住宅に要する費用(賃貸費用や購入費用など)に定率を乗じた額の支給
・住宅に要する費用を段階的に区分し、費用の増加に応じて額を多く支給(家賃5~10万円の場合2万円、10万円超の場合3万円など)
②除外できない住宅手当
・住宅の形態ごとに一律に定額支給(賃貸の場合2万円、持ち家1万円など)
・住宅以外の要素に応じて支給(扶養家族があり2万円、扶養家族なし1万円など)
・全員に一律支給

確かに特に住宅以外の要素が含まれているケースは結構見受けられますので注意が必要だと思います。

お盆明けからかなり続いていたセミナーの仕事が一段落したので、少し研究の時間がとれそうです。読みたいと思って購入してある本も自宅の机に山積みになっている状況なので嬉しいです。ちょうど気温も下がり秋が来たので読書の秋です。

秋といえば読書だけでなく食欲の秋ですね。今年の秋は週末に自宅の周りの行ったことのないお店巡りをしてみたいと思っています。意外にいつでも行けると思い行ったことがないお店が沢山あることに気がつきました。特にとんかつの美味しいお店が多いといわれている地域なのですが、焼鳥屋さんもあり、焼肉屋さんもあり、これはわりに良く行く中華もありなかなか多様性に富んでいるのです。平日はどちらかというと特に夜はカロリーを控えめにしているので週末1食くらいは好きなものを思いっきり食べても罰は当たりませんね。


36協定 特別条項の上限規制の是正勧告について

2024-09-29 20:37:41 | 労働基準法

大企業は2019(令和元)年、中小企業は2020(令和2)年4月から施行された36協定の特別条項の上限規制ですが、あれから既に5年が経過し、この5年間企業も時間外労働が上限に収まるようにかなり努力されてきたと思います。時間外労働の上限については以下の通り定められており、原則の上限と特別条項の上限に区分することになります。

[原則の上限]
月45時間、年360時間(休日労働は含まない)

[特別条項の上限] 時間外労働が原則の⽉45時間を超えることができるのは、年6か⽉が限度
➀ 時間外労働が年720時間以内(休日労働を含まない)+時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満(休日労働を含む)

②時間外労働と休⽇労働の合計について、「2か⽉平均」「3か⽉平均」「4か⽉平均」「5か⽉平均」「6か⽉平均」が全て1⽉あたり80時間以内(休日労働を含む)+時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満(休日労働を含む)

なぜ➀と②に分けたかというと➀は36協定の特別条項で協定する内容であり、②は実際の時間外労働をその範囲で収めることとする内容で、私は①を入口規制、②を出口規制と呼んでいます。月の100時間未満という上限が2つ出てくるところからの疑問による整理ですが、これは労基法36条の条文をみると良く分かります。36条5項は「協定において定める時間数・・・」と、6項は「協定で定めるところによって労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合・・・」とあります。

多くの会社さんは年間上限は720時間としていますが、月上限の100時間未満の時間数はそれぞれです。ネットで見つけた厚労省の資料を見るとやはり80時間が多いように感じますが、99.9時間というものもあり、また最近の肌感覚としては70時間にする会社も増えつつあると思います。

今回テーマに取り上げた理由は、②の複数月の平均について、どの程度遵守されているのか又複数月の平均に対しても監督署の是正勧告は行われるのかという点については以前から気になっていたのですが、先日複数月の平均が80時間に収まっていないという是正勧告を受けたケースがあり、やはりこの点も見てくるのだと実感したからです。どの程度遵守されているのかは数字がないのですが、特別条項の限度時間に収めている会社は複数月平均についてアラートが立つようになっているのではないかと思います。その仕組みがない場合は気をつけたいところです。

この複数月平均は80時間を超えた95時間時間外労働をした月がある場合(例えば特別条項の上限時間を99.9時間<100時間としている場合その点は問題ないのですが)、まずは翌月、さらにその後も注意をしておかねばなりません。95時間時間外労働をした翌月は65時間に収めなければ2月平均が80時間以内にはならないからです「(95+65)÷2=80時間」。また95時間の翌月は仕事を調整して65時間の時間外としても、翌々月85時間働いてしまうと平均80時間を超えてしまいます「(95+65+85)÷3=81.66時間」。1回80時間を超えた場合その後も結構尾を引くこと、また休日労働時間数も含むところも注意が必要です。

