OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

非雇用型テレワークについて

2017-07-30 23:05:48 | 労務管理

平成29 年3 月28 日に働き方改革実現会議決定として発表された「働き方改革実行計画」は沢山の内容が盛り込まれており政府の意欲が伝わります。その中で「テレワーク」が取り上げられており、「子育て、介護と仕事の両立の手段となり、多様な人材の能力発揮が可能」ということでガイドラインの制定など実効性のある政策手段を講じて、普及を加速させていく、としています。

さらに雇用型テレワークが、サテライトオフィス勤務やモバイル勤務といった新たな形態のテレワークとして増加しているだけではなく、非雇用型テレワークも仕事の仲介業者であるクラウドソーシングが急速に拡大し、雇用契約によらない形態での仕事の機会が増加しているとされており、現行の非雇用型テレワークの発注者向けガイドラインを改定するとしています。

このクラウドワーカーともいわれている雇用型テレワークというのはどのような仕事をしているのか、という点ですが昨年11月15日の日経新聞に比較的詳しく載っていました。 担い手は主婦が多いようですが、記事から抜粋すると以下のような仕事があるようです。

・仕事はデータ入力といった手軽な内容にとどまらず、人工知能(AI)開発の支援。

・専業主婦が子育てや料理のスキルを出品し、それを求める個人が購入する。

・AI開発の支援。様々な方言や声質に対応できるAI開発のため、各地の働き手に音声をふき込んでもらう。

・民泊物件の撮影や掃除、訪日外国人向け翻訳などの仕事。

・美容整形や脱毛に関する情報をインターネットで調べ、医療機関向けに記事を書く。

・副業で、休日にゲームアプリの開発を支援し、今では高度な仕事の発注もくるようになった。

・フードコートのロゴ作成で活用。

同記事によると、「業界団体のクラウドソーシング協会によると、20年までに働き手は1千万人に達する見通し。仕事の内容も人材も広がりつつあるなか、早くも課題に直面する。1つは時給の伸び悩みだ。簡単な文字入力の仕事は時給300~400円程度。データ入力といった単純労働は「中国やベトナムなど海外との価格競争になる。時給引き上げは難しい」。クラウドワーカーのスキル向上も時給引き上げには必要だ。専門的な仕事をできるようにする教育や、病気の時でも収入を保障する制度など安心して働ける環境づくりも欠かせない。」とあります。

先週はあまりに熱いのでクーラーの風にガンガンあたっていたら胃がおかしくなり、前半はぐったりしてしまいました。やはり冷房は気を付けなければいけませんね。おなかのあたりを温めて、冷たいものを飲まないようにして暴飲暴食を控えていたらだいたい元気になりました。

まだまだ仕事で片づけなければならないことが山積していますが、お盆前までに片付けようと思いますのでもうひと頑張りといったところです。


日本の社会保障制度の基礎

2017-07-23 22:17:12 | 社会保障

先日ILOの「国際労働基(ILO条約・勧告)」について触れましたが、社会保障制度については1950(昭和25)年の社会保障制度審議会「社会保障制度に関する勧告(50年勧告)」が戦後の日本の社会保障制度構築の指針となっています。

この勧告では、「社会保険、国家扶助(生活保護)、公衆衛生及び医療、社会福祉」の4部門からなる基本的枠組みが提示されています。この中で社会保険が中心とされ、他の部門が補完する役割になっているといえます。その後の社会状況等の変化により、勧告には示されていない制度の創設があるものの、日本の社会保障制度の基本についてはこの50年勧告であることは間違いないところです。

その後高度経済成長期の中で各社会保険制度が発展し日本は充実した社会保障制度を有する国になりました。社会保障制度の発展とともに、1980(昭和55)年代以降急速な高齢化社会を迎えることとなり財政面での引き締めが始まり、その後1995(平成7)年「社会保障体制の再構築」が社会保障制度審議会の最後の勧告として出されています。この勧告では以下のとおり社会保障の多様性に対する取り組みの必要が提示されています。

(一部抜粋)このような理念に立つとき、我が国の社会保障は、これまで十分に対応してこなかった残された問題、21世紀に向かってますます重大化し、その対応に真剣に取り組まなければならない問題、さらに安定した多少とも余裕のある生活が実現するにつれ、生活に多様性が生じ、社会保障もその多様性にこたえなければならない問題などと、真正面から取り組まなければならない。

その後社会保障制度審議会は、1999(平成11)年4月27日 閣議決定で「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」の中で廃止する審議会等(121審議会等。必要な機能が存置される審議会等に移管されるものを含む。) に含まれることとなり、2001年(平成13)の中央省庁再編に伴い廃止され、その機能の総論的な部分は内閣府の経済財政諮問会議に、また具体的な部分は厚生労働省の社会保障審議会に引き継がれた上で、廃止に至っています。

