OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

アフターコロナの労働時間減少どう生かす?

2021-09-26 10:38:59 | 労務管理

コロナウイルス感染拡大によって労働時間が減少した業種は多いのではないかと感じます。令和3年版の厚生労働白書を見てみると、「テレワークの実施率が高い業種で労働時間の減少がみられた」とあり、大幅に減少からやや減少まで含めると、減少した業種は全体の5割に近いという数字が出ています。テレワークの実施率は、全体でも2割強、ほぼ100%も含め50%以上が3割という業種は、金融・保険・不動産業と卸売業で、34.6%の業種で何らかのテレワークを行っているという状況になっています。全体の34.6%の内訳は、ほぼ100%テレワークが10.5%、50%以上が11.0%、出勤中心50%以上が6.9%、不定期にテレワークが6.1%となっています。緊急事態宣言が9月末で解除された後の、afterコロナ、withコロナではどのような働き方に変化するか考えどころだと思っています。

移動時間の削減という意味では同じ意味合いですが、労働時間の減少は実はテレワークだけではなく、オンライン会議が一般的になったことが非常に大きいと感じています。自分の状況から行けば、1日3件、多い時は4件のオンライン会議がありますが、コロナ前4件外出先を回る日はほとんど事務所の席にはいられなかったわけです。オンライン会議であれば1時間、かなり長くても2時間で終了し移動時間なしとなると、合間にちょっとした作業やスタッフの相談に乗ったりもできるため、業務の効率化という意味では非常に効果的だったと思います。この流れはおそらくafterコロナ後も変わらないように思われ、初対面や重要案件、懇親を伴うもの以外はオンライン会議でというハイブリットになりそうだ感じます。そのような状況ゆえに、移動時間も含めた労働時間はかなり減少したと思われ、以前より格段に退社時刻が早まりました。ただ労働時間全体が減少したかといえば、リモートワークが可能になったため帰宅後や休日も仕事ができてしまい、総労働時間としてはむしろ増えている可能性もあるように感じています。週末色々なことをどんどん片付けて、翌週お願いしたいことをスタッフにポンポン投げているのでスタッフは週明けちょっと気が重いかもしれません。オンライン会議は、労働時間の減少もさることながら、以前であると月に1回などの定期訪問は難しかった顧問先とも気軽に月1回の定期会議を行うことができるようになり、細かな情報交換やご提供することができるようになったという点でもコロナ禍のプラスへの転換といえると思います。

テレワークやオンライン会議が当たり前になったことによる労働時間の減少もオンライン会議の活用でのコミュニケーション機会の確保もコロナ禍プラスに転じることができたといえると思いますが、先日の日経新聞(9月23日以下の記事「ポストコロナの雇用(上)拡大格差」が載っていてなるほどと思うことがありました。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD034HM0T00C21A9000000

「つまりポストコロナの労働市場では、金銭的な格差に加えて、レジリエンス格差やウェルビーイング格差といった新たな格差が広がる可能性がある。」ということなのです。要するに、コロナが始まった2021年4月に在宅勤務が高所得層で顕著となり、在宅勤務実施率の格差が所得格差と連動しているということです。その傾向は長時間労働にも表れており、週60時間以上働く労働者比率は高所得者層では13%から7%とほぼ半減しているということなのです。コロナ危機による景気後退の影響もあるとはいえ、在宅勤務の普及で高所得者層ほどテクノロジーの活用が進んだこと、テクノロジーの活用で時間的なゆとりが増えれば自己研鑽に充てる時間が増えるということで、高所得者層のみ学習時間の変化がコロナか前の1.8時間からコロナ禍での週1.5時間と倍増しているというデータがあるそうです。記事はさらに高所得者層のワークエンゲージメントで上昇している等の内容につながるのですが、この論評の内容はafterコロナを考えるうえでヒントになるように感じました。コロナ禍による労働時間の減少をどのように生かすか、人それぞれではあると思いますがどちらにしても大切にできたらと思います。