秋風が吹き気持ちよい季節に入ってきました。夏の間はとにかく涼しい服ということで着るものを選んでいたのですが、急に秋が来たような感じで夏前までどのような服の組み合わせをしていたのか忘れてしまい、今週末チェックしてみました。今年の夏は加圧トレーニングのお蔭が少し引き締まりパンツスタイルが可能となり、ほとんどそれで通してきたのですが、やはり楽でした。しかもシューズも顧問先のシューズを数年前から愛用し、これが非常に履きやすく気に入っており、それで通勤している状況です。秋冬になってもこのスタイルが通せるかどうか今模索中です。

お気に入りは「デコルテ」さんの「Je t'emmène」です。https://jetemmene.com/


小1の壁について

2024-09-24 01:27:31 | 労務管理

先週東京テレワーク推進センターのセミナーでお話しさせて頂いた改正育介法とテレワークのテーマでは質問に答えるコーナーがあり、その中で「小1の壁」については育介法の改正内容にはないようだがどう考えるかというものがありました。

確かに今回の改正で小1の壁に対する施策について表立って謳われてはいませんが、子の看護休暇が小学校3年生修了までに延長されたのは、施策の一つになっているでしょうか。ただ育介法は子の年齢のどこまでを支援するかというと、育介法の成立当初の1歳から3歳へ、3歳から小学校就学前までに改正を重ねてはいますが、小学校に入学すると一段落といった感じはあると思います。

そこで小1の壁とはどのようなことを言いその対策を調べてみたのですが、まずは厚生労働省は「小1の壁」打破するとともに、次代を担う人材育成のために「放課後子ども総合プラン」を策定していました。この中で児童の放課後等を安全・安心に、多様な体験・活動を行うことができる「放課後児童クラブ」「放課後子ども教室」の整備を進めるとしています。ただ調べてみると小1の壁は放課後だけではなく、朝の時間帯の問題が大きいようです。

小学校に上がるまで、保育園に通っている場合は午前7時から7時半の間に預かりを開始することが一般的のようです。かたや小学校の登校時間は午前7時半から8時までがほとんどで、30分のずれがあります。この30分のずれにより共働きの親が先に自宅を出て、小学校に上がった子供が鍵を閉めて登校するという状況になるということです。

特に小学校に入学したばかりというこれまでの環境に変化があるにもかかわらず「いってらっしゃい」が言えない、見送れないのは不安もあろうかと思います。柔軟な働き方ができない企業であれば、フルリモートの会社への転職をするなどを選択するケースもあるようで「小1の壁」は大きな問題だと感じました。

かたや教師の働き方改革のコンサルをさせて頂いていると、朝子供たちを迎える時間帯については労働時間になるため、校門の開門時刻を遅らせる、または朝の時間帯はボランティアなどにお願いするというご提案もしており、教師と子どもともに助かると思える施策はなかなか難しいものがあります。

ご質問の回答としては、法律の規定がない場合でも、会社で独自の施策を設けることにより人の採用・定着において効果を出すこともできるということでOURSで導入した2人目の子の送り迎えのための出産前時短勤務をお話ししましたが、「小1の壁」対応の施策としては何ができるか考えてみました。平凡なものしか思いつかないのですが、小学校3年生になればかなり子供も小学校生活に慣れてくることと自分でかなりのことが判断できるという点では小学校入学時から小学校2年生までの2年間の短時間勤務なども良いように思います。
1.フレックスタイム制
2.始業・終業時刻の繰り下げ(時差出勤)
3.小学校2年生までの2年間の短時間勤務
4.部分休暇
(NHKで事例を紹介、部分休暇は1日最大2時間まで申請が可能・休暇部分は無給)

いずれにしても「小1の壁」に限らず柔軟な働き方が選べるというのは今後の事業経営においては必要な考え方であり、特に中小企業であれば個別対応も可能なので、アイディア次第で導入は可能だろうとは思います。

来春育介法と一緒に改正になる雇用保険法の新給付「育児時短就業給付」は2歳未満の子を養育するため時短勤務をしている場合の賃金への加算です。2歳未満というのはあまり長く短時間勤務を続けていくとフルタイムの復帰が難しくなるからという理由と言われています。確かに小学校就学前まで短時間勤務をしていると、小1の壁にぶち当たり、結局子が小学校に入学しても短時間勤務を継続となりがちという面もあり、できれば小学校入学前にいったんフルタイムに復帰した後、小学校入学時に期限を決めて使える施策がある方が良いように思います。小学校の入学は、子にとっても親にとっても生活面での新たな局面であり、そこで働き方も変化するのはかなり負担が重いものだと想像しますので。