昨日はクラスの合格者の集まりであるBBクラブの勉強会がありました。今回も申し込み124人ということで沢山のOBが集まってくれて楽しい一日でした。一番古いクラスの受講生はすでに初めて会った時から22年が経過しており、当時慶応大学の4年生の若者もお子さんのいる40代になっています。毎年2回お会いしているので私も昔通りリラックスして法改正の話の前に近況報告をするのですが、皆さん嬉しそうな感じで私の近況を聞いてくれています。「先生に元気をもらいに来ている」と言われたりするとこちらの方が元気になり、勇気を頂きます。BBクラブで講義頂くのは2度目の北岡大輔先生の長時間労働監督指導に関するお話も元監督官らしく予想通り有用な情報が多く楽しく受講できました。また、開業体験記の鶴見さんのお話もとても分かりやすく開業当初は心配したものの最後は軌道に乗ってハッピーエンド、という良いお話で、年2回の法改正を学べるBBクラブはとても有難いと言って頂いたのは嬉しかったです。

平成13年に初めてあと数年で20周年のBBクラブをこれからも大切にしていこうと思います。


管理職志向について

2017-07-17 23:06:15 | 労働法

毎日新聞が6月に「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査」結果についての記事を載せていたので、元になった「独立行政法人国立女性教育会館」の調査を見てみました。平成26年から3回の調査が行われているのですが、男女の管理職志向についての結果は平成26年と平成27年・28年の2回を比較しています。

https://www.nwec.jp/research/carrier/index.html

平成26年の第一回調査では、女性の57.7%が、管理職を目指したいとしています。
〇女性は73.5%、男性は87.6%が、「結婚したり子どもが生まれたりしても、今の会社」で「働き続けたい」(=続けたい+どちらかというと続けたい)。
〇女性は57.7%、男性は94.0%が、「管理職」を「目指したい」(=目指したい+どちらかというと目指したい)。

平成27年の第二回調査で「パネル調査による入社1年目と2年目の比較」で管理職志向の変化について女性は2 年目に管理職志向を失う傾向が、男性より顕著です。

〇女性:1 年目・2 年目とも志向するのは、4 割強。
〇男性:8割強が、1 年目・2 年目ともに管理職を志向

少し古いのですが、独立行政法人労働政策研究・研修機構「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査」(平成25年3月)分析は、上記の調査結果の分析としてもうなずけるものです。そういう意味では、「指導的な役割を占める女性の割合を3割に」という目標はやはり必要なものなのかもしれないと思います。

課長以上への昇進を希望する者の割合は,男性(一般従業員の5~6割,係長・主任の7割程度)に比べて女性(一般従業員の1割程度,係長・主任の3割弱)で顕著に低くなっている。ただし,昇進を望まない者にその理由を尋ねると,「自分には能力がない」,「責任が重くなる」を挙げる者の割合は男女でほとんど差がない一方で,「メリットがないまたは低い」,「やるべき仕事が増える」という理由は男性が女性よりも多く,「仕事と家庭の両立が困難になる」や「周りに同性の管理職がいない」という理由は女性が男性より多く挙げている。昇進を望まないという点では同じでも,男性の場合は消極的な理由が多いのに比べて,女性の場合は管理職に昇進することで仕事と家庭の両立の難しさを心配している面や身近にロールモデルがいないといった側面が強く,「女性にはチャレンジ精神が足りない」と指摘することは必ずしも的を射ていない。入社時点では,女性は「専門職志向」が依然として強いものの,近年は管理職志向が強くなってきていることを示す調査結果も見られる。女性社員が抱く仕事と家庭の両立への懸念が解消され,見本となるような女性管理職が身近に現れるようになれば,管理職に登用される女性も増えていくものと考えられる。

毎日暑いですね。7月からこんなに暑いと8月はどうなるのかなと思います。OURSでは受験生が多いので、これからはできるだけ年休をとって勉強の時間をとれるようにと考えています。また今年は少し時間があるため、時々本試験の勉強会をしています。今週は3回目なのですが、TACの過去問題集を購入して問題演習をする予定です。久しぶりに問題を解いたり、ホワイトボードで思い出しながら説明したりしていると忘れていたことも思い出し正直楽しいです。思い出し思い出し説明しているので受験生を混乱させている部分もあるようなのですが、それがきっかけで考えて、頭を整理してもらえればと思います。

 


副業・兼業推進について

2017-07-10 00:06:04 | 労務管理

働き方改革実行計画では、副業・兼業の推進に向けたガイドラインや改訂版モデル就業規則を策定することが示されています。以下抜粋です。

(3)副業・兼業の推進に向けたガイドラインや改定版モデル就業規則の策定副業・兼業を希望する方は、近年増加している一方で、これを認める企業は少ない。労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で、副業・兼業の普及促進を図る。

