60歳以上の処遇については、再検討を模索する企業がとても増えてきていると思います。というのも1994年に創設された高年齢雇用継続給付ですが2025年4月から給付率が15%から10%に縮小されることとなり、将来的には廃止も視野に入ってきたというタイミングがあると思います。また人手不足が明らかになってきて、60歳定年後の社員も補助的な仕事ではなくそれまでの役割を担う必要が出てきたこと、また60歳以上であっても健康面、能力面で特にそれまでの仕事をするのに問題がないことなどいくつかの要素があると思います。最近ちょっとした就業規則の改定の依頼で多いのは65歳の再雇用上限年齢に達しても問題がなければさらに継続して雇用する場合があるという文言を追加したいというものです。
高年齢雇用継続給付の創設当初はまだ老齢厚生年金が60歳から65歳まで特別支給として支給された時代だったので、賃金と賃金との合計により上限がある高年齢雇用継続給付と高年齢雇用継続給付を受給することにより一部支給停止される年金額(賃金+高年齢雇用継続給付+年金)の合計額をにらみつつ賃金を決めることが当たり前でした。要するに60歳以上で働くことに対する賃金の考え方が、担当する仕事や役割に対してではなく、定年後緩やかに仕事をしつつ本格的に年金が支給されるまでのの補償額のようなものだったと思います。従って賃金額も今よりずいぶんと低い額が一般的でした。その後60歳以上の賃金は徐々に上がってきたのを実感しています。肌感覚ではその頃から比べると10万円近く上がったのではないかと感じます。
60代の一般労働者の平均賃金の推移(第8階社会保障審議会年金部会2023.10.24資料)をみると、男性2006年の30.3万円が2022年は34.2万円、女性は同年比較で20.8万円~24.8万円と約4万円の上昇です。年金の支給停止基準額の上昇も影響していると思いますが、60歳代の社員が担当する役割や仕事の内容が変化してきていることもあるであろうと推察されます。
「60歳以降の社員に関する人事管理に関する調査(高齢・障害・求職者雇用支援機構)」2017年の調査の「高齢社員の人事管理の制度進化の方向性-60歳第前半層と65歳以降の人事管理の継続性に注目して-」は非常に興味深くしっかり読んでみようと思います。その中で高齢社員全体の管理施策の適用状況という観点から、現役社員との継続性を意識した人事管理整備の転換点を捉えると「教育訓練」と「就労条件(労働時間」が戦力活用の初期段階から整備され、その後活用が進むと「福利厚生」と「評価制度」、更に現役に近い活用を志向する段階では「配置・異動」や「報酬管理」が整備されるようになるということです。
また65歳以降の人事管理に注目し、人材活用上の課題や60歳代前半層の人事管理との類似性を捉えるというテーマを扱っています。それによると、現役社員と60歳代前半層の人事管理の継続性が高い場合、65歳以降の活用評価が高まる関係にあり、また特に教育訓練管理において現役社員との継続性を意識する必要があること、65歳超の雇用を積極的に考える場合、定年を機に活用戦略や報酬の支払方法を変えるのも良いが、60歳代前半層も教育訓練投資の回収期間と捉えず、成長機会を提供して活躍を希求するニーズを充足させることが重要な対策、としています。これはなかなか面白いテーマだと思いますので、少し自分の中で意識しておこうと思います。
高齢・障害・求職者雇用支援機構「60歳以降の社員に関する人事管理に関する調査(2017.10.1(時点)」
https://www.jeed.go.jp/elderly/research/report/document/q2k4vk000002ru8u-att/q2k4vk000002ruc4.pdf
このブログも平成21年の法人化を機に基本的にお正月、5月の連休、夏休みを除き毎週日曜日を基本に脈絡なく書いてきたわけですが、よく15年以上続いてきたものだと思います。どのくらいの記事の数になるかみてみたところ800件弱となっていました。テーマは本当に思いつきの時もあり、前週に頂いたご相談や経験に関連したものもあり、又は翌週ご質問の回答を作るための準備という場合もあります。大学院に通学していた時期はレポートに追われていたこともあり、レポートから引用したこともあります。時々顧問先の方や同業の社労士に「読んでます!」と言われるとやはり励みになり、「よく続きますね」と言われて「なかば意地です」と答えて笑われたこともあります。またこのテーマの後の雑感だけ見ているという方も結構多く、生存確認になっているのかなと思うこともあります。
ただひたすら「継続は力なり」を信じて、これからも続けていこうと思っております。まずは目指せ1000件ですね。