65歳定年制導入の課題

2024-09-16 22:27:16 | 労働法

定年年齢については平成10年の高年齢者等雇用安定法の改正により、下限年齢60歳が定められており、それ以後65歳までの雇用確保措置(義務)や70歳までの就業確保措置(努力義務)は設けられたものの、定年年齢の60歳下限については改正されていません。今後70歳定年年齢義務化になるときが来るかもしれませんが、今のところ予定は見えていません。高年齢者等雇用安定法の規定は以下の通りです。

(定年を定める場合の年齢)
第八条事業主がその雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の定めをする場合には、当該定年は、60歳を下回ることができない。ただし、当該事業主が雇用する労働者のうち、高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として厚生労働省令で定める業務に従事している労働者については、この限りでない。

ただし書き以降の60歳を下限とする必要がない業務は施行規則により定められており「鉱業法第4条に規定する事業における坑内作業の業務とする。」とされています。

大企業はコロナ前までは一律65歳で継続雇用が終了=退職がかなり徹底されていたように感じますが、最近は人手不足もあり「会社が認めた場合は、65歳以後も契約を更新する場合がある。」という一文を入れたいというお話がかなり頻繁に来ている状況です。

現状定年年齢はどのような状況か、令和5年12月に厚生労働省が発表した「高年齢者雇用状況等報告」をみると、以下の通りでした。

定年制廃止企業 3.9%、60歳定年企業 66.4%、61歳から64歳定年企業2.7%、65歳定年企業23.5%、66歳から69歳定年企業1.1%、70歳定年企業2.3%

60歳定年制は前年から1.7ポイント減少、65歳定年制は1.3ポイント増加ということでジワリと65歳定年制を採用する企業が増えてきているのが分かります。

9月13日に閣議決定された高齢社会対策大綱(概要)では、生涯を通じて活躍できる環境の整備の中で年齢にかかわらない活動機会の拡大が取り上げられており、その中で現在収入のある仕事をしている60歳以上の人について、「働けるうちはいつまでも」との回答が約4割、「70歳くらいまで」又はそれ以上まで働き続けたいとの回答を合計すると約9割に上るという若干驚きの数値が出ています。

おそらく定年年齢の下限は60歳と法律が定めていても、今後は65歳定年制をとる会社が増えていくものと思います。その場合、賃金制度や退職金の扱いはどうするか、社労士としてはアドバイスをしっかりできるように準備しておきたいところです。

つい先ごろも顧問先で65歳定年制を導入した企業があったのですが1点導入する際の留意点にスタッフと話していて気がついたのが、定年退職日の決め方です。年齢に関する法律で誕生日の前日に新たな年齢に達することになっていますが、定年退職日を「65歳に達する日」「65歳の誕生日の前日」「65歳に達した日の年度末」などと規定している場合、失業給付を受給する際には離職日は65歳となり、受給資格は「高年齢求職者給付金」となります。要するに最大でも基本手当日額の50日分の給付日数になってしまいます。65歳未満で退職していた場合は、最大150日分を受給できますので、100日分の差となってしまいます。150日の失業給付を受給するのであれば定年退職日を「65歳に達する日の前日」などと規定しておくことになりますが、その場合65歳定年とはいえなくなるでしょうか。ハローワークに確認したところによると、65歳に達してからの離職は必ず「高年齢求職者給付金」の対象となるとのこと。65歳定年制導入の一つの課題だと思います。

これまで60歳定年の場合、65歳まで再雇用され、再雇用後であれば65歳到達前に退職するケースもかなりあったかと思いますが、定年となると最後まで退職しないケースがほとんどとなるかと思われ、また退職金への影響も考えると定年退職日の設定は慎重に検討すべきと考えます。

土曜日は猛暑の中社労士会の野球大会の応援に行き、真っ黒に日焼けしました。渋谷支部は3連覇ということで、新たなメンバーが加入しますます強くなってきた感じです。毎年この野球応援が終わるといよいよ秋シーズンが始まります。OURSの新年度も9月スタートなので、明日から気持ちを新たにして行きたいと思います。

 


今後の労使対話の仕組み

2024-09-09 00:08:34 | 労働法

ビジネスと人権の研修ファシリテータを務めるようになって、一番自分の中で思うところがあるのが「労使対話の重要性」です。労働組合は労働者の声を代表するものですが、現在労働組合の組織率は16.3%ということで、前年よりさらに低くなった状況です。大半の企業は労働組合がないなかで、労働者の意見の吸い上げについては困難な状況なのではないかと思われます。労使間のコミュニケーションのために社労士としてできることがあるのでは、という気付きがありました。