①就業規則等において本業への労務提供や事業運営、会社の信用・評価に支障が生じる場合等以外は合理的な理由なく副業・兼業を制限できないことをルールとして明確化する。

②長時間労働を招かないよう、労働者が自ら確認するためのツールの雛形や、企業が副業・兼業者の労働時間や健康をどのように管理すべきかを盛り込んだガイドラインを策定する。

③副業・兼業を認める方向でモデル就業規則を改定する。

④副業・兼業を通じた創業・新事業の創出や中小企業の人手不足対応について、多様な先進事例の周知啓発を行う。

⑤複数の事業所で働く方の保護等の観点や副業・兼業を普及促進させる観点から、(ァ)から(ウ)の検討を進める。

(ァ)雇用保険及び社会保険の公平な制度の在り方、(イ)労働時間管理及び健康管理の在り方、(ウ)労災保険給付の在り方

副業・兼業については、やはり長時間労働の問題が大きいように感じたので「働き方改革実現会議」でどのような話がなされたのか探ってみたのですが、第1回の働き方改革に関する総理と現場との意見交換会でヒアリングが行われたようです。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai2/sankou1.pdf

ここで出た意見では、やはり副業は仕事が終わってから又は土日に行っており労働時間は増えたとあります。負担ではなかったということですが、確かに自分がやりたいことをやっていれば仕事であっても長時間働いても負担ではないというのはわかります。しかし、副業をする最大の理由は「収入が少ないため」ということのようですし、そうだとするとなかなか難しい感じもします。ガイドラインでどのように示されるのか、非常に楽しみです。

副業ということで考えると、TACの講師・教材作成スタッフと事務所の仕事を並行して行ってきたのはまさに当てはまるのかなと感じます。TACの講師時代は、事務所は個人事務所でしたし、非常勤の講師と個人事務所の事業主ということで特に仕事配分に困るということもなかったわけですが、平日に講義を担当することはもちろん不可能でしたので講義は日曜日で、土曜日は予習という生活でした。途中からは、年の4分の3の時期だけ、最後の3年間は5カ月のみにさせてもらいましたが、教材は年間通して担当していましたので、長時間労働は当たり前という感じであったと思います。

講義と実務は両輪としてとても有用で、自分の中ではどちらも本業という意識でした。それでもやはり自分が講義や教材作成が好きでなければなかなか両方は難しかったのではないかなと思いますので、副業は本業のほかに自分が好きなことややりたいことであれば可能なのではというイメージです。


最長子が2歳までの育児休業が可能に

2017-07-02 22:02:59 | 労働法

10月から最長子が2歳までの育児休業の取得が可能になります。政省令と指針も発表されましたので内容のほぼすべてが出そろったところです。

改正のポイントは3点です。

①育児休業期間が最長子が2歳まで可能になります。またそれに合わせて育児休業給付気も支給期間が延長されます。

子が2歳までの延長の条件は1歳6か月までの延長と同じ理由(保育所に入所できない・養育を行っている配偶者が養育ができなくなった等)となります。

②育児休業制度等の個別周知の措置

これまでも育児休業・介護休業についての周知については努力義務とされていましたが、今回は特に妊娠・出産又は介護をしていることを知った際には個別に知らせる努力義務となります。

③育児目的休暇の新設

小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が、育児目的で利用できる休暇制度を導入することが努力義務となります。子の育児目的で利用できる休暇とは、配偶者出産休暇や入園式等の行事の参加も可能とするものと示されています。

確かにこれまでの1歳6か月までの育児休業の延長では、保育所に入れないまま育児休業を終了せざるを得ないケースも多々出てきていたと思われ、それが2歳までとなればそういうケースは減ってくるのかなと思います。

特に今回は男性の育児休業の取得の促進も進めたいという意図があるようで、付帯決議には「パパ・クォータ制」という言葉も出てきています。各国の父親の育児休業の取得率を調べたところ、日本の取得率は極端に低く、育児休業の一定期間を割りあてる「パパ・クォータ制」も検討する余地は確かにありそうです。ドイツなどは、日本のパパママ育休プラスと同じような制度である育児休業期間の「ボーナス制度」などをはじめとして10年ほど前に様々な新たな施策を導入し、かなり男性の育児休業取得が進んだそうです。また、ノルウェー、スウェーデン、ドイツの3ヶ国については、1歳から必ず保育に入れて、それ以上の休業が家族に対して保障されているため、休業中は家族で保育をし、休業期間が終わると集団の中で保育をするということが社会に制度化されているようです。やはり女性が離職しないで働き続けるためには、こちらも長時間労働の是正と同様日本は劇的な環境整備が必要なように思います。

10月施行育児・介護休業法関係

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

今日行われた都議選も都民ファーストの会が圧勝のようですね。いま日本全体が色々な意味で新たな局面を迎えようとしているのでしょうか。急激な変化は混乱を招きかねないと思いますが、現状を維持することだけに力を入れるのではなく、常に新しいものを取り入れて変化していく意識を持つ必要があるということかなと思います。