OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

改訂版 副業・兼業の促進に関するガイドライン(管理モデルについて)

2021-01-17 14:24:49 | 労働基準法

先週に引き続き「改定版 副業・兼業の促進に関するガイドライン」の中で「管理モデル」について触れてみたいと思います。

管理モデルの考え方として、簡単に言ってしまえばあらかじめそれぞれの会社で働く時間(所定労働時間と時間外労働時間数)とを定めておくことで、その時間数の範囲内で働く分には他社における実際の労働時間を把握する必要がなくなる、ということです。

またその場合に各々の使用者の事業場における法定外労働時間の労働について、割増賃金を支払うことになります。

この管理モデルのポイントとしては、副業・兼業の『開始前』に労働契約を締結した使用者と『後から』労働契約を締結した使用者と明確にしているところだと考えます。

というのも、管理モデルの実施の導入手順には、副業・兼業を行おうとする労働者に対して「開始前」に契約していた『使用者A』が、管理モデルにより副業・兼業を行うことを求め、労働者及び労働者を通じて「後から」契約した『使用者B』がこれに応じることにより導入されることが想定されるとあるからです。

この場合の労働時間の上限設定は、当然時間外労働の上限である単月100時間未満、2から6か月平均月80時間以内の範囲内である必要があります。例えば、『使用者A』の所定労働時間が1日7時間で月140時間、所定外時間外労働が20時間、法定外労働時間が10時間で月に170時間を上限として設定するとして、『使用者B』は1日1時間で月20時間、所定外労働時間10時間の範囲内で働くとします。その場合『使用者A』の法定外時間外労働の10時間と『使用者B』の所定1時間×20日=20時間と所定外10時間を合計し40時間となり時間外労働の限度の月80時間の範囲内で働いてもらう、ということになります。

上記の場合、割増賃金の支払いは、『使用者A』は法定外労働時間の10時間分の支払い義務を負い、『使用者B』はすべて時間外労働になるため30時間分の支払い義務を負うことになります。

副業を開始する前から契約している使用者は、副業・兼業を会社で認めることとする場合に、この管理モデルを使うかどうかは検討されると良いと思います。管理モデルを使えば他社における労働時間の把握は不要となり時間管理は簡単になりますが、後から契約をする副業先においてはコスト増になることは考えられます。管理モデルによる方法に限り副業・兼業を認めるとすることも考えられるということです。

とにかく自粛していると一番の悩みは足腰が弱るということです。時間があればPCの前で何か読んだり仕事をしたり、買いたいものを検索したりと座っている時間が長くなるので、できるだけ特に週末は散歩に行くようにしています。昨日も高級なスーパーまで通常は歩かない距離を歩き、帰りは荷物がかなり重くなったのでバスに乗ることにしたのですが、バス停の前の建物内に簡単なカフェが併設されたかなり大きな本屋さんが2階にあるということを見つけました。やはり歩いてみると思いがけない発見がありますね。

本当は平日も、できるだけ事務所まで歩く距離を長くとりたいところなのですが、なかなか時間と体力の関係でそれができないでいます。仕事の量を見直して今年は生活改善をしたいですね。


改訂版 副業・兼業の促進に関するガイドライン(労働時間の通算について)

2021-01-11 14:05:59 | 労働基準法

今年初めてのブログです。今年もよろしくお願いします。

コロナ感染が驚くほど拡大してきて、とうとう2度目の緊急事態宣言に入ったこともあり、この3連休は自宅で自粛をして比較的ゆっくりとした時間を過ごすことができましたが、明日からも在宅勤務をとりあえず5、6割にしようということになっているので、ここで目を通すことがなかなかできなかった資料等をじっくり読みこんでみるつもりです。その中で気になっていた「改訂版 副業・兼業の促進に関するガイドライン」について取り上げてみたいと思います。

改訂版のガイドラインでは、従来からの考え方である「事業場を異にする場合には労働時間を通算する」ということに加えて、フリーランスの場合など通算されない場合が示されています。また休憩、休日、年次有給休暇については、通算されないということも示されています。特に休日についてはこれまで見解が分かれていたということですので、その点明確になったということで留意しておく必要があります。

労働時間の通算の考え方はなかなか難しいですが、Q&Aを合わせて見てみると理解できます。考え方として副業・兼業の開始前と開始後に整理されています。

①副業・兼業の開始前(確認しておくこと)

自社の所定労働時間と副業等の所定労働時間を通算して、自社の法定労働時間を超える部分の有無を確認します。➡自社の所定労働時間と副業先の所定労働時間を通算して自社の法定労働時間を超える部分がある場合には、時間的に後から契約した使用者における時間外労働となる。

これについてはQ&AのPの2に事例が載っています。簡単に言うと、甲の所定労働時間が8時間(法定労働時間を超える時間は無し)、後から契約した乙の所定労働時間が5時間という場合、甲が所定労働時間のみ労働させたという場合は、乙(時間的に後から契約した使用者)の所定労働時間5時間はすべて法定時間外労働になるということです。

②副業・兼業の開始後

所定労働時間の通算に加えて自社の所定外労働時間と副業先の所定外労働時間を行われる順に通算して自社における法定労働時間を超える部分の有無を確認します(自社の所定外労働がない場合は所定外労働の通算は不要)。➡自社において法定労働時間を超える部分がある場合、超える部分が時間外労働となる。

1.Q&AのP4には次のような事例になっています。甲の所定労働時間が4時間で実際の労働時間が5時間、乙の所定労働時間が4時間で実際の労働時間も4時間という場合、甲及び乙の所定労働時間の通算は8時間と法定労働時間内ですが、甲及び乙の通算の労働時間は5時間と4時間で9時間で法定労働時間を超えます。その場合、所定労働時間を超えて労働させた甲が1時間分の割増賃金の支払い義務を負うことになります。

2.またP5には次のような事例ものっています。甲の所定労働時間が3時間で実際の労働時間が5時間、乙の所定労働時間が3時間で実際の労働時間が4時間という場合、甲及び乙の所定労働時間の通算は6時間と法定労働時間内であり、甲の労働時間も法定労働時間内ですが、甲及び乙の通算の労働時間は5時間と4時間で9時間です。その場合、所定労働時間を超えて労働させた乙が1時間が時間外労働になり乙が割増賃金の支払い義務を負うことになります。

要するにもともと新たに契約した際に既に時間外になる場合は新たに契約した使用者の時間外となり、通算して法定労働時間内に収まっている契約である場合に、通算して法定労働時間を超えた場合については、所定労働時間を超えた時間労働させた使用者の時間外となる、ということなのだと思います。

なかなか難しいですね。これに加えて36協定の時間外労働の制限により1か月100時間、6か月平均80時間の範囲内の定められた時間数に納めなければなりません。コロナウイルス感染拡大であまり注目されず、労働時間についてもちついていますが、実際の運用になった場合かなり混乱しそうで心配です。