36協定の締結や就業規則の意見聴取について、労働基準法は「当該事業場に、過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者」と労働者代表について定めていますが、「労働者の過半数を代表する者」については労働者の代表というには実質的な面で難しい場合がほとんどであると感じます。

労働基準関係法制研究会が、2024年1月に設置され第6回に「これまでの議論の整理」が取りまとめられていますが、その中でも「4.労使コミュニケーション」についての記述があり、過半数代表者に関する課題が取り上げられています。その中では「デロゲーションにおける『過半数代表』については、これまでも様々な課題が指摘されており、過半数労働組合が過半数代表となっている場合には比較的問題は少ないと考えられるが、労働組合がない事業所で過半数代表者が交渉を担う場合は、自発的に過半数代表者となっていないことが多いと考えられる中で、その選出方法の適正性や、代表者の能力・負担などについて問題点が多いという意見があった。」とあります。

確かに過半数代表者の要件である民主的な選出などはここの所だいぶ浸透しては来ていますが、はたして過半数代表者がどの程度労働者の代表としての意見集約ができているか、また責任を負えるのかなどの点では形式的になっていることは否めません。

労働組合がある主に大企業は、賃金決定の場面でも、規程改定の場面でも労働者の意見を聴くことができますが、労働組合がない企業の場合は労働者の意見を実質的に聴くことはなかなか難しいというのが現状で、従来より特に働き方について労働者の意見や考えを尊重しなければならない時代になった今としては、労使のコミュニケーションを図れる仕組みが必要だと感じます。それは労働組合なのか、それだけではなく他の仕組みを準備するのか、今後の展開をみたいと思っています。

※「デロゲーション」という聞きなれない言葉が出てきていますが調べたところによると「法からの逸脱」「法定基準からの逸脱」という意味だそうで、「日本の場合は、36協定を例に取ると、これはデロゲーション協定なのです。」と上記研究会の議事録にはあります。要するに36協定の免罰効果の発生につながるものでしょうか。

ここに来てビジネスと人権の研修や人権DDの導入支援のお話しが来て、ここ2年弱の動きが少しずつ実を結び始めています。まだまだ自分も勉強が必要だと感じており、関連した仕事を受けていく中でアップグレードさせていきたいと思います。

昨日土曜日は、恒例の東京都社会保険労務士会の野球大会でした。今年は監督がくじ引きでシード権を獲得をしたがゆえ半日の応援でしたが、この厳し暑さの中試合に出ていないにもかかわらず思い切り汗をかきました。結果は順調に勝利を収め、来週は2試合午前中からです。

9月19日(木)東京テレワーク推進センターさんのセミナーで「育児・介護休業法の改正におけるテレワークの活用」をハイブリットでお話しさせて頂きます。まだ少し枠があるようですのでご興味があればお申し込みください。
https://tokyo-telework.metro.tokyo.lg.jp/seminarevent/detail?id=601


育介法改正と在宅勤務

2024-09-01 19:31:47 | 労務管理

2025年4月の育介法の改正は、まだ施行規則や指針が案しか出ていない段階ですがだいぶ全貌が見えてきたと思います。前回の改正は男性の育児休業取得促進を主眼としたものでしたが、今回は男女に分けることなく、育児と仕事の両立支援に加えて介護についても支援を補強する改正になっていると感じます。特に団塊の世代が全員後期高齢者になる2025年に向けて、介護と仕事の両立も重要なテーマになってくると思われますので適切なタイミングと感じます。

今回特に育児休業法の改正の中に「在宅勤務」がいくつか盛り込まれています。確かに在宅勤務は育児と仕事との両立支援については使える制度だろうと思いますが、どのような経緯で在宅勤務が盛り込まれたのか、労働政策審議会雇用環境・均等分科会の議論をザッと確認してみました。

その中で令和5年6月19日に「今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会報告書」が資料として掲載されており、子が3歳になるまでの両立支援の拡充」で以下の考え方が示されています。

テレワークは、通勤時間が削減されることなどにより仕事と育児の両立のためにも有用なものとして位置付けられてきた。また、コロナ禍を機に柔軟な働き方の一つとして、育児・介護との両立目的だけでなく一般的な働き方としての広がりも見られる。さらに、企業に対するヒアリング等においても、テレワークを育児との両立のために活用する事例が確認された。
ⅱ 育児との両立に活用するためには、就業時間中は保育サービス等を利用して業務に集中できる環境が整備されていることが必要である。こうした条件が整えばテレワークは、フルタイムで勤務できる日を増やせることも含めて仕事と育児の両立に資するものである。

