OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

2010年秋の課題

2010-07-25 23:17:19 | 労務管理
毎日とても暑いですね。今週末は27日火曜日に行うOURSセミナーの準備もあったため冷房を効かせた部屋の中でパワーポイントを作って過ごしました。

今回のOURSセミナーは2010年度前期労働法の動向ということで、4月以降労基法や育介法の改正だけでなく雇用保険法や障害者雇用促進法の改正など細かな改正についても取り上げ、さらに今後の派遣法の改正があった場合のための基礎的な知識や来春101人以上の企業が義務化になる一般事業主行動計画についてなどもお話しして、実務対応や今後の会社の取り組むべき課題を確認してもらおうということが主目的です。

特にこのところに来て秋に各企業が取り組む課題がだいたい見えてきたようで、顧問先各企業からのお問い合わせも秋からの対応検討の準備段階という内容になってきています。ポイントはだいたい3つのような気がします。1つ目は継続審議になった労働者派遣法についての対応、2つ目は管理監督者の考え方の整理、3つ目は企業規模にもよりますが一般事業主行動計画の策定ということです。

特に派遣法は、顧問先で上層部の学習会でご説明をすることになっているためOURSセミナーが終わったらさらに詳しくあれこれ各社の今後の対応状況等の情報をかき集めてお話しできるようにする予定です。対応策としてはやはり派遣労働から直接雇用にある程度の人材を中心に切り替えるということになると思いますが、直接雇用といっても正社員ではなく正社員以外の準社員、契約社員、パートアルバイトという処遇になる可能性が高いと思います。その場合それぞれの定義を明確にして、処遇を決め、どのような人材をどのような手順を踏んでそれぞれ移行させていくかをデザインする必要があります。まずは現状分析からでしょうか。私もこの夏はこれをテーマに現状分析の項目や導入手順、他社事例など情報を集めて秋には良いアドバイスができるように勉強しようと思っています。

私はカ~ッと暑い夏が元気が出るような気がして大好きです。大学時代は体育会テニス部ですから毎日練習にコートに行って今でいうガングロ状態でした。しかしこの夏は結構厳しいものがあります。ただ、今のところ夏バテもせずエネルギーが余っている状態だワと事務所でも宣言するものですから、事務所のスタッフから恐れられているようです。この夏はビッグウェーブに乗るつもりで頑張ります。

36協定特別条項の臨時的なもの

2010-07-19 00:18:15 | 労働時間
今回からブログに労働時間というカテゴリーを増やしました。労基法や育児介護休業法など大きな改正が一段落したら、やはり注目度が高いのは労働時間であろうかと考えて、今後取り上げることが多くなるような気がしたからです。

36協定の特別条項を締結している場合は、限度時間を超えて時間外労働をさせることができるということになっており、4月の労基法の改正で特別条項を締結する場合には割増率を定めることとなりました。

特別条項の乱用を避けるために、限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない「特別な事情」については臨時的なものに限られ、①一時的又は突発的であること、②全体として1年の半分を超えないことが見込まれること、ということになっています。

先日顧問先からの問い合わせで、毎年同じ時期にイベントがあり、この時期は必ず残業が限度時間を超えてしまうのだが、これは臨時的とはいえないため特別条項を適用できないのではないか?というものがありました。

確かに特別の事情は臨時的なものに限られ、突発的に業務量が増えたというイメージがあり、例として挙げられていたのも納期のひっ迫や大規模なクレーム対応だったなあと思い、少し時間をもらい調べさせてもらうことにしました。

そこでよく告示を読んでみたのですが、特別な事情は臨時的なものに限るとされ、臨時的なものとは「一時的又は突発的」に時間外労働を行わせる必要のあるものとなっています。突発的だけではなく「一時的」もあるんだなと気がつきました。例を見ると予算・決算業務もあるわけですから、時期的には毎年いつも同じ時期に残業が非常に多くなることが見込まれるのだろうと思われ、そうであれば毎年同じ時期のイベントも「一時的」に該当し、従って「臨時的」に該当するのではと思い当りました。