●副業・兼業の促進に関するガイドライン

0000192844.pdf (mhlw.go.jp)

●「副業・兼業の促進に関するガイドライン」 Q&A

0000193040.pdf (mhlw.go.jp)

ガイドラインには「管理モデル」という簡便な労働時間管理の方法が載っているのですが、これはまたよく消化したうえで来週のブログで取り上げたいと思います。

私の場合、在宅勤務の良いところは、食事の時間が比較的早めになる事かなと感じています。通常事務所にいると粘りに粘って20時ころにやっと(あきらめて)片付けて帰宅の途につくということになりますが、在宅ですと遅くとも19時台には夕食を食べる感じになります。それほど凝ったものは作れませんが、帰宅時につい寄ってしまうスーパーについても、買い物に行く回数は抑えられている感じです。ただ1回の買い物で要領よく必要なものを購入できるか、一人勝負をしています。

早くコロナが収まって、桜のころには花見が楽しめると良いですね。今年も頑張っていきましょう。


36協定届の押印廃止について

2020-12-27 23:20:25 | 法改正

令和3年4月1日から36協定の押印が廃止されることになりました。以下「労基法施行規則等の一部を改正する省令について」のサイトにリーフレット、Q&A、通達、条文等が掲載されています。

労働基準法施行規則等の一部を改正する省令について |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

令和2年8月27日に開催された第163回労働政策審議会労働条件分科会の議論での了承を受けた改正ですが、委員から以下のような意見がありました。

(仁平委員発言)今回の改正に当たりまして、協定書自体の押印が廃止されるかのような誤解が広まって、使用者の一存で記入された協定届が提出される懸念があるのではないかと指摘させていただいたところです。実際、そういった誤報もございまして、現場では実際に混乱が生じたという報告も受けているところでございます。・・・特に重要と思われる点として36協定等の協定に関しては協定届を届けるという手続と、協定を締結するということは別の問題であってしっかり区別されるべきで、協定の締結部分についてはこれまでどおり代表者をしっかり適切に選んで、適切に書面による合意を結ぶということが重要であり、そこの点についての周知の重要性を含め徹底することが改めて必要ということが強調されているという点など踏まえて、適切なものだろうと思います。

そもそも労使協定については、協定書と協定届の2種類があるべきところ、36協定については協定届のみの届出が以下の通達で認められています。

「労働基準法施行規則様式第9号による届け出は、時間外・休日労働協定(36協定)と同視してよいか(昭和53.11.20基発642号、昭和63.3.14基発150号、婦発47号、平成11.3.31基発168号)

 施行規則第17条第1項の規定により、法第36条第1項の届出は様式第9号によって行えば足り、必ずしも三六協定の協定書そのものを提出する必要はないが、当該協定書は当該事業場に保存しておく必要があること。また、三六協定を書面で結ばずに様式第9号のみを届け出たとしても、時間外労働等を行わせることができないことはいうまでもないこと。
 なお、様式第9号に労働者代表の押印等を加えることにより、これを三六協定の協定書とすることは差し支えなく、これを届け出ることも差し支えないが、この場合には、当該協定書の写しを当該事業場に保存しておく必要があること。

一般的には、上記アンダーラインにある通り36協定届(様式第9号)に労使の押印をして届け出ているケースがほとんどであり、協定書を別途作成しているケースはこれまでとても少なかったと思われます。今回の改正により、協定届の押印廃止を受けて押印をせずチェックボックスのチェックをするということにしたとしても、協定書を別途作成してこれまで通り署名・押印が必要となればかえって手間になってしまうのでは、と疑問がありました。今回、新たな36協定届の記載例を見ると、協定書を兼ねる場合には労働者代表及び使用者の「署名又は記名・押印などが必要です」とあり、兼ねる場合であっても労使ともに署名のみで可能であることがわかりました。

要するにこれまで通り、協定届により協定書を兼ねることが可能であり、また、これまで使用者については記名のみならず署名の場合であっても必ず押印が必要とされていたので、その部分の押印が廃止されたということです。

なお今回の改正により、労働者の過半数代表者の適正な選出及び電子申請の利便性の向上に向けた恒久的な制度的対応の一環として、労使協定・決議の届出様式に協定当事者の適格性を確認するチェックボックスを設けられたほか、電子申請時に、電子署名及び電子証明書の添付等のほか、利用者の氏名を電磁的記録に記録することをもって代えることができることとされました。また、所要の改正を行う協定当事者が労働者の過半数で組織する労働組合である場合は、労働者の過半数を代表する者が管理監督者ではなく、かつ適正に選出されたかを確認するチェックボックスにチェックがなされていなくても、形式上の要件に適合するものであるとされています。

〈参考〉第163回労働政策審議会労働条件分科会(資料)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

さて、今年は本当にほとんど1年間コロナウイルスに振り回されたといってよいと思います。在宅勤務やオンライン会議など今や当然となった感がありますが、昨年までは全く予想をしていなかった働き方でした。今年は同一労働同一賃金と働き方改革がメインテーマと考えていましたが、意外なことに劇的な働き方改革が起こった感じです。ここにきて感染者数が東京は1,000人に近づきこれは本当に心配な状況ですので、年末年始で自粛して、年明けは少し収束してくれると良いと願っています。

OURS小磯社労士法人は明日仕事納めです。例年行ってきた事務所での忘年会も今回は諦めて、くじ引きと私からのいつものプレゼントをして締めくくる予定です。ブログも今年は今日が最終となり、お正月はお休みとさせて頂いて、11日からスタートさせていただく予定です。なお事務所は1月5日からスタートします。
今年は私にとって皆様に心から感謝しなければならない出来事があった年となりました。本当に有難うございました。よいお年をお迎えください。

特別条項を前提にした固定残業代について

2020-12-20 23:11:15 | 労働基準法

固定残業代については、以前よりだいぶ判断が緩やかになっていると感じていたのですが、先日レインズインターナショナル事件の判決を目にしてさらにその印象を強く持ちました。判決の中で固定残業代について述べられている部分の一部を取り上げてみます。(東京地判、 令和1年12月12日、 レインズインターナショナル事件)

実際の時間外労働時間数及び深夜労働時間数について・・・時期によっては固定割増手当規定の時間外労働及び深夜労働の時間数と比較的大きな差があるが、割増賃金の額が固定割増手当の額を上回る場合にはその差額を支払っていたことを考慮すると,労働契約上,固定割増手当は時間外労働及び深夜労働に対する対価であるとされているとみるべきである。