上記具体的な措置として、「ⅲ 現在、努力義務となっている出社・退社時間の調整などに加えて、テレワークを事業主の努力義務として位置付けることが必要である。」とあり、これが3歳未満の育児休業をしていないものに対する在宅勤務等の措置の努力義務規定に繋がっているようです。

その他小学校就学前までの両立支援の拡充においてもテレワークが登場してきており、在宅勤務は両立支援のカギとみていると感じます。在宅勤務は確かに両立支援のカギになる施策だと思いますが、コロナ禍緊急事態宣言の時のことや、今回の台風などの場合など事業継続(BCP)対策としても重要な役割を果たすことになるため、企業はいつでも社員が在宅勤務ができるように準備しておくことが必要だと感じます。

8月お盆明けから、セミナーやらその前のセミナーレジュメの準備やらでかなり切羽詰まっていたのですが、今週末で概ね今後のセミナーレジュメの完成をみたので少しホッとしています。と言っても明日は連合会の研修で大阪に出張なのですが、この大雨で新幹線がどうなるか全くわからず、空路に変更していくことにしました。せっかくなので少し奮発して優雅に行ってこようと思います


特定理由離職者について

2024-08-25 23:32:42 | 労働保険

セミナーの準備をしていて「特定理由離職者」について気になったので少し調べてみました。特定理由離職者とはそもそもいつ、何のためにできたのかはまだ鮮明に記憶にあります。まず特定理由離職者とはどのような人たちを言うかですが、簡単に記すと以下の2種類の区分があります。

➀期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)
②体力の不足、心身の障害、疾病、妊娠、出産、育児、介護等により「正当な理由のある自己都合により離職」した者

特定理由離職者の区分が創設されたのは平成21年改正で、上記②の正当な自己都合離職の考え方はそれ以前からありました。正当な自己都合という言い回しは、転職による自己都合は正当な理由の離職ではないのかという点で、今となっては違和感がありますが、少なくとも私が社労士を開業した平成5年には特定理由離職者という区分はなかったですが、正当な自己都合離職はあり、正当な離職ということで給付制限がなかったと記憶しています。特定理由離職者の創設により➀の「期間満了で更新がなく離職」した区分ができたときに、正当な理由のある自己都合による離職は特定理由離職者の区分②になりました。

なぜ特定理由離職者の創設をよく記憶しているかというと、平成21年当時リーマンショック直後で年越し派遣村が大きな話題になるなど、期間雇用者が大量に雇止めされて、特に特定理由離職者➀はそれを救済するためにできた改正だからです。有期契約で3年以上の雇用保険の継続した被保険者期間があれば特定受給資格者になりますが、それより短い被保険者期間の人たちを救済するという目的で特定理由離職者➀の区分ができました。

ただ特定理由離職者は、特定受給資格者と同様に給付制限期間はないのですが、特定受給資格者のように全員が給付日数が増額されるのではありません。現在もハローワークインターネットサービスには「特定理由離職者のうち区分1に該当する方については、受給資格に係る離職の日が2009(平成21)年3月31日から2025(令和7年)年3月31日までの間にある方に限り、所定給付日数が特定受給資格者と同様となります。」という記載がありますが、この記載の理解が難しいと思います。特定受給資格者と同様といっても、給付日数が増えるのは特定理由離職者➀の区分(期間満了更新なし)の30歳以上の120日~180日(改正当初は45歳上の150~180日)の場合に限ることになります。というのも3年以上の被保険者期間がある雇止めについては特定受給資格者に該当するため、雇止めによる特定理由離職者は3年未満(給付日数表は5年未満)しか該当しないためです。この辺りを授業で説明するのに難しくて苦労した記憶があります。また、雇止め通知があったか、本人が更新を希望したかにより微妙に特定理由離職者に該当したりしなかったり、特定受給資格者に該当したりする場合もあり、フロー図を作って良く会社さんに説明していました。これは自分としては力作だったので今も大切に取ってあります。

ところで特定理由離職者区分➀は創設当初は暫定措置との考えであったようで、2年間の平成23年度末までとされています。雇用保険の改正の経緯を見るとその後も改正が重ねられており、平成23年、平成26年と2年ごとに延長され、平成29年改正では「雇止めされた有期雇用労働者の所定給付日数を倒産・解雇等並みにする暫定措置を5年間実施」とされ令和6年度末までとなっています。制度ができた当初とはだいぶ社会状況が変化してきており、そもそも本則ではなく法附則第4条に規定されていることもあり、以前のように特定理由離職者のことを調べる機会も減っている現状でもあり、来年3月で終了するのか気になっています。