念のため労働局に確認をして、やはり毎年同じ時期に開催されるイベントで時間外労働が限度基準を超えることがあらかじめ見込まれても、年の半分を超えるようなことがなければ、一時的=臨時的なものとして特別条項を使っても良いという回答でした。

講義をしているときは「臨時的」=突発的と考えていたのですが、実際の実務に照らして考えると一時的というのは結構重要なのだなということが分かりました。


最近、企業の人事担当者の方からのご質問に回答をするのが楽しくて仕方がありません。以前からも顧問先企業からのご質問は好きでしたし、講師時代受講生に講義終了後質問してもらい一緒に考えたりして時間を過ごすのも好きでした。何といっても回答するには考え、時にはじっくり調べなければならないところが魅力です。それによって少し進歩したかなと思うと本当にこの仕事をしていて良かったと思います。これからもできるだけたくさんの企業のご質問を受けて行きたいと新たな仕組みを8月からご提案する予定です。

来週は7月27日(火)に行うOURSセミナーのパワーポイントレジュメの準備をします。すでにOURSセミナーも3回目ですが、今度は受講して頂いた方が少し楽しく学べるようなものにしてみたいです。

労働時間について 出張の移動日

2010-07-12 00:28:50 | 労務管理
OURSのメンバーも4人が参加して8カ月間ほど導入を検討していた顧問先企業の新たな新人事制度がおおむね完成し、社員への説明会も先月末終了しました。運用開始の準備段階で会社から「出張の際の移動の時間」について、労働時間としてカウントすべきかどうかというご質問が出ましたので取り上げてみたいと思います。

出張の移動時間は原則として労働時間にカウントしなくてよいことになっています。
通達で、出張中の休日はその日に旅行(移動)する等の場合であっても、
旅行(移動)における物品の監視など別段の指示がある場合のほかは休日労働として取り扱わなくても差支えないというものがあります。
移動が休日に行われても休日労働に扱わなくても差支えないということで、考え方としては出張中の移動時間は、通勤時間が労働時間にならないのと同じ扱いになるのです。

確かに拘束時間と言えないわけでもないので、労働者にとっては出張のための休日の移動が休日労働として扱われないのは釈然としないかもしれません。
それを考えると、最近出張の「日当」はあまりはやらないですが、やはり前日に出張先に入るのであれば「日当」を支払うというような規定はあった方が良いと思います。

ずいぶん前の話になりますが、
例えば大阪に出張した場合、移動時間を含めず業務が開始したところからカウントして、その代わりきちんと残業も正確に把握して残業代を支払うということにした会社がありました。発端は監督署からの是正勧告で、会社としては「営業」の時間管理がみなし労働時間制などであいまいになっていたところをきちんとする必要に迫られたわけですが、その会社の社員はやや不満そうだったことを記憶しています。経済の成長期の制度改定であれば違うのでしょうけれど、だいたいそういう時期は制度改定は行われず、業績の停滞期に行われることが多いためいつも人事制度の改定は難しいです。

また労災については法律が異なりますので、移動が労基法上の労働時間として取り扱われるかどうかは労災認定の判断の基準にはならず、出張の移動中の事故は、原則として業務に起因する災害として業務災害として取り扱われることになります。
帰りの新幹線で飲酒をする、業務と関係ないところに立ち寄る等のことがあれば業務に起因した事故にならない可能性が高いのですが、通常の移動であれば業務に起因した事故ということで業務災害になるわけです。

宿泊中、ホテルから遠いお店に美味しいものを食べに行って交通事故でけがをしたというキャビンアテンダントの方が労災事故にならなかったこともありましたので、出張中美味しいものを食べに行くにしても常識の範囲内の距離でということは念頭に置いておく必要があります。労働時間ではない扱いにもかかわらず、そのあたりは気が抜けないですね。

今日は選挙でしたね。消費税10%発言で民主党は負けたという論調が多いようですが、ちょっと違うような気がします。政権交代後の民主党の政権運営で、政策の土台がないような不安感を持ったからではないでしょうか?確かに与党になったばっかりで立場が逆転したことによる準備不足かもしれないですが、年金問題でもあれだけ野党時代元気だった長妻さんが、大臣になってもいっこうに方向性すら示せないのが気になります。民主党も何度も選挙の荒波にさらされて、本当の与党になっていくということなのかもしれません。人間が苦労したり不遇だったり失敗したりということで育っていくのと同じでしょうか。