基本給を時間給に換算するとアルバイト従業員の時間給を下回るため固定割増手当に店長の職責に対する対価の趣旨が含まれていることについて・・・基本給を時間給に換算した額がアルバイト従業員の時間給を下回るとしても,正社員に対しては賞与が支払われるなどの他の労働条件においてアルバイト従業員よりも優遇されていること,給与規程上,店長とそうでない正社員とで固定割増手当の内容及び算定方法が区別されていないことからすれば,固定割増手当に店長の職責に対する対価の趣旨が含まれているということはできない。

本件固定割増手当規定が36協定の原則の時間外労働の上限45時間を超える70時間相当及び深夜労働30時間相当としているためため公序良俗等に反し無効であるかについて・・・労基法37条は労基法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまるものであることを踏まえると,本件固定割増手当規定においてあらかじめ支払うこととされる固定割増手当に係る時間外労働時間数が36協定に関する基準に定める時間外労働時間数を上回るというだけでは,直ちに本件固定割増手当規定自体が労基法又は公序良俗に反するということはできない。

以前ある会社で監督署の調査があった際に固定残業代が上記判決と同様の時間数であったことがあり、そもそも45時間を超えることができる時間外労働は、臨時である必要があり、臨時とは年に6回以内である必要があると考え、是正報告を作成する段階で12ヶ月45時間を超える固定残業代の設定は問題がないかと考えたことがありましたが、この判決からすると問題はなさそうです。

またやはり従来からの考え方として固定残業代相当時間数を上回る時間外労働を行った場合は、その超えた時間数に対する割増賃金を支払うことは大切であり、固定残業代の内容と算定方法が職責によって区別されていなければ職責に対する対価が含まれるとは解されないという点も実務的に留意してよいものと思いました。

今日母の卒寿のお祝いを家族一同集まってとり行う予定であったのですが、あまりにコロナの感染者数が増えて、ひょっとして東京は1000人に達してしまうのではという危機感があり、残念でしたが延期としました。食事を予約していたお店では、ちゃんちゃんこと写真は準備してくれるということでしたのでとても有難いと思っており、キャンセルをするのが申し訳なかったのですが、電話をしたところ「90歳の母がいて…」と話し始めたところで「キャンセルですね。またよろしくお願いします。」さくっと言われ、やはりキャンセルが多いのだなと感じました。それらの対応からコロナが収束したら必ずもう一度お願いしようと思っています。


年次有給休暇の取得増加と計画的付与

2020-12-13 17:44:53 | 労働基準法

令和2年就労条件総合調査によると、平成31年・令和元年の1年間に労働者が取得した年次有給休暇の取得日数は昭和59年以降で過去最多10.1日(平成31年調査9.4日)で、取得率は56.3%(同52.4%)で過去最高となったそうです。平成31年4月1日施行の5日の年次有給休暇の取得義務の影響は大きいのかなと思います。各企業も5日の付与についてはかなり気にされていた印象があります。

比較的多い質問としては、1年間の途中で育児休業等が終了して復帰した社員についても5日付与しなければならないかというご質問ですが、これは改正労働基準法に関するQ&Aに載っています。

3-6(A) 付与期間の途中に育児休業から復帰した労働者等についても、法第 39条第7項の規定により5日間の年次有給休暇を取得させなければなりません。ただし、残りの期間における労働日が、使用者が時季指定すべき年次有給休暇の残日数より少なく、5日の年次有給休暇を取得させることが不可能な場合には、その限りではありません。

上記回答からすると、5日の取得が全くされていない場合、育休復帰後の労働日が5日に満たない場合は仕方がないが、復帰後の期間が短かったとしても5日の取得させる義務はあるということになります。

また、同統計によると、年次有給休暇制度の計画的付与制度がある企業割合は、43.2%ですが前年平成31年調査では22.2%であり、計画的付与日数階級別にみると「5~6日」が66.6%であり、平成31年調査の39.6%から大幅に増加しているのが分かります。計画的付与を活用して取得日数を増やし、5日の取得義務を果たすことを目指したことが推察されます。

なお、年次有給休暇は、労働日の労働を免除するものであり、すでに労働を免除されている育児休業期間中に取得することはできません。ただし、育児休業取得前に計画的付与されていた年次有給休暇については、取得したものとされています(平成3.12.20基発712号)。

今年の年末年始は年次有給休暇の計画的付与を検討されている場合も多いと思いますので以下ご参考まで。

有給休暇ハンドブック(厚生労働省)

040324-17a.pdf (mhlw.go.jp)

小淵沢の家も冬じまいする必要があり、週末に行って1年間(といってももちろん今年は前半は全く行けてなかったのですが)使ったものを洗濯し、食料も賞味期限切れにならないよう整理してきました。冬になると森の木の葉がすっかり落ちて、家のテラスや部屋からも八ヶ岳や南アルプスが望めるようになります。冬の晴れた日は山がくっきりと見えて春から秋にかけてとは異なった山の姿を見ることができます。一昨年秋に来た時あまりに寒く感じたので、昨年から暖房対策を強化して、今年はほとんど寒い思いもせず過ごすことができました。来年は家の前に芽を出すフキノトウを摘めるまだ冬の雰囲気の残る時期に来てみようと思います。


ジョブ型雇用についての興味深い記事

2020-12-06 22:25:40 | 労務管理

在宅勤務が広がる中盛んに「ジョブ型雇用」が取り上げられるようになりました。在宅勤務により部下の仕事のプロセスが見えなくなり、成果によってでしか評価ができないという問題が生じます。在宅勤務についてのセミナー後の質問でも、部下の評価はどのようにすべきかという質問が多くありました。

極めて簡単に言ってしまえば「ジョブ型雇用」とは職務内容を明確にして、その成果を評価して管理していくものとされ、リモートワークはこの「ジョブ型雇用」と一体化され、新しい働き方となるということになります。

いわゆる「ジョブ型雇用」への移行とリモートワークとが一体とならなければ、新しい働き方は根を下ろさないという記事もあります。これまでの労基法の労働時間での管理は高度経済成長期の製造業にこそマッチする、というのは日々社労士業務の実務の中で感じることですが、「ジョブ型雇用」は労働時間で管理しない新しい労務管理ということになります。

2020年7月22日の日経電子版にも『導入相次ぐ「ジョブ型」雇用、成功の条件とは』という記事が掲載され日立製作所の取組が載っています。「ジョブ型の制度導入は日本的な組織を根本から変える改革になる。」とされ、「世界で5万ある管理職ポストを職務の重さによって格付け…社員のスキルや職務履歴を一元管理するデータベースも構築し…非管理職の職務記述書づくりにも20年度に着手し…人材と職務の両面で「見える化」を進めている。