今日は社労士本試験の日でした。うちの事務所の受験生には応援メッセージを昨日チャットしたのですが、今のところ結果については何の連絡もありません。きっと疲れ切ってしまったのかなと思います。年に1回だけの試験、全国の受験生の皆さんも本当にお疲れさまでした。やっとここから夏休みが取れますね。

夏祭りの季節で、1か月ほど前には恵比寿駅前で盆踊り大会があり、駅ビルからちらっと見かけたらもの凄い人が集まって踊っており仰天してしまいました。コロナ明けたからかお祭りや花火など行事を求めて以前より人の動きが激しいような気がします。今日は息子の家の近くの神社のお祭りで孫娘が山車を引くということで午前中つきあったのですが、すっかりバテました。なかなか子供が集まらず町内会の人たちは心配していましたが、出発の時間にはある程度形になるくらい集まってきてホッとしました。少子化で今後が心配ですが何とか続いて欲しいですね。


お盆明け

2024-08-19 22:23:15 | 雑感

とうとう今年のお盆が明けてしまいましたね。夏が大好きな私としては、お盆が明けると秋がそこまでという感じがして寂しい気がしてしまうのですが、まだまだ暑さは収まらないようですのでしばらくは、汗をかきながら夏気分を味わっていたいと思っています。

ところで事務所の夏休みは毎年週末に加えて8月13日~15日まで3日間(今年は計6日間)とさせて頂いています。私は時間を自由に使うことができますので、めったに年休をとることはないのですが、今年は今日19日まで思い切ってお休みを頂きました。と言っても旅行に出発した14日夜までは秋のセミナーのレジュメ作りの毎日を予定しており、ブログも休むつもりはなかったのですが、不覚にも喉の熱が出てしまい3日間ほど伏せがちに過ごしました。ある意味良い休息にはなったかもしれません。

旅行は2度目のヘルシンキに行ってきました。元々結婚祝いに会社の先輩も含む友人の皆さんに少しずつ出資してもらい「アラビア社」の食器セットを頂いて、その頃からフィンランドはあこがれの国だったのですが、「幸福度世界一」「教育・福祉・働き方先進国」といった日本の働き方改革以降よく取りざたされているので、本もかなり沢山読んでいます。働き方改革だけでなく教育も、また高齢者福祉もどのようなものなのか興味深い国ですが、消費税は24%とかなり高く、学校がほぼ公立校であるということからも、教育、福祉はこの消費税が支えているのだと思います。

様々な方面から書かれた書籍から見えるフィンランドの姿は、本屋さんで書籍の背表紙を見てあこがれるのとは少し違っており、600年のスェーデン統治、その後100年のロシア統治と、まずは一国としての独立を勝ち得るためにここ100年前くらいまでかなり困難な場面もあったようです。徴兵制もあり、1300キロの国境が接するロシアに対する警戒心は強く、人口はかなり少ない500万人という中でフィンランドの予備役(いってみれば正規の兵士以外)が90万人なのに対して、人口1億2000万人の日本の予備役は5万人など、おそらく「Well-being」のイメージが強い一般的なフィンランドとは乖離があるかもしれません。

それでも訪問するとまずは人が少なめでカフェも沢山あり、どこに行っても緑も多くかなりゆったりしていることで癒されます(それでも今回は海外からの旅行客が特に駅周辺はとても多かったですが)。小さなヘルシンキの街を縦横無尽にトラムが走っていますので、だいたいはトラムの地図を見て、少し遠い場所でも地下鉄で行くことができます。人口減少、高齢化社会という今後の日本の姿を考えるとコンパクトシティー、路面電車は参考になりそうです。朝は比較的遅めで、ホテルの朝食も7時台は空いていますし、夜11時くらいでも結構町は賑やかです。ただしこれは長い冬を辛抱したご褒美の短い夏を目いっぱい楽しむということなのだと理解しています。とにかく少し肌寒くてもタンクトップなど薄着で太陽の日を浴び、友人や家族とカフェで長い時間語り合っているといった感じです。

今回一番印象的だったのは、「デザイン美術館」で、そこでテーマにしていたのが「THA  ART OF REPAIR」。ジーンズのポケットの穴あきなどをカッコよく素敵に修理するというテーマの部屋があり、日本のさらしの大型パッチワークが壁を飾ったりしていました。日々の暮らしを大切にするというフィンランドの考え方を感じることができますし、そこから仕事だけではなく、家庭での生活もていねいに楽しむという仕事との両立にもつながるような気もします。