外出や人前に出ることが減り服にお金をかけなくなったのもコロナ禍の影響だと思いますが、秋めいてきたので、少し身の回りに気を使いおしゃれもしなくてはいけないなと思っています。連休にけがをした関係で、それまで愛用していた6センチヒールが履けなかったのですが、先日久しぶりに履いてみたところ夜帰宅してみたらかなりけがをしていた方の足の甲が腫れており、これは負担をかけすぎたなと反省し、これからは事務所ではローヒールに履き替えるよう準備しました。また、私の担当顧問先にアパレルの会社があり、最近オンラインのおしゃれなサイトを立ち上げられたので、時々見にいって楽しんでいます。

https://www.king-group.co.jp/#brand

以前からの方針を変えられてのことと思いますが、いくつかのブランドを持っておられて、それぞれのブランドの特色もよくわかり、オンラインからリアルのショップへの道筋もできていて、さっそくお店にも行ってみました。コロナ禍で大変だっただろうと思いますが、この方針の転換はきっと吉と出るという予感がしています。


任意継続被保険者の標準報酬改正

2021-09-20 12:08:41 | 社会保険
現行、任意継続被保険者の保険料の下になる標準報酬月額の決定方式は、現在以下①と②いずれか少ない額を選択できることになっています。
①任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額
②原則、前年の9月30日に保険者が管掌する全被保険者の同月の平均した標準報酬月額
 
令和4年1月1日から改正健康保険法が施行されると第47条2項に以下が追加されることになります。かいつまんで記載しますと以下の通りです。
保険者が健康保険組合である場合においては、上記①の額が②の額を超える任意継続被保険者について、規約で定めるところにより、①の額をその者の標準報酬月額とすることができる。(当該健康保険組合が②の額を超え①の額未満の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、規約で定めた額)
 
要するに、任意継続被保険者になる場合、任意継続被保険者は事業主負担分も自身で負担することになるため被保険者負担分の保険料の倍を支払うことになりますが、当然、これまで高額な給与が支払われていた被保険者(平均の標準報酬月額を上回る場合)については、平均の標準報酬月額を選択する方が保険料が抑えられることになります。更に任意継続被保険者の申出をせず、国民健康保険の被保険者になった場合直近1年間の収入が基礎となり保険料が決まりますので、喪失時高額な給与を支払われていた被保険者にとっては、国民健康保険料もかなり高額になるため、平均の標準報酬を選択することが、事業主負担分を負担したとしてもより低額の保険料を負担することで済むという仕組みとなります。
 
今回改正により、健康保険組合については、上記喪失時の標準報酬月額と平均の標準報酬月額の選択ではなく、規約で定めることにより任意継続被保険者の喪失時の標準報酬月額とすることができるということになります。要するに高額の賃金を受けていた被保険者が任意継続被保険者になる場合は従前の高額の保険料の事業主負担分を含めた2倍の保険料を納付するということに変更可能となるということです。聞くところによるとかなりの健保組合が規約で従前の標準報酬月額と定める予定のようです。

 審議会資料によると改正の理由については「退職前に高額の給与が支払われていた者について、退職前と同等の応能負担を課すことが適当な場合もあると考えられることから、健康保険組合の実状に応じて柔軟な制度設計が可能となるよう⾒直しを⾏う(第140回社会保障審議会医療保険部会・資料3)とあります。

ちなみに第136回医療保険部会の議事録を見ると、任意継続被保険者の存在意義についての検討がされています(事務局説明一部略)。

「任継制度では制度本来の意義が失われているということで、国保への移行に伴う保険料負担の激変緩和が主な意義という実態になっているという御意見でございます。廃止の方向で議論すべきということで、直ちに廃止することが難しいとしても、将来的な廃止を前提としつつ見直していくことが必要だという御意見をいただいてございます。一方で、職域、地域の2本立ての現行の医療保険制度の前提であればある程度維持するべきであるという御意見ですとか、また、国保への財政負担の増大、60歳以上だけではなくて、実際には現役世代もかなり入っているという状況もあり、丁寧な実態把握が必要ではないかと・・・」

確かに健保と国保の一部負担金の割合が同じ3割になった時点で、任意継続被保険者の存在意義は問い直す必要があったようにも思え、今後の制度についての検討は注目すべきと考えます。