ジョブ型雇用は、コロナ後のニューノーマルの救世主という感じで語られている雰囲気でしたが、成果をどのように反映させるか、実際にはなかなか難しいのではとも感じていたところ、12月4日の一橋大学の神林教授の「職務限定・成果給の両立難題 ジョブ型雇用と日本社会」はとても興味深い記事だと思いました。

この記事の中で、ジョブ型雇用はいわゆる「職務給」として解釈することが適当として、職務遂行の有無のみが問われ、職務が変わらない限り賃金は固定され、労働時間により給与が決定される仕組み、とあります。ただテイラーの理論の衰退もあり「単純な職務給への復帰と解釈するのは現実的ではない。」とされています。ジョブ型雇用とは「すなわち職務内容をあらかじめ限定的に列挙して労働契約の内容とするものだ。対立するメンバーシップ型雇用について職務の限定がないと説明されることからも、妥当だろう。」とありそのあと成果給との関係についても取り上げられています。

この記事は非常に興味深く、またジョブ型雇用は考え方が統一されておらず運用となるとなかなか難しいと感じてしまうことがわかります。ぜひ全文読んでいただければと思いますが会員登録していないと読めないでしょうか?

職務限定・成果給の両立難題 ジョブ型雇用と日本社会: 日本経済新聞 (nikkei.com)

12月に入り、年末・年始の準備を少しずつしていますが、今日は今年12月に90歳(卒寿)を迎える母のプレゼントを買いにコロナを気にしつつちょこっと日本橋まで行ってきました。デパートはかなり空いており、有難いといえば有り難いのですが、ついでに自分の仕事用のスーツを購入したをお店では、とにかく仕事用のスーツ等の服が全く売れていないということでした。理由としては、やはりテレワークで仕事着が必要なくなったということが原因であり、上半身だけきちんと見えればよいからという人が多いとか。これから女性管理職も増えてくるというテーマで3年前くらいから女性のビジネススーツ等に力を入れてきたブランドだけに、方針転換をするかどうか難しいところだと感じました。頑張れ!アパレル!と思っています。


請負による場合の労働時間の把握について

2020-11-29 21:22:45 | 労務管理

顧問先様からのご相談で請負で働いてもらう場合の労働時間の把握について、請負先の事業主はどこまで行ってよいのかというご質問があり、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和 61 年労働省告示第 37 号)」を久しぶりに調べました。

基本的には、雇用している従業員は管理職も含めて労働時間の状況把握が必要とされています。これは労働安全衛生法66条の8の3において、「面接指導を実施するため、労働者(次条第一項に規定する者〈高度プロフェッショナル制度適用対象者〉を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。(2019年4月施行)」とされています。

また派遣労働者の労働時間の把握については、労働者派遣法40条で「派遣先の講ずべき措置等」として、派遣先は「適正な派遣就業の確保等のための措置」を講じなければならないと定めており適正な就業環境の維持が配慮義務とされています。また、派遣法44条で定める労働基準法等の適用に関する特例の具体的な内容として業務取扱要領に、「労働時間、休憩、休日等の労働者の具体的就業に関連する事項については、派遣先の事業主が責任を負う(要領2(2)ハ)」とされているため、労働時間の状況把握は必要だといえます。

請負については、労働時間の把握をしてしまうと請負ではなく派遣と判断される可能性があるのではないかと考え調べたのですが、上記労告37号 に請負の形式による場合であっても、以下の場合を除き、「労働者派遣事業を行う事業主とする」とあります。要するに請負の場合は、労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行うものであることとされており、「① 労働者の始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等に関する指示その他の管理②労働者の労働時間を延長する場合又は労働者を休日に労働させる場合における指示その他の管理(①及び②ともこれらの単なる把握を除く。)を自ら行う必要があるということになります。ただ、この中で「単なる把握」は除かれており、労働時間について指示等するのではなくシンプルに把握するだけであれば労働者派遣事業を行う事業主と判断されるわけではないと理解しました。

感染者数が増えてきて心配ですね。とにかくあまり出歩かない方が良いと思っています。BBクラブの1月の勉強会についての幹事会を週末に行いましたが、やはりこの冬は無理であろうということで勉強会は中止とすることにしました。ただし、法改正の勉強はしたいという希望が多く(みんなえらいですね~)2月13日にウェビナーで配信することにしました。詳しくはまたお葉書で連絡する予定です。

幹事会の後、以前から行きたかった東急プラザにあるペッパーパーラーにお茶をしに行ってきました。席ごとに配置されたペッパー君がクイズなどを出してくれて結構楽しめました。


フレックスタイム制 コアタイムの設定

2020-11-23 14:32:08 | 労働基準法

フレックスタイム制におけるコアタイムとフレキシブルタイムについては、あまり細かいことが決められている印象はなかったのですが、在宅勤務が増える中で、フレックスタイム制を採用する会社が多く、コアタイムの設定について最近確認したことについて取り上げてみたいと思います。

フレックスタイム制の一番のポイントは、始業時刻と終業時刻を労働者の決定に委ねるという点だと認識しています。だいぶ以前にはなりますが、始業時刻から30分後がコアタイムの開始時刻、終業時刻の30分前がコアタイムの終了時刻では、労働者が選択できる時間が短すぎる、せめて1時間の間隔がそこには必要ということを監督署にアドバイスされたことがありましたので、以後そのようにアドバイスをしてきました。

ところが今回始業時刻とコアタイムの開始時刻が同じで、始業時刻より前2時間がフレキシブルタイムになっている(コアタイムの終了時刻は終業時刻より時間前)というケースがあり、その設定については問題ないという監督署の回答でした。私の認識とは異なると考え、通達やコンメンタールを見直してみたところ、特にそのようなケースについて言及されているものはありませんでした。以下通達とコンメンタールの関連部分の記載です。

フレックスタイム制を採用する際に就業規則で定める事項(昭和63.1.1基発1号、婦発1号、平成113.31基発168号)
 なお、法第89条は、就業規則で始業及び終業の時刻を定めることと規定しているが、フレックスタイム制を採用する場合には、就業規則において、始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねる旨の定めをすれば同条の要件を満たすものであること…フレキシブルタイムが極端に短い場合、コアタイムの開始から終了までの時間と標準となる1日の労働時間がほぼ一致している場合等については、基本的には始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねたこととはならず、フレックスタイム制の趣旨には合致しないものであること。

・・上記通達と照らすと、始業時刻とコアタイムの開始時刻が同じであってもコアタイムの終了時刻は終業時刻より前に設定してあれば、標準となる1日の労働時間とほぼ一致とはならないので問題ないという判断につながるものなのかと思います。

コンメンタール
フレキシブルタイム(労働者がその選択により労働することができる時間帯)が極端に短い場合、コアタイム(労働者が労働しなければならない時間帯)の開始から終了までの時間と標準となる1日の労働時間がほぼ一致している場合等については、基本的には始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねたこととはならない(昭63.1.1 基発第1号・婦発第1号、平11.3.31 基発第168号)。このため、例えば、始業及び終業のそれぞれのフレキシブルタイムが30分というようなものは本条のフレックスタイム制とはいえない。