これまでアメリカの資本主義、消費社会を中心に歩んできた日本は、これまでとは違って、人口減少の社会に向けて、小手先ではなく大枠のデザインを描く必要があると考えています。そのいくつかのヒントがあるような気がする国なのです。

時差は6時間日本の方が早いですが比較的気になりません。いよいよ明日からまた仕事、しっかりやりたいと思います。


事業場外労働のみなし労働時間制のゆくえ

2024-08-05 01:48:19 | 労働時間

事業場外労働のみなし労働時間制については、今後の方向性が気になるところです。というのも事業場外労働のみなし労働時間制の対象となる業務は「事業場外で業務に従事し、使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間の算定が困難な業務」です。従って、昭和63年の通達では、「無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら事業場外で労働している場合」「事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けた後、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後、事業場に戻る場合」はみなし労働時間制の適用はできないとされています。

ただコロナ禍に状況は変わったといえます。「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン(厚生労働省)」では、テレワークの場合、使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間の算定が困難な業務であるためには、①情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと、②随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと、という2要件を満たしていれば事業場外労働のみなし労働時間制は認められるということになりました。それまでは始業・終業時刻を会社に報告することでも事業場外労働のみなし労働時間制は適用できないと考えていたものが、始業・終業時刻を報告したとしても、メールやチャットで常時指示を受け、常時通信可能な状態にしておくこととされていなければ、事業場外労働のみなし労働時間制適用できるとされました。

スマホを持ち歩き、常に会社からの指示を受けることが可能になった現状で、外出先であっても始業を・終業時刻を記録できるようになり、今後の事業場外労働のみなし労働時間制は縮小かと考えていたところに、テレワークガイドラインで従来の厳密な定義が外れたため今後事業場外労働はどこに行くのだろうかと考えていたうえに、令和6年4月に最高裁の判決が出て「日報による報告のみを重視して『算定しがたいとき』にはあたらないという判断がなされて事業場外労働についての今後の方向性が分からなくなりました。今後事業場外労働はむしろ拡大の方向になるのかもしれないと思っています。

ところで事業場外労働のみなし労働時間は、原則として事業場内で労働した労働時間も含めて所定労働時間労働したものとみなすことになりますが、通常所定労働時間を超えて労働することが必要として労使協定でみなし労働時間を定めた場合、その定められた時間はあくまで事業場外労働で従事した業務についての時間ということで、事業場内での労働時間をみなし労働時間に加える必要があるとされています(昭和63.3.14基発150号)。

オリンピックで寝不足の毎日ですが、勇気をもらってもいます。それにしても暑いですね。


労働局 同一労働同一賃金の調査の留意点(続き)

2024-07-29 04:07:36 | 労働法

先週の続きで、労働局の同一労働同一賃金の調査について取り上げてみたいと思います。事前に送られてくる調査票は都道府県の局ごとに異なるかもしれませんが、東京労働局では「パートタイム労働者・有期雇用労働者の雇用管理状況ヒアリング票」というものです。これは、労働者数など企業の概要、最も賃金(時給)が低いパートタイマーや有期雇用労働者とその者に最も業務内容が近い正社員の職務内容、職務の内容・配置の変更についての違い、雇入れた際の説明についてなど、かなり細かく記載する必要があります。

調査票を記載する段階で会社としてはかなり待遇差の説明の整理は行われることになります。説明についてはガイドラインに沿ったものであれば特段本質的な指摘はないようですが、調査の結果は細かな指摘(助言)があることは多いようです。例えば労働条件通知書に「昇給」の記載がなかったなどについては法違反ということで指摘は当然ですが、労働条件通知書や規程を周知しているかどうかの証明を求められたり、派遣の同一労働同一賃金等は労使協定の統計の年号が古く修正されていないなどかなりこまかなものと感じますし、さらに派遣元が派遣先に通知する事項について通知書に不備がなくても通知をしていたか証拠を出すようになど、少し首をかしげたくなるケースもあります。

同一労働同一賃金の是正については、いわゆる労働時間など監督官(方面)の調査とは法律上の位置づけも異なりますので、是正報告書も異なります。東京労働局長あての是正報告書は形式が統一されているようで、「令和○年○月○日に助言のあった事項について、当社においては下記の通り措置を講じたので報告します。」という一文が記載されており、その下に労働条件の通知の内容の不備であった場合、「(法6条)短時間・有期雇用労働者に労働条件通知書を交付する際、別添の様式で行うこととしました。」とこれも既に記載されたものを渡されて、上記日付を入れ、あとは今後使用するモデル労働条件通知書を別途添付するということになります。今後さらに調査が増えれば指摘・助言なども様々出てくるかもしれませんが、一応流れとしては同じであろうと思われます。