幻のテレビ出演

2010-07-04 23:25:40 | 雑感
今日はお勉強の話ではありません。
実は先週幻になったテレビ出演の話がありまして、その話をちょっと。

月曜日の夕方「○○テレビの××です」と事務所に電話がありました。
テレビ局は1社顧問をさせて頂いているのですが違う局です。
お話を聞いてみると、育児・介護休業法が6月30日に改正するのに合わせて、木曜昼の番組で放送したいのだが、改正のポイントなどを話してもらえるかどうかということでした。労務行政さんより出版された「改正育児・介護休業法 基本と実務-早わかり-」の書籍の著者としてということでしたので、「まあ何とかなるかな~」と思いお引き受けしました。

収録及び撮影は事務所で行い、そのシーンを生放送の中で社労士に聞きましたということで差し込むため、明日か明後日に撮らせてくれというエラク急な話です。水曜日の午前中なら空いていると言うと、午前中にそのディレクター氏が来てくれることになりました。その時急なニュースがあると放映されないこともあるのだけれど、ということで念を押されました。

いきなり急な話でこれは美容院に行く暇もないよな~と思いながら、どの道私の場面など数秒だろうと思い、あっという間だから関係ないかと軽く考えていました。ただテレビに映ると自分はどんな感じにうつるんだろう(一般的には太って映ると言われていますよね?)というところに少し興味がありましたし、以前TACで衛星放送(スカパー)で講義した時とは年齢もずいぶん違うし、色々な面でやっぱり違うだろうなあなどと考えていました。

収録の日は、前の晩遅くまで仕事をしたにもかかわらず化粧ののりも良く快調に事務所に向かいました。約束の時間に来られたのは、ディレクター氏がカメラマンも兼ねるらしくひとり。収録の前にディレクター氏の作成したボードの内容の確認があり、結構細かな表現まで確認されるので少し修正したりしました。「改正育児・介護休業法 基本と実務-早わかり-」もよく読んで頂いており、「この『原則として』は色々な意味を含むんですよね」などと言っておられ、ややびっくり。番組の中で、どの程度の時間がこの育児・介護休業法の改正にあてられるのかわからないけれど、このボードの準備などと収録を含めると結構1つ1つ時間がかかっているのだなあと思いました。

話はお昼の番組ということで、改正の中でも主婦層が見てなるほどと思うところを取り上げて話し欲しいとのことで、収録前に少し質問形式で練習をしました。その後それではと収録を始めると先ほどの練習の時は聞いてこなかったことを質問されて「あれ、ちょっと違うじゃない?」と思ったりしながら何とか終了。後始末しておられる中次の仕事があるので私はスタッフに後を任せて出かけました。

さて、放送予定の木曜の朝、家族も事務所のスタッフもビデオのセットをしてくれて準備万端だったのですが、10時ころディレクター氏から電話があり、ニュースが入ったので放映されないことが午前8時に決まりました。育児・介護休業法の改正もニュース性があるので今後も放映はない可能性が高いんです、とのこと。な~んだーという感じでみんなに申し訳ない感じ。

何のニュースに負けてしまったのかと思ったら、韓流スターの自殺でした。育児・介護休業法の改正よりやはり韓流スターなんですね、世間は。

いよいよ社労士試験の追い込み時期にかかってきました。昨年講師卒業した時、涙をのんだ受講生に来年6月位にヤマ当て勉強会でもやろうかなと言っていたのですが、ここのところ有難いことなのですが実務が忙しくてすっかり受験の感覚がなくなってしまい、ヤマ当てどころか今年の受験生に講義するなんておこがましいのではとい感じになってしまいました。なんとかエールだけは送りたいので、モチベーションアップのために事務所見学でも良いですよと言ってくれた受講生がいるので、それを最後の日にでも企画して壮行会を兼ねようかなと考えています~。