(ロ) コアタイム
 コアタイムは、法令上必ず設けなければならないものではないが、これを設ける場合には、労使協定において、その開始及び終了の時刻を定めなければならない。
 コアタイムの時間帯は、労使協定で自由に定めることができ、コアタイムを設ける日と設けない日があるもの、日によってコアタイムが異なるものなども可能である。また、コアタイムを分割することも可能ではあるが、最初のコアタイムの開始の時刻から最後のコアタイムの終了の時刻までの時間が標準となる1日の労働時間とほぼ1致するような場合には、始業及び終業の時刻について労働者の決定に委ねたものとはいえず、フレックスタイム制とはいえなくなるものと解する。

・・こちらもほぼ同様の内容ではありますが、始業時刻のフレキシブルタイムが30分では認められないとされています。ただ10時始業であっても8時からフレキシブルタイムが設定されていれば2時間の選択する時間帯があるため問題ないということでしょうか?

どちらにしても、始業時刻とコアタイムの開始時刻が同じということについて腹落ちしたわけではないのですが、それを否定できるような根拠も見つからないということでした。私のようにどちらかというと夜型の人間は、始業時刻より少し遅めの時間帯から業務を開始できるコアタイムの方が嬉しいのですが、朝方が推奨され、正しいという雰囲気が醸成されつつあるように感じる昨今においてはあまり問題視されることでもないのかもしれません。

先週渋谷支部の代議員・理事選挙があり、無事代議員に選んで頂くことができました。厳しい状況と認識していましたが、お願いした皆様が投票所に駆けつけて頂き、貴重な一票一票を積み上げて頂いたと感じました。またここから一歩踏み出していこうと思います。応援いただきました皆様に御礼申し上げます。


新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金について

2020-11-15 18:35:45 | 法改正

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金は、なかなか申請が難しいと感じます。これまでも顧問先企業から「支給要件確認書」の休業したか否かの証明について、何件もご質問がありました。ご質問の内容としては、かなり自由度高くシフト勤務で働いていたアルバイトさんに対して、仕事自体がなくなってしまったケースなどであり、雇用関係が日々成立していたとも考えられ、そもそもそれが休業であるかどうかの判断が難しいと感じます。10月1日にQ&Aが出たのでご紹介しておこうと思います。まずは概要は以下の通りです。

制度の概要としては、 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により中小事業主に雇用される労働者が事業主の指示により休業し休業中に休業手当を受けることができない場合に休業前賃金の8割(日額上限 11,000 円)を支給するもので、労働者個人に支給されるものです。申請も事業主が行う場合と、労働者が行う場合のどちらのケースも認められます。

【Q&A ②対象労働者、対象事業主】に、日雇労働者は、 雇用関係が継続していない場合、対象とはならず、ただし契約上はいわゆる日々雇用であったとしても、実態として更新が常態化しているようなケースにおいて、更新により労働契約が継続されることを前提に、事業主が労働者を休業させる場合には、支援金・給付金の対象となります。また、フリーランスでの仕事が休業状態であっても、休業の前提となる雇用関係がないフリーランスの方は対象とはなりません、とあります。

この「雇用関係」の判断が難しと感じます。雇用契約の成立が日々行われていると考えられる場合は、指示した休業にはあたらないと思いますが、実態を見るということになると少し判断は変わってきます。

申請をするにあたり、支給要件確認書を提出することになるのですが、⑦-1に事業主(会社)が休業させたか否かを「はい」か「いいえ」で記入する欄があり、「はい」であればなぜ休業手当を払わないのか、「いいえ」にする判断は正しいのか、ということで悩ましい問題となります。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000646894.pdf

【Q&A ③対象となる休業】として示されている中で確認しておく方が良いものを拾ってみました。

2-2 事業主から、新型コロナウイルス感染症がなければシフトを入れる予定であったが、シフトが決まる前に休業に入ったので、申請できないのではないか。また、申請すると不正受給になるのではないか心配だと言われました。申請できますか。という質問に対しては以下の回答となっています。
→ シフトが入らない状態が休業に当たるか否かは、前提となる労働契約の内容によりますが、この休業の前提となる労働契約は、労働者と事業主との合意によりその内容が決定されます。

2-3 労働者から休業支援金の支給要件確認書の記載を求められています。事業主の記載欄に休業手当を支払っているかどうかを確認する欄がありますが、「休業手当を支払っていない」と回答した場合、ただちに労働基準法違反となるのでしょうか。
→ 休業支援金は、中小事業主に雇用される労働者であって、当該事業主の指示により休業しており、休業手当を受け取ることができない方を対象とした制度です。・・・使用者の責に帰すべき事由による休業に当たるか否かは、個別の事案ごとに、休業の原因や、使用者の休業回避努力の状況などを総合的に勘案し判断されます。

3-1 事業主の支給要件確認書への記載は絶対に必要でしょうか。協力してくれない場合、個人からのみの申請は可能でしょうか。
→ 労働者の雇用、賃金支払いの事実や休業させていることの事実については、労働者からの申出のみで判断することは適当ではなく、この点について最低限事業主からの確認が必要です。仮に労働者が事業主に申し出たにもかかわらず、事業主が支給要件確認書への記載を拒むようなケースが生じた場合は、支給要件確認書の「事業主記入欄」の「事業主名」の部分に、事業主の協力が得られない旨を、事業主の主張その他関連する事情とともに記載の上、申請してください。その場合、労働局から事業主に対して報告を求めます。

結論としては、例えば週〇日勤務などの契約を結んでいる、または一定期間実態があったということであればシフトが決まる前の分であっても、契約した日数分の休業手当の支払いは本来必要であるということだと思います。判断が難しいという場合については、「はい」とする方が良いのではないかと考えます。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000646900.pdf

Q&A
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000678085.pdf

対象期間・申請期限を延長
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000676013.pdf

コロナの影響で閉店しているお店が増えて寂しく感じる中で、新しくできたお店もあり、とにかく運動不足にならないため週末散歩をすると気になるお店が見つかることがあります。以前何度か購入していたオリーブオイルのお店がまた別の場所にできたりして、散歩もまた悪くないと感じます。だいたい頑張って10,000歩くらい歩くと7キロくらい歩いたことになるようです。今週末は、少し時間ができたので、最高裁の判決の解説動画を見たり充実した週末を過ごすことができました。感染者数が300人を超えて少し心配な状況なので、油断せず行かねばと気を引き締めようと思います。


