OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

来春の賃上げについて

2022-11-27 18:02:53 | 労務管理

来年の春の賃上げ状況については、物価上昇もあり期待されるところだと思います。先日のニュースで連合は来年の春闘で5%程度の賃上げを求める(平成26年以降で最大)としており、経団連も「2023年春季労使交渉では、様々な考慮要素のうち、物価の動向を最も重視して検討すべきである。」という十倉会長の発言があったと伝えています。

それではどの程度の賃上げ率になるかという点については、もちろんまだまだ分からないところではありますが、前出の十倉会長の発言要旨の中では「〔5%程度の賃上げを求める連合の方針案を問われ、〕足もとの物価上昇を見れば驚きはないが、高めのボールではある。各企業において、どの位が適切な賃金引き上げの水準であるか、労使で慎重に検討されるであろう。」とされており、驚きはないがということからするとここ数年の賃上げ率よりは上回ってくるだろうということは当然考えられます。

春闘の賃上げ結果の推移でも平成12年から平成25年までは2%を超えておらず、平成26年以降も2%を若干超える年があった程度(賃金・人的資本に関するデータ集R3.11内閣府新しい資本主義実現本部事務局資料1)となっています。厚生労働省の「令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」によると、令和4年の1人平均賃金の改定額が最も高い建設業が8,101円(2.3%)となっています。バブル期は改定率も6%前後、金額も14,000円超と今からは考えられないような額ですが、バブル崩壊後の平成5年が3.7%(9,711円)、平成11年以降ほとんど1%台(平成29年から令和元年まで2%)で推移しています。2.0%というのはこれまでの推移からみるとここのところの一つの目安になっているように見えます。

東京商工リサーチの調査を読むと、2023年度 「賃上げ実施予定」は81.6% 「5%以上」の引き上げは4.2%にとどまる。ただし「業績見通しアンケート」調査では、2022年度の業績を「減益」「前年度並み」とする企業は63.6%に達した。6割以上の企業が今年度の業績が悪化、もしくは現状維持を見込んでおり、「賃上げは実施するが、賃上げ率は伸び悩む」可能性も出てきた。とあります。

11月18日に発表された第一生命経済研究所の2023年・春闘賃上げ率の見通しでは、「春闘賃上げ率は+2.70%を予想。伸びは高まるもベア+1%には届かず(定昇分1.8%、ベア0.9%)」とされています。連合の5%程度はかなり厳しい数字のように見えます。

・令和4年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況を公表します(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12604000/000976440.pdf

・2023 年・春闘賃上げ率の見通し(第一生命経済研究所)
https://www.dlri.co.jp/report/macro/212312.html

・2023年度「賃上げに関するアンケート」調査(株式会社東京商工リサーチ)
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20221021_01.html

相変わらず仕事を沢山頂いて、どのような段取りで取り組むか、手帳とにらめっこが続く中、40年来の心置きなく何でも話せる友人と集まり、半日ひたすらあれこれとお喋りをしました。仕事のことを考えずに過ごす時間はとてもリフレッシュになりました。気分転換は大事ですね。

今日はサッカーワールドカップのコスタリカ戦です。流れと勢いが大事というのはサッカーを見ていると良く分かります。ここで勝てばこれは凄いことですね!


労災保険受任者払い制度

2022-11-21 00:32:37 | 労働法

労災保険受任者払い制度について、ご相談があったため調べました。この制度がいつ頃からあったのか分かりませんが、平成14年3月発行の厚生労働省労働基準局労災補償部補償課が出している「第一線職員のための労災実務必携」の中に次の記載があります。休業(補償)給付の留意事項として、時効により請求権が消滅していないことや、労働者性、支給要件の確認等と合わせて「受任者払の場合は、事業主による立替払が確実に行われていることの確認」とありますので、20年以上前からあったものだと思います。

そもそもですが、労災保険は申請者本人の口座に振り込まれるものです。ただし申請書を労働基準監督署に提出してから約1カ月(昔は3か月とも言われていた)かかるので、その間収入がない状況になる場合がほとんどかと思います。受任者払い制度とは、労災保険の休業(補償)給付等について行われているもので、労働者が受け取る給付金の相当額を会社が立て替え、後日休業補償給付などが会社の口座に振り込まれるという制度です。

手続きとしては、休業(補償)給付支給請求書と合わせて「受任者払に係る届」と提出することになります。様式は各労働基準監督署で異なるようです。
https://jsite.mhlw.go.jp/hyogo-roudoukyoku/content/contents/000623147.pdf

受任者払制度のメリットとしては、被災労働者の休業中に無収入の期間が発生することを避けることができるので、被災労働者の生活の安定が図れることです。

留意点としては、必ず立替額を支払ってから、上記受任者に係る届を被災労働者に記入してもらうことです。立て替えをしてもらう前から記入を求められるのは労働者が不信を感じる可能性がありますので。

また休業(補償)給付等の支給が労災として認定されない、又は実際監督署から振り込まれた額が違ったという場合の差額分の精算方法については事前に決めておくと良いということです。