BBクラブの勉強会が土曜日猛暑の中行われて100人を超える会員が集まって法改正の講義を受けてくれました。今後夏は代々木公園の駅から少し距離のあるオリンピックセンター開催を見直した方が良いという意見もあり、検討したいと思いました。参加者は大変だったと思いますが、暑さにも負けず合格後もきちんと年に2回の法改正を勉強してくれるという気持ちを心から嬉しく感じています。

なおBBの会員の方には、講義中追加でお話しした内容のURLを載せたレジュメに差替えてありますので是非BBクラブのブログで確認してください。また次回の日程をお伝えし忘れたので以下予定しておいていただければ幸いです。

次回の勉強会は以下の日程で行われます。
日 時:  2025年2月8日 13:30開講 予定
会 場:  国立オリンピック記念青少年総合センター
      センター棟 セミナールーム


労働局 同一労働同一賃金の調査の留意点

2024-07-21 15:30:18 | 労働法

先週年金事務所の調査についてブログに書いたところいつもより多くの方が見て頂いているようで、調査対応について悩まれている人事担当者等が多いと感じましたので、今週と来週で労働局の「同一労働同一賃金の調査」について、多少の経験を元に留意しておく点などを書いてみたいと思います。

同一労働同一賃金はそもそも平成30年12月に「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」が公布・告示され、これがいわゆる「同一労働同一賃金のガイドライン」として裁判例と共に現在まで考え方の基礎となっています。

平成30年当時、同一労働同一賃金のガイドラインに沿って各社とも特に均衡待遇について合理的な説明ができるか、又は待遇差を解消するかを検討しました。その際慶弔休暇については正社員と契約社員の差をなくした会社さんが多かったと記憶しています。令和5年12月26日の労政審、雇用環境・均等分科会(第66回)の資料を見ると、正社員100とした場合の有期雇用パートタイムに実施した内容のベスト3は通勤手当(84.7)、法定外休暇(66.8)、慶弔休暇(61.8)です。逆に住宅手当等の手当関係、退職金などは実施が10.0前後ととても少なく、ただ人事評価、賞与、昇給は(45.0前後)と、思ったより実施していると感じます。

厚生労働省は、令和4年12月から「同一労働同一賃金の遵守の徹底に向けた取組み」を行っており、労働基準監督署ルートと都道府県労働局ルートの2方向から調査等を行っています。顧問先に監督署の調査のご連絡があり、事前に送られてきた調査票が同一労働同一賃金だったので、てっきり同調査と思い会社さんと事前に準備をしたところ、実際の調査は労働時間を中心とした労働基準法の調査であったことがあります。監督官に最後に同一労働同一賃金の調査はないのでしょうかと問いかけたところ、あれは労働局の担当なのでということでサラリとかわされ、後日労働局の同一労働同一賃金の調査が別にあったという事例がありました。思えば以下の取組みの流れを考えると当然で、労働基準監督署の監督官は「事実関係の確認」を行っていたのだということが分かります。

上記資料によると、労働基準監督署の「事実関係の確認」は、令和4年から令和5年11月までに39,174件、その中で対象企業を選定して都道府県労働局が「パート・有期雇用労働法に基づく報告徴収等」として同期間に7,983件、法違反があると「都道府県労働局長による助言・指導等」から不合理な待遇差の是正につなげます。法違反のない場合も雇用管理改善を助言として「働き方改革推進支援センターにおける相談・コンサルティングにより待遇の点検・見直しにつなげるとされています。

調査があるからというだけでなく、最近もかなり同一労働同一賃金についてはご相談が多く、特に待遇差について検討されることが多くなっているように思います。悩ましいものの1つが賞与ですが、正社員は成績等評価による支給、契約社員は慰労的な根拠と賞与の支給基準が異なるとことで額の差び説明がつくということで問題ないようです。ただ実際の調査の際には、正社員のみに精勤に係る賞与が別途年2回支給されていた場合、契約社員に対しても「均等・均衡待遇」の観点から支給を検討しては如何かという「提案」がありました。(来週に続く)

いよいよ梅雨明けで、これから暑い日が続きそうです。熱中症に気を付けて過ごしましょう。来週は年に2回のBBクラブの勉強会です。100名を超える参加のご連絡を頂いており、参加頂く方達にお会いできるのを楽しみにしています。