半日単位の子の看護休暇・介護休暇について

2020-11-08 22:12:34 | 法改正

7月26日のブログでも「子の看護休暇・介護休暇の改正」については取り上げたのですが、先日の渋谷労働基準協会のセミナーのご質問で「半日単位の子の看護休暇・介護休暇」の扱いについて複数ありましたので再度触れておきたいと思います。

今回の改正(2021年1月1日)で、時間単位の子の看護休暇・介護休暇の付与が義務付けられました。改正前は、日単位又は半日単位の付与が義務付けられていましたが、「時間単位」の付与が義務付けられることにより「半日単位」の記述は条文からなくなっています。そのお話をしたところ、「半日単位」の子の看護休暇等を残してよいのかというご質問がありました。実際に運用を考えてみるとなかなか難しいと思いました。

今回の改正についてはQ&Aが出ています〈子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得に関するQ&A〉。

https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/content/contents/000618818.pdf

問2-2「半日単位での看護・介護休暇の取得を可能とする場合には、日単位で看護・介護休暇を取得する場合と比べて労働者にとって不利益とならないよう、看護・介護休暇1日の合計時間数が1日の所定労働時間数を下回らないものとする必要がある。」とありますので、半日単位を残しても良いということになります。

例えば、9時~18時の8時間の所定労働時間の会社であれば「9時~12時の午前3時間取得又は13時~18時の午後5時間取得=半日単位を取得」、という扱いでもよいということになります。

また、所定労働時間が7.5時間(9時半~18時)場合の半日単位が午前2.5時間、午後5時間というように定められているのであれば半日単位を残す意味もあります。

ただし上記問2-2にある通り半日単位が時間単位に比べて不利益になってはいけないので、午前休2.5時間を2回取得(計5時間)で1日分取得と扱うことはできないということは留意する必要があります。

金曜日は社労士試験の合格発表でした。合格率6.4%と例年並みで、合格者数2,237人。男女比男性64.0%対女性36%、最年少20歳・最高齢78歳、ということでした。お疲れさまでした。今回涙をのんだ方もまたあきらめずチャレンジしてもらいたいと思います。とにかくあきらめず地道に続ければ必ず合格できる時が来ますから。

この2日間はとにかく日ごろの運動不足解消のためかなり遠くまで散歩を兼ねて歩いていくことにして、1日10,000歩歩きました。しかし、到達点にして行ったパンケーキ屋さんでパンケーキを注文したところ凄いボリュームで、結果帰りも歩いたのですがおなかはパンパンのまま、という予想外の結果となりました。


雇用保険法 時間数による被保険者期間の算定 

2020-11-02 00:46:55 | 法改正

法改正セミナーで取り上げた雇用保険法等の一部を改正する法律の中で、「勤務日数が少ない者でも適切に雇用保険の給付を受けられるよう、被保険者期間の算入に当たり、日数だけでなく労働時間による基準も補完的に設定する(令和2年8月施行)。」という内容があります。

失業等給付の基本手当を受給する要件である「被保険者期間」は、原則として、離職日以前2年間の算定対象期間に通算して12か月以上あること(特定受給資格者に該当する場合については1年間に6か月以上あること)とされています。「被保険者期間」とは、資格喪失日の前日からさかのぼり1か月ことに区切った1か月の期間内に賃金支払基礎日数が11日以上である場合に「被保険者期間1か月」と算定されます。要するにある程度働いた月が12ヶ月以上あれば基本手当の受給資格を満たしたことにするというわけです。今回の改正でこの11日以上という要件について、「賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上であるとき」が加わり、来年8月から施行されることになりました。

被保険者期間を、日単位で拾うのではなく時間単位で拾う理由は、1週間の勤務が毎週同じではない場合に暦の区切りによっては11日被保険者期間を拾うことができない場合があり、運不運が発生していることについての対応です。今後、働き方が多様になるにしたがって被保険者期間が賃金支払い基礎日数日以上ではなく80時間以上も頻繁に利用されるようになるかもしれません。

ところでこの被保険者期間の時間単位で要件を満たす考え方は、育児休業給付や介護休業給付においても同じなのかというご質問がありました。これは調べたところ、同じ考え方をとるということがわかりました。改正条文は、雇用保険法第14条3項で定められたのですが、「14条の規定による被保険者期間」は、高年齢受給資格者、特例受給資格の他、高年齢雇用継続給付や育児休業給付及び介護休業給付の「みなし被保険者期間」についても同じ扱いになります。以下業務取扱要領よりご参考まで。

原則として、その休業を開始した日前の2年間に賃金支払基礎日数が 11 日以上ある完全月又は育児休業開始日が令和2年8月1日以降であって、育児休業開始日以前の2年間に賃金支払基礎日数の 11 日以上の完全月が 12 か月に満たない場合は、賃金の支払の基礎となった時間数が 80 時間以上である完全月が通算して 12 か月以上あるときに育児休業給付金の受給資格者となる。(育児休業給付は業務取扱要領59501、介護休業給付は同59801)

先週は出張で福岡まで行ってきました。行きの飛行機は空席もあり比較的ゆったりしていましたが、帰りの飛行機は満席で空港にも人がいっぱいでした。ただ、みんな黒っぽいスーツ姿ばかりで、女性は少なく、トイレも男性の方が並んでおり女性はガラガラという現象もありました。やはり観光はまだまだであり、仕事でのやむを得ない出張が主力ということなのだと思いました。

いよいよ11月に入り東京も寒くなってきました。本当はオリンピックで盛り上がる年がコロナで縮こまるような年になってしまいましたが、デジタル化、働き方などについて新たな将来に向かう転換の年になるかもしれません。あと2ヶ月来年に向けて準備は怠りなくしておきたいと思っています。


役職定年制について

2020-10-25 23:38:09 | 労務管理

役職定年制についてのお問い合わせがあり、久しぶりに聞いた感じがしましたのでスタッフに手伝ってもらい調べてレポートを書くことにしました。そもそも役職定年制はどのようにして生まれたのかということですが、厚生労働省の平成21年の資料に次の通りあります。

「役職定年制」は、役職段階別に管理職がラインから外れて専門職などで処遇される制度であり、大手企業では1980年代以前から導入した企業もあるが、概ね1980年代から行われた55歳定年制から60歳定年制への移行に際して、主に組織の新陳代謝・活性化の維持、人件費の増加の抑制などのねらいで導入されたケースと、1990年代以降に職員構成の高齢化に伴うポスト不足の解消などのねらいから導入されたケースが多いとされている。

