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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

児童労働について―国際基準との比較ー

2023-12-03 23:27:55 | 労働法
労働基準法には第6章に年少者の項目が設けられており、満15歳年度末までの児童を労働者として使用してはならないが、最低年齢の例外として、行政官庁の許可等一定の条件のもとに、いわゆる非工業的業種の事業であれば満13歳以上の児童を使用することができ、さらに満13歳未満の児童であっても映画・演劇の事業であれば使用することができるとされています。
なお、児童を使用することができる非工業的業種の事業であっても、サーカスや大道芸人、旅館・料理店・飲食店、娯楽場の業務、エレベーターの運転業務には児童の使用は認められないとされています。
その他、年少者の規定としては満18歳未満を使用する場合は年齢を証明する戸籍証明書の事業場の備え付けの義務や、最低年齢の例外については学校長の証明と親権者等の同意書の事業場への備えつけも定められています。
 
ILOの国際労働基準にはどのように定められているかというと、「就業最低年齢(1973年、第138号条約)」として就業の最低年齢を義務教育終了年齢と定め、いかなる場合も15歳を下回ってはならないものとしており、開発途上国の場合は、さし当り14歳とすることも認められています。
また、若年者の健康、安全、道徳を損なう恐れがある就業については、就業最低年齢は18歳に引き上げられ、軽易労働については、一定の条件の下に、13歳以上15歳未満の者の就業が認められ、演劇などの出演については例外が認められており、上記労基法の規定とほぼ同じといえます。
 
ただ、「児童労働問題を考える手引き」には「子ども(18歳未満)が働くこと=児童労働」ではありませんとあり、児童労働の定義が18歳未満とされているので労基法とは異なるようです。労基法でも18歳未満の就業制限はありますが、手引きでも18歳になっていないうちは危険有害業務などの「最悪の形態の児童労働から守られなくてはなりません」とあります。
小学生が家でご飯の準備を手伝うことは児童労働ではないが、学校に行けなくなるなど教育に差し支えるほどの家事や安全・健康の妨げになることは児童労働と考えてやめるべきとしています。海外で展開する事業や外国人労働者の就労の場面などでは、国際労働基準への配慮は必要です。
●児童労働問題を考える手引き
 
週末名古屋での、ILO駐日事務所の支援を受けた連合会の中部地協の「ビジネスと人権」の研修があり、これで今年の研修は終了となりました。仙台、岡山、名古屋と各2日間の研修はそれぞれ受講していただいた方が熱心にワークに取り組み、沢山笑い沢山考え沢山のディスカッションやロールプレイをして頂いて、私も一緒の時間を共有できて楽しかったです。
また、研修前後の打合せでかなり真剣に意見交換したこともあり、ファシリテーター・グループファシリテーターの連携がとてもよく、良い研修を作りあげた感がありました。やはり「ビジネスと人権」は社労士にとってとても親和性があり、かつ、夢のある仕事だと実感しています。
 
労務行政さんより育介法の一部執筆を担当させて頂いた「実務コンメンタール 均等法・パート有期労働法・育介法・パワハラ防止法」が発刊されました。各法律の逐条解説とQ&Aで構成された法律解釈と実務共に参考にできる書籍ですので手に取って頂ければ幸いです。
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