金曜日は久しぶりのOURSセミナ―をリアルで開催し、35名ほどの方がご参加いただきました。終了後のアンケートではリアルの方が頭に入る等リアルを希望される方がほとんどで、人数制限はありますがリアル開催をして良かったと思いました。それでもコロナ後は、オンラインとリアルのベストバランスや選択の基準を検討する必要もあると思いますが、オンラインセミナーの爆発的な拡大による視聴範囲の広がりや、リアルセミナーがコンパクトになりつつある傾向があると感じており、その点は評価されると思います。

終了後、久しぶりに全員集合したので全体写真を撮り、その後今度iDeCoプラスを事務所で導入することになり第一生命さんにお越しいただいて説明会を実施し、終了後長い付き合いのスタッフ数名とお茶だけの打ち上げをして充実した1日になりました。

それにしても自民党の総裁選の討論は面白いですね。国防に対する考え方も興味がありますが、何より雇用、医療、年金と社労士にとっては身近な話題が多く、テレビやYouTubeで熱心に見ています。ただ本当に自民党の中であつい討論が交わされており、これが素晴らしいこと、組織の活性化や物事の議論を深めていくのはこういうことかなと感じます。揚げ足取りばかりの国会に比べると本当に勉強になります。


リハビリ出勤と傷病手当金

2021-09-12 21:32:15 | 社会保険

先週のブログで「リハビリ勤務として会社で軽作業をするような場合」は原則として賃金を支払う必要があると書いたのですが、賃金を支払うと傷病手当金が止まってしまうので、軽作業をするのは休職期間を終え復職してからにすると顧問先からご連絡がありました。考えてみると復職が可能であるかどうかの判断をするためのリハビリ勤務で賃金が支払われたからといって、傷病手当金の要件である「労務に服することができない」という判断にはならないのではという疑問がわきました。調べてみたところ以下の通達がありました。

・「労務に服することができない」とは、その被保険者が従事している労務に就労できないような状態になっていることをいい、労務不能の判定は、医学的基準、労務の提供による報酬の有無等から一律に行われるのではなく、その被保険者の従事している業務、業務内容との関連における報酬額等の諸条件を考慮して保険者が判断することとされている(昭和31.1.19保文発340号)。

その他、「傷病手当金は支給するとした」以下の通達もありました。
・休業中に家事の副業に従事しても、その傷病の状態が勤務する事業所における労務不能の程度でもある場合(昭和3.12.27保規3176号)。
・現在労務に服しても差し支えない者であっても、療養上その症状が休業を要する場合(保険医が将来の病状悪化を恐れ、現在労務に服しても差し支えない者を、療養上その症状が休業を要するとして休業させた場合)(昭和8.2.18保規35号)。

しかし、「傷病手当金は支給されないとした」以下の通達もあります。
・医師の指示又は許可のもとに半日出勤し、従前の業務に服する場合(昭和29.12.9保文発14236号)。
・就業時間を短縮せず、配置転換により同一事業所内で従前に比しやや軽い労働に服する場合(昭和29.12.9保文発14236号)。

今や協会けんぽの傷病手当金の支給要因の3割を超えるというメンタル疾患においては、特にスムーズな復職は重要です。復職に向けて段階的にどのような仕事ができるかを試してみることでかなり復帰の可能性が高まるのではないかと考えるので、「リハビリ勤務において賃金が支払われるという理由で傷病手当金が打ち切られることはない」という保険者の判断を頂けると有難いと考えます。

ちなみに2、3問い合わせたところ、賃金が支払われるリハビリ勤務中の傷病手当金の支給は行わないというのがすべての保険者(健康保険組合)の回答でした。

なお、リハビリ勤務を復職後行うことはもちろん問題ないのですが、休職期間中の復職目前という時期も復職が可能かどうかの判断をするためのリハビリ勤務を行いたいという場合もあるかと思います。私はリハビリ勤務は休職期間中に行うほうが良いという考えです。休職期間中の業務指示は問題があるという筋論もあるかと思いますが、現実の運用としては休職期間という一定期間を明確に区切っている中で行えば、判断のタイミングも自ずから決まってきますが、休職期間後のリハビリ勤務は往々に終わりが見えず会社が悩むことが多いからです。