平成10(1998)年に60歳定年制が導入されるまでは、定年年齢が法律で定められていることはなく、依然調べた際の昭和59年の書籍では「一律定年制、男女別定年制を実施している企業について、その定年年齢を見ると、男子の場合は55歳が圧倒的に多いが、女子の場合は30歳から60歳まで相当広範囲に分布している。(萩原勝「定年制の歴史」日本労働協会・昭和59年」とあります。このおおむね55歳の定年年齢が60歳義務化となった際に、賃金を55歳のピークのまま5年間の勤続年数を延長するには賃金原資の問題、若手との新陳代謝の問題などがあり、役職定年制を設けるところが多かったということなのです。

導入割合としては、上記厚労省資料からは、企業規模が大きいほど導入している企業の比率が高く、500人以上の企業では、4割弱の企業が導入している。役職定年制の実施企業は、近年減少傾向にあり、1000人以上の企業では、平成11年から平成19年までの間に10%ポイント以上減少している。(参考:中央労働委員会調査)また、人事院が実施した平成19年民間企業の勤務条件制度等調査結果によれば、役職定年制を導入している企業割合は23.8%であり、これを企業規模別にみると、500人以上では、36.6%、100~499人では、25.5%、50~99人では17.1%となっており、企業規模が大きいほど導入比率が高くなっている、ということです。数字的にはやや現在より多いようには感じますがそれほど少ないわけでもないらしいということがわかります。なお厚生労働省の「賃金事情等総合調査」では平成21年を最後に役職定年制の言葉は出てこなくなり、以後は選択定年制などの調査に代わってしまっています。

役職定年制の一番気になる点は賃金の減額を伴うか、また減額するとしたらどの程度の減額なのかということなのですが、上記人事院の調査では、給与の減額、廃止の実態として、課長級の役職定年後の年収水準は、役職定年前と比べて「下がる」とする企業の割合は82.5%であり、「変わらない」とする企業の割合は8.8%となっている。また、課長級の年収水準が下がるとする企業の年収水準は「約75~99%」が最も高く78.2%、次いで「約50~74%」が20.4%となっている。なお、課長級の役職定年年齢は「55歳」とする企業の割合が最も高い(45.3%)が、55歳時点の年収水準は、「変わらない」が8.5%で、「下がる」が91.5%、下がる比率は「約75~99%」が83.4%となっている、ということで約25%が減額の一般的な数字と考えられます。55歳以降は「変わらない」が「57歳」から「59歳」までは1ポイントから約10ポイント上がり、「下がる」が1ポイントないし約10ポイント下がる状況となっている、ということで制度により55歳以降の賃金も多少変動しているようです。

レポートを書くにあたり読んだ本には、人生3回の定年(役職定年、60歳の定年、65歳の再雇用上限)があり、60歳や65歳でショックを受けるのであれば、役職定年で心の準備をして55歳から65歳までの10年間勉強でも副業でも何か取り組むことを勧めるということが書かれており、兼業・副業の世の中になりつつある現代には、ある意味合っている制度のような気がしてきました。

21日から23日まで全国社会保険労務士会連合会のウェビナーフォーラムが行われ、22日は全体の司会を行いました。セミナー講師はTACの講師時代から流石に数を数えきれないくらいこなしてきましたので慣れ親しんでいるといってよいのですが、司会は初めてでかなり緊張してあれこれ考えながらでした。今回初めて気が付いたのですが、司会は単に質問を投げかけるだけではなく、うまく登壇者の言いたいことを引き出さなければならないこと、自分の感想的なことも話しつつ次のテーマにもっていかなければならないこと、自分の考えを述べすぎず登壇者にスポットライトが当たるようにしなければならないこと、あと時間を見て話をまとめる方向にもっていかなければならないことなど、やりながらいろいろなことに気が付きとても良い経験になりました。実際は座談会では話があちこちとんだ感じになったかと思いますが、登壇者社労士お二人の片岡さんが理論、岡本さんが実践とバランスが良くいろいろなお話が聞けたような気がします。13時50分から17時30分まで何とかやり切り、終了後ゲスト、登壇者、事務局、収録を担当頂いた会社の担当者の皆さんと拍手したときはジーンと来ました。11月の下旬くらいからYouTubeで見れるようですので反省を込めて観てみたいと思っています。

  


高年齢者の就労意欲

2020-10-18 22:59:22 | 雑感

昨日は、女性社労士の勉強会である二土会でお話しさせていただきました。テーマは「65歳超雇用を展望した働き方の動向について」ということで、近年の高年齢者を取り巻く法改正を中心に、今後の動向も含めて取り上げてみました。準備の段階で高年齢者の就労状況などあれこれ調べたのですが、驚いたのが高年齢者の就労意欲です。令和2年版高齢社会白書によると、以下の通り。

・現在仕事をしている60歳以上の者の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答している。70歳くらいまでもしくはそれ以上との回答と合計すれば、約9割が高齢期にも高い就業意欲を持っている様子がうかがえる。

また、同白書の記載で、もっと驚いたのが65歳以上の起業者の割合が上昇しているということです。

・継続就業期間5年未満の起業者の年齢別構成の推移を見ると、65歳以上の起業者の割合は平成19(2007)年に8.4%であったが、平成29(2017)年は11.6%に上昇した。また、男女別に65歳以上の起業者の割合を見ると、男性は平 成19(2007) 年8.9%、 平 成24(2012) 年11.8%、平成29(2017)年13.2%と上昇しているが、女性は平成19(2007)年6.8%、平成24(2012)年8.6%、平成29(2017)年7.2%となっている、とあり特に男性の順調な上昇は平均寿命との延びと連動しているような気がします。

ただ気になるのがデジタル化が進んでいく中で、高年齢者がそのスピードについていけるかという点で、これはある程度以上の年齢層には多かれ少なかれあるのだと思います。社労士の仕事もセミナーも会議も100%近くオンラインとなると、苦手などといっている場合でもありません。とにかく触れることと思いますが、面白いと思う気持ちも大事なような気がします。

法改正で、2021年4月施行の高年齢者就業確保措置(努力義務)や、高年齢被保険者の特例(複数事業者の雇用保険の取扱い)、在職老齢年金の退職時改定だけでなく1年ごとの改定など、働く高年齢者への施策が各法律で充実してきたと思いますが、ポイントは時間や期間を細切れに働くことのような気がします。同白書では、「仕事につくつもりはない」と答えた人に、その理由を聞いたところ、男性の 60~64歳層を除き、男女とも年齢が高いほど、「体力的に働くのはきついから」とする割合が高くなる傾向がある、ということです。体力に合わせて細切れに働くことができることが、社会とのつながりを保ち、生き生きと暮らしていける方法なのかなと思います。

企業も職種によっては70代に第2の定年年齢を設定している場合もあります。70歳までの就労確保措置は努力義務ながら来年春施行され、高年齢者就労確保措置には、定年延長・継続雇用制度の導入・定年廃止の3施策の他業務委託契約や企業が行う等の社会貢献活動へ従事してもらう(ともに金銭の支払いが必要)というメニューも設けられることになっており、70代の就労も珍しくないことになると思われます。今後企業価値は社会貢献の考え方なしには測れないことにもなると思われ、どのような仕事や働く場をデザインして高年齢者に提供できるかは少しずつ準備する必要があります。