今日は3年ぶりの渋谷支部管外研修でした。所沢の角川武蔵野ミュージアムから秩父に行き秩父まつり会館、秩父神社などを回りました。1日バスで回る間に色々な話をすることができて、やはり会員間の距離が縮まるとも感じ、日帰りでも旅行に行くのは良いことだなと思いました。またプロジェクションマッピングを駆使した映像関係がコロナ前の管外研修に比べてかなり高度化しているような気がしました。コロナでお休みしていた事務所の旅行も、そろそろ日帰りでよいので再開してみようかなと思いました。

 秩父のお祭りは力強く迫力がありそうでした。


育児目的休暇について

2022-11-13 22:35:03 | 産前産後・育児・介護休業

育児目的休暇についてどのように定められているか調べてみました。

まず育児介護休業法24条に「小学校就学の始期に達するまでの措置」として労働者の申出に基づく育児に関する目的のために利用できる休暇であり、子の看護休暇、介護休暇及び年次有給休暇を除き、出産後の養育について出産前において準備することができる休暇を含むものを与えるための措置を講ずるように努めなければならないと育児目的休暇が定められています。

さらに、両立支援指針(名前が長いのですが正確には「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針<令和3.9.30号外厚生労働省告示第365号>)にその具体例として以下の記載(少し略しました)が示されています。

12 法第24条第1項に規定する休暇及び同項各号に定める制度又は措置に準じて、必要な措置を講ずるに当たっての事項
 (一) 労働者の申出に基づく育児に関する目的のために利用することができる休暇とは、例えば、次に掲げるものが考えられること。
イ 配偶者の出産に伴い取得することができるいわゆる配偶者出産休暇
ロ 入園式、卒園式等の行事参加も含めた育児にも利用できる多目的休暇(いわゆる失効年次有給休暇の積立による休暇制度の一環として措置することを含む)

2023年4月には、常時雇用する労働者数1000人超の企業が対象ではありますが、男性の育児休業等取得率の公表が義務付けられており、その算定においては育児休業だけではなく「育児を目的とした休暇制度」を含めて算定することもできることとされています。なお、公表は公表前事業年度終了後速やか(概ね3か月以内)に行うこととされており、事業年度とは各事業主における会計年度をいいます(通達P124)。

先週末コロナワクチン5回目を接種しました。4回目からはファイザー、それまではモデルナで、いずれもそれほど副反応はなかったのですが、今回は接種した後から翌日の朝まで結構のどが痛くなり、翌日は何となく熱っぽくダラダラしてしまいました。今日はすっきり目覚めたのでホッとしましたが、やはり休みの前の日の夜接種をしておいてよかったです。このワクチン接種もいつまで続けなければいけないのかなあと少しユーツになりますね。


在籍出向と労働者供給事業の関係について

2022-11-07 00:44:47 | 労働法

在籍出向と職業安定法第44条により禁止される労働者供給事業について調べたのですが、「労働者派遣事業関係業務取扱要領」にまとまった記載がありました。そもそも職業安定法第44条と45条は、「労働者供給事業の禁止」を次の通り定めています。

何人も、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。例外として、労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。

労働者供給事業とは、労働者が「支配従属関係や雇用関係がある供給元」が供給先と供給契約を結び労働者が供給先と雇用関係を持ち労働を提供するという形態ですが、労基法第6条で禁止されている「中間搾取」の恐れがあるなどの問題があり禁止されているものです。中間搾取の排除規定の違反については、強制労働に次ぐ2番目に重い罰則が労基法で規定されています。

労働者供給事業と在籍出向の関係については、「労働者派遣事業関係業務取扱要領」に次の通りの記載があります。

在籍型出向は労働者派遣に該当するものではないが、その形態は、労働者供給に該当するので、その在籍型出向が「業として行われる」ことにより、職業安定法第 44 条により禁止される労働者供給事業に該当するようなケースが生ずることもあるので、注意が必要である。
ただし、在籍型出向と呼ばれているものは、通常、①労働者を離職させるのではなく、関係会社において雇用機会を確保する、②経営指導、技術指導の実施、③職業能力開発の一環として行う、④企業グループ内の人事交流の一環として行う等の目的を有しており、出向が行為として形式的に繰り返し行われたとしても、社会通念上業として行われていると判断し得るものは少ない
と考えられるので、その旨留意すること。

さらに「業として行う」とは、「一定の目的をもって同種の行為を反復継続的に遂行することをいい、1回限りの行為であったとしても反復継続の意思をもって行えば事業性がある」とされ、「具体的には、一定の目的と計画に基づいて経営する経済的活動として行われるか否かによって判断され」るとあります。在籍出向の場合は出向元が出向により利益を業として得るということはないものと考えますが、懸念が指摘された際問題にならないよう留意しておくことは必要だと考えます。

最近ご依頼が多いのが賃金・評価制度の改定についての支援です。内容としてはそれぞれの会社さんが課題としてとらえていることの解消で、採用や雇用の人材確保のためであったり、評価の透明性による社員の納得性の確保であったりと様々ですが、ジョブ型賃金への興味もかなり持たれているようです。ジョブ型賃金は以前は日本には合わないのではと考えていたのですが、勉強の結果最近はジョブ型賃金を導入する必要性も感じています。

だいぶ秋めいてきましたが、小淵沢はかなり紅葉していました。秋は空気が澄んで山もとても綺麗にみえる良い季節です。