先月、お風呂とトイレの改装工事をしたのですが、やはり今どきのお風呂は優れモノだと感心します。ところで工事中の3日間自宅マンションの前にある銭湯に通ったのですが、これもとても楽しかったです。11時に終わってしまうので夕食をとったらすぐに出かけるのですが、これがいわゆるスーパー銭湯などではなく本当に昭和の中頃の銭湯なのです。いつも番台にはおばちゃんが座っており、お風呂に入った後コーヒー牛乳を買って飲むととてもうれしそうにしてくれるので毎日飲みました。ちなみに湯舟は一部ジャクジーになっているのですが、とてもじゃないけどお湯が熱くて数秒しか浸かれないのは玉に瑕でした。

先日美容院に行った際に、「お風呂屋さんの番台のおばちゃんがいつもテレビを見ているのは、あれはさぼっているのではなく、着替えたりする姿を直視しないためだろう」と話したところ、今時そんな番台は珍しい、普通着替える場所とは区切られているのでは、という答えでした。昔はやはりおおらかだったんですね。


リハビリ出社とリハビリ出勤

2021-09-05 23:09:15 | 労務管理

「リハビリ出社」と「リハビリ出勤」というのは法律上の定義ではなく、会社によってさまざまな言い方をされていると思いますが、このふたつの考え方の違いは明確に押さえておく方が良いと思います。

厚生労働省から出ている「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(P6)」には「試し出勤制度」として①模擬出勤、②通勤訓練、③試し出勤という区分で書かれており、①~③まで見ると、デイケアでの軽作業や図書館で時間を過ごす、また自宅から通勤経路で移動してみるなど、原則として会社の仕事はしていないと考えられます。これらをここでは「リハビリ出社」とした表記としたいと思います。それに対して、会社に出勤して軽い仕事であっても仕事を試しに行うことを「リハビリ出勤」と表記したいと思います。なぜいわゆる「リハビリ出社」と「リハビリ出勤」を明確にしなければならないかというと、やはり賃金の発生、労災の適用等について明確に運用することが必要であると考えるからです。

「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/101004-1.pdf

裁判例としては以下のNHK名古屋放送局事件(名古屋高判平成30・6・26)の内容が実務的に指針となると思います。

「傷病休職期間の満了による解職を有効とした一審を不服として、元職員が控訴した事案。予備的に復職可否を判断するテスト出局中の賃金支払いを求めた。高裁は、作業が使用者の指示で行われその成果を享受している場合、指揮監督下の「労働」に当たると判断。制作に関与したニュース原稿は放映されていた。制度上無給でも、最低賃金法を適用し相当額の支払いを命じた。(労働新聞社のHPより)」作業が使用者の指示で行われその成果を享受している場合、指揮監督下の「労働」に当たると判断という部分がポイントになります。

また、以下厚労省のサイト「こころの耳(回答の8行目)」を確認頂くと良いと思います。
https://kokoro.mhlw.go.jp/mental-health-qa/mh-qa006/

仕事ができるかどうかを見るために業務を命じた場合には、「労働基準法」が適用され、その労働に対する賃金を支払う必要があります。業務に従事しながら賃金を支払わないことはお互いが合意をしたとしても許されませんので注意してください、とあります。

「リハビリ勤務」として、会社で軽作業をするような場合で、会社の指示ではなく本人の希望であるというような場合は、運用は難しいところではありますが、やはり判決にもある通り、会社がその作業等の成果を享受するということであれば、少なくとも最低賃金は支払っておきたいところです。

自民党の総裁選について目まぐるしい展開が報道されていますが、今回派閥の論理が通じなくなりそうであること、高市早苗さんもかなり有力であることなど、コロナ禍を経て世の中の動きや価値観がかなり変化してきたことをよく表しているような気がしてなりません。いよいよ女性総理大臣が出てくれば!という期待があります。