最高裁の判決がいくつか出て、これまで同一労働同一賃金対応の中で決めようのなかった部分がある程度示された形です。まだこれからセミナーを視聴したり、もう少し判決文を読み込んで自分なりに咀嚼したいと思いますのでコメントは差し控えますが、顧問先様をはじめとして今年の春前様々なアドバイスをさせて頂いた方向性は誤りがなかったと、少し安心しました。

テレビで「ぽつんと一軒家」を楽しみに観てます。どの家も大きくて、そこに一人で住んでおられることが多く、自給自足のように畑で野菜等を作られているのですが、なぜかいつも心が豊かになった気持ちになります。やはり人間て良いものですね。


高度プロフェッショナル制度と企画業務型裁量労働制

2020-10-11 22:08:50 | 労務管理

今検討している案件で、高度プロフェッショナル制度を導入してもよいと考えられるものがあり、同時に裁量も大きいと思われるため企画業務型裁量労働制にも該当する可能性もあり、それぞれの要件をポイントだけ比較してみました。

労使委員会の設置はともに導入要件なのですが、決議事項は多少異なります。主に異なる点は対象業務、対象労働者の範囲、労働時間の考え方です。

1)対象業務

高度プロフェッショナル制度は、対象業務は、対象業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示を受けて行うものは含まれない」とされ、次の通りとしています。

①金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務、②資産運用(指図を含む。以下同じ。)の業務又は有価証券の売買等のうち一定の業務、③有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務、④顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査又は分析及びこれに基づく当該事項に関する考案又は助言の業務、⑤新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務

企画業務型裁量労働制は、「事業運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、業務の性質上、これを適切に遂行するためには、その遂行方法を労働者の裁量にゆだねる必要があるため、業務遂行手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」とされています。

2)対象労働者

高度プロフェッショナル制度は、対象労働者の要件として「①使用者との間の合意に基づき職務が明確に定められていること、②使用者から支払われると見込まれる賃金額が1,075万円以上で、本人の同意が必要です。

企画業務型裁量労働制は、知識、経験等を有する者で、本人の同意が必要です。

3)労働時間

高度プロフェッショナル制度は、「対象労働者の健康管理時間(対象労働者が事業場内にいた時間と事業場外において労働した時間との合計の時間)を把握する措置を使用者が実施する」としており、時間外・休日・深夜労働の割増賃金は発生しません。ただし年間104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日付与がの義務付けられています。

企画業務型裁量労働制は、労働したとみなす時間を1日単位で定めますが、みなした時間に時間外労働時間数が含まれていれば時間外の割増賃金は発生します。また休日労働・深夜労働の割増賃金も必要です。

ざくっとですが上記比較をみると、企画業務型裁量労働制は思いのほか導入しやすい感じがします。

ちなみに、高度プロフェッショナル制度の導入は、令和2年6月末日時点で16件、労働者数436人「高度プロフェッショナル制度に関する届出状況より」

企画業務型裁量労働制の導入事業所数は、調査対象となった約6,400社のうち実施しているのは0.6%「平成31年就労条件総合調査より」

ともに極端に少ないです。

とにかくここの所忙しく、土日に何とかじっくり取り組む仕事を片付けてやりくりするという状況で、ついデザートとコーヒーが進んでしまう状況です。

今月21日から23日までは、全国社会保険労務士会の働き方改革特別委員会でこれからの働き方をテーマの中心としてフォーラムを開催(オンライン)する予定です。私も2日目に担当することになっておりますので、よろしければご覧ください。

https://www.sr-seminar.com/forum/


在宅勤務をする場合の派遣の就業場所の巡回について

2020-10-04 21:44:47 | 労務管理

在宅勤務が広がりを見せる中で、自粛期間当初は派遣労働者には在宅勤務は無理であろうというお話もありましたが、その後派遣労働者についてもPCを貸与し在宅勤務を認める企業は多くなりました。そもそも派遣労働者にとって「就業場所」とはどのように派遣法で定められていたかという点からひも解いてみたいと思います。労働者派遣法では第26条(契約の内容)1項で契約において定めなければならない事項が列挙されており、2号で以下が定められています。

二 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称及び所在地その他派遣就業の場所並びに組織単位(以下略)
 
さらに「労働者派遣事業関係業務取扱要領」第7 派遣先の講ずべき措置等、2 労働者派遣契約に関する措置、(2) 労働者派遣契約に定める就業条件の確保のロで就業場所の巡回として「定期的に派遣労働者の就業場所を巡回し、当該派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約に反していないことを確認すること。」として巡回義務が定められています。

しかし、派遣労働者が在宅勤務を行う場合にこの巡回義務はどのように対応すればよいのかという点で疑問が残ります。それについては、令和2年8月に発出された「派遣労働者に係るテレワークに関するQ&A・問2-1訪問巡回・住所の把握」で以下の通り回答しています。

 「派遣先が講ずべき措置に関する指針」においては、派遣先は定期的に派遣労働者の就業場所を巡回し、派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約に反していないことを確認することとされている。ただし、派遣労働者に対して自宅でテレワークを実施させるときは、就業場所は自宅となるが、派遣労働者のプライバシーにも配慮が必要であるので、例えば、電話やメール、ウェブ面談等により就業状況を確認することができる場合には派遣労働者の自宅まで巡回する必要はない
 なお、派遣労働者のテレワークが労働者派遣契約に反せず適切に実施されているかどうか、派遣労働者の就業の状況を実際に確認できることが必要であり、そのためには、例えば、①派遣先の指揮命令の方法等をあらかじめ派遣労働者と合意し、労働者派遣契約等において定めておくこと、②日々の派遣労働者の業務内容に係る報告を書面(電子メール等の電子媒体によるものを含む。)で明示的に提出させること等により確認することが考えられる。

世の中刻々と変化しています。

派遣労働者に係るテレワークに関するQ&A(令和2年8月26日)

https://www.mhlw.go.jp/content/000662802.pdf

できるだけ毎月と決めたので、時間を見つけて今日は映画鑑賞に行ってきました。「スペシャルズ! ~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~」を観たのですが、素直に感動しました。やはり映画は心に響くものがあると思いました。それにしても前回はかなりかなり空席が目立った映画館が、今日は上映最終日ということだったからか、8割くらいの入りで様変わりでした。先週からGO TOトラベル、GO TOイートで街に人があふれ活気が戻ったのは嬉しいですが、外出の際は引き続きマスク・手洗い・消毒を徹底して感染予防をしていきましょう。